◆「新規制基準」で原発の安全は確保出来るか?

【2017年8月24日,京都キンカンで配付。】

「新規制基準」で原発の安全は確保出来るか?

◆関電は、原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と言う“新規制基準”を「安全基準」とし、原発に「絶対的安全性を求めるべきではない」と主張している。さらに、「原発は安全であるから、“新規制基準”に避難計画は不要」としている。「新しい安全神話」を作ろうとするものであり、電力会社や原発産業の利益のために、人の命と尊厳をないがしろにするものである。

◆若狭の原発が、矢継ぎ早に再稼働されようとしている今、「新規制基準」や原子力規制委員会の審査が。如何に非科学的であり、欺瞞であるかをまとめてみた。

1.新基準では「過酷事故も起きうる」ことを前提とした安全対策(?)を導入したという。

◆福島原発事故以前には、過酷事故(巨大な自然災害や重大な人為ミスなどで原子炉が暴走するような深刻な事態)を考えていなかった。また、炉心損傷に至らないとした設計基準を採用していた(単一の機器の故障のみを想定し、一つの機器の故障が、他の機器の故障を誘発し、炉心損傷を招くことは考えていなかった)。「新規制基準」では、それを改めたという。

◆例えば、新基準では、フィルター付きベント(排気)装置の設置を義務付けるとした。炉心損傷では、放射性ヨウ素(気体)を含む圧力容器内気体を緊急排気しなければならないが、排気装置にこの気体を捕集するフィルターがなかった。また、新基準では、移動式の電源車、全電源喪失でも炉を冷やせる注水車の装備を義務付けた。素人でも必要だと考えるこれらの装置がなかったこと自体が問題である。

◆フィルター付きベント(排気)装置、移動式電源車、注水車の装備は、すでに、国際原子力機関(IAEA)が各国に求めており、過酷事故対策は世界の主流になりつつあったが、日本の規制当局は福島事故まで動かなかった。その理由は、日本の原発は完全な安全対策がとられており、過酷事故は起こり得ないことになっていたからである。すなわち、政府や電力会社は、安全神話を振りまいてきたのであるが、その同じ「原子力ムラ」が、福島大惨事の責任も取らずに、福島事故後には「新規制基準」を作り、「今度こそ安全だ」と言っているのである。「新規制基準」は、やっと世界基準に近付いただけで、後述のように、これによって原発の安全性が飛躍的に向上したわけではない。なお、フィルター付きベントの設置を義務付けはしたが、規制委の審査では、その設置を5年間猶予している。

2.「新規制基準」は、満たせることしか要求していない。

(1) 福島原発の事故原因を深く追及していない「新規制基準」。

事故炉内部のミューオン透視は税金の無駄遣いで、溶け落ちた燃料の情報はほとんど得られなかった。次々に投入するロボットは高放射線のために討ち死にし、事故から6年半経った今でも、事故炉内部の詳細は分っていない。それでも、政府は、事故から2年半もたたず、事故原因の議論も全く不十分な2013年7月、事故の教訓や知見を反映するものとして、「新規制基準」を施行した。
事故原因について、東電や政府は、事故直後に発表した「津波による全電源喪失」に固執し、「想定外の地震や津波であったから、事故は止むを得ず、政府や東電に事故を起こした責任はない」と言わんばかりである。事故原因は、冷却水配管の地震による破断など、この他にも種々考えられる。また、この事故は、重大事故に対する対策・装備の不備、非常電源の設置上の問題、不適当な事故対応など、反省すれば、人災と考えられる部分も多い。事故原因が異なれば、対策も当然異なる。「新規制基準」では、そのことがほとんど勘案されていない。
なお、科学とは、実際に起こった事実を冷静に受け入れ、丁寧に調査し、検証・考察して、その上に多くの議論を重ねて、結論を導くものである。「新規制基準」や規制委の審査は、この過程を無視しており、科学とは縁遠い。

(2) 安全に不可欠でも、実現不能なことは要求しない「新規制基準」。

かつて、原発立地について、以下の[a]、[b]を定める立地審査指針があったが、福島事故の被害はこの指針の定める枠を越え、この指針の下での原発稼働は不可能になったため、「新規制基準」では、この指針を廃止した。

