◆8/3 原発賠償 京都訴訟 第16回期日の御礼

みなさま
支援する会事務局の上野と申します。

昨日(8月3日)は原発賠償京都訴訟の第16回口頭弁論が行なわれました。傍聴に参加いただいたみなさま、本当にありがとうございました。蒸し風呂のような暑さの中、120名ほどの方が駆けつけてくださり、今回も抽選になりました。

法廷では森田基彦弁護士が、原告側が提出した「準備書面(44)―行政調査・貞観津波―」についてのプレゼンを行ないました。これは、原告側が「国は遅くとも2008年3月までには、敷地高を超える津波が来ることを予見できた」と主張したのに対し、被告国は「2008年3月以前に、いかなる調査権限を行使して、いかなる事実を根拠に、敷地高を超える津波を予見できたのか」を説明するよう求めてきました。準備書面(44)はそれに対する回答です。

その要点は以下のとおりです。
◇国は、次の3つの方法―①電気事業者、電事連、土木学会など利害関係者(規制される側)に支持して報告を求める方法、②外部団体に委託して調査研究を行なう方法、③国の機関や業務移管先のJNES(独立行政法人原子力安全基盤機構)が調査を行なう方法―によって行政調査を行なってきた。
◇「津波評価技術」は地震に関する新しい知見が発見されれば、それをもとに津波の水位を試算する方法論。2002年7月の「長期評価」は地震に関する新知見だった。東電は2008年3月にこの知見に基づき、敷地南部でO.P.(小名浜港工事基準面)+15mの津波を試算したが、2002年には同じ試算が可能だった。
◇貞観11年(869年)に発生した貞観津波は福島県相馬にも到達した異常に大きな津波だった。東京大学佐竹健治教授らは、残された堆積物に合致する断層モデルを検討し、貞観津波の波源モデルを公表した。
◇東電は2002年10月に波源モデルを入手し、同年12月に津波水位を計算し、O.P.+8.7mの結果を得た。ところがその資料には「仮に土木学会の断層モデルに採用された場合…2~3割程度、津波水位が大きくなる可能性あり」と記されている。1.2倍するとO.P.+10.44m、1.3倍するとO.P.+11.31mとなり、いずれも福島第一原発の敷地高を超える。
◇佐竹教授らの貞観津波研究は国が委託した宮城県沖地震調査の一環で、佐竹教授らは2007年10月の「日本地震学会秋季大会」で貞観津波の断層モデルの原型ができたことを報告しており、2007年度報告書に貞観津波の断層モデルが報告されているから、2008年3月までには断層モデルは完成していた。
◇貞観津波の断層モデルの研究は、国の業務委託によるものであり、国は随時研究成果を知り得た。そして、①JNES等に計算させる、②外部団体へ委託して計算させる、③東電に対して計算を指示・報告させるという方法によって、東電の試算結果(2009年9月報告)と同じ結果を得ることができた。
◇したがって、国は2008年3月までに適切な行政調査を行なえば、敷地高を超える津波を予見できた。

閉廷後の報告集会では、傍聴カード達成者(皆勤賞)の池村さんに記念品として、原告の鈴木絹江さんの著書『放射能に追われたカナリア―災害と障がい者の避難』と原告の福島敦子さんのインタビューが載っている『福島のお母さん、聞かせて、その小さな声を』(棚橋明子)が贈呈されました。

弁護団の大杉光子弁護士から、今日の法廷でのやり取りについて説明があったあと、原告団の福島さんから7月8日の福島県交渉の報告と次回(8月9日)交渉参加に向けたカンパの訴えがあり、48,809円が集まりました。京都での取り組みとして、うつくしま☆ふくしまin京都の奥森さんから、8月19日午後2時から京都府交渉を行なうので、避難当事者の方はぜひ一緒に参加してほしいという呼びかけがありました。

次に、支援する会共同代表の橋本宏一さん(国民救援会京都府本部事務局長)から「裁判勝利をめざす市民運動」と題してミニ講演がありました。その要旨を、私が強引にまとめました。
◇司法は三権分立の1つで、裁判官はいかなる権力からも独立して判断するとされるが、実際には「官は悪を為さず」という思想に染まり、「強きを助け、弱きをくじく」傾向が強い。市民の感覚と違う人が多い。裁判官の常識を打ち破る取り組みが必要。
◇弁護団の主張と立証、当事者(被害者)の事実と道理を訴える法廷内のたたかいは当然だが、それだけではなかなか勝てない。法廷外で市民に訴え、世論を喚起し、それを裁判官に届けることが必要。松川事件の際に、10万、20万という単位で署名が集まったが、仙台高裁の裁判官は「私に対する脅迫めいたものは一通もなかった。こうなったら、歴史に残る判決を書こうと思った」と回想している。
◇先日も弁護団や原告団と会合を持ち、公正判決署名をやろうということになった。署名は広げやすく、誰でも取り組める。やる以上は3万筆ぐらいは集め、市民の声を裁判所に届けよう。

その後、傍聴に来ていた八幡市の山田みすず市会議員(共産党)から八幡市でも住宅問題の請願・意見書が採択されるよう頑張るとの連帯と決意表明があり、グリーン・アクションのアイリーン・美緒子・スミスさんから「住宅問題の請願をあちこちで上げよう。各自治体には、せっかく京都に避難してきた、こんないい人たちを手放すな(帰還させたり、他所に移らせたりするな)と言おう」との呼びかけがありました。

閉会直前になって、進行協議の休憩時間を使って、弁護団の田辺事務局長が経過報告に来室。◇国が原告側の専門家証人・崎山比早子さんに対するカウンター証人を立てるとしながら、いまだに誰かを明らかにしない。国は進行を遅らせとようとしているが、11月2日までに国は意見書を出し終わることになった。◇原告の本人尋問については、全世帯を7つの類型に分けて7人のチャンピオンを立てる。①避難指示区域内からの避難者(福島さん)、②県外からの避難者(川崎さん)、③家族全員で避難(菅野さん)、④健康被害(萩原さん)、⑤世帯分離・母子避難(吉野さん)、⑥障がい者の避難(鈴木絹江さん)、⑦帰還せざるを得なかった世帯(いま折衝中)。

そのあと会場からの「科学論争をして勝てるのか?」という質問に答えて、「科学的に論争がある問題について、裁判官に判断せよと言っているわけではない。社会のルールに即して、避難したことが正しかったのかどうかを判断してもらう」との説明がありました。

次回の口頭弁論は、9月23日(金)10時30分開廷です。