◆原発事故被害者の暮らしを守って

昨年秋,国連人権理事会に原発事故避難被災者の声を届けた避難お母さん(原発賠償京都訴訟の原告)の訴えに対して,同理事会から日本政府への勧告が出されました。

現在,日本政府がこの勧告を受け入れるように求める署名運動がグリーンピース・ジャパンなどで行われています。下記のネット署名にご協力ください。

国連人権理事会の勧告を受け入れて
原発事故被害者の暮らしをまもってください

・ネット署名→こちら
・紙の署名用紙→署名用紙PDF

広告

◆原発に頼らない社会を!

【2018年1月26日,京都キンカンで配付。】

原発はなくても何の支障もない

◆原発は、事故の多さ、事故被害の深刻さ、使用済み燃料の保管や処理の困難さなど、あらゆる視点から、人類の手におえる装置ではありません。一方、福島事故以降の経験によって、原発はなくても何の支障もないことが実証されています。そのため、ほとんどの世論調査でも、原発反対は賛成の2倍以上となっています。また、昨年末には、広島高裁が伊方原発3号機運転差止めを決定し、関電が老朽大飯原発1、2号機の廃炉を決断せざるを得なくなりました。これらは、福島原発事故の大惨事の尊い犠牲を踏まえて形成された脱原発、反原発の圧倒的民意を反映したものであり、脱原発、反原発の粘り強い闘いの成果です。

◆それでも関電は、前原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と繰り返す“新規制基準”への適合を拠り所にして、高浜原発3,4号機を再稼働させました。また、来る3月、5月には、大飯原発3,4号機の再稼働を企て、「原発銀座・若狭」の復活を狙っています。関電の利益のために、人の命と尊厳をないがしろにするものです。許されるものではありません。

◆ところで、私たちは、若狭やその周辺地域で、長期にわたって毎月2回・4日間のチラシ配布(アメーバデモ)、集会・デモ、原発ゲート前行動を展開し、住民の多くからご意見をうかがってきました。その中でも、「原発はいやだ」の声が圧倒的に多数であり、原発推進の声はほとんど聞かれていません。原発立地でも、表立ってはいないものの、脱原発、反原発が民意なのです。この民意が、顕在化すれば、原発を止めることができます。

◆ここでは、脱原発、反原発の声をさらに大きくするために、原発が地域の振興に障害であること、原発はなくても何の支障もないことを再確認したいと考えます。

【1】原発は地域を豊かにするか?

◆原発は、原発導入まで地域を支えてきた産業のほとんどを消滅させている。加えて、原発による繁栄はせいぜい50年で、一旦ことあれば、原発は「死神」である。また、せっかく原発マネーでハコモノを作っても、過疎化が進む原発立地には使う人がいなくなっている。その上、原発マネーがなくなったら、ハコモノの維持費もなくなる。その意味で、窪川原発反対運動での島岡幹夫さんの次の発言(1980年)は、傾聴に値する。「窪川町には農業と畜産で80億円、林業で30億円、加工産業は150億円近い収入があった。四国有数の食糧生産地なのに、たかだか20~30億円の税収に目がくらみ、耐用年数10年程度の原発のために2000年続いてきた農業を捨てるのは愚の骨頂。」

◆以下は、山崎隆敏著『なぜ「原発で若狭の振興」は失敗したのか』(白馬社)、第2章「原発で地域は振興できたのか?」の概要である。若狭の地域振興にとって、原発が桎梏(しっこく;手かせ足かせ)となっていることは明らかである。
(なお、以下、「嶺南」とは「若狭」とほぼ同義で、福井県南部の若狭湾沿岸の地域を指し、原発立地の高浜町、おおい町、美浜町、敦賀市、原発のない小浜市、若狭町が含まれる。「嶺南」とは、福井県の敦賀市以西の市町。南越前町以北は「嶺北」)

1.伸びない嶺南の製造品出荷額と雇用

◆1965年から2001年の36年間での福井県内の市町の製造品出荷額の伸びは、原発のない市町では13~88倍であったが、原発立地市町では5~11倍にとどまった。2001年度の敦賀市の製造業従事者は、人口が似ていて原発のない武生市、鯖江市の3分の1程度で、原発立地では雇用が伸びていないことを示す。

◆1967年から2013年の46年間での嶺南全体の製造品出荷額の伸びは4.4倍で、嶺北全体の伸び(9.2倍)の半分以下である。なお、1967年の一人当たりの出荷額は、嶺南で33万円で、嶺北で28.9万円であり、嶺南は貧しさゆえに原発を導入したという説は当を得ない。2013年の一人当たりの出荷額は、嶺南で143万円、嶺北で247.6万円と逆転している。

2.伸び悩む嶺南の観光

◆観光客の年間入込(いりこみ)数(受入数)は、1968年からの40年間で、嶺北では約2.5倍と大幅に増加したが、嶺北では約1.15倍と微増であった。なお、1968年の人口一人当たりの年間観光客入込数は、嶺北で12人、嶺南で35人であり、嶺南は美しい海岸と古刹寺社などの名所旧跡を有する人気の観光地であったことを示す。

◆嶺南の原発のない三方町(2005年に合併で若狭町になる)の2012年の年間観光客入込数は、1971年に比べて12%増で、原発立地の高浜町は48%減、美浜町は46%減であった。原発立地である大飯町は、良好な海水浴場がなかったために、1971年には高浜町や美浜町の1割に満たなかった年間観光客入込数を、2012年には高浜町や美浜町に匹敵するまでに増やしている。ポスト原発を見越した努力の成果であろう。