[a] 重大な事故の発生を仮定しても、周辺の公衆に放射線障害を与えないこと。
[b] 重大事故を超えるような、技術的見地からは起こるとは考えられない事故の発生を仮想しても、周辺の公衆に著しい放射線災害を与えないこと 。

海外の新型原子炉では標準装備の設備であるコアキャチャーや航空機落下に備えた二重ドームの設置は不要としている(設置に多額の費用と長時間を要するから)。

原子炉の中で進行する事態の把握法を定める「重要度分類指針」(平成2年決定)を改定していない。すなわち、原発の中で起こっている事態を把握するための原子炉周辺設備・機器の耐震基準が甘いままである。
福島第一原発事故においては、水位計が機能喪失してメルトダウンの判断を困難にした。また、主蒸気逃がし弁が過酷事故時に格納容器内背圧が高くなると働かないことも、事故後に判明している。

「新規制基準」を満たしていない施設でもその充足を猶予している。
例えば、PWRでは、「重要事故対策設備」であるフィルター付きベント装置の設置を5年間猶予している。

3.都合の良いデータのみ採用して適合とする規制委審査

例:炉心溶融時の水素の爆轟(化学反応による爆発のうち、火炎の伝播速度が音速を上回るもの)防止は必須事項である。高浜原発3,4号機の審査書では、格納容器内水素濃度の最大値は約12.3%で、爆轟防止の判断基準=13%以下であるとしている。

◆しかし、高浜3,4号機と出力規模、ループ数、格納容器型式などが同一である川内1、2号機の審査書と同じ基準で評価をすれば、水素濃度の最大値は約14.8%となり、爆轟防止基準を明らかに超えている。高浜原発の審査書では、川内原発のそれより水素発生量の不確かさの度合いを、意図的に小さくして、基準をクリヤーしている。

4.杜撰(ずさん)かつ非科学的な事故対策でも容認する規制委審査

例:関電は、重大事故対策の目玉として、原発重大事故で空気中へ飛散した放射性物質を打ち落とす放水設備を備えたという。また、海への放射性物質流出は、吸着剤と吸着性シルト(沈泥)フェンスで食い止めるという。

◆放水で放射性物質の拡散が防げるのはほんの一部であり、放水された水は結局汚染水になる。吸着剤とシルトフェンスだけで放射性物質を除去できるのなら、福島での放射性物質流出防止に適用すべきである。規制委員会の審査では、こういう子供だましの拡散抑制対策でも可と評価している。

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5.杜撰、手抜きかつ虚偽の規制委審査

例1:「新規制基準」への適合評価は事業者(電力会社)任せで、事業者による原子炉施設やその立地条件に関する評価をそのまま受け入れ、規制委員会のチェックや独自調査はほとんどしてない(基準地震動、活断層、火砕流・・・の評価)。

例2:地震による配管破断はほとんど考慮せず、対策を講じないなど、重大事故対策のシナリオ策定は事業者任せである。

例3:原発立地の表層数km以内の活断層の有無が、再稼働の大きな判断基準とされている。しかし、これまでの大地震のほとんどは、探査不能な地中数10 km の震源、いわゆる「未知の深層活断層」に起因している。表層に活断層が無くても、
原発は地震で破壊される可能性がある。規制委は、都合の良いデータだけで審査しているとしか考えられない。

例4:川内原発の審査で、規制委は、火山噴火をモニタリングで予知して、原子炉から核燃料を引き抜いて安全な状態にできるという、九電の申請書を認めている。火山噴火や地震の余裕を持った予知は不可能であることは誰もが認めるところである。また、予知できたとしても、そのときに燃料プールやキャスクに余裕があるとは限らないし、燃料プールも安全ではない(圧力容器より脆弱である)。このように、規制委審査は、不可能を可能と偽って人々を騙す審査である。

例5:想定した原発事故に関する解析のほとんどは、コンピュータによる計算結果に基づいていて、実験的検証は少ない。このコンピュータ解析は、前提条件(プログラム)と入力データの質に強く依存するが、現代科学は実証された完全な条件やデータを持合わせていない(分かっていないこと、予測できないことが多過ぎて、完全なプログラムはできない)。したがって、解析者の原発を動かそうとする恣意(しい)が大きく結果に反映される。

