◆再稼働を許さず、重大事故の不安のない社会を目指しましょう!

【2017年6月23日,京都キンカンで配付。今後、若狭でのアメーバデモで配布予定】

原発の再稼働を許さず、原発を全廃して、
重大事故の不安のない社会を目指しましょう!

◆原発が極めて事故率の高い装置であることは、過去40年間に稼働した世界の原発570余機の中の9機が大事故を起こしていること(5機は炉心溶融事故)からも明らかです。また、原発重大事故の悲惨さは、福島原発事故が大きな犠牲の上に教えています。

◆福島原発事故から 6 年と3ヶ月経ちましたが、避難された10 数万人の多くは今でも故郷を奪われたままです。長期の避難生活が健康をむしばみ、家族の絆を奪い、大きな精神的負担となっています。多くの方が、避難の苦痛で病死され、自ら命を絶たれました。癌の苦しみ、発癌の不安にさいなまれています。福島事故から4年経った一昨年から、自殺者が急増しています。原発事故でなければ、もう復興の目途が立っているはずですが、原発事故は、復興の希望も奪っているのです。

◆一方、事故炉内部の調査は、ミューオン(宇宙線の1種)を使った透視や各種のロボットの投入によって行われれていますが、高放射線のため、今でも溶け落ちた燃料の存在場所の全体像すら分っていません。また、事故原因も解明したとするには程遠い状態です。。汚染水対策の切り札と言われた凍土壁は、完全には凍らず、その効果を発揮していません。汚染土壌を詰めたフレコンバッグは、放射線分解と風化によってボロボロです。したがって、事故当日発令された「原子力緊急事態宣言」は今も解除されていません。それでも政府は、今年3月から年間空間放射線量が20ミリシーベルト(国際放射線防護委員会が勧告する平常時の管理基準年間1 ミリシーベルトの20倍でチェルノブイリの移住義務基準の4倍)以下になった地域の避難指示を解除し、避難者(子供を含む)の帰還を強要しています。

◆政府は昨年末に、事故を起こした福島原発の廃炉費、除染費、被害を受けた人々への賠償費などの事故対策費の総額は想定の11兆円を大幅に上回り、21兆5000億円に膨れ上がったと発表しました。ただし、この経費は、事故を起こした原子炉の内部も分からず、溶融核燃料がどこに、どの程度あるかも分からない現時点での試算ですから、額はさらに膨れ上がるともいわれています。原発は、事故や使用済み核燃料の保管を考え合わせれば、経済的にも成り立たないことは明らかです。

反原発・脱原発が民意です

◆上記のように、原発は人類の手に負える装置ではありません。一方、福島事故以降の経験から、原発は無くても不都合がないことを学びました。したがって、原発を運転する必要性は見出だせません。そのため、日本でも、脱原発、反原発は社会通念=民意 となっています。

◆本年2月の朝日新聞、3月の毎日新聞の世論調査でも、原発再稼働反対がそれぞれ57%、55%で、賛成のほぼ2倍でした。一昨年2月から11月に伊方町で実施された住民アンケートでは、伊方原発再稼働に反対が53.2%、賛成は26.6%でした。昨年12月には、高浜原発の地元・音海(おとみ)地区の自治会が老朽原発運転延長反対を決議されました。また、高浜原発のクレーン倒壊事故以降には、高浜原発全ての再稼働にも反対されています。若狭の他の地域でも、表には出ていないけれども、脱原発、反原発の声は多数あります。

世界も脱原発に向かっています

◆世界では、多くの国が福島原発事故を当事国日本より深刻に受け止めています。また、安全対策などで原発の建設費や維持費が高騰したこと、自然エネルギーやシェールガスによる発電が進み、発電法、蓄電法が高効率化したこと、節電の機運が醸成されたことがあいまって、脱原発に舵を切る国が増え続けています。

◆イタリア、ドイツ、リトアニア、ベトナム、台湾が脱原発に向かい、最近では、スイスが国民投票で原発新設を禁止しました。また、韓国でも、設計寿命(30年)を10年超えた古里原発1号機の永久停止を決定しました。文在寅(ムンジェイン)新大統領は「新規の原発建設計画は全面的に白紙撤回する」と脱原発を宣言しました。アメリカでも、安全対策に膨大な経費が掛かり、シェールガス発電などに比べても経済的に成り立たないとして、原発からの撤退が相次いでいます。

◆今、原発を推進しているのは、電力需要が急増している中国などの新興国と、人の命と尊厳は犠牲にしても、経済的利益を優先させようとする日本やフランスです。日本は、原発輸出を成長戦略の一つに挙げていますが、この戦略が破綻していることは、東芝破綻の例を挙げるまでもなく、明らかです。

若狭の原発は老朽原発です:
原発の危険度は運転年数とともに急増します

◆原発は本来事故の確率が大きい装置ですが、老朽化すると、重大事故の確率が急増します。したがって、韓国の古里原発1号機(40年越え)が永久停止され、若狭でも、2015年に、当時45年あるいは43年越えであった敦賀1号機、美浜1号機、2号機の廃炉が決定されています。

