◆原発賠償京都訴訟と3/15の判決

◆原発賠償京都訴訟は,福島県や宮城県など5県から京都府内に避難した57世帯174人が原告。避難指示区域外の「自主避難者」の避難の権利や,原則1人550万円総額約8億5000万円の損害賠償を求めた。

◆京都訴訟原告の事故当時の居住地は,福島市やいわき市など東電が賠償対象とする福島県内の「自主的避難区域」が143人で,同区域外の福島県や茨城,千葉など他県が29人。他の2人は国の避難指示などが出た福島県内の区域に住んでいた。いずれも平穏な日常生活を奪われ,二重生活に伴う負担増を強いられたなどと訴えてきた。

◆原発避難者の集団訴訟は,全国で約1万2000人が約30件にのぼっている。3/16には原発賠償東京訴訟(福島原発被害東京訴訟)の判決,3/22にはいわき避難者訴訟の判決が続く。

◆3/15の判決(浅見宣義=あさみ・のぶよし=裁判長)の内容について…このまとめは吉田明生の私的まとめであり,原告団・弁護団の公式見解ではありません。

(1) 東電の賠償責任が認められたのは,全国の同様の集団訴訟で,5件目。2017年3月の前橋地裁,同年9月の千葉地裁,同年10月の福島地裁,2018年2月の東京地裁に続くもの。当然。

(2) 国と東電双方の責任を同等として,国の責任も認めた点は大きな勝訴。全国の同様の集団訴訟で,3件目。2017年3月の前橋地裁,同年10月の福島地裁に続く。
(なお,2017年9月の千葉地裁は国の責任を認めなかった。2018年2月の東京地裁は国を被告にしていなかった。)

(3) 国は,2002年に国の機関が公表した「長期評価」(将来の地震の評価)によって,巨大地震を予見できたし,予見する義務もあった。どれほど遅くとも,2006年末に国が権限を行使していれば,事故を回避できた可能性は高かった。国が,敷地高を超える津波への対応を命じなかったのは,職務上の法的義務に反し,違法である。国は「長期評価からは地震を予見できず,規制権限の行使義務もなかった」と反論してきた。

(4) 子どもや放射線の影響をとくに懸念しなければならない事情を持つ者がいることなど個別具体的事情を考慮して,避難の相当性を判断する基準(避難基準)を示し,千葉,茨城,栃木など避難指示がない区域からの「自主避難者」の賠償を広く認めて,賠償を命じた。今回の判決でいちばん大きく評価できる点と考えられる。

(5) 避難基準の空間線量では,年間被ばく線量1ミリシーベルトを超える地域からの避難は,認めなかったので,問題がある。土壌汚染や内部被ばくもふれていない(判決要旨)。しかし,国の避難基準の同20ミリシーベルトも避難の相当性を判断する基準ともなり得ないとした。

(6) 避難基準の避難時期の条件の一つに,2012年4月1日までに避難したことがあげられているが,これは野田佳彦首相が2011年12月に原発事故終息宣言を出した時期を考慮要因にしているのではないか。原子力緊急事態宣言(2011年3月11日発令)は今も続いているのだが。

(7) 判決の避難基準で,避難の相当性が認められた原告は143名,一部認められた原告は6名。認められなかった原告は15名で,その余は避難していないか,避難時に胎児であった者となる。

(8) 損害賠償は,一部認容を含めて原告110人に総額約1億1千万円の支払いを命じた。請求額との比率ではこれまでより高くなっているが,まだまだ低額。賠償を棄却された原告は64名であるが,世帯単位でみると実質的に賠償されている例もある。賠償を認められなかった原告もいる。

(9) 控訴期限は2週間。原告団は,大阪高裁に控訴する。

(10) 4月29日(日),判決報告集会(午前)とレセプション(午後)。キャンパスプラザ京都(京都駅前)にて。

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