6.適合性審査は、申請書に書かれた方針の審査であり、実行されるか否かは検証していない。

◆適合性審査が実態を伴うためには、設置変更(設計の基本条件を規定:絵に描いた餅)許可だけでなく、具体的・詳細な工事計画 (詳細設計の内容を含む)認可、保安規定(その設備を安全に運転・保守するための管理法を規定)認可が一体で行われなければならないし、実際に、工事が完了したことが確認されなければならない。

7.住民避難計画は規制委審査の対象外であるが、それでも規制委の審査結果が再稼働を左右する。

◆原発事故時の避難計画について、規制委は立地自治体や周辺自治体に丸投げしている。一方、自治体は、どこかでできたパターンに沿って避難計画を作成している。そのため、避難計画では当該自治体の地理的、人的特殊性はほとんど斟酌(しんしゃく)されていない。また、事業者(電力会社)はその作成に責任を負っていない。

◆しかも、自治体の作成した避難計画たるや、数日のピクニックにでも出かけるような計画であり、過酷事故では、永久に故郷を失うという危機感がない。また、避難地域は100 km 圏を超える広域におよび、若狭の原発事故では、京都、大阪、滋賀の住民数100万人の避難の可能性もあるという認識がない。

◆さらに、避難指示解除に関して、住民の意向を聴かないし、避難指示が解除されても(放射線量20ミリシーベルト/年で解除)、帰還先は高放射線量で、必要な生活基盤も整っていないこと、帰還後一定期間の後には賠償金や支援が打ち切られること、種々の事情で避難継続を選択すれば、賠償や支援はないこと、などの非人道性も念頭にない。原発事故に関しては、「地方自治体住民の福祉の増進を図ることを基準とする」という地方自治法の精神は全く生かされていない。

◆原発の再稼働は、住民の生命・財産に大きく関わるので、それを判断する地方自治体には、原子力利用推進政策から独立した姿勢が要求される。また、原発の被害は、極めて広域におよぶので、原発立地自治体だけでなく、周辺自治体の住民の声を十分聴かなければならない。

8.とんでもないパブリックコメント(パブコメ)のとり方

◆規制委の審査結果に対するパブコメは、わずか1ヶ月間、「科学的・技術的」部分に限って募集されている。しかし、国民のほとんどは、原子力分野の専門家ではない。専門家でも、原子力のような広範囲の知識を要する分野へのコメントを1ヶ月で出すことは至難である。また、ある意見が「虚偽である」ことを実証するには大変な労力を要する。

◆規制委は、プロでない国民が、片手間でできる筈がないことを見越して、非科学的審査書を作り、パブコメを求めている。さらに、国民の生命と財産に関わる原発再稼働に関しては、その是非や、防災・避難計画も含めて、国民的議論を展開すべきであるが、パブコメでは、その意見は受け入れていない。

◆しかも、国民が懸命に書いたパブコメ1万7千8百(川内原発)あるいは3千6百(高浜原発)について、わずか20数日で分類整理し、枝葉末節だけを取り入れ、基本的部分は無視している。それでも、規制委の審査書によって、実質的に再稼働の可否が判断される。国民を愚弄するためのパブコメの誹り(そしり)を受けるのは当然である。

原子力防災とは、災害(事故)の原因である原発をなくすことである。
人類の手に負えず、人類に不要な原発を動かして、大きな犠牲を払うこと、
事故の不安に慄(おのの)くことは無い!
今すぐ、全ての原発を廃炉にしよう!


10.15大飯原発うごかすな!関電包囲全国集会

ご賛同、ご結集をお願いします。

  • 日時;2017年10月15日(日) 13時~14時45分
  • 場所:関西電力本店前(大阪市北区中之島3丁目)
  • <集会後、御堂筋デモ>関電包囲集会が終わり次第、徒歩で靭(うつぼ)公園(大阪市西区靭本町)に移動。
  • デモ出発:15時30分
  • デモ出発地:靭(うつぼ)公園(デモは難波まで。17時頃終了予定)
  • 主 催:大飯原発うごかすな!実行委員会
  • 呼びかけ:原子力発電に反対する福井県民会議(連絡先:宮下正一:090-1395-2628)、若狭の原発を考える会(連絡先:木原壯林:090-1965-7102)
  • 本集会にご賛同頂けます場合は、
    お名前、ご住所およびお名前の公表の可否を
    木原(kiharas-chemアットzeus.eonet.ne.jpまたは090-1965-7102)まで
    お知らせください。

2017年8月24日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆[原発賠償京都訴訟]8/18,第30回口頭弁論の報告

みなさま

原発賠償京都訴訟 原告団共同代表 萩原、福島です。

本日はお盆明けの忙しい中そして、雨とその後の日照りの中、多くの支援してくださるみなさまに支えられ、傍聴席満杯!で30回目の期日を終えることができました。本当に心より深く感謝申し上げます!!

