◆大飯原発うごかすな!原発に頼らない社会をつくろう

【2018年2月25~26日,若狭湾岸一斉配布。】

◆原発は、事故の多さ、事故被害の深刻さ、使用済み燃料の保管や処理の困難さなど、あらゆる視点から、人類の手におえる装置ではありません。一方、福島原発事故以降の経験は、原発はなくても、電気は足り、何の支障もないことを教えています。そのため、ほとんどの世論調査でも、原発反対は賛成の2倍以上となっています。脱原発、反原発が人々の願い・民意なのです。

◆それでも、関西電力(関電)は、前原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と繰り返す“新規制基準”への適合を拠り所にして、高浜原発3,4号機を再稼働させました。また、来る3月、5月には、大飯原発3,4号機の再稼働を狙っています。関電の利益のために、民意を蹂躙し、人の命と尊厳をないがしろにするものです。許されるものではありません。

◆以下、原発を現代科学技術で安全に制御できない理由、とくに脆弱(ぜいじゃく)な使用済み核燃料プールの危険性、“新規制基準”の問題点を考え、原発が人類の手におえない装置であることを再確認したいと考えます。

【1】原発の安全確保は、最新の科学技術でも困難です

◆私たち人類を取り巻く環境は、化学反応で維持されています。化学反応ではエネルギーがやり取りされますが、この化学反応(例えば、石油の燃焼)のエネルギーを使って得られる温度は精々数1000℃です。一方、原発内で生じる核反応では、化学反応の100万倍ものエネルギーが放出され、数億度℃以上の温度が得られます。言い換えれば、核反応1反応によって100万に近い化学反応が爆発的に起こることになります。膨大なエネルギーを放出する核反応を化学結合でできた材料によって閉じ込めておくことは極めて困難であることは明らかです。

・原発は事故を起こし易く、被害は広域・長期に及び、事故収束は困難・大惨事は瞬時に進行する

◆核反応エネルギーは膨大ですから、原子炉は大量な水で冷やし続けなければならず、水がなくなると、瞬時に大惨事になります。原発の重大事故時には、膨大な核反応エネルギーに起因する熱によって、核燃料や被覆材などの原子炉材料が溶融し、水素ガスの発生・爆発あるいは水蒸気爆発(水の爆発的蒸発)が引き起こされ、メルトダウン、メルトスルーにつながります。

◆そのように瞬時に進行する事故への対応は至難で、進み始めた事故を止めることは困難です。例えば、重大事故に際して、海水を大量注入してメルトダウンを防ぐ判断を、会社の上層部や政府に仰いでいる暇はありません(海水の原子炉への大量注入は何千億円もする原子炉を使用不能にしますから、現場でその決断はできません)。事態を把握し、議論している間に、原子炉が深刻で取り返しのつかない状況になります。なお、今までの全ての重大事故では、事故を深刻でないとする判断(願望も含めて)を行い(例えば、計器の指示ミスと判断)、事態をより深刻にしています。

・原発重大事故は、原爆とは比較にならない量の放射性物質を放出する

◆原爆は、一瞬の核分裂で生成した放射性物質(死の灰)が放出されます。一方、原子炉内には、数年にもおよぶ長期の核分裂反応で生成した放射性物質が蓄積していて、原発重大事故では、それが放出されます。例えば、100 万キロワットの原子炉を1年間運転したときの生成放射性物質量は約 1トンで、広島原爆でばらまかれた放射性物質量750 グラムの約1,300倍です。放出された放射性物質を完全回収できるほど現在科学技術は進歩していないことは、福島事故の経験が教えるところです。

・原発の重大事故の被害は広域におよぶ(火災が10 km 先に飛火することは無い)

◆原発重大事故によって放出された放射性物質は、事故炉近辺を汚染させるだけでなく、風で運ばれた後、雨で降下しますから、汚染地域は極めて広範囲に広がります。福島事故でも、約50 km 離れた飯舘村も全村避難になり、約200 km 離れた東京や千葉にも高濃度の放射性物質が降下しました。海に流出した放射性物質は海流に乗って広範囲の海域を汚染します。避難計画や原発稼働への同意などでは、30 km圏(UPZ)内が対象とされますが、被害は30 kmをはるかに超えて広域におよびます。

