◆裁判官 様、3回目の訴え

【2017年2月2日,大阪高裁の4出入口で配付。3回目】

大阪高等裁判所 山下郁夫裁判長、杉江佳冶裁判官、吉川慎一裁判官 様

(昨年12月26日、本年1月11日にもお願いしましたが、再度訴えます)

高浜原発運転差止め抗告審では
人の命、尊厳が大切にされるご判断をお願いします

1.人の命と尊厳を軽視する傲慢さの故に、また事故が起きました!
電力会社には、安全管理の体質、能力がないことを物語っています。

◆高浜原発クレーン倒壊

・1月20日午後9時50分ごろ、関西電力高浜原発で、2号機の安全対策工事に使うクレーン(アーム部分の長さは約112メートル)が倒れました。中央制御室にいた運転員が大きな音を聞き確認すると、クレーンが倒れていたということです。原子炉補助建屋の一部が壊れ、使用済み燃料プールがある建屋の屋根の一部が壊れました。関西電力は、周辺環境への影響はなく、けが人もいないと発表しています。また、燃料プール建屋天井からの落下物はなく、燃料に影響はないと報道されています。

・2号機は40年を超える老朽原発で、2020年に安全対策工事を完了する予定でコンクリート製のドーム屋根を原子炉格納容器の上部に設置する準備をしていたとのことです。

・クレーンは、風速42 m/秒の風に耐えられるように設置することになっていましたが、当日は風速15 m/秒程度の風でした。この程度の風で倒れるクレーンの設置は、極めて杜撰で、安全無視と言わざるを得ません。

2.再稼働を進める全ての電力会社が、再稼働前後にトラブルを起こしています。

・以下に述べますように、一昨年8月以来、再稼働した川内原発1号機、高浜原発4号機、伊方原発3号機は、何れも、再稼働前後に重大事故に繋がりかねない深刻なトラブルを起こしています。再稼働を進める全ての電力会社でトラブルを起こしているのです。トラブル率100%です。これは、原発の点検・保守や安全維持の困難さを示唆し、配管の腐食や肉厚の減少、部品の摩耗などが進んでいることを示し、傲慢で安全性軽視に慣れ切り、緊張感に欠けた電力会社が原発を運転する能力・資格を有していないことを実証しています。さらに、原子力規制委員会(規制委)が適合とした原発を所有する電力会社の全てが再稼働前後にトラブルを起こした事実は、原発の再稼働にお墨付きを与えた新規制基準が極めていい加減な基準であり、規制委の審査が無責任極まりないことを物語っています。

◆九州電力 川内原発1号機 再稼働直後に復水器の細管5本の損傷が発覚。

・一昨年8月11日に再稼働した九州電力川内原発1号機では、再稼働直後の8月20日、復水器内の塩分濃度が上がったことを示す警報が出ました。発電に使った蒸気を冷やす「復水器」の中の細管(直径25ミリ)5本が損傷し、細管内を流れる海水が外側の2次冷却水に混入したためです。損傷した細管に栓をして原発を運転していますが、細管は約8万本あり、他の細管も損傷の可能性があります。2次冷却水に塩分が混じれば、2次系の配管も腐蝕しやすくなり、原子炉内を回り、放射性物質を含む高圧の1次冷却水が2次冷却水中に噴出し、重大事故に繋がる可能性もあります。

◆関西電力 高浜原発 再稼働準備中に水漏れ:再稼働直後に変圧器異常で緊急停止。

・関西電力高浜原発4号機では、再稼働準備中の昨年2月20日、原子炉補助建屋で、放射性物質を含む水たまりが見つかりました。計約34リットルの水が漏れました。水漏れが見つかったのは、原発の運転中に必ず使う1次冷却水の浄化設備。設備の一部に水を通したところ警報が鳴り、発覚したということです。関電は、原因を「配管の弁のボルトが緩んでいたため」とし、漏れた放射能は約6万ベクレルと発表しました。原子炉内を高圧の水が循環する1次冷却系のトラブルは深刻な問題です。なお、関電は再稼働作業中のトラブルについて「工程に影響を与えるものはその都度知らせる」としていましたが、公表は約6時間後でした。

・2月26日に再稼働したばかりの高浜原発4号機では、出力5%で送電を始めた29日午後2時頃、発電機と変圧器の故障を知らせる警報が鳴り、発電機が止まり、原子炉が自動で緊急停止し、核燃料の核分裂反応を抑える制御棒が総て差し込まれました。発送電の開始を報道陣に公開している最中のトラブルでした。関電は、原発のトラブルを公表する基準を、公表しない「レベル0」から、速やかに公表する「レベル4」の5段階に分けており、今回は原子炉停止が必要なレベル4であったとしています。送電線につながっている変圧器周辺で異常が発生した可能性が高いと言われています。