◆しかし、昨年、原子力規制委員会(規制委)は、関電、政府の意を受けて、運転期間を原則40年に制限する制度・「40年原則」を無視して高浜原発1号機(43年越え)、2号機(42年越え)、美浜3号機(41年越え)の20年間運転延長を適当としました。これは、「2030年の電源構成で、原発比率を20~22%とする」という、安倍政権のエネルギー政策に迎合し、政治や経済のためには、安全・安心を犠牲にしても原発を運転しようとするものです。原発新設は望めないから、安全はないがしろにしても、老朽原発を活用して目標を達成しようとしているのです。

◆若狭のその他の原発、高浜3号機(32年越え)、4号機(32年越え)、大飯1号機(38年越え)、2号機(38年越え)、3号機(26年越え)、4号機(24年越え)の老朽化も進んでいます。

◆老朽原発の危険度が急増すると考える多くの理由のうちの2例を以下に述べます。

①原発の圧力容器、配管等は長期にわたって高温、高圧、高放射線にさらされているため、脆化(ぜいか:金属などが軟らかさを失い、硬く、もろくなること)、腐食(とくに、溶接部)が進んでいます。中でも、交換することが出来ない圧力容器の脆化は深刻です(下記【注】をご参照下さい)。電気配線の老朽化も問題です。

②老朽原発には、建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当と考えられる部分が多数あります。しかし、全てが見直され、改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物、配管の中で交換不可能なもの(圧力容器など)です。

【注】老朽原発圧力容器の脆性破壊
金属は、ある程度の軟らかさを持っていますが、高温で中性子などの放射線にさらされると、硬化しやすくなり、脆(もろ)くなります。脆くなると、ガラスのように、高温から急冷したとき破壊されます。原子炉本体である圧力容器は鋼鉄で出来ていて、運転中は、約320℃、約150気圧の環境で放射線にさらされています。この鋼鉄が脆くなる温度は、、運転時間と共に上昇します。例えば、初期には‐16℃で脆くなった鋼鉄も、40年間炉内に置くと100℃以上で硬化するようになり、脆くなります。したがって、老朽原子炉が、緊急事態に陥ったとき、冷却水で急冷すると、圧力容器が破裂する危険があります。

MOX燃料・プルサーマル炉はさらに危険です

◆高浜原発3、4号機は、元々ウラン酸化物を燃料とする軽水炉ですが、現在は、燃料の一部をウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料で置き換えて(プルサーマル化して)運転しています。関電は、大飯原発3、4号機のプルサーマル化も画策しています。一部燃料のMOX化には技術的な課題が山積です。それでも、規制委は「厳しい新規制基準の下では、MOX燃料かどうかは議論にならない」として新規制基準適合審査では、ウラン炉心のみを解析対象とし、MOX使用については何の評価もしていません。プルサーマル炉が重大事故を起こしやすいと考える理由の例を以下に述べます。

①燃料被覆管が破損しやすい。例えば、酸素と結合し難い白金族元素が生成しやすく、余剰酸素が被覆管を腐食する。また、核分裂生成物ガスとヘリウムの放出が多く、燃料棒内の圧力が高くなり、被覆管を破損させる。

②ウラン燃料と比べて燃焼中に核燃料の高次化(ウランより重い元素が生成する)が進み、中性子を吸収しやすいアメリシウム等が生成されやすくなる。核燃料の高次化が進むと、原子炉の運転や停止を行う制御棒やホウ酸の効きが低下する。

使用済みになったMOX燃料の発熱量は、ウラン燃料に比べて下がり難いため、長期にわたってプール内で水冷保管しなければ(使用済みウラン燃料の4倍以上)、空冷保管が可能な状態にならない。

④MOX燃料にするためには、使用済み燃料再処理が必須であるが、再処理を行うと、使用済み燃料をそのまま保管する場合に比べて、事故、廃棄物、など全ての点で危険度と経費が膨大に増える。なお、再処理工場は稼働の見通しもない。

無防備で、脆弱(ぜいじゃく)な使用済み燃料プールは
もうすぐ満杯です

◆原発を運転すると、

①核分裂を起こすウランやプルトニウムが減少し、中性子発生数が減少して、核分裂反応が進みにくくなります。また、
②核燃料の中に運転に不都合な(中性子を吸収し、原発運転を困難にする)各種の核分裂生成物(死の灰)や超プルトニウム元素(プルトニウムより重い元素;アメリシウムなど)が生成します。さらに、
③核燃料を閉じ込めておく燃料被覆管の腐食(核分裂によって、余剰となった酸素と被覆管の反応、放射線による腐食など)やひずみが発生します。

したがって、核燃料は永久に使用することは出来ず、一定期間燃焼させると、ウランやプルトニウムを使い切っていないにもかかわらず、新燃料と交換せざるを得なくなります。そのため、使用済み核燃料がたまります。

◆現在、日本には使用済み核燃料が17,000 トン以上たまり、原発の燃料プールや再処理工場の保管場所を合計した貯蔵容量の73%(2016年)が埋まっています。原発が順次再稼働した場合、数年後には満杯になります。