◆若狭の原発の重大事故では、関西はもとより、中部、関東も高濃度の放射性物質で汚染される可能性があります。京都駅、大津駅は高浜原発、大飯原発から60数km、大阪駅は80数kmの位置にあります。250万人が住む京都府、150万人が住む滋賀県のほぼ全域が100 km 圏内にあり、この全域からの避難が不可能であることは自明です。琵琶湖の汚染は、1,450万人の飲用水を奪います。原発からの汚染水は日本海にたれ流されますが、日本海は太平洋に比べて比較にならないほど狭い閉鎖海域ですから、高濃度に汚染されます。美しい海岸線を持ち、漁獲豊かな若狭湾の汚染はさらに深刻です。

・放射性物質による被害は長期におよぶ

◆火事は長くても数十日で消火できますが、放射性物質は、半減期(半分になるまでの時間)に従って消滅するまで、放射線とそれによる熱を発生し続けます。例えば、半減期2万4千年のプルトニウムを1/10000に減少させるには約32万年かかります。それでも、安全なレベルになるとは限りません。

・原発事故の収束には、途方もない時間を要する;住民は故郷を奪われる

◆放射性物質は長期にわたって放射線を出し続けますから、事故炉の廃炉は困難を極めます。また、放射線による熱発生のため、冷却水が途絶えると、核燃料が再溶融し、再び核分裂を始める可能性もあり、長期間冷却水を供給し続けなければなりません。福島原発事故炉の完全廃炉には、50年以上を要するとの見解もあります。

◆原発事故では長期の避難を強いられ、住民は故郷を奪われ、家族のきずなを断たれ、発癌の不安にさいなまれます。通常の災害では、5年も経てば、ある程度、復興の目途が立ちますが、原発事故は、生活再建の希望も奪い去ります。福島事故では、4年経った2015年から、絶望のために自ら命を絶たれる避難者が急増していると報道されています。

【2】原発は、長期保管を要する使用済核燃料、放射性廃棄物を残す

◆原発を運転すると、核燃料の中に運転に不都合な各種の核分裂生成物(死の灰)が生成します。したがって、核燃料を永久に使用することは出来ず、一定期間燃焼させると、燃料となるウランやプルトニウムは十分残っていても、新燃料と交換せざるを得なくなり、そのため、使用済み核燃料がたまります。現在、日本には使用済み核燃料が17,000 トン以上たまり、原発の燃料プールや再処理工場の保管場所を合計した貯蔵容量の73%が埋まっています。原発が再稼働されれば、貯蔵限度を超え、原発の稼働は出来なくなります。

◆なお、混合酸化物(MOX)燃料が使用済み燃料となったとき、放射線と発熱量の減衰速度は、ウラン燃料の4倍程度遅く、4倍以上長く水冷保管しなければなりません。その点からも、MOX燃料は厄介です。

◆一方、日本には、低レベルおよび高レベル放射性廃棄物が200リットルドラム缶にしてそれぞれ約120万本および約1万本蓄積されていますが、その処分は極めて困難で、永久貯蔵はおろか中間貯蔵を引き受ける所もありません。

◆数万年を超える保管を要する使用済み核燃料、放射性廃棄物の蓄積の面からも、原発は全廃しなければなりません。


福島原発事故以降の経験は、原発はなくても電気は足りることを実証しました。
重大事故を起こしかねない原発を動かす必要はありません。


【3】使用済み燃料プールが危ない

◆前述のように、使用済み燃料プールは満杯に近づいています。若狭の原発13基が持つ使用済み核燃料貯蔵施設でも、7割近くがすでに埋まっています。その使用済み燃料プールは、原子炉本体である圧力容器に比べて、圧倒的に脆弱です。

