◆1/27原発賠償 京都訴訟第22回期日の御礼と報告

支援する会事務局の上野と申します。

1/27に行われた原発賠償京都訴訟第22回期日の報告です。長文、ご容赦ください。

今回は、専門家証人尋問(主尋問)ということで、原告の証言がないということが影響したのか、前回、前々回よりも集まりが悪く傍聴席が埋まるかどうか心配しましたが、抽選となり、若干名の方が傍聴できませんでした。

原告側証人は崎山比早子さん(元国会事故調委員。医学博士。高木学校メンバー)、被告側証人は①酒井一夫(放射線医学総合研究所・放射線防護研究センター長。国際放射線防護委員会ICRP第5専門委員会委員)、②柴田義貞(長崎大学客員教授、元福島県立医大県民健康管理調査事業特命教授)、③佐々木康人(湘南鎌倉総合病院付属臨床研究センター・放射線治療研究センター長。元ICRP主委員会委員)の3人。

午前中は原告側の崎山さん。用意したプレゼン資料に沿って一通り説明したあと、代理人(弁護士)からの質問に答える形で主張すべき点を再確認したり補強するというスタイルで進行しました。

証言内容は、大きく①放射線傷害の標的 身体の設計図DNAとその合成、②放射線防護、③疫学調査結果について、④県民健康調査、甲状腺がんについての4つに分かれていました。

①では、
・すべての細胞に存在するDNA(その科学結合のエネルギーは5~7eV)に放射線(1万5千~2万eV)が当たると、そのエネルギー量の差によってDNAは簡単に切断されてしまうこと、
・切断されたDNAは修復される場合もあるが、修復できずに老化したり、間違った修復から突然変異が起こり発がんに至る場合もあること、
・被ばくに伴う発がん数やがん死亡率は被ばく線量に比例し「しきい値」(これ以下なら影響がないという値)は存在しないことがさまざまな研究調査によって明らかになっていること、
・放射線作業従事者の5年間の累積線量を調べた疫学調査では全体の65.4%が0.7ミリSv、83%が20ミリSv未満だったこと、などが述べられました。

②では、
・ICRP1990年勧告における公衆被ばく限度(年間1ミリSv)は「超えることが容認できない線量」とされていること、
・1ミリSvという数値はそれが安全量だからではなく、「合理的に達成できる限り低く保つ」という原則(ALARAの原則)に沿って、放射線障害と社会的コストを考慮して決めたものであり、その影響を減らすためにあらゆる合理的な手段をとることを目指すとされていること、
・ICRPのいう1ミリSvは外部被ばくだけでなく内部被ばくも含んでいる(その合計)こと、
・チェルノブイリ法(ウクライナ、ロシア、ベラルーシ)では、年間5ミリSv以上の地域は強制避難となり、年間1~5ミリSvの地域には「避難の権利」が与えられたこと、
・以上を踏まえると、避難という選択は被ばくを減らす賢明な方法であり、いま政府が進める帰還政策は現在の被ばく線量よりも線量を高めるものであり、そのような政策はICRPの放射線防護体系にも見当たらないこと、などが証言されました。

「低線量被ばくのリスクに関するワーキンググループ」(被告側証人の酒井一夫、佐々木康人はこのWGのメンバーだった)の報告書は、「国際的な合意では、放射線による発がんのリスクは、100ミリSv以下の被ばく線量では、他の要因による発がんの影響によって隠れてしまうほど小さいため、放射線による発がんリスクの明らかな増加を証明することは難しいとされる」と記述されています。③では、これに反論するために、これまでに明らかになった世界各地での低線量被ばくによるがんや白血病の疫学調査の結果が取り上げられました。さらに、ICRPは同じ線量でも一度に全量を浴びた場合(原爆被爆者)の方が長期間にわたって少しずつ浴びる場合(福島原発事故による被ばく)よりもリスクが大きいとし
、低線量率(後者)のリスクは高線量率(前者)のリスクの2分の1と見積もっています。しかし、世界保健機構(WHO)や国連科学委員会(UNSCEAR)、欧州放射線防護委員会(ECRR)はその比率を1:1と見ており、世界各地の疫学調査の結果でもICRPを支持するものは一つもなく、むしろ低線量率のの方が高い場合もあったと述べられました。

④では、
・甲状腺がんの多発について被告らは「スクリーニング効果」として否定されているが、二巡目の検査で悪性がん(またはその疑い)とされた68人のほとんどが一巡目の検査ではA1もしくはA2判定されており、新たに発がんしていると考えられること、
・また放っておいても症状のでないがんまで過剰に診断しているとの言い訳については、手術を症例のうちリンパ節への転移が74%、甲状腺外への浸潤が40%だったことをあげ、過剰診断とは言えないこと、
・日本甲状腺学会の「甲状腺腫瘍の診療ガイドラインQ&A」には「甲状腺がんのリスクファクターにはどのようなものが存在するか?」との問いに対して、「放射線被ばくは明らかなリスクファクターである」「一部の甲状腺がんには遺伝が関係する」とあり、「これ以外に科学的に立証されたリスクファクターは今のところ存在しない」と明記されているように、多発の原因は放射線被ばく以外には考えられないこと、などを証言され、最後に低線量でもリスクはあり、リスクを避けるために避難することは妥当な選択だと述べられました。

被告側の証人は、崎山証人が否定したICRPの見解を繰り返すのみで、甲状腺がんの多発という現実を踏まえた議論は一切なく、科学者としての良心はまったく感じることができませんでした。

次回期日(2月17日)は、今回と同じ専門家証人に対する反対尋問が行なわれます。崎山さんと弁護団が3人の被告側証人に対する効果的な反対尋問を練り上げることと思います。ぜひ期待して、裁判にご参加ください。

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