●法廷では、高木先生から損害賠償基準について、原告側にある直接請求とADR手続きについて賠償することを明らかに拒んでいる、これに期待できないが、国が損害賠償についての規定を原子力損害賠償紛争審査会および原子力損害賠償紛争解決センターにより補償すると規定しているのだから国は当然、自主避難と呼ばれる原告へも補償するべきとのプレゼン、田辺先生から高橋意見書が崎山先生の主張を批判しているが津田論文を読まずに批判している点についてのプレゼンが行われました。

●進行協議の結果、結審と判決は予定通り、9/29と3/29となりましたので、一安心です。

●神奈川や福島県会津からもサポーターさんと映画の安孫子監督が原告を励ましに来てくださり、期日報告会はだいぶ歩かなければならない所でしたが、支援する会共同代表の橋本さん、平さんの応援スピーチから始まり、大阪の太田さん、宗川先生、右京の小山田さん、神田さん、大飯差止京都訴訟原告団吉田事務局長!たくさんのエールをいただき、原告として心強く、さらなる一歩を踏み出す勇気となる時間でした。原告のために朝早くからご飯を炊いて、美味しいパンを買いに行き、ランチを作ってくれて大阪からお持ちくださるお母さん!いつもありがとうございます!

●結審、判決に向けた原告の交通費のカンパにもみなさまからのご理解と多額のご協力をいただきました。

●川中弁護団長のゴールが見えてきた裁判の見通し、群馬判決からの責任論のクリアと避難の相当性をいかに最大限引き出すことができるか、慰謝料についてのお話は、楽しく明解でした。「勝つ仕組みはできている!これを引き続き裁判所へ訴え続ける運動を展開できる、、」川中先生の力説が印象的でした。

●原告の本ができます!!「私たちの決断 あ の日を境に…」
30名を超える京都に避難した原告の今までとこれからのことを心を振り絞り文字にした手記集です。今の原発がある日本でどう生きていくかを考える道しるべになると思います。
本日より予約販売開始しました!
購入希望の方は、「原告手記集 ○冊希望」と書き、一冊1,200円で下の郵便振替口座まで振り込みをお願いします!自転車操業の原告団です!
口座番号:00930-0-172794
口座名称:原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会

●午後は、午前中傍聴できなかったよ!という支援者さんや、原告が集結!英語版と、中国語版の署名用紙を活用し国際的な署名活動を展開!!約170筆ほどの善意を集めることができました。
署名のもらい方。コツがあるのですね!大阪のあわじからも赤ちゃんを連れて支援に来てくださった女性もいます。感謝です。

今日も一日。みなさまのおかげで充実しました。ありがとうございました。
次回はいよいよ結審日。9月29日(金曜日)。 より良い判決の為、また溢れんばかりの応援をお願い致します。

萩原、福島

◆8月4日に高浜町で行った「講演・討論会 in 若狭 〝原発にたよらない町づくりを目指して″」の報告

【2017年8月下旬,若狭で配付。】

高浜町で「講演・討論会 in 若狭」
〝原発にたよらない町づくりを目指して″
が開催されました

◆標記の講演・討論会は、8月4日(金)13時~17時、JR若狭高浜駅2階「まちの駅ぷらっとHome高浜」で、「若狭の原発を考える会」の主催で開催されました。ご講演は、本年4月発売の『なぜ「原発で若狭の振興」は失敗したのか -県民的対話のための提言』の著者・山崎隆敏さん(和紙会社経営)および韓国で脱原発運動を進める青年・琴東運(クム・ドンウン、25歳、男性、青年緑ネットワーク会員)さん、裵聖敏(ペ・ソンミン、31歳、男性、脱核釜山市民連帯執行委員)さん、安瀅準 (アン・ヒョンジュン、24歳、男性、脱核蔚山市民共同行動執行委員)さん。

