◆原発に関わる最近の出来事(6月中旬)

【2018年6月22日,京都キンカンで配付。】

人類の手に負えない原発の即時全廃を!

東電、福島第2原発廃炉検討を表明

◆6月14日、東京電力ホールディングスの小早川智明社長は、福島第2原発の全4基の廃炉を検討すると表明しました。正式決定すれば、福島県内の全原発10基が廃炉になります。福島第2原発には、1982年、1984年、1985年、1987年に運転開始した定格出力110万kwの原発(沸騰水型軽水炉)4基があります。2011年3月11日の東日本大震災では、3本の送電系統のうち2本を失い、その後の津波で残留熱除去系(緊急炉心冷却装置ECCSの一つ)を含む原子炉冷却機能を喪失して、原子炉緊急事態宣言が発令されましたが、炉心溶融は免れました。

◆廃炉には、約30年と約2800憶円を要するとされていますが、国内で実際に商業原発の廃炉を完了した経験はなく、廃炉で生ずる多量の放射性廃棄物の処分や作業員の確保など難題が山積で、期間、費用ともに膨れ上がる可能性があります。なお、今回の表明では、廃炉の具体的な道筋は示さず、実現の目途はたっていません。

汚染水の海洋放出、高放射線地域への避難者の帰還、柏崎刈羽原発再稼働を推進したい東電の思惑を許してはなりません

◆福島県の内堀知事は、2014年10月の知事選で福島の全原発廃炉を公約に掲げ、当選後は、第2原発の早期廃炉を求めていました。しかし、東電は、「国のエネルギー政策などを勘案して、総合的に判断する」、「福島第1原発廃炉の後方支援に必要」などと主張して、廃炉表明を先延ばしにし、事故後7年を過ぎた今、やっと廃炉を表明したのです。

◆この廃炉表明は、地元の要請に応えたかのように見せかけてはいますが、実は、原発事故の当事者・東電の都合で決めているのです。

◆都合の1つは、トリチウムを含む福島第1原発の汚染水の海洋放出です。海洋放出に反対する漁民などの説得に、知事や関係者の協力を得たいためです。今の時期に原発全基廃炉を決定して、今秋の県知事選で再選を目指す内堀知事の成果にして、東電の意向に対する知事の理解を得たいためです。この時期の廃炉表明の裏には、きわめて利己的な思惑があります。

◆都合の第2は、「第2原発が再稼働して、再び事故が起こるかも知れない」とする不安を払拭(ふっしょく)して、高放射線地域への避難者の帰還を迫るためです。

◆都合の第3は、「新規制基準」をクリヤーして再稼働させるには膨大な時間と経費がかかる福島第2原発を廃炉にして、東電が経営再建の柱と主張する柏崎刈羽原発の再稼働に力を集中するためです。今月10日の新潟県知事選の結果も、東電は、柏崎刈羽原発再稼働への追い風と考えているのです。

東海村再処理工場、廃止へ

◆6月13日、原子力規制委員会(規制委)は定例会合で、使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出す国内初の再処理工場・日本原子力研究開発機構(原子力機構)「東海再処理施設」の廃止措置計画を認可しました。計画では、最もリスクが懸念される高レベル放射性廃液について、2028年度末までにガラス固化処理を終えるとしています。廃止作業には約70年を要し、国費約1兆円が投入されます。

◆東海再処理施設は1977年に、原発の使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出す再処理を開始して、これまでに1140トンの使用済み核燃料を処理し、原子力機構は4643キログラム[金属プルトニウム換算(実際の形態は、硝酸プルトニウムや酸化プルトニウム)]のプルトニウムを保有しています(4114キログラムを東海の再処理施設、燃料加工施設で保管、529キログラムを「常陽」、「もんじゅ」、「臨界実験装置」などで保管)。

◆東海再処理施設は老朽化し、また、福島原発事故を踏まえた「新規制基準」に適合するためには、安全対策工事に多額の費用を要することなどから、2014年に廃止が決まり、原子力機構は昨年6月、規制委に廃止措置計画の認可を申請していました。