◆四国電力 伊方原発 冷却水循環ポンプから水漏れ:純水製造装置建屋内の配管から水漏れ。

・昨年7月14日、伊方原発内で実施した重大事故対応訓練で作業員2人が熱中症になり、原子力規制委員会から「作業手順に改善を要する点がある」として一部再訓練を指示されました。

・7月16日、再稼働準備中の伊方原発3号機で、原子炉の冷却水を循環させるポンプから洗浄用の水が漏れ出ているのが見つかり、四国電力はポンプを緊急停止しました。洗浄水は、放射性物質を含む1次冷却水を循環させるポンプの軸を洗うためのもので、少なくとも数リットルが漏れ出しました。カーボン製の部品を2つ組み合わせた部分にすき間ができて洗浄水が漏れたとみられています。復旧作業のため再稼働時期は8月にずれ込みました。

・伊方原発3号機では、再稼働した8月12日以降もトラブルが続きました。8月26日に純水製造装置建屋内の配管のつなぎ目から水漏れが発生、亀裂が見つかったゴム製パッキンを交換する事態となりました。

3.原発関連トラブルは再稼働時だけではありません。過去1年間だでも次のようなトラブルが起こっています。

◆関西電力 資材運搬中のヘリが美浜、十津川でそれぞれ1トン近くの資材を落下させる。

・昨年3月1日午前10時頃、関電からの依頼で、電線の絶縁に使う部品「ガイシ」を鉄塔建て替え工事現場に運んでいヘリコプターが、美浜町内の場外離着陸場を離陸した直後に、高度約100 mから、重さ約1トンの木箱を落としました。国土交通省は、深刻な事故につながりかねない重大インシデントに認定しました。

・8月5日午前10時半頃、関電の協力会社のヘリコプターが、奈良県五條市内のヘリポートから約3 km 離れた工事現場に運ぶ途中の約800キログラムの鉄板1枚を、高度約200 m から、山中に落下させました。国土交通省は重大インシデントと認定しました。(なお、十津川の事故は原発とは無関係です。)

◆関西電力 高浜原発1、2号機運転延長担当の課長自殺。負担集中:規制委審査は過密。

・昨年4月20日、東京都内のホテルで、高浜原発1,2号機運転延長に関わっていた関電課長の自殺が見つかりました。同日、1、2号機運転延長審査の合格にあたる「審査書」が了承されました。1、2号機について関電が原子力規制委員会に提出した資料は約8万7000ページに上っており、審査期限に間に合わせるよう、課長を含む担当職員は厳しい勤務状況にあったとみられています。高浜1、2号機の場合、1昨年3月の安全審査申請から昨年6月の運転延長認可まで、事務レベルでの会合は233回、亡くなられた課長の残業が急増した1~4月の4カ月間では、100回を数え、平日はほぼ毎日、複数回の打ち合わせがある過密日程であったと言われています。電力関係者は「(審査会合では)一つ資料を出すと、10個宿題が返ってくるような感じで、大変だとの話をよく聞いた」と証言しています。

◆北陸電力 志賀(しか)原発 原子炉建屋内に雨水が流入。

・昨年9月末、北陸電力志賀原発2号機(石川県)で6.6トンの雨水が原子炉建屋に流入しました。原子力規制委員会は、重大なトラブルに発展した可能性が否定できないとして北陸電に再発防止策の報告を求めました。雨水流入は福島原発事故前の旧基準では想定しておらず、規制委は他原発の状況も調べる方針です。 規制委によると、志賀原発では9月28日、1時間に約30 mm の降雨があり、構内道路が冠水、仮設ケーブルが通る地下空間を通して原子炉建屋の1階や地下に流れ込み、照明用の分電盤がショートしたとされています。降雨が排水用の仮設ポンプの容量を超えたことに加え、地下空間を塞ぐ蓋に隙間(すきま)があったことや、原子炉建屋の床にあったひびを補修していなかったことが原因と言われています。 浸水したエリアには、非常時に原子炉を冷やす機器に電源を送る配電盤や非常用の蓄電池など、重要度が特に高い設備があり、これらが水没する恐れがありました。2号機は再稼働を目指し、規制委の安全審査を受けていました。

◆日本原電 敦賀原発 作業員10人、1次冷却水浴びる。

・昨年11月30日午前11頃、日本原電・敦賀原発2号機の原子炉補助建屋の地下2階で、作業員が高さ約1 m の所にある配管の弁のボルトを緩めたところ、1次冷却水約160リットルが飛散しました。日本原電は、作業員10人の衣服や顔に放射性物質を含んだ水がかかったが「けがや被ばくはない」としています。