◆講演、質疑応答の後、若狭にお住まいで、脱原発社会を願って活動されている皆さんからの簡単なご報告・アピールがあり、原発にたよらない町づくりを目指して討論しました。

◆会場(60人定員)は溢れんばかりの盛況でした。なお、講演・討論会終了後には、「キャンプ at 若狭和田ビーチ」が企画され、韓国、福井、滋賀、京都、大阪、兵庫、徳島、福島、関東などからのご参加を得て、脱原発の議論と交流が続きました。

◆以下に、会を開催した趣旨と、会の模様のご報告を致します。原発重大事故の不安のない町、使用済み核燃料を蓄積しない町を目指すためのご参考になることを願います。

「講演・討論会 in 若狭」開催の趣旨

反原発・脱原発が民意です

◆原発重大事故の悲惨さは、福島原発事故が、はかり知れない犠牲の上に教えるところです。一方、福島事故以降の経験によって、原発は無くても不都合がないことが実証されました。したがって、原発を運転する必要性は見出だせません、反原発は社会通念=民意 となっています。本年行われた各種報道機関の世論調査でも、原発反対が53~57%と、賛成の20数%のほぼ2倍でした。

世界も脱原発に向かっています

◆世界では、多くの国が福島原発事故を当事国・日本より深刻に受け止めています。また、安全対策などで原発の建設費、維持費が高騰したこと、自然エネルギーやシェールガスによる発電が進み、発電法、蓄電法が高効率化したこと、節電の機運が醸成されたことがあいまって、脱原発に舵切る国が増え続けています。イタリア、ドイツ、リトアニア、ベトナム、台湾が脱原発に向かい、スイスが国民投票で原発新設を禁止しました。

◆また、韓国でも、文在寅新大統領が「原発建設計画を白紙撤回する」ことを宣言し、 40年超え古里原発1号機の永久停止を決定し、2基の建設を中断しました。アメリカでも、安全対策に膨大な経費が掛かり、他電源に比べても経済的にも成り立たない原発からの撤退が相次いでいます。

◆今、原発を推進しているのは、電力需要が急増している中国などの新興国と、人の命と尊厳は犠牲にしても、経済的利益を優先させようとする日本など少数の経済先進国です。日本は、原発輸出を成長戦略の一つに挙げていますが、この戦略が破綻していることは、東芝の例を挙げるまでもなく、明らかです。

若狭にも脱原発を願う声は多数あります

◆原発立地の若狭にも、表立ってはいないものの、原発に不安を感じる声、脱原発を望む声は多数あります(原発推進の声を大きく上回っているといっても過言ではありません)。脱原発には、この隠れた声を顕在化させて頂かなければなりません。それには、今までタブー視されてきた脱原発後の社会を展望する議論を日常茶飯事にして頂くことが大切です。

重大事故が起る前に、原発にたよらない町をつくりましょう

◆上記のように、国内でも、世界でも、若狭でも脱原発は大きなうねりです。したがって、近い将来に、原発のない社会がやってきます。それなら、重大事故の前に原発を全廃するのが賢明です。一日も早く、原発にたよらない町づくりを進め、現在および未来の人びとにとって、不安のない、希望あふれる社会を実現しましょう。

本講演・討論集会は、「原発にたよらない町づくり」を考える一助になることを願って開催されました。

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2017年8月5日毎日新聞朝刊

報告「原発依存こそが町おこしの阻害要因?」
山崎隆敏さん原発地元で語る

若狭の原発を考える会・橋田秀美

◆『なぜ「原発で若狭の振興」は失敗したのか』の著者・山崎さんのご講演の概要を報告する。
原発で地元が振興しなかったこと、原発の未来は危ういこと、推進派はそれをよく知っているし、危機感も抱いている。しかし「脱原発」に舵を切ることをしない。減価償却による固定資産税の減収や電源三法交付金の目減りを、「もんじゅ」再稼動や原発増設を「取引材料」として一時しのぎの金を引き出して、補おうとしてきた。