◆計画では、廃止対象は約30施設です。ガラス固化処理に優先して取り組む一方、分離精製工場など主要4施設の除染などに先行着手し、低レベル放射性廃棄物は2023年度半ば以降に処理を開始するとしています。

◆同機構は、当面10年間で約2170億円をかけて安全対策やガラス固化処理を行い、その後、計約7700億円をかけて施設の解体、放射性廃棄物の処理などを行うとしています。これらの費用の大半は、国費で賄われます。

◆規制委の会合では、更田(ふけた)委員長が「当面の関心は、ガラス固化処理がきちんと終了するかどうかだ。放射性廃棄物の貯蔵の実態についてもつまびらかにしてほしい」と要望しました。

◆後継施設となる日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)は、2009年の完成予定が24回延期され、費用も当初の7600億円から、2兆9500億円(2017年7月)に膨れ上がっています。現在の完成予定は2021年度上半期で、規制委の安全審査は大詰めを迎えていますが、危険極まりない再処理工場の運転は問題山積です。

◆なお、「東海再処理施設」は、1997年3月11日、再処理後に残る低レベル放射性廃液をアスファルトと一緒に固めて処理する施設で爆発事故を起こし、「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故と併せて、当時の運営主体だった「動力炉・核燃料開発事業団」(動燃)の組織改編のきっかけになりました。

「核燃料サイクル」の失敗を反省もせずに、
70年という長期の廃止作業を行おうとする
政府、規制委、原子力機構

◆今までに、枚挙の暇がないほどの重大トラブルを起こした「原子力ムラ」の中枢・旧動燃と統合した原子力機構が、70年という長期にわたって安全に作業を進めることができるか否かは大きな課題です。

70年の長期の間には、想定外の天変地変の可能性があり、政治、経済、社会の変動も起こります。それに対応した対策を念頭に置いて、強い放射線を出す液体や固体などが大量にある再処理工場の廃止計画が立てられているとは、到底考えられません。

◆まず、施設に貯蔵されているおよそ360立方メートルの高レベルの放射性廃液についてです。安全上のリスクを下げるために廃液はガラスと一緒に固めて処理する作業(ガラス固化)が以前から進められていますが、過去に何度もトラブルを起こし運転を停止していて、およそ12年半かかるとする工程が順調に進むかどうかは課題です。また、ガラス固化した高レベル放射性物質の安全保管の困難さも指摘されています。なお、東海の施設には、現在でもガラス固化体約270本があります。

◆さらに、通常、施設の廃止作業は、運用が終わってから行われますが、東海村にある再処理施設は再処理の途中で廃止作業が進められることへの不安です。これについて、規制委の更田委員長は「異例といってもいいかもしれない」と述べていて、同じように核燃料が原子炉に入ったまま廃炉の作業が進められる「もんじゅ」と併せて規制庁に監視チームを設けて安全を徹底するとしていますが、規制委が「新規制基準」適合とした原発の多くが再稼働時にトラブルを起こした事実からしても、規制委の監視は無責任この上ないことは明らかです。

◆次に、使用済み核燃料を再処理する際、核燃料を細かく切った後に残る金属の廃材の保管です。この廃材は、強い放射線を出すため、放射性廃棄物として金属製の容器に入れて保管していますが、容器を後から取り出すことを考慮せずにプールに沈めていて、約800個の容器などがプールの中で山積みになっています。プールには、クレーンなど遠隔操作で容器を取り出す装置を新たに整備する必要があり、原子力機構は、およそ10年後から取り出し作業を始めるとしています。

◆さらに、これらの廃材や、廃液をガラスで固めた高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の処分場の建設は見通しが立っていません。また、再処理工場の廃止に伴って、約7万1千トンの低レベル放射性廃棄物の発生も推定されていますが、その処分先も未定です。
(ここまでは、6月13日のNHKニュースを参照しました。)