3.「双子の町」・美浜町と若狭町の比較

◆同じ三方郡内で、原発を持つ美浜町と持たない若狭町(2005年、旧三方町と旧上中町が合併)の経済活動を比較すれば、原発に依存し自助努力を怠った美浜町と原発に依存できない財政運営・地域振興を図った若狭町の差は歴然である。

◆1965年の美浜町の年間製造品出荷額は3.7億円で、三方町の2億円、上中町の3億円と大差はなかったが、2004年には美浜町は約10倍の38億円になったのに対し、三方町は約105倍の212億円、上中町は約113倍の346億円と伸び率に大差が出た。

◆年間商品販売額、1964年には、美浜町が8.29億円、上中町が5.28億円であったが、2004年には、美浜町が114.53億円、上中町が123.52億円となり、人口(美浜町;11023人、上中町;8288人)が少ない上中町に美浜町は追い抜かれた。

◆年間観光客入込数は、1971年以降、美浜町が常にリードしてきたが、2000年を境に逆転し、2001年には美浜町101万人、三方町106万人となった。なお、合併してからの若狭町には通年型の集客力があり、原発のない街の健闘と努力が伺える。

【2】原発と自治体財政

◆原発は電源三法交付金、核燃料税交付金などの補助金や固定資産税などによって地方自治体財政を膨張させたが、次に問題点を指摘する電源三法交付金のように、原発に関わる財政補助には、様々な弊害があるから、「地域全体の経済や自治体経済に役立っている」とは言い難い。(注)電源三法;オイルショック直後の1974年、火力発電以外の電源(とくに原発)の開発のために制定された電源開発促進税法、電源開発促進対策特別会計法、発電用施設周辺地域整備法。

1.電源三法交付金の問題点

① 依存性;地域が交付金に依存して自律性を失する。それまで地域を支えてきた産業は、ほとんど消えている。

② 時限性;恒久的ではない。・原発による繁栄は30~40年、一旦ことあれば、原発は「死神」。原発マネーがなくなったら、せっかく作ったハコモノや施設の維持費も出ない。

③ 目的限定性;その利用目的に柔軟性がない。ハコモノや施設の建設が中心。地域が過疎化し、老齢化すると、ハコモノや施設を作っても使う人がいなくなる。

2.原発立地の福井県と原発を拒否した徳島県の比較

(山崎隆敏氏の前掲著書、第3章「原発と自治体財政」より)

◆福井県と徳島県は人口、財政規模が類似している。2012年の福井県、徳島県の人口はそれぞれ約82万人、約81万人。2012年の福井県の一般会計歳入総額は4618億円、県税収入は926億円、国庫支出金は670億円、地方交付税交付金は1316億円であり、徳島県の一般会計歳入総額は4721億円、県税収入は695億円、国庫支出金は569億円、地方交付税交付金1528億円である。福井県の県税収入のうちの120億円は電力会社からの法人県民税、法人事業税、核燃料税の合計で、国庫支出金のうちの84億円は電源三法交付金であり、合計204億円がいわゆる「原発マネー」で、徳島県には入らない収入である。

◆福井県の県税収入、国庫支出金、地方交付税交付金の合計は2912億円で、徳島県の2792億円より120億円多いに過ぎない。徳島県には「原発マネー」はないけれども、地方交付税交付金を福井県より212億円多くもらっているのである。このことがもっと顕著なのは2010年で、福井県の県税収入、国庫支出金、地方交付税交付金の合計は2856億円(187億円の「原発マネー」を含む)で、徳島県の2854億円よりわずかに2億円多いに過ぎない。徳島県が地方交付税交付金を福井県より219億円多くもらった結果である。なお、「原発マネー」の多くは、原発がなければ必要がない避難道路の建設や放射線監視などの費用として消えている。原発はなくても、徳島県は福井県と大差のない財政運営をしている。また、県の借金残高(2007年度)は、福井県が7990億円(県民1人当り93万円)で、徳島県の6330億円(県民1人当り78万円)より多い。

【3】原発は農山漁村の魅力を失わせる

◆今、若者、ファミリー世代の農山漁村への移住希望が増え、30代女性の多くが「農山漁村での子育て」を志向しているといわれている。実際、都市から農山漁村への移住者は、2009年から2014年の5年間で4倍に増加したと報告されている。20~30代が中心で、女性の割合が上昇している。Iターンが多いが、これがUターンを刺激している。移住者は、いわゆる6次産業[農業、漁業(1次産業)+産物の加工(2次産業)+産地直送販売(3次産業)]を生業(なりわい)とする場合が多い。日本の食糧消費額74兆円であるが国内食用農水産物生産額は9兆円に過ぎず(現在自給率12%)、差の65兆円が6次産業の経済規模である。1%の移住者がいれば、地域が維持される。

◆上記のように、農山漁村の魅力は再発見されつつあるが、原発に依存する市町村がその対象とされ難い。

【4】原発はなくても大丈夫

1.多量エネルギーは本当に必要か

◆人類が1日当り使用するエネルギーの量は、火も使わず、動物に近い生活をしていた時代(数10万年前)には約2000キロカロリー(kcal)であった。ところが、現在は日本で160,000 kcal、米国で280,000 kcalである。こんなに多量のエネルギーを浪費しても良いものであろうか?

