◆前橋地裁判決 原発被害者訴訟原告団全国連絡会の声明

原発被害者訴訟・群馬判決についての声明

2017年3月17日

原発被害者訴訟原告団全国連絡会

【共同代表】早川篤雄 中島孝 鴨下祐也 村田弘 森松明希子 金本友孝

本日、前橋地方裁判所において、福島第一原子力発電所の事故による被害者の損害賠償請求訴訟について、判決が言い渡された。

この判決は、全国の裁判所で提起されている同種の集団訴訟のうち、最初の判決となるものであり、私達は強い関心をもって注視してきた。以下、本判決について私達が思うところを指摘し、今後の各地の裁判に期待するところを述べたい。

1 国の法的責任

国の国賠責任を認めたことは、極めて正当であり、高く評価したい。原発事故について国の法的責任が司法によって断罪されたことは、被害回復に必要な賠償が早期に実現することが、国の責任であることを意味する。

さらに、被害者の健康管理、健康被害へ医療保障や生活保障、住宅保障、社会的な誤解や偏見による差別、いじめ等の防止などの政策的対応が、国の責任として要求されていることを示している。これらの真摯な取り組みを強く求める。

特に、今月末を持って区域外避難者への無償の住宅提供を打ち切るという政策は、この事故による被害(避難行動)に、国に法的責任があると断罪された以上、到底許されるものではない。

2 東電の過失責任について

判決は、原賠法3条との関係で、民法709条の責任を否定した。しかし、実質的には東電の過失(責任)を認めており、これを損害評価の要素として重視したことは高く評価される。津波の予見可能性がありながら、その対応をせず、漫然と最悪の事態を招いたことは、無責任の極みである。このような悪質な事故を惹起した東電の責任は重大であって、被害回復のために十分な賠償が命じられるべきである。

3 損害の評価

慰謝料額(損害)の評価、認定については、押し並べて極めて低い水準のものと言わざるを得ず、裁判所の判断はまことに不十分である。

避難区域内の原告ですら、既払金を除いて、最高額が350万円、最低額は75万円の賠償であり、しかも棄却された原告が72名中53名という結果は、あまりにも冷酷なものと思う。浪江町の集団ADRにおける、一律月額5万円の上乗せ(従って6年間で360万円)というセンター提案が、東電が拒否したために成立に至らなかった事案を想起するとき、その内容はADRの水準にも及ばないことを意味していないか。

原賠審の中間指針の基準は、行政による早期・最低限の救済策に過ぎないことは、判決も認めているところであり、それにもかかわらず、本来あるべき損害の評価をせず、あるべき賠償水準を認めなかった判決は、司法の役割の放棄であるといわねばならない。

4 ふるさと喪失による精神的損害

判決は長文であり、配布された要旨には、損害に関する記載が省略されているため、ここでは論評できない。しかし、上記のとおり、認容水準が著しく低いことからすると、「ふるさとの喪失」に対する評価は十分なもとは考えにくい。

本件事故による放射能公害は、わが国の公害事件において前例のない事態であり、「ふるさとの喪失」という被害を生じさせた。すなわち、当該地域で生活してきた住民の、地域における人間的な交流をはじめ、様々な生活と生業を根こそぎ奪い、積み重ねてきた人生を破壊した。原発事故は、そのような取り返しの付かないものであることを、判決は十分に理解していないのではないかと懸念する。

5 区域外避難について

判決は、区域外避難者について避難区域内からの避難者と区別し、一層低い賠償しか認めなかった。このことは、判決が区域外避難について、その相当性や合理性を十分に認めていないのではないかと懸念させる。

しかし区域外の原告らは、五感によって関知できない放射線による健康への影響に不安を感じ、安全を確保するために、生活を犠牲にして避難した。想定される事態が重大で、取り返しがとかないものである場合、そのリスクが科学的に否定できない限り、予防原則に従って行動することは合理的な判断であって、法的に許容される必要がある。原告らの判断と行動は、一般人・通常人にとって合理的なものと認められ、この損害には相当因果関係が認められる。

避難元である元の居住地が避難区域内であろうと区域害であろうと、避難によって生じる精神的損害には違いがないはずである。元の自宅を離れて、避難先での著しい生活阻害、困難な生活を強いられる点で変わりはない。また、ふるさとでの生活を奪われたことによる「故郷喪失慰謝料」も、元の居住地・自宅に戻れない以上、同じ被害を被っているからである。

それにもかかわらず、これらを区別して、著しく低い損害評価をして、区域内からの避難者との間に差を設けたことは不合理というほかない。まさに被害者を分断するものであって容認できない。

以 上

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