◆燃料プールは、原子炉の上部横に設置されていて、水で満たされています。原子炉圧力容器中の使用済み核燃料を燃料プールに移送するにあたっては、原子炉上部の原子炉ウエルと言われるプールに水を満たし、圧力容器の上蓋を空け、クレーンで圧力容器内の燃料棒を原子炉ウエルに釣り上げます。沸騰水型では、原子炉ウエルの水中を移動させて燃料棒を隣にあるプールに移動させ、プール内のラックと呼ぶ仕切りの中に納めます。加圧水型では、燃料棒を原子炉ウエル中で横にして、トンネルをくぐって燃料プールに移し、プールで直立させて、ラックに納めます。プール中の水は、冷却材の役目だけでなく、放射線遮蔽材の役目も果たし、その水深は燃料棒の上端から7~8 m 程度です。

・使用済み燃料プールの水が減少すれば、燃料溶融に至り、核爆発を起こす

◆鋼鉄ででき、高温高圧にも耐える圧力容器とは異なり、使用済み燃料プールには何の防御もないので、「むき出しの原子炉」とも考えられ、脆弱(ぜいじゃく)で、冷却水を喪失して、メルトダウンする危険性が大です。例えば、地震によって、燃料プールの水位が下がって、燃料が水から顔を出すと、水が沸騰し、無くなります。そうすると、ジルコニウム合金の燃料被覆管が燃え上がり、発生した水素が爆発します。燃料は溶融し、核爆発に至ります。直近にある原子炉本体も制御困難になります。

・福島第1原発4号機の燃料プールは、崩壊の危機にあった

◆福島原発事故当時、4号機の燃料プールには、使用済み核燃料1,535体が保管されていました。含まれる放射性物質の量は、事故で放出された放射性物質の量の27倍と推定されています。この4号機では、水素爆発のために、プールの下の支えが破壊され、プールは崩壊寸前でしたが、コンクリートで補強して危機を回避しました。当時、近藤俊介原子力委員長は、管直人首相に、プール崩壊による「首都圏壊滅」の最悪の事故シナリオを伝えていました。

・一刻も早く原発を全廃し、燃料プールを空にしよう!

◆人類は、原発を運転するという、大きな過(あやま)ちを犯してしまいました。この原発を全廃するには、生じた使用済み核燃料、放射性物質の処理と保管について、考えざるを得ません。これらを、盥(たらい)回しをしていても、原発廃炉は進みません。以下は、使用済み核燃料についての提案です。

① まず、原発の廃炉を決定し、危険極まりない使用済み燃料プールを一日も早く空にしましょう。満杯になったプールを空けて、新しい使用済み燃料の受け入れを可能にし、原発運転を継続しようとする策動を許してはなりません。

② 原発から取り出した使用済み核燃料は、耐震性、耐災害性を強化した使用済み燃料プールで一定期間保管して、放射線量、発熱量の減少を待ったのち、一刻も早く空冷保管可能な状態にしましょう。現在のプールでは、保管中に発生する大災害に耐えられません。少々改造しても、安全なプールの建設は不可能ですから、一刻も早くこれを空にし、使用済み核燃料をより安全性の高い空冷容器(キャスク)で乾式貯蔵しましょう。空冷保管法として、膨大な費用がかかっても、東京や大阪のような都市(原発電気の消費地)で保管しても不安が無いような、頑丈な方法を開発しましょう。

③ 危険極まりなく、放射性廃棄物を増やすだけの使用済み核燃料再処理は断念しましょう。再処理のように、それまで鞘(さや)に封じ込めていた使用済み核燃料を切断・溶解することは廃棄物を増やすだけです。また、再処理で出る高濃度放射性廃液はガラス固化することになっていますが、ガラス固化体は安全でもなく、廃棄物容量を膨大にするだけです。なお、将来、別の保管法が見つかったとき、放射性物質をガラス固化体から取り出して、新保管法を適用することは困難です。

【4】“新規制基準”に適合したからと言って原発は安全ではない

◆“新規制基準”、原子力規制委員会(規制委)審査は、次のように、原発の安全を保証するものではありません。

・福島原発事故の原因、知見、教訓に学んでいない“新規制基準”

◆福島原発事故で溶け落ちた原子炉は、高放射線で、内部の様子は事故から7年近く経った今でもほとんど分かっていません。したがって、福島事故が大惨事に至った真の原因が究明されたとは言えません。一方、汚染水はたれ流され続け、汚染土壌は、有効な除染法がないため、はぎ取ってフレコンバッグに袋詰めしているだけです。その袋も風化でボロボロになろうとしています。