◆人口一人当たりのエネルギー消費量は、日本では原発が商業運転を始めた1965年からの10年間で約4倍に増加し、韓国でも20年遅れて同様な増加を見せ、中国では現在、増加の途上にある。人類史上、10年間でエネルギー使用量が4倍にも急増したことはない。この事態に、人類は、文化的、精神的に、また、地球環境との共存の視点から、真に対応できているのであろうか?

2.エネルギー使用量(要求量)を減らすことは可能か?

◆以下のように考えれば、可能であることは明らかである。ただし、人類が麻薬依存症のように、いつまでもエネルギー依存、便利さ要求を拡大し続ければその限りでない。「欲を少なくし、足るを知り、質素でも心豊かな生活を求める」価値観への転換も重要である。

・エネルギーの開発より今の 1/10 のエネルギーで働く装置の開発を!

◆近年の科学技術は、省エネルギー機器の開発を可能にしている。例えば、1948年に発見されたトランジスターは、真空管とは比較のしようもないないほど小さな電力で真空管と同じ機能を発揮する。もし、真空管で携帯電話を働かせようとすれば、ナイヤガラ瀑布の水を全て使っても、発熱を冷却しきれないであろう。また、近年普及が進んでいるLEDは。蛍光灯の1/10の電力で、蛍光灯と同等の明るさを与える。さらに、軽くて丈夫な素材(炭素繊維、軽金属、有機材料)の開発も進み、軽量で燃費の少ない車、航空機の製造を可能にしている。

◆原発に費やす人材、資金、時間を省エネ機器の開発に回せば、エネルギー使用量の削減は可能になろう。

・貴重な資源とエネルギーの投棄を見直そう!

◆50年前には、少なくとも田舎では、ゴミ収集車は来なかったが、現在は、膨大な量のゴミが焼却され、埋め立てられている。現在、日本での食べ残し食料は、1日800万食と言われる。一方、明治以来、水洗便所の普及率が文明の尺度と勘違いされ、水洗トイレによってし尿が垂流されている。しかし、ごみ、食べ残し食料、し尿は、貴重な資源である。

◆とくに、し尿は、臭いと寄生虫がなければ、立派な肥料(窒素、リン酸源)である(リンは、細胞膜を構成するなど、生体に不可欠の成分であるから肥料として植物に与える)。今、世界のリン鉱石が枯渇しかかっている。し尿の垂れ流しを止めて有効利用しなければならない。

・修理より買った方が安い社会構造の見直しを!

◆現在、修理を依頼しても、「修理できない」、「買い替えた方が安い」と断られることが大抵である。そのため、ゴミとして廃棄される。エネルギーの無駄使いでもある。

・エネルギー投入型生産の見直しを!

◆戦前までのように、人力を主体とし、化学肥料、農薬を使わない農業をやれば、現在の1/10 程度のエネルギーで米や野菜を生産できるという。難点も多々あろうが、見直すこともできると考えられる。

3.少し待てばエネルギー増産は不要になる

◆現在は増加している世界の人口は50年以内に減少に転じ、エネルギー使用量も減少する。一方、省エネ機器の開発、水力・火力・その他の発電法の効率化と新発電法の開発、大容量蓄電法の開発なども進み、エネルギー生産を減少させても何の支障もない時代が到来すると予想される。ましてや、負の側面しか持たない原発など不要となり、原発を利用した過去を後悔することになろう。なお、原発はなくても、そのような時代を待つに十分なエネルギー源は十分存在する。石油は200年、石炭は1000年以上現在のペースで使い続けても枯渇しないといわれている。太陽光、風力、波動、地熱、天然ガス、メタンハイドレート、オイルシェールなどもある。

福島原発事故以降の経験は、原発はなくても電気は足りること、節電は大きな困難もなく実行できることを実証しました。また、覚悟して備えていれば停電も怖くないことも体験しました。人類の手におえない原発を動かす必要はありません。


2月25日(日)~26日(月)
大飯原発うごかすな!
若狭湾岸一斉チラシ配布(拡大アメーバデモ)

関電原子力事業本部へのデモと申し入れ、原子力規制事務所への申し入れ

主催:大飯原発うごかすな!実行委員会

呼びかけ:オール福井反原発連絡会、若狭の原発を考える会、ふるさと守る高浜・おおいの会

連絡先:木原(090-1965-7102:若狭の原発を考える会)、宮下(090-2741—7128:原子力発電に反対する福井県民会議)
ご参加、ご支援、カンパをお願いします。
(カンパ郵便振込先;加入者名:若狭の原発を考える会;口座記号・番号:00930‐9‐313644:お振込みにあたっては、通信欄に「若狭湾岸一斉チラシ配りへのカンパ」とお書きください。


2018年1月26日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆原発はなぜ人類の手におえないのか

【2017年10月9日,京都キンカンで配付。】

原発再稼働を阻止し、原発を全廃するためにもう一度考える

◆関電や政府は、大飯原発3、4号機の3、5月再稼働を企み、老朽高浜原発1、2号機、美浜3号機の再稼働も画策しています。一方、原子力規制委員会は、福島原発事故の収束も見通せないにもかかわらず、東電柏崎・刈羽原発の「新規制基準」適合を発表しました(12月27日)。「新規制基準」は、福島原発事故から2年半もたたない2013年7月に施行されたものです。事故炉の内部の詳細は今でも分かっていないにもかかわらず、福島事故に学んで作成したとしているように、科学的根拠の極めて薄いものです。前規制委員長も繰り返し述べたように、安全を保障するものではありません。