◆福井県にある原発13基が持つ使用済み核燃料貯蔵施設の容量は5,290トンですが、その7割以上が埋まっています。関電の原発内の保管プールの貯蔵割合は、4月末で、大飯と高浜が約71%、美浜が63%に達しています。関電の廃炉が決まっていない原発の全て(9基)が運転されれば、7年程度で貯蔵限度を超え、原発の稼働は出来なくなります。

◆使用済み核燃料貯蔵プールは、原子炉本体の上部あるいは横に設置されていて、燃料集合体はプール内に臨界に達しないように(核分裂連鎖反応を起こさないように)間隔をあけて置かれ、水がはられ(例えば、燃料集合体の上部から7 mの水深)、循環していて、燃料を冷却しています。水は、放射線の遮蔽材の役目も果たします。

使用済み核燃料貯蔵プールは、同じく核燃料の容器である圧力容器(原子炉本体)と比べて、無防備と言っても過言でないほど脆弱です。深さ10 m近くのプールが地震などで破壊され、一気に水が抜ければお手上げです。プールに入っている燃料が、原子炉から引き抜いて2~3年以内のものであれば、冷却水喪失で燃料溶融に至ります。一方、燃料集合体間の間隔を隔てているラックが倒壊あるいは崩壊すれば、局所的な温度上昇による水の蒸発(→冷却機能の喪失)や核燃料の再臨界(核分裂連鎖反応の再発)の可能性があります。再臨界に達すれば、急な温度上昇による巨大な水蒸気爆発、水素爆発が起こり、冷却材が供給されない状況下では火災となり、揮発しやすい成分(セシウム137など)が世界を汚染させます。地震によって、巨大プールの水に周期の長い揺れ(波)が発生し、それが共振して拡大すれば、プールの倒壊も危惧されます。

原発を再稼働させれば、新しい使用済み燃料が増え、
使用済み核燃料プールの危険度が急増します

◆福島原発以降、多くの原発が停止しています。したがって、燃料プールにある核燃料の放射線量や発熱量は、かなり減少しています。中には、もう少し冷却すれば、乾式(空冷)保管が出来るようになるものもあります。そうなれば、使用済み核燃料の保管は格段に容易になります(それでも、使用済み核燃料の長期安全保管は至難です)。しかし、原発を再稼働させれば、旧(もと)の木阿弥(もくあみ)で、放射線量と発熱量が多い使用済み核燃料が増え、危険度は急増します。

原子力機構、傲慢(ごうまん)、杜撰(ずさん)な
「原子力ムラ」体質を露呈

◆高浜原発3号機が再稼働された6月6日、茨城県の日本原子力研究開発機構(原子力機構)大洗研究所で、ウラン(U)やプルトニウム(Pu)の酸化物粉末(U・Pu粉末と略記)による汚染事故が発生した。U・Pu粉末は、ビニール袋に密閉されてステンレス製円筒容器に保管されていたが、容器を空けた途端に、ビニール袋が破裂して、U・Pu粉末が飛び散り、作業していた5人が被曝したという。最悪の内部被曝で、発癌のリスクが高く、被曝された方には大変お気の毒な事態である。

杜撰なプルトニウム管理と取扱い、知識不足の原子力機構、隠ぺい体質の「原子力ムラ」

◆問題のU・Pu粉末は1991年に封入されたが、内部の点検は26年間されていなかった。同じものが入った保管容器は20個残っているという。今回開封した容器に保管されていたU・Pu粉末の量は、合計300 gとされる。尋常な量ではない。

◆このU・Pu粉末入り容器をフード(ドラフト)内で開封したと発表された。フードは、内部の空気をフィルターを通して吸い出す換気装置を備えた箱状(大型冷蔵庫大)の実験台で、学校の化学実験室などで見かけるものと類似している。前面の窓は、作業時にはある程度解放されている。したがって、U・Pu粉末の密閉が何らかの手違いで破壊されれば、U・Pu粉末はフード外にも飛散する。本来、極めて危険なPuはグローブボックスと言われる完全密閉の手袋のついた箱内で扱わなければならない。しかも、今回のPuの量はフードでの取り扱いが許されている量に比べて、けた違いに多い。

◆今回の事故の原因について原子力機構は「同様な事故はなく、想定外」と説明しました。Pu-239は、アルファ粒子(ヘリウムの原子核:放出されれば、ヘリウムガスになる)を放射します。したがって、多量のPuを長期保管していれば、ヘリウムが蓄積し、これにビニールなどの放射線分解によるガスが加われば、密閉容器の内圧が上昇することは、プルトニウム取扱い経験者なら常識です。上記の説明は、原子力機構がこのような常識すら忘れ去っていることを示しています。なお、原子力機構は、22日になって、放射性物質の粉末を固定するためにエポキシ樹脂を用いていたことを明らかにし(本チラシの著者注:Puを吸入して内部被曝しているので、粉末が完全に固定されていたとは考えられない)、「この樹脂が放射線分解されてガスを出す可能性は否定できない」と発表した。