◆このように、事故の収束の見通しも立たず、使用済み核燃料の処理処分法もなく、地震や火山噴火の発生時期や規模を予測することも不可能な状態が科学・技術の現状です。最新の科学・技術といえども原発の安全運転を保証するものでないことは明らかです。それでも、電力会社や政府は、福島事故から2年半もたたない2013年7月に施行された“新規制基準”を福島事故に学んで作った「安全基準」とし、“新規制基準”適合を拠り所にして、原発の再稼働を進めています。

・杜撰(ずさん)かつ非科学的な事故対策でも容認する規制委審査

◆関西電力は、重大事故対策の目玉として、原発重大事故で空気中へ飛散した放射性物質は放水銃で打落すといい、海へ流出した放射性物質は、吸着剤と吸着性シルト(沈泥)フェンスで食い止めるといいます。放水で放射性物質の拡散が防げるのはほんの一部であり、放水された水は結局汚染水になります。吸着剤とシルトフェンスだけで放射性物質を除去できるのなら、福島での放射性物質流出防止に適用すべきです。規制委の審査では、こういう子供だましの対策でも可と評価しています。

・住民避難計画は規制委審査の対象外:それでも規制委の審査結果が再稼働を左右する

◆原発事故時の避難計画について、規制委では審査せず、立地自治体や周辺自治体に丸投げしています。一方、自治体は、どこかでできたパターンに沿って避難計画を作成しています。そのため、避難計画では当該自治体の地理的、人的特殊性はほとんど考えられていません。しかも、自治体の作成した避難計画たるや、数日のピクニックにでも出かけるような計画であり、過酷事故では、永久に故郷を失うという危機感がありません。

◆また、避難地域は100 km 圏を超える広域に広がり、若狭の原発事故では、京都、大阪、滋賀の数100万人の住民避難の可能性もあるという認識がありません。さらに、避難指示解除に関して、住民の意向を聴きませんし、避難指示が解除されても、帰還先は高放射線量で(放射線量20ミリシーベルト/年で解除)、必要な生活基盤も整っていないこと、帰還後一定期間の後には賠償金や支援が打ち切られること、種々の事情で避難継続を選択すれば、賠償や支援はないこと、などの非人道性も念頭にありません。

【5】原発に頼らない社会を創りましょう!

◆「大飯原発うごかすな!」実行委員会を構成する団体は、福島原発事故以降、若狭やその周辺地域で、多くの住民の方々のご意見を直接うかがってきました。その中でも、「原発はいやだ」の声が圧倒的に多数であり、原発推進の声はほとんど聞かれていません。原発立地・若狭でも、表の声にはなっていないけれども、脱原発、反原発が民意なのです。今、原発を推進している人の多くまでもが脱原発時代は来ると考えています。関電も、昨12月に老朽大飯原発1、2号機の廃炉を決定しました。一方、原発の新設を企む議論は全くと言ってよいほどありません。したがって、原発のない時代は近いうちにやってきます。日本の原発の多くは老朽ですから、60年運転されたとしても、2030年には18機、2049年には0になります。

◆しかし、それを待っている間にも、老朽原発が重大事故を起こし大惨事になる可能性があります。事故が起こる前に、目先の便利さや経済的利益のためにのみ運転される原発を全廃し、人間の尊厳(人格権)を大切にし、地球に負の影響を与えない社会を考えましょう。

◆今、若者、ファミリー世代の農山漁村への移住希望が増え、30代女性の多くが「農山漁村での子育て」を志向しているといわれています。実際、都市から農山漁村への移住者は、2009年から2014年の5年間で4倍に増加したと報告されています。移住者の多くは、いわゆる6次産業[農業、漁業(1次産業)+産物の加工(2次産業)+産地直送販売(3次産業)]を生業(なりわい)としています。日本の食糧消費額は74兆円ですが、国内食用農水産物生産額は9兆円に過ぎず(現在自給率12%)、差の65兆円が6次産業の経済規模です。1%の移住者がいれば、地域が維持されるといわれます。