◆そして、原発立地には、普通交付税や国庫支出金(原発がなくても得られる国庫補助)に加えて、原発関連の税金や交付金が入ってくると期待していたら、大間違いで、原発関連の税金や交付金が相殺される形で差し引かれて支給されるからくりが明らかになり、愕然とした。結局、原発がない町の方が国の財源配分率が高いのだ。

◆原発収入がある美浜町を「御曹司」、原発に頼れない旧三方町を「苦学生」に例え、原発に依存し、自助努力を怠ってきた美浜町が、原発に依存できず独自に努力してきた旧三方町に観光客数、製造品出荷額、商品販売額で追い抜かれたことを報じた新聞記事を紹介し、原発依存が地域の振興を阻んできた事実を明らかにされた。

◆自前の収入がどれくらいあるかを示す「財政力指数」が県内上位を占めるのはやはり原発立地市町であるが、原発頼みの「財政力指数」の高さを市民、町民は誇りに思えるのか。幸いにもおおい町や高浜町は、借金返済など将来に及ぼす影響の度合いを示す「将来負担比率」が0である。今が麻薬のような原発を捨てて町の再生を目指すチャンスであると山崎さんは力説された。若狭のきれいな自然、歴史や文化、海産物や山の幸、これらは原発に頼らない町づくりに大いに活かせるだろう。そのためにも、原発は一日も早く無くしたい代物であると結ばれた。

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報告「原発反対を訴える韓国青年たちの息吹に触れて」

若狭の原発を考える会・松原康彦

◆韓国で反原発運動を取り組んでいる20代から30代の青年3人が、この集会に参加して「韓国の脱核運動」と題して韓国での反原発運動の現状などについて報告した。

◆韓国の原発は運転中が24基、建設中が5基、計画中が6基あり、その大半が釜山から北の半島東海岸に集中している。韓国ではこれまで地震をほとんど経験してこなかったが、昨年9月、原発が50%以上立地する地域・釜山北部の慶州で、マグニチュード5.8の地震が起こり、多くの人が恐怖に震え、2011年の福島地震・原発事故を思い起こした。

◆他方、古里(コリ)3、4号機の格納建屋鉄板腐食と原子炉冷却材露出事故が起こった。ただ一つの電力会社・韓国電力がすべての電力を支配し、巨大な2企業の独占で原発関連工事が行われている韓国では、「核マフィア」(日本の「原子力ムラ」に相当)が「安心」と宣伝しているが、原発立地の海岸では誰一人泳ごうとしない。今回、高浜の海岸で多くの海水浴客が楽しんでいることに正直、驚いたそうだ。

◆また、建設中の新古里5、6号機の送電のために従来の送電塔の2倍以上の94 mの巨大鉄塔が蜜陽(ミリャン)で建設され、多くの住民が立ち退かされ、地域の共同体が破壊された。住民は「何のための電力なのだ」と怒っている。

◆韓国民衆の「ローソク革命」によってパク・クネを打倒し、就任したムン・ジェイン新大統領は、選挙前は「原発ゼロ」を公約しながら、当選後には、老朽化した古里1号機を永久停止して、稼働原発24基という現状を生んだものの、すべての原発が耐久年度40年を過ぎる2079年を「原発ゼロ」にすると変節し、しかも、建設中の古里5、6号機などの是非は「世論に問う」と変わっている。そして、米韓首脳会談と北の共和国のICBM発射を受けて、THAAD(サード;終末高高度防衛ミサイル)配備を強化するなど、多くの韓国民衆の思いと離れている現実が指摘された。

◆また、「若い人たちが頑張っている」という聴衆からの声に、「子どもたちの貧しさが尋常ではなく、それに大学を卒業しても職がない」現実を指摘された上で、「韓国でも1980年代に頑張った大人たちが指導部を牛耳っていて、日本とそれほどかわらないのでは」と答えられた。