◆原発を現代科学技術で制御し難いことは、福島事故の悲惨さと事故処理の困難さが教えるところです。また、事故後の経験は、原発はなくても、何の支障もないことを明らかにしています。それでも、政府や電力会社は、原発再稼働の動きを活発化させようとしています。

◆ここで、原発が人類と共存できない理由を再確認し、再稼働阻止、原発全廃の断固とした運動を構築するための一助にしたいと考えます。

【1】核反応エネルギーは化学反応エネルギーの数百万倍

◆私たち人類を取り巻く環境は、化学結合で成り立っています。化学結合の切断、生成(これを化学反応という)で得られるエネルギー(すなわち化学反応エネルギー)は、エレクトロンボルト(eV)と呼ばれる単位で評価されます。このeVの世界で得られる温度は、精々数1000℃です。生体内での化学結合はさらに弱く、生体内化学反応の多くは0.1 eV 以下のエネルギーのやり取りで進行します。すなわち、100℃までの世界で、100℃を越えて生きる生物は稀です。

◆一方、原発内などで生じる核反応では、ミリオンエレクトロンボルト(MeV:M=100万)のエネルギーが得られます。このMeVの世界では、理論的には、数億度℃以上の温度が得られます。換言すれば、核反応1反応によって100万に近い化学反応が生じる(結合が切断される)ことになり、核反応によって化学反応が爆発的に起こることになります。このことは、核反応を化学反応によって制御することができないことを示します。なお、体内に取り込まれた放射性物質から出る放射線による内部被曝では、1核反応によって1000万に近い体内の化学結合が切断されます(実際には、核反応エネギーの一部しか結合切断に使われないので、もっと少ない)。

◆以上のように、化学反応エネルギーの数百万倍もの大きさの核反応エネルギーを、化学結合でできた材料によって閉じ込めて置くことは極めて困難です。したがって、原子炉は大量な水で冷やし続けなければならず、水がなくなると、あっという間に大惨事になります。原発の重大事故時には、膨大なエネルギーに起因する熱(核反応熱;核分裂で出る熱、崩壊熱;放射線を出して別の物質に変わるときに出る熱)によって核燃料や被覆材などの原子炉材料が溶融し、水素ガスの発生・ 爆発あるいは水蒸気爆発(高温での水の爆発的蒸発)を引き起こし、メルトダウン、メルトスルーにつながります。化学反応エネルギーでは、このような事態にはなりません。

【2】原発は事故を起こし易く、被害は広域・長期に及び、事故収束は困難

・大惨事は瞬時に進行する

◆前述のように、核反応エネルギーは膨大ですから、原発で冷却水が途絶えると、瞬時に(火災などとは比較にならない速度で)材料の熱融解、水素ガスの発生・爆発あるいは水蒸気爆発を引き起こします。

◆そのように瞬時に進行する事故への対応は至難で、進み始めた事故を止めることは極めて困難です。いわゆる「人為ミス」は避けえません。例えば、海水の原子炉への大量注入は何千億円もする原子炉を使用不能にしますが、重大事故に際して、海水を大量注入してメルトダウンを防ぐ判断を、会社の上層部や政府に仰いでいる暇はありません。事態を把握し、議論している間に、原子炉が深刻で取り返しのつかない状況になります。なお、今までの全ての重大事故では、事故を深刻でないとする判断(願望も含めて)を行い(例えば、計器の指示ミスと判断)、事態をより深刻にしています。

・事故炉は容易に再臨界に達する

◆原発重大事故でメルトダウンした核燃料(デブリ:debris:破片、堆積物の意)は、分散していれば、核分裂反応を起こしませんが、冷却水が途絶えると、崩壊熱で燃料が溶融・集合し、核分裂連鎖反応を開始します(再臨界に達する)。したがって、デブリは、取り出しまで長期間冷却し続けなければなりません。

・原発重大事故は、原爆とは比較にならない量の放射性物質を放出する

◆原爆は、瞬時の核分裂によって放射性物質(死の灰)を放出します。一方、原子炉内には、数年にもおよぶ長期の核分裂反応によって生成した放射性物質が蓄積していて、原発重大事故では、それが放出されます。例えば、100 万kWの原子炉を1年間運転したときの生成放射性物質量は約 1 t(トン)で、広島原爆がばらまいた放射性物質量750 gの約1,300倍です。原発事故で放出された放射性物質を完全回収できるほど現在科学は進歩していないことは、福島事故の経験が教えるところです。結局は、海洋や大気へ垂れ流され、地球全体を汚染させます。

・原発の重大事故の被害は広域におよぶ
(火災が10 km 先に飛火することは無い)

◆原発重大事故によって放出された放射性物質は、事故炉近辺を汚染させるだけでなく、風によって運ばれた後、雨によって降下しますから、汚染地域は極めて広範囲に広がります。福島事故でも、約50 km 離れた飯舘村も全村避難になり、約200 km 離れた東京や千葉にも高濃度の放射性物質が降下しました。チェルノブイリ事故では、日本でも放射性物質が検出されました。海に流出した放射性物質は海流に乗って広範囲の海域を汚染します。福島の放射性物質はアメリカ西海岸にも到達します。避難計画や原発稼働への同意などでは、30 km圏(UPZ)内が対象とされますが、被害は30 kmをはるかに超えて広域におよびます。