◆上記のように、農山漁村の魅力は再発見されつつあります。しかし、原発に依存する市町村がその対象にされることは難しいと考えられます。

◆若狭には、豊かな漁場と美しい海岸があり、第6次産業や観光に適した資源があります。例えば、これらの資源を生かした町づくりも考えられます。この他にも、様々な町おこし策があるはずです。原発は早晩なくなります。今から「原発に頼らない社会」を考えることは、現在に生きる私たちの未来に対する責務ではないでしょうか。


重大事故が起こってからでは遅すぎます。原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!
事故の原因=原発を廃止することこそ原子力防災です


2018年2月

大飯原発うごかすな!実行委員会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆原発、最近の出来事(本年1月~)

【2018年2月9日,京都キンカンで配付。】

◆安倍政権は、福島原発事故炉の内部の様子もほとんど分からず、汚染水は垂れ流され続けているにもかかわらず、福島事故は収束したかのように、世界をだまして、オリンピックに邁進し、福島の避難者に、高放射線で、インフラも整っていない故郷への帰還を強要しています。一方、脱原発・反原発の民意をないがしろにして、全国の原発を次々に再稼働させようとしています。経済的利益のために、人の命と尊厳を踏みにじるものです。

◆以下に、2018年になってから話題になった原発関連の出来事をまとめてみました(出来事の発生日順)。脱原発、反原発運動をさらに高揚させ、原発のない社会を展望する上で、参考になれば幸いです。

日立が進める英原発新設計画に官民で3兆円の融資方針

【1月3日報道】
◆日立製作所が英国で進める原発新設プロジェクトに、三菱東京UFJ、三井住友、みずほの3メガバンクと、国際協力銀行(JBIC)を含む銀行団が総額1.5兆円の融資を行う方針を固めた。事故などによる貸倒れに備えて、日本政府がメガバンクの融資の全額を債務保証する。政府系の日本政策投資銀行(政投銀)も出資を行い、中部電力などの電力各社も出資を検討している。総額3兆円規模に上る原発輸出を政府主導の「オールジャパン体制」で後押ししている。投融資の対象となるのは、日立の英国子会社が2020年に稼働を目指して英中部アングルシー島で進める原発新設プロジェクトである。

◆この融資方針だけを見ても、安倍政権が、大資本に暴利を与えるために原発を推進していることは明らかである。なお、JBICや政投銀は政府系であるので、事故などで、損失が発生すれば、最終的には国民にツケが回ってくる。

関電は福井の使用済み核燃料を青森で中間貯蔵する方針:むつ市は拒否

【1月7日報道】
◆関電が若狭の3原発から出た使用済み核燃料を、青森県むつ市の中間貯蔵施設に搬入し、一時保管する方針を1月6日に固めた。関電は、福井県から県外への搬出を求められており、今年中に決定すると明言していた。使用済み燃料は、各原発のプールに保管されているが、容量に限界がある。国は、関電以外にも相乗りさせ、使用済み燃料をむつ市に集中させる方針で検討している。むつ市の中間貯蔵施設は、東電と日本原子力発電の共同出資で建設され、両者の使用済み燃料のみを受け入れる予定であったが、福島事故などの影響で稼働していない。関電が出資する代わりに一部のスペースを使用する計画である。関電など西日本に多い加圧水型原発の燃料を本格的に受け入れるには、今後、改造や増設が必要になるという。

◆この関電の計画について、7日、宮下むつ市長は、「仮に関電にそうした計画だあったとしても、事業者の立場で判断できるレベルの話ではない。地域の気持ちを無視したやり方では到底受け入れられない」と拒否の考えを示した。

原発即時停止に賛成は49%

【1月15日報道】
◆共同通信社が1月13、14日に行った全国世論調査で、全原発の即時停止に賛成は49.0%、反対は45.2%であった。調査は、全国の有権者を対象に、コンピューターで無作為に発生させた番号に電話をかける方法で行われた。有権者がいる世帯の固定電話739件に電話がかかり、507人から回答を得た。また、1122件の携帯電話に電話がかかり、506人から回答を得た。

