◆福島原発の大惨事から6年

【2017年3月10日,京都キンカンで配付。】

福島原発の大惨事から6年
安倍政権の非人道政策ますます露骨に

原発事故避難者は未だ8万人に近く、自ら命を絶たれる方は4年後から急増している

◆福島原発事故から6年が経った現在でも、避難者の大半が故郷を失ったままであり、暮らしを破壊され、家族の絆を奪われ、癌と闘い、発癌の不安にさいなまれている。

◆東日本大震災後、体調悪化や過労などで死亡する「震災関連死」の数が、岩手、宮城、福島など10都県で少なくとも3032人に上ると、震災後3年の2014年2月末に報道された。福島第1原発事故などで避難している福島県では、半数超の1664人に上り、津波や地震に起因する「直接死」の数1607人を上回った。2013年9月末時点での復興庁のまとめでは、10都県2916人であったが、その後の5カ月間で116人増加したことになる。このうちの約8割に当たる92人は福島県の被災者で、被害が長期化する原子力災害の深刻さが浮き彫りとなった。

◆一方、福島県内での震災関連自殺者は、2012年10人、2013年13人、2014年23人と増加し続けたが、本年1月9日のNHKスペッシャルでは、福島で避難された方の自殺が、事故4年後から急増していると放映された。年齢構成などをならし、他県と比較した福島県の自殺率が震災4年後から上昇しているというもの(昨年、世界的な医学誌に、福島県立医大前田教授が発表)。現場からもそれを裏付ける現象が報告されている。福島で心の問題を受けつける電話相談には1日平均150本の相談が寄せられ、その数を全国と比較すると3倍以上である。相談内容は年を追うごとに緊急性の高いものが増え、一件当たりの相談時間も長くなっているという。なお、2012年~2014年の自殺者の内訳は、年代別では、一家を支える50代が最多で13人、80歳以上が10人と続く。原因・動機別は健康問題が22人と最多で、経済・生活問題が13人となっている。

◆4年以上経って増加の傾向を見せる福島の自殺の背景の一つとされるのが、時間を経るごとに複雑化する原発事故被災者を取り巻く環境である。また、個々の境遇にも違いが現れ、かつて親しかった親族や知人との間に分断が生まれ、孤立感が深まっているという。さらに、放射能被曝による免疫力や身体機能の低下による影響が大きいのではないか?との見方もある。チェルノブイリ原発事故で多くの被曝患者を治療したバンダジェフスキー博士は「セシウム137からの慢性的体内被曝により、細胞の発育と活力プロセスがゆがめられ、体内器官(心臓、肝臓、腎臓)の不調の原因になる」と指摘し、東大の児玉教授らも「放射能は少ない量でも内部被曝で癌などを誘発する」と述べている。脳に取り込まれたストロンチウム90がうつや自殺を引き起こすとする報告もある。

◆なお、NHKスペッシャルの冒頭に紹介された若い農家夫婦の自死の真相は定かでない。しかし、米の値下がりで赤字になり、かつて支援してくれたボランティア等に声をかけ、直接販売を試みたが反響がなかったとの事実が告げられる。原発事故からもうすぐ6年、確実に「風化」していく中で、「希望」が「絶望」に変っていく。番組では「あいまいな喪失」と「コミュニティの分断」という「要因」を指摘したが、責任をとらない政府と東電が元凶であり、それを許している私たち、原発推進を擁護してきた労働組合の責任も大きい。

原発事故でなければ、時間が経てば、復興の希望も生まれてくる。原発事故は、全てを奪い去る。

避難者の高放射線地域への帰還を強いる政府

◆政府は、避難に関して、1年間の空間放射線量が20ミリシーベルト(mSv/y)以下になった地域の避難指示を解除し、避難者に帰還を強要している。この線量は、日本の一般市民の線量限度1 mSv/yの20倍であり、チェルノブイリの移住義務基準5 mSv/yに比べても極めて高いと言える。また、避難指示が解除された地域の電気、ガス、水道、交通網などの生活基盤の整備や、医療、介護などの生活関連サービスも復旧したとするには程遠い状態にある。したがって、帰還の意志のある住民は少数にとどまり(下表を参照)、ほとんどが高齢者である。今後、各世帯で分担してきた道路脇の草刈り、消防団活動、共同墓地の手入れなどの共同作業の担い手が不足し、後継者不足で地域が成り立たなくなることは明らか。このような状況でも、強引に帰還を進めようとする政府は、帰還に応じない人への支援の打ち切りの恫喝も行っている。一方、福島県を始め多くの自治体が、政府の意を受けて、自主避難者支援の打ち切りを決定している。何れも、東電や政府の賠償負担や生活支援支出の軽減のためであり、責任回避のためである。人々の安全や生活の安寧を優先する考えはいささかもない。


(2017年1月4日 河北新報より)
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帰還困難区域:放射線量が非常に高いレベルにあることから、バリケードなど物理的な防護措置を実施し、避難を求めている区域。
居住制限区域:将来的に住民が帰還し、コミュニティを再建することを目指して、除染を計画的に実施するとともに、早期の復旧が不可欠な基盤施設の復旧を目指す区域。
避難指示解除準備区域:復旧・復興のための支援策を迅速に実施し、住民が帰還できるための環境整備を目指す区域。
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避難指示が解除された自治体の住民の帰還情況

帰還者
数(人)
帰還率
(%)
避難指示
解除の時期
田村市都路地区東部 231 72.4 2014年4月
川内村東部 62 19.9 2014年10月
2016年6月
楢葉町 737 10.0 2015年9月
葛尾村 102 7.6 2016年6月
南相馬市小高区など 1231 11.8 2016年7月

