◆2/3 原発賠償京都訴訟第13回口頭弁論,傍聴御礼

「原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会」事務局の上野と申します。

昨日の原発賠償京都訴訟第13回期日の傍聴にお越しいただいたみなさま、ありがとうございました。そして期日報告会に参加されたみなさま、長時間のご参加、本当にお疲れ様でした。

今回は、前回期日(11月27日)とは打って変わり、早くから多くの方が集まって来られたので、抽選整理券の配布が始まる前に「今日は抽選になる」と確信しました。結局、100名を超える方が来ていただき、傍聴席は満杯になり、抽選に漏れた20名ほどの方は弁護士会館へ行っていただくことになりました。以下、報告です。長文ですが、ご容赦願います。

◆原告側からは、準備書面(25)―SA(シビアアクシデント)対策の規制権限不行使の違法について―と準備書面(26)―結果回避措置について―を提出し、後者について森田基彦弁護士がプレゼンを行ないました。

その要点をかいつまんでまとめると、

◇この準備書面は、福島第1原発3号炉の設計者である吉岡律夫氏を起案担当者とする失敗学会(注:社会、企業、個人に損失を与える失敗、事故、災害の原因究明や防止に関する事業を行い、社会一般に寄与することを目的とする団体)の最終報告書に依拠して、東電は炉心溶融という結果を回避することができたのに、その対策を行なわず、結果回避義務違反があることを主張するものである。

◇失敗学会の最終報告書は、福島原発事故の原因を①直流電源の喪失②交流電源の喪失③最終排熱系の機能喪失と結論付け、事故以前に知り得た事情のみでもって、短期間に直流電源、交流電源、最終排熱系の確保し、かつ炉心溶融事故を防ぐことができるような対策を取ることは可能だったかどうかを検討し、1~2年程度の準備で対策を行なうことは可能だったと結論づけている。

◇津波により敷地が浸水しても、予備的な電源と設備の水密化がなされていれば、最低限の回避措置がとれる。冷却水の循環ポンプには6900ボルトの高圧電源が必要ですがこれに対しては高圧電源車を、また原子炉隔離時冷却系(RCIC)、高圧注水系(HPCI)の操作には直流電源が必要ですがこれに対しては直流バッテリーを予め準備しておくことで対応可能である。

◇早急に残留熱除去系(RHR)が回復する場合には、短期間で冷温停止に持ち込むことができる。半日以内にRHRが回復しなくても、全号機に設置されている炉心スプレーで冷却することにより、1~2日程度RHRの復旧時間を延ばすことができる。1~2日でRHRが復旧しない場合、格納容器ベントにより格納容器内の圧力を下げて、消防車やディーゼル駆動消火ポンプから注水し、格納容器を冷却することができる。注水を続ける限り1週間を超えて冷却を維持することができ、1週間の時間的余裕があれば、RHRの復旧が可能である。

◇これらは、事故後すぐに各原発に対して対策が指示され、すぐに対策されたものばかりであり、これらの準備・対策を行なわなかった被告東電には結果回避義務違反がある。

というものでした。

◆期日報告会では、福島原発かながわ訴訟の村田弘原告団長をゲストとしてお招きし、関東圏での裁判の状況やかながわ原告団の取り組み等について話していただきました。

かながわ訴訟は、裁判長が「秋ぐらいには見極めたい」と述べており、もうすぐ原告の本人尋問、専門家の証人尋問に入る。京都とほぼ同じ進行状況。全国で28ぐらいの集団訴訟が提起されており、一番進んでいるのは群馬、千葉、福島の生業(なりわい)訴訟。原告が4千人規模の生業訴訟では、裁判長に現地調査をすることを認めさせた。群馬訴訟では、女性の裁判長が被害状況を重視するということで、42世帯の代表者の本人尋問が終わった。千葉訴訟では先に本人尋問が終わり、専門家の証人尋問も終わった。裁判長が「責任論は争点じゃないですからね」と言ったので「これはやばいんじゃないか」と思っていたら、その裁判長が異動になった。弁護団は低線量被曝の問題や「現地調査をやれ」と申し
入れて巻き返しを図っています。関東圏では、今年の暮れから来春にかけて順次判決が出るのではないか。

肝心なことは裁判の判決だけでは解決しない。いま被害者が横のつながって頑張ろうという動きがあって、昨年5月に原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)ができた。これには損害賠償訴訟だけでなく、刑事告訴をした告訴団やADRを提起した団体も入っている。3月2日に日比谷野音で全国集会を開く。それまでに統一要求を作ろうということになっている。2月13日には、原発被害者訴訟原告団全国連絡会が結成される。さらに去年の暮れに避難者個人のつながりを作ろうということで、「避難の権利」を求める全国避難者の会もできた。子どもを守ろうとするお母さんの力を感じる。一緒に頑張っていこう。

(「本人尋問で、被告側の反対尋問はどんなことを聞いてくるのか」という質問に答えて)
千葉と群馬を聞きに行ったが、被告側には正面から反論する材料がない。主に聞いてくるのは、①原告の陳述書に書かれた事実関係が違っているんではないかということ、②「賠償はちゃんと受け取られていますよね」との確認、③「あなたの地元は復興していますが、知ってますか?」と聞いてきます(陳述書の避難元のデータを詳細に調べてきます)、という3点ぐらい。だから反対尋問を恐れる必要がまったくない。自分の今までの経過、被害の重さをきちっと述べる、ということに尽きる。

◆進行協議の内容について、弁護団の田辺事務局長から報告がありました。

裁判長から、夏までに総論的な主張は出し切ってもらって、原告本人の証言と専門家の証人調べを秋以降に実施したいという話があった。その心は年内に結審して、来春に判決を出したいということだろうと思う。審議経過(工程表)をきちっと作って、それに遅れないようにしますと宣言された。

原告さんの証拠調べをどうするかが議論になった。原告は58世帯175人いるので、全員の話を聞くことは無理。世帯の代表者というのも、58人全部聞くとなると1年以上かかってしまう。そこで、避難元の違い、避難指示区域内か外かとか、小さい子どもがいたかどうかなどで類型化できるだろう。類型ごとに代表者に証言してもらうという形になるのではないか。

専門家証言は各地の裁判ですでに証言され、調書がある。地震学者、避難については社会学者や心理学者、ところが低線量被曝に関しては専門家証人が出されていない。今考えているのは、医学者であって高木学校の崎山比早子さんと今日の森田弁護士の準備書面のもとになった技術者の吉岡律夫さん(元東芝)の二人。

もう一つ、左陪席がこの4月で代わるので説明会をしてほしいとの要請があった。裁判所としては被告代理人にもしゃべってほしいので、代理人だけでやりたい意向を持っているが、ここは裁判所と議論して、できれば何人かの原告さんにも入ってもらえるような場を実現したい。

◆今後の日程が決まりました。4月以降はひと月に1回の割で開催される強行日程です。これは、裁判長は自分が在任中に判決を書くという決意のあらわれのようです。
・第13回期日…3月25日(金)、第14回期日…5月27日(金)、第15回期日…6月29日(水)、第16回期日…8月3日(水)

◆なお、日本科学者会議の宗川吉汪さんから、会場で販売された『福島原発事故と小児甲状腺がん』の売り上げ代金2万5千円を支援する会に寄付していただきました。この場を借りてお礼申し上げます。