◆以上のように、廃止の困難さだけを見ても、再処理工場を動かしてはならないことは明らかです。

玄海原発4号機再稼働

◆6月13日、九州電力(九電)は、佐賀県の玄海原発4号機(1997年運転開始;加圧水型;118万kw)を6年半ぶりに再稼働させました。原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」とする「新規制基準」に適合したことを拠り所にして再稼働した原発は、これで5原発9基になりました。九電では、川内原発1,2号機と玄海原発3号機(1994年運転開始;加圧水型;118万kw;2009年よりプルサーマル運転;本年3月23日再稼働)に次いで4基となりました。

◆玄海4号機は、5月24日に再稼働するとされていましたが、1次冷却水を循環させるポンプでトラブル(循環ポンプの流量が2倍になった)が発生して、点検や部品交換のため延期されていました。一方、3月に再稼働された3号機は、再稼働1週間後に、2次系配管に空いた穴からの蒸気漏れがあり、発送電を一時中止しています。

これらのトラブルは、原発の部品や配管の摩耗、腐食、減肉が相当進んでいることを示し、また、電力会社の安全対策が極めていい加減で、原発の「新規制基準」適合性を審査しながら、トラブルの兆候を見抜けなかった規制委の審査が「手抜き」であることを物語っています。ここでのトラブルは軽微なものかもしれませんが、このトラブルの中には、腐食、減肉、脆化など、重大事故につながるものがあります。さらに、度重なるトラブルで危機感がマヒして、重大事故の兆候を見落とす可能性もあります。

◆玄海原発には、廃炉になった1号機(1975年運転開始;加圧水型;55.9万kw;2015年廃炉決定)、2021年に運転開始から40年を迎える2号機(1981年運転開始;加圧水型;55.9万kw;定期点検中)もあります。2号機は、2020年3月までに運転延長を申請しなければ、原発運転40年の制限により廃炉が決定されます。「新規制基準」に適合させるには多額の安全対策費を要する上に、出力が小さいため、この原発の廃炉が決定される可能性は大きいと言えます。老朽玄海2号機の廃炉を勝ち取りましょう。

新電力への切り替え家庭、10%超え

◆6月18日、経産省は、今年3月末までに新電力に切り替えた家庭が約622万件となり、10%を超えたと発表しました。

◆新電力は、大口電力消費者が電力購入先を選べるようにした規制緩和(大口向け電力小売り自由化:2000年)と家庭向け小売り電力の購入先も選べるようにした規制緩和(電力全面自由化:2016年4月)に伴って新規参入した電力会社です。通信やガスなどの異業種も多く、2018年3月末で約500社にのぼります。

◆新電力への切り替えは、都市部が中心ですが、地方にも広がっています。旧来の電力会社管内の切り替え率を多い順に示すと、次のようになります。

①東京電力(13.9%)、②関西電力(13.1%)、③北海道電力(10.0%)、④中部電力(7.5%)、⑤九州電力(6.5%)、⑥東北電力(4.4%)、⑦四国電力(4.3%)、⑧北陸電力(3.0%)、⑨中国電力(2.9%)、⑩沖縄電力(0.0%)

◆家庭向け電力販売が最多の新電力は東京ガスで、KDDI、大阪ガスが続きました。

原発電力から脱したいとする電力消費者の意向を反映して、新電力への切り替えが進んでいると考えられますが、肝心なことは「まずは節電」です。節電によって、電力は原発なしでも十分足りることを示しましょう!

また、原発がダメなら「再生可能エネルギー」という考えは止めましょう。例えば、メガソーラーは、自然破壊エネルギーで、決して「再生可能エネルギー」ではありません。山林や農地に建設されたメガソーラーは、植物が利用していた太陽光エネルギーを人間が奪って使う施設です。太陽光は降り注いでいますが、人が電気エネルギーに変換して使用したら、「再生」できず、植物の生育を妨げるのです。

原発は止められても、地震は止められません!
原発重大事故を繰り返さないために原発即時全廃を!