日米原子力協定自動延長に

【1月16日報道】
◆米国は、原子力技術を他国に供与する際、核不拡散の立場から、原子力協定で核物質や関連施設の取り扱いを規制している。日米原子力協定では、非核保有国の日本に、使用済み核燃料からのプルトニウムの抽出(再処理)、混合酸化物(MOX)燃料としての再利用、ウラン濃縮などの核燃料サイクル事業を行うことを特例的に認めている。

◆1988年7月に発効した日米原子力協定は今年7月16日に期限の30年を迎えるが、その6か月前までに、日米いずれかが終了を通告しなければ、自動延長されることになっているため、1月16日に自動延長が事実上確定した。この自動延長により、再処理などの日本の核燃料サイクル政策は継続できることになる。なお、延長後は、日米いずれかが通告すれば、半年後に協定を終了できる。

◆核燃料サイクルは、高速増殖炉と再処理を基軸にしているが、「もんじゅ」の廃炉が決まり、危険極まりなく、トラブル続きの再処理工場(青森県)は運転の目途がたっていない。核燃料サイクルはとっくに破綻している。それでも、安倍政権は核燃料サイクル政策の維持に躍起である。

◆日本は、再処理で得たプルトニウムを国内外に47トンも保有し、再処理工場を運転すれば、年間最大8トンのプルトニウムが増える。核兵器に転用できるプルトニウムを消費するあてのないまま大量に持つことは、核の拡散防止の視点から問題が多い。中国や韓国との間に緊張をもたらし、米国からも懸念の声が上がる。なお、プルトニウムをMOX燃料にして軽水炉で燃やすプルサーマル発電を2基(高浜3、4号機)で実施しているが、ウラン燃料軽水炉に比べても格段に危険度が高く、使用済み核燃料になったとき、ウラン燃料の4倍もの冷却期間を要し、経済性もない。

福島2号機、事故後7年にして、やっとデブリ(溶け落ちた核燃料)の一部を確認

【1月20日報道】
◆東電は、1月19日、福島第1原発2号機でカメラ付きパイプを使って原子炉格納容器(原子炉本体である圧力容器を格納する容器)内を調査し、燃料集合体の一部が、溶けてできた圧力容器の穴を通って格納容器の底部に落下していること、また、その周辺にデブリと考えられる堆積物があることを確認した。

◆調査は、格納容器の貫通部から長さ13 m のパイプを挿入、圧力容器の真下にある作業用足場の脱落部分から、先端のカメラをケーブルで釣り下ろして撮影することによって行われた。昨年1~2月の前回調査では、圧力容器から落ちたとみられる金属などの溶融物が作業用の足場を広範囲に脱落させ、足場の下から水蒸気が立ち上がる様子を観察していた。今回は、格納容器底部全体に広がる小石状の堆積物(デブリと考えられる)と粘土状の堆積物(デブリかどうかは不明)が観察されている。小石状堆積物をデブリと断定した根拠について、東電の原子力・立地本部長代理は「燃料集合体の部品が近くにあること、デブリでないという方が難しいから」としている。科学的な説明とは程遠い。

◆この調査で、圧力容器の直下の空間放射線量は毎時7~8シーベルトで、温度は21度であったこと、また、前回調査で毎時70シーベルトが観察された圧力容器を支える土台の外側は、今回の測定では毎時15~42シーベルトであったことを明らかにしている。デブリ取り出し作業などは、このような高放射線下(人は1時間以内に確実に死ぬ)で、遠隔操作で行わなければならす、困難を極めることが予測される。

◆原発事故から7年近くたった今回の調査でやっとデブリが確認されたが、確認までにこのように長期を要すること自体が、原発事故収束の困難さを物語っている。なお、この観察作業を行った作業員の被曝は相当なものではないかと懸念される。