◆原子力機構の事故やトラブル、その隠蔽は枚挙のいとまがありません。日本最大の研究機関・原子力機構のような巨大組織にも、知識不足、安全軽視の傲慢体質が蔓延(まんえん)しているのです。原子力を安全に利用できる筈がありません。

◆なお、6日の原子力機構の発表(同日のテレビや翌日の朝刊の報道)には、「作業者5人に核物質付着」、「体調に異常がない」、「鼻腔内から最大24ベクレルの放射性物質」、「この程度なら健康に影響はない」、「外部への影響はない」 など、事故を過小評価する言辞が目立ちます。さらに、その後、被曝者の搬送先・放射線医学総合研究所は、あたかもPuの内部被曝は無かったような発表をしています。Puと共存するアメリシウムが検出されていますから、Puも吸収されたと考えるのが当然ですが、知識不足あるいは隠蔽のためです。19日には、被曝者の尿からPuが検出されたことを「微量である」というコメント付きで発表し、Puの内部被曝を認めましたが、尿に出てくるほどの被曝は相当深刻です。

◆事故を深刻に受け止める姿勢を欠いた「原子力ムラ」体質が、福島事故を拡大したことへの反省が全く感じられません。

◆この事故と、1昨年再稼働した川内原発1号機での復水器冷却細管破損、昨年の高浜原発4号機での1次冷却系での水漏れ、発電機と送電設備の接続不具合による原子炉が緊急停止、伊方原発3号機での1次冷却水系ポンプでの水漏れなどの事故、関電の関連企業が、昨年、運搬中の鉄塔工事用の資材1トン近くをヘリコプターから落下させた2度の事故、今年1月の高浜原発でのクレーン倒壊事故などを考え合わせるとき、

「原子力ムラ」に原発を安全運転する能力、資格、体質が
無いことは明らかです。
重大事故が起ってからでは遅すぎます。
原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!

2017年6月22日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆原子力機構で過去最大の内部被曝

【2017年6月9日,京都キンカンで配付。】

極めて杜撰(ずさん)なプルトニウムの取り扱い
原子力機構で過去最大の内部被曝

◆高浜原発3号機が再稼働された6月6日の11時過ぎ、茨城県大洗町の日本原子力研究開発機構(原子力機構:JAEA)大洗研究研究所開発センターにある燃料研究棟(高速炉などの燃料を研究開発する建屋)では、ウランやプルトニウムの酸化物粉末(以下、U・Pu粉末と略記)による汚染事故が発生していた。このU・Pu粉末は、ビニール袋に密閉されてステンレス製円筒容器(手のひら大)に保管されていたが、容器を空けた途端に、ビニール袋が破裂して、U・Pu粉末が飛び散り、作業していた5人(原子力機構職員2人、協力企業職員3人)が被曝したという。

◆5人のうち4人については、肺からもプルトニウムやアメリシウムが検出される内部被曝であった。4人の肺に吸入されたプルトニウム239の測定値は、22,000、14,000、6,000、5,600ベクレルとされ、残る1人も内部被曝の可能性があるという。22,000ベクレルの被曝者は、肺以外の部位を含めると36万ベクレルの内部被曝をしたと推定されている。国内では、前例のない最悪の内部被曝と報道されている。発癌のリスクが高く、被曝された方には大変お気の毒な事態である。

杜撰なプルトニウム管理と取扱い

◆問題のU・Pu粉末は1991年に封入され、年に1回程度は容器の外観を検査していたが、内部は26年間一度も点検していなかった。同じものが入った保管容器は20個残っているという。今回開封した容器に保管されていたU・Pu粉末の量は、合計300 gとされるがウラン、プルトニウムの割合は明らかでない。仮にプルトニウムが2割程度であったとしても尋常な量ではない。

◆一方、U・Pu粉末入り容器をフード(ドラフト)内で開封したと発表された。フードは、内部の空気をフィルターを通して吸い出す換気装置を備えた箱状(大型冷蔵庫大)の実験台で、学校の化学実験室などで見かけるものと類似している。前面には開閉できる窓はあるが、作業時にはある程度解放されている。したがって、U・Pu粉末の密閉が何らかの手違いで破壊されれば、U・Pu粉末はフード外にも飛散する。本来、極めて危険なプルトニウムはグローブボックスと言われる完全密閉の手袋のついた箱内(内部の圧力は外部より低くしてある)で扱わなければならない。

◆今回の場合、ビニール袋に密閉されているから大丈夫と安易に考えて、フード内で取り扱ったものと考えられるが、放射線によるビニールの劣化やガス発生(後述参照)は、プルトニウム扱い経験者なら当然予測できることであるから、原子力機構は慎重さに欠け、安全軽視に慣れ切った組織と非難されても当然であろう。しかも、プルトニウムの量がフードでの取り扱いが許されている量に比べて、けた違いに多い。作業者は、防護服を着用し、ゴム手袋の上に綿手袋をかぶせ、半面マスクで顔を覆っていたとされるが、装備(とくにマスク)にも不備があったと考えられる。