◆6月18日午前8時前、大阪府北部を震源とするM6.1、最大震度6弱の地震が発生し、4人が亡くなられ、300人以上が負傷されました。この地震は、1923年に観測を始めて以来、最大の地震です。被災された方には、心よりお見舞い申し上げます。

◆この地震の震源地のやや南と一昨年の熊本・大分大地震の震源地は中央構造線と呼ばれる日本最大級の断層で結ばれていて、途中には伊方原発があります。中央構造線を南西に延長すれば川内原発、北西に延長すれば玄海原発があります。今回の震源地・大阪府北部の北北東には若狭の原発群があります。この地震は、南海トラフ大地震の予兆であると多くが指摘しています。南海トラフ大地震が発生すれば、原発重大事故は避けられません。

今回の大地震、熊本・大分大地震(2016年)、東日本大地震(2011年)、阪神・淡路大地震(1995年)は、何れも予知できませんでした。日本のような地震大国では、どこでも、大地震が発生する可能性がありますが、現代科学では、それを止めることはもちろん、予知することすらできないのです。

一方、原発は人が動かしているのですから、明日にでも止めることができます。重大事故の前に、原発を全廃しましょう!

原発全廃こそが「原子力防災」です。


高浜原発4号機の再々稼働を許すな!

高浜原発4号機は5月18日、3号機は8月3日に定期検査に入り、4号機については8月下旬から9月初旬に再稼働されようとしています。定期点検入りの高浜原発をそのまま廃炉に追い込みましょう!

老朽高浜原発1,2号機、美浜原発3号機を廃炉に!

40年を超えた標記原発が危険極まりないことは言を待ちません。老朽原発の安全対策費は高騰を続けていますから、廃炉実現の可能性は大です。廃炉実現のために、断固とした大衆運動や裁判闘争を高揚させましょう!


2018年6月22日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆原発立地を歩いて

【2018年6月15日,京都キンカンで配付。】

寄稿

原発立地を歩いて

若狭の原発を考える会・橋田 秀美

◆約4年弱の若狭で行った原発反対行動において、私が見たこと、聞いたこと、そして感じたことなどを中心に披露させていただきたいと思います。1955年、兵庫県の但馬地方に農家の娘として生まれ、高校卒業後、京都の郵便局に就職、定年の2年前に退職、退職後、市民運動に関わるようになった私の経験です。

「おもしろそうだな」から入ったこの運動

◆現地に活動拠点を置き、現地にこだわった反原発活動をする「若狭の原発を考える会」に共感し、「原発立地の住民は原発とどう向き合っていらっしゃるか」、「原発立地で原発との関わりの深い皆さんに原発を拒否していただくにはどうすればよいか」、「原発立地・若狭の住民と原発重大事故では被害地にもなる原発電力消費地・関西の住民との連帯した反原発運動をどう構築したらよいか」などを考えることは「おもしろそうだな」と思い、脱原発、反原発を現地で訴える行動に参加しました。

アメーバデモで原発立地の声を感じる

◆まず、「若狭の原発を考える会」の代表的な行動・アメーバデモで聞いた住民の方たちの声を紹介します。

◆(アメーバデモとは; 関西や福井から原発立地の若狭や周辺の舞鶴、高島に集まり、3~4人が一組になり、徒歩で、鳴り物を鳴らしながら、また、「反原発」の旗を掲げ、肩にかけたスピーカーで呼びかけながら、チラシを若狭の全ての集落の、隅から隅まで配り歩く行動です。通常は2~3グループですが、時には全国からの応援も得て数十グループにもなります。お会いする住民からはできるだけお話をうかがうようにしています。)

◆美浜の畑で仕事の手を止めて、「原発は怖い。よう知ってるんや」と、悲しそうな顔でおっしゃる女性がいました。もう原発はここにある、どうしようもないというあきらめか、はたまた、原発を許してしまった後悔や怒りか・・・、そんな風に思えて胸が詰まりました。