◆若狭の原発の重大事故では、関西はもとより、中部、関東も高濃度の放射性物質で汚染される可能性があります。京都駅、大津駅は高浜原発、大飯原発から60数km、大阪駅は80数kmの位置にあります。250万人が住む京都府、150万人が住む滋賀県などのほぼ全域が100 km 圏内にあり、この全域が避難対象になっても、避難は不可能であることは自明です。琵琶湖の汚染は、1,450万人の飲用水を奪います。原発からの汚染水は日本海にたれ流されますが、日本海は太平洋に比べて比較にならないほど狭い閉鎖海域ですから、高濃度に汚染されます。美しい海岸線を持ち、漁獲豊かな若狭湾の汚染はさらに深刻です。

・放射性物質による被害は長期におよぶ

◆火事は長くても数十日で消火できますが、放射性物質は、半減期に従って消滅する[放射線を出して他の物質(核種)に変わる]まで、放射線とそれによる熱を発生し続けます。代表的な放射性物質の半減期は、プルトニウム239で2万4千年、ネプツニウム237で214万年、セシウム137で30.7年、ストロンチウム90で28.8年、ヨウ素131で 8.02 日です。

◆放射性物質は、1半減期で1/2に、半減期の10倍で約1/1000、13.3倍で約1/10000、20倍で約1/100万に減少します。例えば、プルトニウム239を1/10000に減少させるには約32万年かかります。それでも、安全なレベルになるとは限りません。

◆なお、半減期の短い物質は早く崩壊しますから、物質の量が同じであれば、時間当たりにすれば、多くの放射線を出します。

・原発事故の収束には、途方もない時間を要する

◆放射性物質は長期にわたって放射線を出し続けますから、高放射線のために事故炉の廃炉は困難を極めます。また、放射線による熱発生のため、冷却水が途絶えると、核燃料が再溶融し、再び核分裂を始める可能性もあり、長期間冷却水を供給し続けなければなりません。福島原発では、事故から7年近く経っても、溶け落ちた燃料の位置も一部しか分かっていません。完全廃炉には、50年以上を要するとの見解もあります。

◆放射性物質による被害は長期におよびますから、原発事故では長期の避難を強いられ、住民は故郷を奪われ、家族のきずなを断たれ、発癌の不安にさいなまれます。通常の災害では、5年も経てば、復興の目途はある程度立ちますが、原発事故は、生活再建の希望も奪い去ります。福島事故では、4年経った2015年から、絶望のために自ら命を絶たれる避難者が急増していると報道されています。

【3】原発は、長期保管を要する使用済核燃料、放射性廃棄物を残す

◆原発を運転すると、核燃料の中に運転に不都合な各種の核分裂生成物が生成します(中性子を吸収する中性子毒核種など)。したがって、核燃料を永久に使用することは出来ず、一定期間燃焼させると、核分裂性のウランやプルトニウムは十分残っていても、新燃料と交換せざるを得なくなり、そのため、使用済み核燃料がたまります。現在、日本には使用済み核燃料が17,000トン以上たまり、原発の燃料プールや再処理工場の保管場所を合計した貯蔵容量の73%が埋まっています。原発が順次再稼働した場合、数年後には満杯になります。なお、混合酸化物(MOX)燃料が使用済み燃料となったとき、放射線と発熱量の減衰速度は、ウラン燃料の4倍程度遅く、そのため、4倍以上長く水冷保管しなければなりません。

◆国の計画では、全国の使用済み核燃料は、使用済み核燃料プールで冷却した後、六ケ所村の再処理工場に輸送して、再処理して、ウラン、プルトニウムを取り出し、再利用することになっていました。しかし、再処理工場の建設はトラブル続きで、すでに2兆2千億円をつぎ込んだにもかかわらず、完成の目途(めど)は立っていません。1,300 kmもの配管を持ち、危険極まりないこの工場の運転は不可能と言われています。もし、再処理できたとしても、膨大な放射性物質を含み、長期保管を要する高レベル放射性廃液が多量に生まれます。これを、ガラス物質と混合して、ガラス固化体として、地下に保管する研究も進められていますが、何千年以上も安定で、放射性物質が溶出しないガラス固化体はありません。

◆使用済み核燃料を、使用済み核燃料プールで、一定期間(5年程度)冷却した後、再処理せずに、そのまま空冷保管する方が、再処理するよりは安全と考えられますが、それでも、何万年以上の安全保管は至難です。

◆福井県にある原発13基が持つ使用済み核燃料貯蔵施設の容量は5,290トンで、その7割近くがすでに埋まっています。高浜、大飯、美浜の原発が再稼働されれば、7年程度で貯蔵限度を超え、原発の稼働は出来なくなります。

◆なお、使用済み核燃料貯蔵プールは脆弱(ぜいじゃく)で、冷却水を喪失し、メルトダウンする危険性が高いことは、福島第1原発4号機の燃料プールから冷却水が漏れ、核燃料溶融の危機にあった事実からでも明らかです。

◆一方、日本には、低レベルおよび高レベル放射性廃棄物が200リットルドラム缶にしてそれぞれ約120万本および約1万本蓄積されていますが、その処分は極めて困難で、永久貯蔵はおろか中間貯蔵を引き受ける所もありません。