草津白根山が噴火:火山の噴火予測は至難

【1月26日報道】
◆1月23日、草津白根山が噴火し、訓練中の自衛隊員が亡くなられ、11人が負傷した。草津白根山は、活動が低下していた火山で、噴火前には、地下で熱水やマグマが動いたとき発生する火山性微動は観測されていたものの、気象庁が設定する噴火警戒レベルで、危険性が最も低いレベル1であった。レベル1は、かつては「平常」とされていたが、2014年に御岳山がレベル1の状態から噴火したことを受け、「活火山であることに留意」へと変更された。御岳山や草津白根山の噴火は、「現在の火山学では予測不可能な噴火」であった。

◆噴火の可能性のある「活火山」は国内に111ヵ所ある。このうち、気象庁などが異常がないかを常時観察しているのは、50火山に絞られる。観測体制が敷かれていても、いつ、どこで噴火するかを予測することは難しい。

◆火山噴火に関連して、昨年12月13日、広島高裁は、伊方原発3号機運転差止めの決定を出した。9万年前の阿蘇山の噴火では、火砕流が伊方原発まで届いており、今後もこのような噴火で、原発に大きな損傷を与える可能性があると判断したためである。なお、9万年前の阿蘇の大噴火では、北海道に15 cm、関東に20 cm、関西に1 mの火山灰が積もり、日本中が火山灰に覆われたといわれている。

◆前述のように、日本には阿蘇以外にも多くの火山があり、したがって、日本中の全ての原発が火山灰や火砕流に襲われる可能性がある。草津白根山の噴火はこのことを裏付けている。

◆現在科学技術は、火山の噴火や大地震の発生を予知するにはほど遠いものである。人間にはなすすべがない自然の脅威は沢山ある。火山大国、地震大国に原発があってはならない。

「空きゼロ」とされた送電線の利用率は23%に過ぎない:原発稼働のために空けている

【1月28日報道】
◆基幹送電線の利用率は19.4%に過ぎないと、京都大学再生可能エネルギー経済学講座の安田陽特任教授が分析した。このことは、全国の送電線には十分な余裕があり、この余裕を利用すれば、風力や太陽光で発電した電気を送ることが十分可能であることを意味する。それにもかかわらず、大手電力会社は、「空き容量ゼロ」として、新たな再生可能エネルギー設備への接続を認めない送電線を続出させている。

◆電力各社の高電圧(50万ボルトや27万5千ボルトなど)の基幹送電線399路線について、電力広域的運営推進機関(広域機関)が公表しているデータ(2016年9月~17年8月)をもとに調査した送電線利用状況である。1年間に送電線に流せる電気の最大量に対する実際に流れた量の割合を「利用率」としている。

◆全国の基幹送電線の平均利用率は19.4%、東京電力が最も高く27.0%、最低は東北電力で12.0%であった。一時的に利用率が100%を超える「送電混雑」が1回でも起こったのは60路線で、東京電力が22路線を占めた。

◆一方、「空き容量ゼロ」とされた基幹送電線は、139路線であったが、実際の平均利用率は23.0%であった。「空き容量ゼロ」は運転停止中の原発や老朽火力がフル稼働した時の送電量を想定したもので、実際の送電量ははるかに少ない。送電線に余裕があるのに、「空き容量ゼロ」とする理由は、「原発電力をベースロード(基幹)電力として優先して利用しよう」という、安倍政権の政策の実行のために送電線を開けておきたい意図があるからである。なお、欧米では、実際の電気量を基にしたルールで送電線を運用していて、そのために、再生可能エネルギーの大量導入が進んでいる。

東電、旧保安院の津波見直し試算勧告を無視

【1月30日報道】
◆東電は、福島原発事故の9年前に、福島沖での津波地震のシミュレーション(試算)を勧告されていたにもかかわらず、反発し試算を見送っていたことが、原発避難者が国などを相手に起こした訴訟で、千葉地裁に提出された陳述書で判明した。東電がこの段階で試算していたら、津波対策に早く着手でき、事故を避け得た可能性もある。