報告「原発にたよらない町づくりをめざして、地元から」

若狭の原発を考える会・木戸恵子

◆山崎隆敏さん、韓国青年の講演後、若狭の市民や地方議会議員から、原発立地の現状や活動について報告があった。

◆「ふるさとを守る高浜・おおいの会」の東山幸弘さん(高浜町在住)が、昨年12月、高浜町音海地区が関電と高浜町対し、高浜原発1、2号機の運転延長に反対する意見書を提出したことについて、音海地区だけにとどまらず、多くの高浜町民の支持を得ていると、地元の状況を語られた。同会の宮崎慈空さん(おおい町在住)は、7月20日おおい町が実施した大飯原発3、4号機に関する住民説明会の報告をされた。再稼働には福井県とおおい町の同意が必要で、おおい町は説明会の内容、住民や町議会の考えを踏まえて可否を判断する。当日は、200人程度が出席したが、一般公募で選ばれた住民はわずか20数名で、大半は、町内の区長、商工会など各種代表者であった。住民からの質問には十分に答えず、再稼働ありきの形だけの住民説明会となった。

◆美浜町議の河本猛さんは、経産省発表の核廃棄物処分地地図「科学的特性マップ」について、地層が隆起し活断層も多い若狭の沿岸も「適性が高い地域」とされたことに対し、住民は「核のゴミ捨て場になるのではないか」と不安や疑念の声を上げていると報告された。また、町の財源を原発に頼っている限り、安易な再稼働容認が続くと指摘され、原発依存から脱却する産業の一つとして、再生可能エネルギーの普及促進を挙げられた。

◆敦賀市議の今大地はるみさんは、福井県・敦賀市・美浜町が、もんじゅ廃炉にかかわる地域振興策について国へ要請に出かけるに先立って敦賀市が開いた説明会は、姑息にも、非公開で原発推進派議員重視で行われたことが披露された。また、今年5月、福井地裁に高浜原発運転差し止め仮処分を、弁護士をたてずに、「原発事故が起きて放射性物質が拡散されれば人格権が侵害される」として、提訴したことを報告された。この仮処分申請は難しいものではないので、大いに活用することを勧められた。

◆若狭町議の北原たけみちさんは、地場産業のひとつとして「コケ屋上緑化植物」の栽培工場を紹介された。ヒートアイランド緩和効果などのある「コケパネル」は、普及段階に入っていると報告された。

◆「原子力発電に反対する福井県民会議」代表委員の中嶌哲演さんは、福井県の2017年度の一般会計当初予算案における歳入は、全体は前年度と比べて3%減少したにもかかわらず、電源三法交付金や核燃料税などの原発関連歳入は過去10年で最多になり、6.9%(326億円)を占めたこと、この福井県の歳入は、原発立地の市や町の原発関連歳入(敦賀市:約49億円、美浜町:約28億円、高浜町:約54億円、おおい町:約64億円)より圧倒的に多いことを資料を提示しながら指摘された。なお、高浜町、おおい町の2017年度の原発関連歳入は、一般会計予算の55%、63%を占め、本年度は大幅に増額したことも述べられた。

◆「若狭の原発を考える会」の木戸恵子は、若狭で行っているアメーバデモは、原発立地の住民と琵琶湖の水を飲んでいる関西の住民が、若狭の街角で原発への思いを交換する場であると紹介し、そこで聞いた地元の声を報告した。少しづつではあるが、かつては見られなかった地元のみなさんの変化が感じられ、それに希望をつなげたいとした。

2017年8月

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆[原発賠償京都訴訟]8/18の期日の案内

みなさま、暑い日が続きますが、いかにお過ごしでしょうか。
支援する会事務局の上野と申します。

いよいよ京都訴訟第30回期日が来週18日に迫って来ました。2か月に3回のペースで行なわれた、半年間にわたる原告本人尋問に慣れたので、5月26日の傍聴以降の3か月近い〝空白期間〟は結構長く感じました。

************************************************

開廷時間が本人尋問以前に戻ります

  • 本日の開廷は10時30分です。抽選番号リストバンドの配布は9時50分~10時05分です。お間違いなく。
  • 原告側は、①損害賠償基準について、②高橋意見書(被告側専門家証人)批判の準備書面を提出し、プレゼンが行なわれます。
  •  裁判の時間は30分程度の予定です。

◆◆報告集会の会場が変わりました

  • 報告集会の会場を弁護士会館地階大ホールとお伝えしていましたが、京都商工会議所2F第1~3教室に変更になりました。
  • 今回は裁判自体が短く、報告集会の場所が遠いことなどから、模擬法廷は予定しておりません。京都商工会議所は使ったことがなく、裁判もすぐ終わるので、スタッフ数人は法廷に入らず、会場の設営に向かうことにしています。
  • もしも抽選になり、運悪く抽選に外れた方は、申し訳ありませんが、地裁の待合室等でお待ちいただくか、会場の設営をお手伝いください。事務局の奥森まで申し出てください。