知識不足の原子力機構

◆今回の事故の原因について原子力機構は「同様な事故はなく、想定外」と説明している。プルトニウム239は、アルファ粒子(ヘリウムの原子核:放出されれば、ヘリウムガスになる)を放射する。したがって、多量のプルトニウムを長期保管していれば、ヘリウムの蓄積によって密閉容器の内圧が上昇することは、プルトニウム取扱い経験者なら常識である。上記の説明は、原子力機構(少なくとも記者会見に関わった職員)がこのような常識すら持ち合わせていないことを示している。

◆原子力機構は、1956年に発足した日本原子力研究所(原研)と原子燃料公社(原燃)が2005年に統合されて設立された国内最大の研究開発機関(国立研究開発法人)であり、2015年現在の常勤職員数は3683人で、1954億円の予算を有している。前身である原研は統合までその名称を維持したが、原燃は事あるごとに名称を変更し、1967年に動力炉・核燃料開発事業団(動燃)、所管の「もんじゅ」がナトリウム漏れ事故を起こした翌年の1998年には核燃料サイクル機構と改称している。原子力機構の原燃系部署の事故やトラブル、その隠蔽は枚挙のいとまがない。原子力機構のような巨大組織にも、知識不足、安全軽視の傲慢体質が蔓延(まんえん)している。原子力を安全に利用できる筈がない。

プルトニウムの内部被曝は深刻、排出薬剤の効果は疑問

◆先述のようにプルトニウム239は、アルファ粒子を放射する。この、アルファ粒子は空気の中を 4 cm 程度しか飛ぶことが出来ず、紙一枚で遮蔽できる。ガンマ線は、数m飛ぶので、遠くからでもガンマ線を出す物質の存在を知ることが出来るが、プルトニウムは4 cm程度以内に近寄らなければ検出できない。このことは、プルトニウムが体内に取り込まれたとき(内部被曝)、アルファ粒子が持つエネルギーの全てが体内で失われ、DNAなど体内の物質が破壊される(その結果、例えば、癌化する)ことを意味する。

◆プルトニウム239からのアルファ線が持つエネルギーは5.16 MeV(ミリオンエレクトロンボルト;100万電子ボルト)あるいは5.46 MeVであり、体内で物質を結合させている化学エネルギー[数eV(エレクトロンボルト;電子ボルト)以下]に比べて100万倍以上であり、原理的には、1個のアルファ粒子の放出で100万個以上の生体物質が損傷することになる(実際にはそんなに効率は高くない)。今回の内部被曝36万ベクレルとは、1秒間に36万個のアルファ粒子が放出されることを示す。

◆一方、プルトニウムは、体内に取り込まれたら、そのすべてを排出させることは難しい。体内での滞留の仕方は体の部位によって異なるが、長く滞留する部位では、生体半減期(取り込まれた物質の半分が排出されるまでの期間)が50~200年と言われている。なお、プルトニウム239自身がアルファ粒子を放出して、その半分がウラン235に変化する期間(半減期)は約24,100年である。

◆内部被曝で取り込まれたプルトニウムの対外への排出は、キレート剤(プルトニウムのような金属と結合し易い薬剤)によって促されると言われているが、効果は未知数であり、完全な排出は期待できない。とくに、難溶性のプルトニウム酸化物が肺胞などに沈着した場合、その排出は難しい。また、キレート剤は、体内の有用元素(プルトニウムとは異なる元素)と結合し、薬害(副作用)をもたらす可能性もある。

初期の発表には事故を過小評価する姿勢

◆6日の原子力機構の発表(同日のテレビや翌日の朝刊の報道)には、「作業者5人に核物質付着」、「体調に異常がない」、「鼻腔内から最大24ベクレルの放射性物質」、「この程度なら健康に影響はない」、「外部への影響はない」など、事故を過小評価する言辞が目立つ。事故を深刻に受け止める姿勢が欠如した「原子力ムラ」体質が、福島原発事故を拡大したことへの反省が感じられない。

報 告

「6.6 高浜原発うごかすな!現地集会」と関連新聞記事

◆5月17日の関電高浜原発4号機の再稼動に続いて、3号機の再稼働が、6月6日、多くの反対の民意を踏みにじって強行された。

◆「若狭の原発を考える会」は、現地緊急行動を呼びかけ、5日には高浜町でアメーバデモを展開し、6日早朝には出勤してくる町役場職員へのチラシ配布の後、高浜原発周辺や舞鶴東部の集落の各戸にもチラシ配布を行った。

◆6日正午には、高浜原発奥の展望所に、福井、近畿各地、東京、福島、愛媛、徳島など全国の原発再稼働を憂う市民が、続々とマイクロバスやマイカーで結集した。展望所からは、美しい若狭湾にはそぐわない高浜原発が一望できる。

◆緊急抗議行動の参加者120人は、午後1時 から高浜原発北ゲート前まで力強くデモ行進し、怒りのシュプレヒコールをたたきつけた後、関電への申しれを行った。その後も若い仲間の力強いコールなど、果敢な抗議行動は続けられた。

takahamaugokasuna

◆午後2時、3号機再稼働のスイッチが押されたという知らせが伝えられると、高浜原発に向けての怒りの声は一段と大きくなった。怒りの歌も始められる。今、同時刻に沖縄辺野古で闘う仲間を思い、『座り込めここへ』も歌われた。伊方原発地元の闘い、通産省前座り込み、地元・高浜町の闘う仲間、滋賀の市民運動、前々日の京丹後Xバンドレーダー基地反対集会に参加のため訪日されたサードミサイル配備反対を闘う韓国の市会議員、福島の闘う女性などの連帯の挨拶が続いた。