◆中国電力 島根原発 空調換気ダクトに腐食による穴19ヶ所が発覚。

・昨年12月、島根原発2号機で中央制御室と外部をつなぐ空調換気ダクトに腐食による穴(最大で30 cm×1 m)が19ヶ所あることが発覚しました。ダクトに使われる鋼鈑は、厚み1.2~3.2 mm程度と薄いため、腐蝕破損しやすく、とくに海からの塩分が加わると腐食は加速されます。長期使用、経年劣化による、ダクト、配管の腐食、配管の減肉等は当然考えられることです。もし、ダクトの破損に気付かずに放射能漏れ事故が起これば、中央制御室に外部から汚染空気が入り、作業員の被ばくを抑えることはできません。安全より経費削減を優先させる電力会社は事故が起きてからの応急処置しか考えていません。同様な腐食は全国の原発でも進んでいると考えられます。

4.原発は経済的にも成り立たないことが明らかです。

・昨年12月9日、経済産業省が福島第1原発の廃炉、賠償などの事故対策費用が、従来想定の11兆円から21兆5千億円に倍増することを公表しました。しかし、この新たな試算は、事故炉内の詳細は分からず、汚染水の漏洩防止策もない現状でのものですから、今後さらに膨れ上がる可能性は大です。原発には、重大事故は無くても、使用済み燃料、放射性廃棄物の処理・処分・保管費がかかります。避けることが出来ない事故を防止するための対策費も膨大です。これらを勘案すれば、原発は経済的にも成り立たないことは明らかです。したがって、米国でさえ、原子力発電からの撤退が相次いでいるのです。最大の理由は、安全性への懸念ではなく、シェールガス革命の影響で原発の発電コストの高さが際立つようになってきたためとされています。

・原発が経済的にも成り立たないことは、国の原発政策の一翼を担ってきた東芝が、巨額損失で主力事業の一つである原子力事業を縮小し、今後は、廃炉や保守などを原子力事業の中心に据えようとしている事実も証明しています。

5.原発は無くても電気は足りています。省エネ技術は日進月歩で、再生可能エネルギーは急速に普及しています。

・福島の大惨事以降、日本にあった商用原発数は54基から、廃炉などによって、42基に減少しました。その42基も、地震の影響や点検によってほとんど運転されず、現在は2基が稼働しているのみです。それでも、電力は十分賄われ、例えば関電は、過去2番目の純益(2016年4~12月期連結決算で1,438億円)をあげています(1月31日発表)。また、周知のように、近年、照明器具、冷蔵庫などの家電、産業用電気機器の省エネ化、発電法、蓄電法の高効率化が進み、新しい発電法(各種の再生可能エネルギー)、蓄電法(新しい概念の電池)も開発されています。一方、日本では年間0.8%の割合で人口が減少し、世界の人口も40年後には減少に転ずると言われています。すなわち、日本のみならず世界のエネルギー消費は近い内に減少に転ずると考えられます。

・したがって、事故が起これば、人の命と尊厳を蔑(ないがし)ろにし、故郷を奪い、復旧は不可能に近い原発を、再稼働し、推進する必要は全くないのです。

6. 脱原発、反原発は社会通念すなわち民意です。

・以上のように、原発はトラブル続きです。原発は人類の手に負える装置ではありません。一方、原発を運転する必要性も見出だせません。そのため、脱原発、反原発は社会通念すなわち民意 となっています。この民意を反映して、一昨年、伊方町で行われた住民アンケートでは、原発再稼働反対が賛成の2倍でした。昨年の鹿児島県、新潟県の知事選では、脱原発を掲げる候補が圧勝しました。昨年末には、高浜原発の「地元中の地元」音海地区の自治会が、老朽原発運転反対を決議しました。国際的にも、ドイツ、イタリアに続いて、リトアニアが脱原発に向かい、昨年11月にはベトナムが原発建設計画を白紙撤回し、今年1月11日には台湾が脱原発法を成立させました。この民意の故に、大津地裁は、昨年3月9日、高浜原発の運転を差し止めたのだと考えられます。

1月22日、
脱原発、反原発の民意を司法にご理解いただき、
民意に逆らって原発の再稼働を進めようとする関電に抗議するため、
近畿と福井の6市民団体が呼び掛けて、
「高浜原発うごかすな! 関電包囲全国集会」を開催しました。

・この集会には、300を超える団体、個人が賛同しました。当日は、北海道から鹿児島までの原発立地(泊、大間、福島、東海、柏崎刈羽、志賀、浜岡、敦賀、美浜、大飯、高浜、伊方、玄海、川内)および原発電力の消費地(首都圏、近畿圏、中京圏など)の反原発市民団体の代表約1,000人が参加し、寒風と氷雨の中、デモ行進と関電包囲集会を行い、脱原発、反原発を声高らかに訴えました。

私たちは、司法の良心を信じています
原発再稼働を許さないで下さい

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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