◆数万年を超える保管を要する使用済み核燃料、放射性廃棄物の蓄積の面からも、原発は全廃しなければなりません。放射性物質を消滅させるに有効な方法はありません。

【4】原子燃料は無尽蔵で、燃料枯渇が原発廃止の理由にならないから厄介

◆地球表面の土壌中のウランの平均濃度は1 ppm (ppm;100万分の1) と言われています。土壌 1 t に 1 gのウランが存在します。富鉱では、0.3~0.7% すなわち岩石1 t に 3~7 kgのウランが存在します。したがって、原子燃料は多量に存在すると言えます。ただし、ウラン[238U(約99.3%)、 235U(約0.7%)]を核燃料として使用するには、膨大な費用を要する235Uの濃縮が必要です。

◆一方、原子炉を運転すれば、核燃料であるプルトニウム生成します。このプルトニウムの化学的性質は、他の元素とかなり異なりますので、プルトニウムを取り出すことは、ウラン濃縮よりは簡単で、安上がりです。

◆もちろん、高放射線下でのプルトニウム取り出し作業(再処理)が困難なことは、前述のとおりですが、もし、再処理が可能が可能になれば、原理的には、核燃料を無尽蔵に取出せることになります。したがって、政府、財界、電力は、ウラン燃料炉よりさらに運転が難しく厄介であるにもかかわらず、プルサーマル炉を求めているのです。また、そのために、プルトニウムを作り、取り出す高速増殖炉と再処理工場が必要と考えているのです。[化学、化学工学は、高速増殖炉、再処理工場を操業できるほど発達していない!]

◆エネルギーは麻薬のようなものですから、それを欲する限り、麻薬の製造装置である原発から脱却できないだけでなく、上限なしに原発を増設することになりますから、厄介です。この意味で、原発製造企業=麻薬生産者、電力会社=麻薬の売人、原発賛成の人=麻薬患者といえます。

福島原発事故以降の経験は、
原発はなくても電気は足りることを実証しました。
人類の手におえない原発を動かす必要はありません。


2月25日(日)~26日(月)
大飯原発うごかすな!若狭湾岸一斉チラシ配布
(拡大アメーバデモ)

関電原子力事業本部へのデモと申し入れ、原子力規制事務所への申し入れ

ご参加、ご支援、カンパをお願いします。

・主催:大飯原発うごかすな!実行委員会
・呼びかけ:オール福井反原発連絡会、若狭の原発を考える会、ふるさと守る高浜・おおいの会
・連絡先:木原(090-1965-7102:若狭の原発を考える会)、宮下(090-2741—7128:原子力発電に反対する福井県民会議)


2018年1月12日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆2018年を原発のない社会創り元年に!

【2018年1月5日,京都キンカンで配付。】

◆新年おめでとうございます。今年が、原発と決別し、過剰なエネルギー消費、物質浪費社会を根底から問い直す年になることを願っています。

◆昨年12月には、嬉しいことが2つありました。

◆第一は、13日の広島高裁での伊方原発運転差止め決定です。この決定は、3.11福島原発事故の大惨事の尊い犠牲の上に、形成された脱原発、反原発の圧倒的民意を反映したものであり、脱原発、反原発の粘り強い闘いの成果です。

◆第二は、関電が、2019年3月と12月に40年越えとなる老朽大飯原発1、2号機の廃炉を発表せざるを得なかったことです(12月21日)。2千億円を超えると言われる安全対策費がこの決断をうながしたことは明らかです。これは、福島事故の大きな犠牲とその後の大衆運動、裁判闘争の高揚によって、安全対策をないがしろにできなくなったためであり、大衆運動、裁判闘争の成果ともいえます。(ただし、喜んでばかりはいられません。関電や政府は、これと引き換えに、原発新設を狙う可能性もあります。注視が必要です。)

◆今年は、脱原発、反原発運動をさらに高揚させ、原発のない社会を展望しましょう!

大飯原発3、4号機再稼働阻止を突破口に、
原発全廃を勝ち取ろう!

 関電や政府は、大飯原発3、4号機の3、5月再稼働を企み、「原発銀座・若狭」の復活を狙っています。若狭の原発には、他の原発に比べて次のような特殊事情があり、福島原発事故以上の被害をもたらす重大事故の可能性が高いと考えられます。
(以下は、昨年5月配布のチラシを改定したものですが、再稼働阻止闘争のさらなる高揚のために再録します。)

若狭の原発が持つ特殊な問題

【1】若狭には原発13 基、「もんじゅ」、「ふげん」が集中

・重大事故の場合、1基に留まらない

◆高浜原発、大飯原発は同じ敷地内に各々4基、美浜原発、敦賀原発、廃炉決定の「もんじゅ」、廃炉中の「ふげん」は近接していて、合計7基の原子炉があります。このように原子炉が近接しているとき、1基が重大事故を起こせば、隣の原発にも近寄れなくなり、多数の原子炉の重大事故に発展しかねないことは、3基がメルトダウンし、3基が水素爆発した福島原発事故が教えるところです。

◆なお、高浜原発が地震や津波に襲われれば、14 km 弱の至近距離にあり、高浜原発と同様に若狭湾に面している大飯原発も同じ被害を被ることは容易に想定できます。

・原発依存度が高く、広域の自治体が原発を推進;脱原発、反原発の声を上げ難い

◆例えば、川内原発では、原発推進の立場をとるのは原発立地の薩摩川内市のみであり、隣接するいちき串木野市、阿久根市、出水市、日置市、さつま町などは、再稼働への地元同意の対象外とされたことへの不満と再稼働への異議は多数です。いちき串木野市での緊急署名では、再稼働反対が市民の過半数を越えました。

