◆伊方原発をめぐる仮処分–2017年12月

(1)【伊方原発をめぐる仮処分は4裁判所で係争】

・広島高裁…[決定前の前評判]12月上旬の広島高裁に注目を。広島高裁では,運転容認の広島地裁の決定(3月)を不服とする即時抗告が争われています。10月4日に双方が書面を出し終え審理が終結し,12月上旬の裁判所の決定を待つばかりです。この裁判は被爆地広島の裁判として注目されていますが,愛媛からは小倉正さん(松山市)が抗告人として参加しています。この間の審理では,裁判官が四電側書面について細部にわたり的確な質問をしていることなどから,裁判所の判断が待たれています。
[2017/12/13の決定主文 → 次項に ]

・大分地裁…10月11日に審尋があり,次回の審尋は12月20日。

・山口地裁岩国支部…本格的な審理はこれからという段階で,立証計画として愛媛大学元学長の小松正幸さんによる第三者審尋の実施などの予定。

・高松高裁抗告審…11月16日に第1回の審尋。7月21日の松山地裁の運転容認の不当な決定を不服として即時抗告をしたもの。裁判長は「拙速な審理はしない」と明言し,2月13日に第2回審尋,5月16日に第3回の予定。

(2)【広島高裁。2017年12月13日の決定主文】

主文

1 原決定を次のとおり変更する。
(1) 相手方は,平成30年9月30日まで,愛媛県西宇和郡伊方町九町字コチワキ3番耕地40番地の3において,伊方発電所3号機の原子炉を運転してはならない。
(2) 抗告人らのその余の申立てをいずれも却下する。

(以下,中略)

5 結論(決定398頁~399頁)
(1) 以上によれば,火山事象の影響による危険性について,伊方原発が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は不合理であり,抗告人らの生命身体に対する具体的危険の存在が事実上推定されるから,抗告人らの申立ては,被保全権利の立証(疎明)がなされたといえる。
(2) 伊方原発は,現在稼働中であるから,差止めの必要性(保全の必要性)も認められる。
もっとも,本件は,証調べの手続に制約のある仮処分であり,火山事象の影響による危険性の評価について,現在係属中の本案訴訟(広島地方裁判所平成28年(ワ)第289号,第902号)において,証拠調べの結果,本案裁判所が当裁判所と異なる判断をする可能性もあること等の事情を考慮し,四国電力に運転停止を命じる期間は,平成30年9月30日までと定めることとする。
(3) 担保金の額については,事案の性質に鑑み,担保を付さないこととする。
(4) よって,以上と異なる原決定を変更し,主文のとおり決定する。

裁判長裁判官 野々上 友之
裁判官 太田 雅也
裁判官 山本 正道

(3)【今後の展開】

(浅野則明弁護士のFacebookより)

この即時抗告審(高裁)に対する異議申立は、地裁段階と同様に「保全異議」という手続です。これは債務者からの申立として同一審級の不服申立です(この点、債権者からの不服申立が審級を異にする即時抗告であることと違っています)。これは、大津地裁の高浜原発の差し止め仮処分決定の異議審が同地裁の審理になったのと同じです。ただ、実際に保全異議を担当する裁判官は誰かという点については、広島高裁の場合は違う部に係属する可能性が高いかも知れません。同時に、保全執行の停止の裁判も審理されることが可能となっています。

異議審(高裁)において、異議を認めない却下決定が出された場合の債務者側の不服申立としては、最高裁への「特別抗告」と「許可抗告」しかない。特別抗告には、特別上告の規定が準用されるので、抗告理由は憲法違反しかない。これに対し、許可抗告は、判例違反等法令解釈の違反を理由とするものであるところ、この許可の判断をするのは高裁自身である。高裁、つまり抗告審決定を行った裁判体が最高裁への抗告を許可するかどうかを判断することになる。許可されれば、最高裁に移審するが、原裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令違反がある場合に限って、原裁判を破棄することができるとされている。

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