◆最後に、「原発全廃まで闘い続けよう」との締めのあいさつの後、関電本店や安倍政権まで届けとばかりの力いっぱいのシュプレヒコールを全参加者で唱和し、3時過ぎに解散した。

◆2017年6月7日 京都新聞朝刊(↓)

2017-06-07

2017年6月8日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆原発賠償京都訴訟、街頭での署名訴え

5月26日で原告本人尋問の傍聴も終わり、残る傍聴行動は8月18日の第30回期日と9月29日の結審を残すのみとなりました。弁護団は最終準備書面や最終弁論の準備に入っています。

いま原告と支援者にできることは、この裁判が社会的に注目されていることを裁判所に示すため、公正判決要請署名を広げることです。裁判所に提出した署名数は累計11,919筆となりました。来る9月29日の結審の際には、累計で2万筆を超えるよう約1万筆の署名を積み上げたいと考えています。

原告団・弁護団・支援する会の合同事務局会議では、署名を拡大するために労組や各種団体への協力要請行動や街頭署名行動に取り組むことを決めました。前者については事務局で要請に行く労組・団体をリストアップしているところです。後者の街頭署名行動については、当面の日程を以下のとおり決めました。一緒に署名集めをしていただける方は、直接現地に集合してください。

6月10日(土)10時半~12時 阪急西院駅前
*この日は、14時から近くのラボール京都(第1会議室)で「原発事故から6年 原発再稼働で市民の命と生活は守れるか?」(主催:小山田春樹と京都市民ネットワーク)があり、フリーライターの守田敏也さんが「原発事故取材最前線」と題してお話されます。また、原告団共同代表の福島さんのお話もあります。

6月25日(日)12時~13時 しんらん交流館前
*この日は、13時半からしんらん交流館(大谷ホール)で大飯原発差止訴訟の第5回原告団総会があります。

7月1日(土)10時半~12時 伏見大手筋商店街(京阪伏見桃山駅付近)
*この日は、13時半から龍谷大学深草キャンパスで「原発事故による健康被害、保養の意義について」(主催:避難者こども健康相談会きょうと)があり、菅谷昭・松本市長が「原発事故に伴う健康への影響、対策について~チェルノブイリ医療に携わって~(仮題)」と題して講演されます。

8月18日(金)14時~15時 四条河原町マルイ前
*この日は、午前中に第18回期日があり、報告集会のあと、各自で昼食をとり、マルイ前に集合して街頭署名行動を行ないます。マルイ前では過去2回行なっていますが、今回は英文の署名もあるので、外国人観光客にも署名をお願いすることが可能です。

署名をお願いする新しいチラシもできました。いつものとおり裏が署名用紙になっています。添付しますので、プリントアウトしてお使いください。

◆使用済み核燃料は超長期に危険

【2017年6月2日,京都キンカンで配付。】

人類史より長い未来にまで危険と不安を残す
使用済み核燃料を増やしてはなりません!

高浜原発の再稼働を許さず、原発を全廃して、
重大事故の不安のない社会を目指しましょう!

◆原発を運転すると、次のような原発運転に不都合な事態が生じます。

・核分裂を起こすウランやプルトニウムが減少し、中性子発生数が減少して、核分裂反応が進みにくくなります。

・核燃料の中に運転に不都合な(中性子を吸収し、原発運転を困難にする)各種の核分裂生成物(死の灰)や超プルトニウム元素(プルトニウムより重い元素;アメリシウムなど)が生成します(注1参照)。

・核燃料を閉じ込めておく燃料被覆管の腐食(核分裂によって、余剰となった酸素と被覆管の反応、放射線による腐食など)やひずみが発生します。

◆したがって、核燃料は永久に使用することは出来ず、一定期間燃焼させると、ウランやプルトニウムを使い切っていないにもかかわらず、新燃料と交換せざるを得なくなります。そのため、使用済み核燃料がたまります。

◆現在、日本には使用済み核燃料が17,000 トン以上たまり、原発の燃料プールや青森県六ケ所村の再処理工場の保管場所を合計した貯蔵容量の73%(2016年)が埋まっています。原発が順次再稼働した場合、数年後には満杯になります。

◆国の計画では、全国の使用済み核燃料は六ケ所村に移送し、再処理して、ウラン、プルトニウムを取り出し、再利用することになっていました。しかし、再処理工場の建設はトラブル続きで、すでに2兆2千億円をつぎ込んだにもかかわらず、完成の目途(めど)は立っていません。危険極まりないこの工場の運転は不可能とも言われています。再処理工場にある容量3,000トンの使用済み燃料一時保管場所の98%はすでに埋まっています。