◆福島原発事故は、想定外の津波によって電源が喪失し、冷却水が送れなくなったために発生したとされている。福島第1原発では、1号機の建設当時(1971年)は、最大の津波を高さ海抜約3.1 m と想定していた。しかし、2002年7月に政府の地震調査委員会が、大津波の危険性を指摘する長期評価を発表したため、当時の経産省原子力安全・保安院は、東電に、福島沖で津波地震が起きた時のシミュレーションを勧告した。しかし、東電は反発し、動かなかった。東電がやっとシミュレーションを行ったのは、2008年春、国の原発耐震指針改定を受けた安全性見直し作業によるものであった。この作業では、敷地の高さを大きく超える最大15.7 m の津波の危険性が示されたが、東電はこの結果を、3.11事故の直前まで原子力安全・保安院に報告せず、具体的な対策も取らなかった。傲慢で、安全を軽視し、経済的利益のみに奔走する東電が、福島事故を引き起こしたともいえる。

大飯原発の揺れに関する規制委の算定法は「不十分」、地震を「過少評価」

【1月30日報道】
◆東京新聞や中日新聞によると、大飯原発の安全審査の主要な判断基準=基準地震動(最大の揺れ)の算定方式をめぐり、算定元である政府の地震調査委員会(調査委)内で、原子力規制委員会(規制委)の認識を否定する見解が示されていた。規制委は、2つある計算手法(①地震を起こす活断層の形状をあらかじめ設定して算出する、②地表で確認できる活断層の長さから算出する)のうち1つだけ(①だけ)で再稼働を認めたが、算定方式(レシピ)を定めた調査委は「1つでは不十分」との見解を示していた。

◆レシピでは、2つの手法の使用を義務付けてはいないが、規制委が審査中の2016年9月、調査委の強震動評価部会では、①の手法について、「知見が不足している」、「不確実性が残っている。両方やることに賛成」などの意見が出、より精度の高い計算手法の確立には「3年くらいかかる」との見方も示された。しかし、規制委の更田委員長は、「関電が採用した計算手法で信頼できる」とした。規制委の姿勢や審査のあり方が問われている。

大飯原発3号機、2月9日に燃料装填(そうてん)を開始

【2月2日報道】
◆関電は2月1日、神戸製鋼所や三菱マテリアル子会社のデータ改ざんに関わる調査結果を福井県に報告したが、その際、大飯原発3号機の再稼働に向け、原子炉への核燃料の装填を9日から始めることを明らかにした。関電によると、三菱マテリアル子会社製のゴム製品が使われ、品質基準を満たしているか否かを確認できなかった大飯原発3、4号機の装置約100台のうち、3号機の約50台の交換が1日に終り、4号機は2月中旬に交換を終えるという。データ改ざんのあった神戸製鋼所製の製品は使用していないとしている。関電は、3号機を3月中旬、4号機を5月中旬に再稼働させようとしている。

◆原発は万が一にも事故を起こしてはならない装置である。神戸製鋼所や三菱マテリアル子会社の製品のみのモグラたたき的な検査や交換で、原発の安全が保証されるとは考えられない。事故が起こる前に、原発は全廃しなければならない。

東京地裁、東電に対して南相馬市住民への賠償支払いを命令

【2月8日報道】
◆福島原発事故で避難指示区域になった南相馬市小高区の住民321人が「ふるさとの暮らしを奪われて精神的苦痛を受けた」として、東電に損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は7日、318人に計約11億円(1人当たり原則330万円)の支払いを命じた。

◆故郷に生きる権利を認め、「生活基盤の大幅な変容という過去に類を見ない極めて甚大な被害が生じた」と避難生活による損害を認めた点では評価できるが、人が安全に、安心して生きる権利の代償としては、額が極めて不十分である。したがって、原告側は控訴を検討中という。なお、南相馬市小高区の人口は、事故前には約1万2800人であったが、昨年12月時点で実際に居住しているのは約2400人にとどまっている。


2月25日(日)— 26日(月)大飯原発うごかすな!
若狭湾岸一斉チラシ配布(拡大アメーバデモ)

主催:大飯原発うごかすな!実行委員会
ご参加、ご支援、カンパをお願いします。
(カンパ郵便振込先;加入者名:若狭の原発を考える会;口座記号・番号:00930‐9‐313644)
(お振込みにあたっては、通信欄に「若狭湾岸一斉チラシ配りへのカンパ」とお書きください。)


2018年2月9日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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