◆◆◆弁護団の報告が変わります

  • 長かった原告本人尋問の間に専門家証人尋問が行なわれましたが、そこで何が明らかにでき、どういう点が足りなかったのかという総括をする機会がありませんでしたので、田辺弁護士に「専門家証人尋問のまとめ」を行なってもらう予定でチラシでもそうお知らせしていました。しかし、今回も進行協議が入ったため、時間的に田辺弁護士が報告集会に来ることができなくなりました。
  • 代わりに結審(9月29日)で総括的な最終弁論を行なう川中弁護団長に「勝利判決をめざして」(仮題)という報告をしてもらうことになりました。

◆◆◆◆傍聴ポイントに応じた景品渡し

  • 今回、報告集会の会場入り口で受付を済まされた方に、傍聴カードのポイント(「勝」のハンコの数)に応じて景品をお渡しします。当初は、結審時に行なう予定でしたが、結審時には記者会見も入り、午後からは会場を変えてレセプションを行なうため、時間的な余裕がないと判断し、前倒しで今回実施することにしました。
  • 朝の集合時にハンコを押してもらった状態でポイントが5個以上ある方全員に、カラフルなミニ手帳を差し上げます。「認めて!避難の権利 守ろう!子どもの未来 原発賠償京都訴訟原告団」の刻印があります。またポイントが10個以上ある方には、ミニ手帳に加えて素敵なボールペンを差し上げます。
  • 今日の時点でポイントが4個の方は、9月29日の結審に傍聴カードを持参していただければ、ミニ手帳を差し上げます。またポイントが9個の方はミニ手帳をお渡ししたあと傍聴カードをお返ししますので、結審に持参していただければ、ボールペンを差し上げます。

◆◆◆◆◆原告の手記集『私たちの決断 あの日を境に…』が出版されます

  • 報告集会で報告しますが、いま原告団は手記集『私たちの決断 あの日を境に…』を制作しています。8月末出版予定です。
  • この手記集は、原告団として原告の手記を募集し、選ばれた編集委員が編集や校正を行ない、タイトルも手記を寄せた原告の投票で決めたものです。30名を超える原告が手記を寄せています。
  • 手記集の発行には約60万円の初期費用がかかります。支援する会とうつくしま☆ふくしまin京都が20万円ずつ原告団に貸し付け、残る20万円について原告・弁護士・支援者から貸して下さる方を募りますが、同時に予約販売をして現金を先に回収することによって借りる金額を少しでも減らしたいと考えています。報告集会終了後、予約販売を行ないますので、ぜひご協力ください。
  • 手記集の定価は1200円ですが、手売りの場合は頒価1000円で販売します。9月29日の結審の際に手渡しで受け取るという方には1000円で引換券をお渡ししますので、引換券を忘れずに持って来てください。
  • 少しでも早く読みたいので郵送してほしいという方には郵送料200円をプラスして1200円で販売します。出版され次第、郵送させて頂きます。

◆◆◆◆◆◆午後から街頭署名を行ないます

  • いま取り組んでいる公正判決要請署名については、結審時に第4次提出を予定しています。目標は累計2万筆で、5月26日の第3次提出時点で累計は約1万2000筆でした。それ以降の2か月半の間に2千筆余り増えていますが、まだまだ足りません。全国の原発賠償訴訟団等にも協力の依頼を出していますが、京都でも労働組合・市民団体への要請行動や街頭署名行動を行なっていきます。
  • 18日も、14時から1時間程度、四条河原町マルイ前で街頭署名行動に取り組みます。外国人観光客が多いのを考慮して、英語と中国語の署名も用意します。一緒に署名を集めていただける方は、それぞれ昼食をとったあと、14時までに直接マルイ前にお集まりください。

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3年半におよぶ京都訴訟も結審含めて2回を残すのみとなりました。お盆中心に里帰りされたり、墓参りされた直後というあわただしい時期で、まだまだ暑さが続く中ですが、可能な方はぜひ傍聴にお出かけください。