◆しかし、若狭ではこの地域の1市、3町が原発立地で、原発推進の立場に立っています。これらの自治体の原発依存度は、薩摩川内市に比べても圧倒的に高く、そのため、脱原発、反原発の声を上げ難いと考えられます。ただし、次のように、若狭でも、顕在化はしていないけれども、脱原発、反原発を望む声は極めて多く、とくに、老朽原発運転反対は大多数です。


コラム「若狭の原発を考える会」の経験から

◆「若狭の原発を考える会」は、アメーバデモと称する行動を、毎月2回(1回2日間)行っています。関西や福井から原発立地の若狭あるいは原発周辺の東舞鶴(京都府)、高島市(滋賀県)に集まり、3~5人が一組になり、徒歩で、鳴り物を鳴らしながら、また、「反原発」の旗を掲げ、肩にかけたスピーカーで呼びかけながら、全ての集落の隅から隅まで、チラシを配り歩く行動です。普通は、2グループ程度ですが、多いときには、全国からの応援を得て、10グループ以上になることもあります。

◆「若狭の原発を考える会」は、アメーバデモを3年以上継続し、お会いした住民1000人以上から、直接お話をうかがってきましたが、その中でも、「原発はいやだ」の声が圧倒的に多数であり、原発推進の声はほとんど聞かれていません。原発立地でも、表には表れていないけれども、脱原発、反原発が多数の願いであり、民意なのです。


【2】100 km 圏内に1千万人以上が住む;避難は全く不可能:1,450 万人の水源がある

◆高浜原発や大飯原発から50 km圏内には、京都市、福知山市、高島市の多くの部分が含まれ、100 km圏内には、京都府(人口約250万人)、滋賀県(人口約140万人)のほぼ全域、大阪駅、神戸駅を含む大阪府、兵庫県のかなりの部分が含まれます。このことと、福島原発から約50 km離れた飯舘村が全村避難であったことを考え合わせれば、若狭の原発で重大事故が起こったとき、500万人以上が避難対象となる可能性があり、避難は不可能です。

◆しかし、政府や自治体が行う避難訓練では、そのことが全く考えられていません。この圏内には琵琶湖があり、1,450万人の飲用水の汚染も深刻な問題です。

◆さらに、避難訓練には、原発事故での避難は極めて長期に及ぶ(あるいは永遠に帰還できない)という視点がありません。福島およびチェルノブイリの事故では、今でも避難された10数万人の大半が故郷を失ったままです。

◆1昨年8月27日に高浜原発から30 km圏の住民179,400人を対象にして行われた避難訓練は、最大規模と言われながら、参加者数は屋内退避を含めて7,100人余りで、車両などでの避難に参加したのはわずか約1,250人でした。それも県外への避難は約240人に留まりました。この規模は、重大事故時の避難の規模とはかけ離れた小ささです。

◆車道などが使用不能になったことを想定して、自衛隊の大型ヘリによる輸送訓練も予定されていましたが、強風のために中止されました。また、悪天候のために、船による訓練は全て中止されました。老人ホームなどへの事故に関する電話連絡は行われましたが、実際行動の必要はないとされました。

【3】高浜、大飯、美浜原発は加圧水型(PWR):沸騰水型(BWR)より安全とは言えない

◆原子力規制委員会や政府は、加圧水型原子炉(PWR)は、沸騰水型原子炉(BWR)より安全であるとして、PWRである川内、高浜、大飯、伊方、泊などの原発の再稼働を先行させようとしていますが、これは、「事故を起こした福島原発とは型が異なるから安全」とする国民だましです。以下に述べますように、過酷事故はBWRよりPWRの方が起こりやすく、起こると急激です。

スリーマイル島(TMI)原発事故が教えるPWRの危険性

◆福島原発事故の32年前(1979年)に炉心溶融事故を起こしたTMI原発はPWRでした。

◆高浜原発(PWR)の炉内圧力は約150気圧で、福島原発(BWR)の約70気圧の倍であり、配管が破断したとき、噴出する冷却水の量と勢いは格段に大です。出力密度がBWRの約2倍で、それだけPWRの方が炉心溶融しやすく、事故発生から炉心溶融まで、PWRでは1時間程度(TMIの例)、BWRでは5~12時間(福島事故の例)と推定されます。

◆PWRの方が、中性子照射量が多いため、材料の照射劣化がより早く進行します。加圧熱衝撃を受けると、高圧と相まって、原子炉容器の破裂事故(最悪の事故)を招きかねません。この危険性は、中性子などの放射線照射量に応じて大きくなるため、原発老朽化は大問題です。なお、高浜1号機は43年、2号機は42年、3号機は33年、4号機は32年、大飯1号機(廃炉決定)は39年、2号機(廃炉決定)は38年、3号機は36年、美浜3号機は42年を経過した、何れも老朽原発です。

◆過酷事故時の挙動が福島原発より複雑です。例えば、PWRでは、運転中に生成したプルトニウムの偏りが起こり易く、炉内での核分裂挙動が複雑となり、進行している事態の評価や判断を誤らせる一因となります。

◆PWRでは、格納容器内でも水素爆発が起きます。BWRでは格納容器内に窒素を充填しているため、格納容器内では水素爆発は起こりません(福島事故での水素爆発は全て格納容器外)。