【注1】 使用済み核燃料の組成

使用前のウラン燃料(3% 濃縮ウラン燃料) 1 t 中には、ウラン238が 970 kg、ウラン235が 30 kg 含まれますが、燃焼後、交換が必要になった時点では、ウラン238が 950 kg、ウラン235が 10 kg に減少し、プルトニウムが 10 kg、核分裂生成物生成物が 30 kg が生成しています。

使用済み核燃料の行き場はない

現在科学技術で核燃料再処理は不可能

◆使用済み核燃料は、原子炉から取り出し、原子炉に付置された燃料プールで一定期間(3~5年)冷却して、放射線量と発熱量が空冷保管できるまで減少した後、特殊な容器(キャスク)に入れて保管します。

◆使用済み核燃料の処理・処分には2つの方向があります。

◆一つは、使用済み核燃料を溶解し、核燃料として再利用できるウランやプルトニウムを分離回収して、プルサーマル炉や高速増殖炉で燃料として利用しようとする(核兵器にも利用できる)、いわゆる再処理です。日本はこの方向ですが、後述のように、危険極まりない再処理工場の稼働は遅れに遅れています。

◆他の一つは、使用済核燃料を再処理せず、燃料集合体をそのままキャスクに入れて、地中の施設に保管する「直接処分(ワンスルー方式)」です。「直接処分」の方が安全で、放射性廃棄物量も少ないと考えられ、アメリカはその方向ですが、10万年以上の保管を要し、これにも多くの問題があります。

◆再処理にあたっては、使用済み核燃料を再処理工場サイトにある貯蔵施設に運びます(日本では、青森県六ケ所村)。再処理工程では、燃料棒を切断して、鞘(さや)から使用済み燃料を取り出し、高温の高濃度硝酸で溶解します。溶解までの過程で、気体の放射性物質(希ガスなど)が放出されます。白金に類似した物質は溶け残ります。溶解したウラン、プルトニウム、核分裂生成物(死の灰)などを含む高濃度硝酸溶液中のウラン、プルトニウムは、これらの元素と結合しやすい試薬を含む有機溶媒を用いて取り出し(溶媒抽出)、さらに精製して核燃料の原料とします。この過程で、硝酸の分解ガスが発生し、爆発したこともあります。また、死の灰などの不要物質が、長期保管を要する高レベル(高放射線)廃棄物として大量に発生します。その処理処分法は提案されてはいますが、問題山積です。保管を受け入れる場所もありません。

◆使用済核燃料は高放射線ですから、再処理工程の多くは、流れ系を採用し、遠隔自動操作で運転されます。そのため、再処理工場には、約10,000基の主要機器があり、配管の長さは約1,300 km にも及びます(うち、ウラン、プルトニウム、死の灰が含まれる部分は約60 km:継ぎ目の数は約26,000箇所)。高放射線に曝(さら)され、高温の高濃度硝酸を含む溶解槽や配管(とくに継ぎ目)の腐蝕、減肉(厚さが減ること:溶解槽で顕著)、金属疲労などは避け得ず、安全運転できる筈がありません。長い配管を持つプラントが、地震に弱いことは容易にうなづけます。再処理工場は完成からは程遠い状態にあります。

再稼働が続けば、若狭の原発の燃料プールも7年で満杯

◆上記のように、再処理は不可能に近い状態ですから、使用済み核燃料は蓄積の一方です。若狭にある原発13基が持つ使用済み核燃料貯蔵施設の容量は5,290トンですが、その7割以上が埋まっています。関電の原発内の保管プールの貯蔵割合は、4月末で、大飯と高浜が約71%、美浜が63%に達しています。新規制基準審査未申請の2機を含めた関電の原発9基が運転されれば、年間約370体の使用済み燃料が発生しますから、7年程度で貯蔵限度を超え、原発の稼働は出来なくなります。

高浜原発3号機再稼働を許すな!6日(火) 高浜原発現地集会に総結集しよう!

・12時;高浜原発先の展望所に集合、
・13時;高浜原発北ゲートに向かってデモ、
・13時30分;関電への申入れ、
・17時30分頃まで抗議行動

京都(9時:JR京都駅南バスプール)、大津(9時;JR大津駅・逢坂支所前、9時10分;JR大津京駅前)よりバスを配車の予定。
・バスを利用して、ご参加下さる方は、早めに、090-5676-7068橋田(京都発)、080-5713-8629稲村(大津発)までお申し込みください。

無防備で脆弱(ぜいじゃく)な使用済み燃料プール

◆一般的に、使用済み核燃料貯蔵プールは、沸騰水型(BWR)原子炉では原子炉本体の上部に、加圧水型(PWR)では原子炉本体の横に設置されていて、被曝をせずに使用済み燃料を圧力容器からプールに移送できるようになっています。このプールには、燃料集合体が臨界に達しないように(核分裂連鎖反応を起こさないように)間隔をあけて置かれ、水がはられ(例えば、燃料集合体の上部から7 mの水深)、循環していて、燃料を冷却しています。水は、放射線の遮蔽材の役目も果たします。このプール内には最大で、10炉心分の燃料が保管されています。