(葛尾村と南相馬市小高区は帰還困難区域を除く)
(2017年1月4日 河北新報より)

◆なお、20 mSv/y以下とされた地域でも、それ以上の箇所が存在する可能性は高い。とくに、汚染土壌、埃などの吸入による内部被曝の影響が危惧される。

(政府機関である放射線医学研究所などの調べであるから、放射線許容の立場であることに注意)

◆政府の避難解除にあたっての姿勢は、自然災害の場合と変わらず、住民は原発事故という電力会社、財界、政府が一体となって引き起こした人災によって避難を強いられているという視点はない。本来、原発を推進した政府や原子力ムラに、避難解除をうんぬんする資格はない。彼らは、事故の責任の重さを噛みしめ、誠意ある償いに専念すべきである。避難解除を決定するのは、あくまでも住民でなければならない。しかし、政府・与党は、住民の声を聴く前に、彼ら自身が出した避難区域解除案(本年3月末解除)を既定路線として新聞発表するなど、住民切り捨ての態度に終始している。

原発事故は、このような悲惨を産む。再び事故が起こる前に全廃しなければならない。

「自主」避難者への住宅無償提供の打切り=政府による「自主」避難者の切捨て

◆政府と福島県は、原発事故によって福島から逃れた「自主」避難者への住宅の無償提供を、3月末で打ち切る方針を決めている。4月以降、現在の住宅から立ち退きを求められたり、新たに多額の家賃の発生に見舞われるなど、言い知れぬ不安にさいなまれ、悲鳴を上げている。

◆いわゆる「自主」避難者は、避難指示区域でない区域から子供の被爆を避けるためなどの理由で避難した人々で、福島県内外の「自主」避難者は約1万2000世帯、約3万2000人に上る。「自主」避難者の大半の4月以降の住居が未定のままである。東電からの定期的な賠償を受けられない「自主」避難者にとって、住宅の無償提供は唯一の支援策・命綱であり、とくに母子避難者にとって、打切りは経済的な困窮に繋がり、子供の未来を断ち切る事態にもつながる。

原発事故での被曝を避けるための避難生活は、断じて「自己責任」ではない。避難者の生活を保障する責任があるのは原発を推進してきた政府であり、東電である。避難者の切り捨てを許してはならない。

◆なお、避難継続を希望する世帯を対象に、9道府県が財政負担などを伴う独自策で支援することを表明している。他の多くの自治体は、公営住宅を希望する自主避難者の入居要件緩和を求めた国の通知にならった支援内容にとどまっている。自主避難者の住宅支援は避難先の選択で格差が生まれることになる。

作って儲け、売って儲け、事故って儲け、お片付けで儲ける原子力関連産業・それを支える政府

除染、汚染水対策、廃炉作業でさえ食い物にする政府、原子力企業、ゼネコン

◆原発事故の終息に適用される技術は、特別の場合を除いて、検証されたものでなければならない。例えば、汚染水の漏洩防止には、コンクリートや鉄板などの壁の建設が最も確実と考えられる。しかし、政府(規制委を含む)や電力会社は、長大な「凍土壁」という今までに検証されたことのない技術を選んだ。これは、ゼネコンの将来技術開発費を助成するためであり、結果の成否は問わず、ゼネコンに暴利を与えるためである。この姿勢は、汚染水の除染や廃炉にあたって「研究開発的要素」を含む技術を優先的に採用するという政府の政策に貫かれている。すなわち、政府は、原発事故を利用して、企業に技術開発費を投下し、原発産業の基盤を支えるとともに、研究成果を宣伝することによって原発輸出に競争力を付けさせようとしているのである。政府は、早期の事故終息より企業の利益を優先させているといっても過言ではない。なお、凍土壁は期待された効果を上げていない。

◆ところで、福島第1原発の廃炉、賠償などの事故対策費用が、従来想定の11兆円から21兆5千億円に倍増することを経産省が公表した(昨年12月)。この膨大な費用は、原発が一度重大事故を起こせば、現代だけでなく、遠く未来にも大きな負担を残し、原発は経済的にも成り立たない装置であることを示している。ここで、原発の廃炉費は、原発を持つ電力会社がまかなうのが原則で、福島原発も例外ではないが、ここに示された金額はその域を大きく超え、東電や政府は新たな国民負担(電力料金への添加、税金の投入)を求めている。電力自由化で参入した「新電力」にも負担を求めている。一方、東電が避難区域になった福島県の市町村に支払った損害賠償額は、請求額のわずか6%であり(新聞挿絵図、参照)、復興の遅れにつながりかねないとの住民の不安の声が出ている。


(2017年3月9日京都新聞朝刊)

◆ちなみに、東電の昨年度の純利益は、電気料金の値上げなどによって事故前の2,009年や2,010年度より増加し、5千億円を超えている。東電は、多大な利益を上げながら、国(経産省)を通してさらに国民負担を求めている。

◆福島事故は、東電や政府を含む原子力ムラの、経済のためには人の安全・安心は犠牲にしてもかまわないとする考え方によって引き起こされた人災である。したがって、その代償は、原子力ムラとりわけ東電が支払うべきであり、国民の税金や電気料金値上げによって支払うものではない。国民に負担を求めるとするなら、東電があらゆる努力を行い、全てを擲(なげう)った後に、それでも犠牲者の救済ができない時だけである。しかし、東電は、同社自身は平然と存続し続けながら、さらなる政府支援を要請している。これも、人の尊厳を傷つける傲慢かつ破廉恥な電力会社の体質の現れである。

目先の経済的利益や便利さを、
人が人間らしく生きる権利や

事故の不安なく生きる権利と
引き換えにしてはなりません。

重大事故が起こってからでは遅すぎます。
原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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