【4】ウラン―プルトニウム混合酸化物(MOX)燃料プルサーマル炉・ 高浜3、4号機

◆既存原発のプルサーマル化では、元々ウラン燃料を前提とした軽水炉のウラン燃料の一部をMOX燃料で置き換えて運転するので、技術的な課題が山積です(全MOX炉も制御困難)。なお、原子力規制委員会審査における重大事故対策の有効性評価の解析対象は、ウラン炉心のみであり、MOX炉心については何ら評価されていません。過酷事故を起こしたときには、猛毒のプルトニウムや超プルトニウム元素が飛散して、深刻な内部被ばくを起こす危険性も大です。

重大事故の確率が大きい

◆燃料被覆管破損の危険性が大です。例えば、MOX燃料中に酸素と結合し難い白金族元素が生成しやすく、余剰酸素が被覆管を腐食します。また、核分裂生成物ガスとヘリウムの放出が多く、燃料棒内の圧力が高くなり、被覆管を破損させかねません。

◆核燃料の不均質化(プルトニウムスポット)が起こりやすく、燃料溶融の原因になります。

◆ウラン燃料と比べて燃焼中に核燃料の高次化(ウランより重い元素の生成)が進みやすく、特に中性子吸収確率の大きいアメリシウム等が生成しやすくなります。核燃料の高次化が進むと、原子炉の運転や停止を行う制御棒やホウ酸の効きが低下します。さらに進むと、核分裂反応が阻害され、臨界に達しなくなり、核燃料として使用できなくなります。

◆中性子束(密度)が大きく、高出力ですから、MOX燃料装荷によって 運転の過渡時(出力の増減時)に炉の制御性が低下します。(1/3程度しかMOX燃料を装荷できない。)

◆一部の燃料棒のみをMOX燃料にすると、発熱量にムラが生じます。温度の不均衡が進行すると、高温部の燃料棒が破損しやすくなります。

使用済みMOX燃料の発熱量は、ウラン燃料に比べて、下がり難い:長期の水冷保管が必要

◆発熱量が下がり難いため、長期にわたってプール内で水冷保管しなければ(使用済みウラン燃料の4倍以上)、空冷保管が可能な状態にはなりません。使用済み燃料保管プールが、脆弱で、冷却水を喪失しやすいことは、福島原発4号機のプールが倒壊寸前であった事実からも明らかです。

◆取り出し後50年~300年の使用済みMOX燃料の発熱量は、使用済みウラン燃料の発熱量の3~5倍です。

◆使用済みMOX燃料の発熱量を、50年後の使用済みウラン燃料の発熱量レベルに下げるには300年以上を要します。

MOX燃料にするためには、使用済み燃料再処理が必須

◆再処理を行うと、使用済み燃料をそのまま保管する場合に比べて、事故、廃棄物など全ての点で危険度と経費が膨大に増えます。(再処理費までMOX燃料の製造コストの一部と看做すと、MOX燃料の使用は経済的にも引き合わない。)

【5】関電や政府は、40年越え老朽原発・高浜1,2号機、美浜3号機の再稼働も企む

◆原発は事故の確率が高い装置ですが、老朽化すると、重大事故の確率が急増します。次のような理由によります。

◆高温、高圧、高放射線に長年さらされた圧力容器、配管等の脆化(ぜいか:もろくなること)、腐食は深刻です。中でも、交換することが出来ない圧力容器の脆化(下記注を参照)は深刻です。電気配線の老朽化も問題です。

◆建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当と考えられる部分は多数ありますが、全てが見直され、改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物、配管の中で交換不可能なもの(圧力容器など)です。最近は、安全系と一般系のケーブルの分離敷設の不徹底なども指摘されています。

◆建設当時の記録(図面など)が散逸している可能性があり、メンテナンスに支障となります。

◆建設当時を知っている技術者は殆どいないので、非常時、事故時の対応に困難を生じます。

◆とくに、ウラン燃料対応の老朽原発でMOX燃料を使用することは、炉の構造上、大きな問題です。


(注)老朽原発圧力容器の脆性破壊
原子炉本体である圧力容器は鋼鉄で出来ていて、運転中は、約320℃、約150気圧の環境で中性子などの放射線に曝(さら)されています。この鋼鉄は、高温では、ある程度の軟らかさを持っていますが、温度が下がると、ガラスのように硬く、脆(もろ)くなります。圧力容器は原子炉運転期間が長くなると、硬化温度(脆性=ぜいせい=遷移温度)が上昇します。例えば、初期には‐16℃で硬くなった鋼鉄も、1年、18年、34年と炉内に置くとそれぞれ35℃、56℃、98℃で、40年を超えると100℃以上で硬化するようになり、脆くなります。原子炉が、緊急事態に陥ったとき、冷却水で急冷すると、圧力容器が脆化していれば、破裂する危険があります。初期(未照射)の鋼鉄は、水冷では破壊されません。とくに、不純物である銅やリンの含有量が多い鋼鉄で出来た老朽圧力容器の脆化(ぜいか)は著しいと言われています。


福島原発事故以降の経験は、
原発はなくても電気は足りることを実証しました。
重大事故を起こしかねない原発を動かす必要はありません。
原発の稼働は、電力会社の金儲けのためです。

原子力防災とは、避難計画ではありません。
不可能な避難を考えるより、
事故の原因=原発を廃止することが原子力防災です。
原発全廃こそ原子力防災です。

重大事故が起こってからでは遅すぎます。
原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!

2018年1月5日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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