◆使用済み核燃料貯蔵プールは、同じく核燃料の容器である圧力容器(原子炉本体)と比べて、無防備と言っても過言でないほど脆弱です。深さ10 m近くのプールが地震などで破壊され、一気に水が抜ければ、お手上げです。このように、冷却水を喪失し、メルトダウンする危険性が高いことは、福島第1原発事故で、4号機の燃料プールから冷却水が漏れ、核燃料溶融の危機にあった事実からでも明らかです。プールに入っている燃料が、原子炉から引き抜いて、かなりの年数(例えば、3~5年)が経ったものであれば、放射線量、発熱量もある程度は減少していますから、燃料溶融(メルトダウン)に至るまで少々はゆとりがありますが、もし、取り出して間もない燃料が露出することになれば、燃料溶融に至ります。

◆一方、燃料集合体間の間隔を隔てているラックが倒壊あるいは崩壊すれば、局所的な温度上昇による水の蒸発(→冷却機能の喪失)や核燃料の再臨界(核分裂連鎖反応の再発)の可能性があります。再臨界に達すれば、急な温度上昇による巨大な水蒸気爆発、水素爆発が起こり、冷却材が供給されない状況下では火災となり、揮発しやすい成分(例えば、セシウム137)が世界中を汚染させます。地震によって、巨大プールの水に周期の長い揺れ(波)が発生し、それが共振して拡大すれば、波の力によるプールの倒壊も危惧されます。

原発を再稼働させれば、新しい使用済み燃料が増え、
使用済み核燃料プールの危険度が急増する

◆福島原発以降、多くの原発が停止しています。したがって、燃料プールにある核燃料の放射線量や発熱量は、かなり減少しています。中には、もう少し冷却すれば、乾式(空冷)保管が出来るようになるものもあります。そうなれば、使用済み核燃料の保管は格段に容易になります(それでも、使用済み核燃料の長期安全保管は至難です)。しかし、原発を再稼働させれば、旧(もと)の木阿弥(もくあみ)で、放射線量と発熱量が多い使用済み核燃料が増え、危険度は急増します。再稼働を阻止し、原発を全廃し、重大事故の不安のない社会をつくりましょう!

安易に乾式中間貯蔵所を作り、燃料プールを空けて、
原発の運転を継続する企(たくら)みは許されない

◆上述のように、原子炉から取り出して間もない使用済み核燃料の保管は、極めて危険です。したがって、原発を運転して、使用済み核燃料を生じさせてはなりません、一刻も早く全原発の廃炉を決意し、使用済み燃料を危険度の低い乾式貯蔵が可能な状態にしなければなりません。また、数万年もの長期間にわたって使用済み核燃料を、安全に乾式貯蔵する技術と体制を整えなければなりません。

◆今、使用済み燃料プールが満杯に近付いています。満杯になれば、原発の運転は不可能になります。そこで、原発敷地内に中間貯蔵所を設けて、そこに使用済み燃料プールから燃料を移し、空いたプールにさらに使用済み燃料を貯蔵できるようにして、原発を運転し続けようとする企みがあります。この企みが拡大すると、際限なく使用済み核燃料が増え、原発敷地内は使用済み核燃料で溢れ、原発の危険度は急増します。

◆なお、中間貯蔵を原発敷地内で行うことを認めれば、使用済み燃料を引き受けてくれる場所のない現状では、原発立地が長期保管地になりかねません。使用済み燃料の保管は、例え膨大な費用を要しても、現存する最高の技術と英知を結集した施設で行わなければなりません。そのような施設の建設を、人の命や尊厳より経済的利益を優先する電力会社に期待することはできません。

プルサーマル炉は発熱量が下がり難い使用済み核燃料を生む

◆高浜原発3、4号機のようなプルサーマル炉は、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX)を燃料としていますが、核分裂によってMOX燃料から生じる元素は、ウラン燃料から生じるものとは異なり、使用済み核燃料になったとき、放射線量や発熱量の減少速度も異なります。使用済みMOX燃料の発熱量は下がり難いため、長期にわたってプール内で水冷保管しなければ(使用済みウラン燃料の4倍以上)、空冷保管が可能な状態にはなりません。取り出し後50年~300年の使用済みMOX燃料の発熱量は、使用済みウラン燃料の発熱量の3~5倍です。また、使用済みMOX燃料の発熱量を、50年後の使用済みウラン燃料の発熱量レベルに下げるには300年以上を要します。MOX燃料は、その意味でも、極めて厄介な核燃料です。

最近の経験は、原発はなくても電気は足りることを実証しました。重大事故を起こしかねず、危険極まりない使用済み燃料を生む原発を動かす必要はありません。

原発の稼働は、電力会社の金儲けのためです。

原発事故は自然災害とは異なります。自然災害を止めることはできませんが、原発事故は止められます。原発は人が動かしているのですから、人が原発全廃を決意すれば良いのです。

原子力防災とは、避難計画ではありません。不可能な避難を考えるより、事故の原因である原発を廃止することが原子力防災です。原発全廃こそ原子力防災です。

重大事故が起こってからでは遅すぎます。原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!

2017年6月1日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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