◆スピーカーで「原発反対」を訴えたところ、高浜の畑の老人たちから「おまえら、原発の電気を使ってるやろ!」と罵声(ばせい)を浴びました、こんなことはめったににないので、少しへこみました。

◆おおい町大島の男性に「わしらを責めに来たのか」と言われ、複雑な心境になりました。

◆高浜商店街で店先を掃いている女性にチラシを渡して「原発に反対しています」というと、「若い人は都会の大学に行って、そこで就職するから誰も帰って来ない。私らもう死ぬだけだからいいんや」と、そこに別の女性が話しに加わってこられ「いいや、私は福島の事故を見て考え方が変わった。やっぱり原発はあかん」と3人で原発論議になった。帰り際「あんた、よう声かけてくれたなぁ。しゃべれてよかったわ。」とおっしゃった。

◆「反原発」の旗や、スピーカーを鳴らしながら歩いていると会釈する中、高校生や、手を振る小学生がいます。あまり都会ではない光景に心が安らぎます。

◆かつて原発労働者だったという老人は、「わしら放射能の怖さなんか何にも教えられなかった。胸につけた線量計がピーピーなり出すけど、そこら中で鳴っているから誰のが鳴っているかもわからず、仕事をしていた」とリアルな話に驚いた。仲間は70代で多くが亡くなったとおっしゃった。

◆名田庄での長い立ち話。「住民はみんな反対なのに町長や議員は何で賛成するのか分からない」とのこと。

◆この他にも、アメーバデモの参加者は、計1,000人以上の方々と直接お話を聞きましたが、80~90%が原発反対あるいは原発に疑問を持っておられることが分かりました。原発立地でも、脱原発・反原発の隠れた声が多数であることを実感しています。

◆以上のような、いろんな声に教えられ、また、励まされてきました。身体は疲れるけど、気持ちは何もしんどくない、楽しいと感じるようになりました。

◆都市部の人にこの話をすると「へえー。チラシ配って『ありがとう』って言われるの、いいなー」と興味を示されます。このことは、2月25.26日の若狭湾岸一斉チラシ配布(拡大アメーバデモ)に参加された皆さんも実感されました。この行動には、全国から延べ220人の方が参加されましたが、1日目の夜の交流会でも「若狭の人は温かい。ほとんどの人から『ありがとう』、『ごくろうさん』と言われた。都会でチラシ配っても『ありがとう』なんて言われたことがない。来て良かった」との感激の言葉が多数聞かれました。現地の人たちに、反原発をアピールするだけでなく、運動する側の人たちに、現地で行動する意義、喜びを感じてもらえたという意味では本当によい企画だったと思いました。

原発立地に近い立地外住民の思い

◆2018年5月8日の中日新聞朝刊に、小浜湾を挟んで5 km離れた対岸の集落・小浜市内外海(うちとみ)地区での大飯原発再稼働についての世論調査の結果が掲載されました。ほぼ半数が再稼働に反対し、8割以上が廃炉を求めていることが分かりました。私達はその地域にも行ってみました。大飯原発は陸地からは見えないと思っていましたが、泊という地区からは見えました。最初にお話しした人からは、いきなり「原発を動かす政府が悪い」と怒りの言葉でした。出会う人がほとんど「原発反対」とおっしゃいます。原発が目と鼻の先にあり、もし事故がおきたら真っ先に被害を被る。小浜市は原発を拒否したのに、そんな理不尽さも感じ取れました。

(注:小浜市内外海地区の一部は、大飯原発から5 km圏すなわち事故時にすぐ避難が必要な「予防防護措置区域(PAZ)」にありながら、小浜市は原発の立地自治体ではないため、地元同意の手続きから外れています。)

原発立地も変わりつつあります

◆私たちは、高浜で、美浜で、おおいで集会や講演会、デモをしてきました。その集会やデモに現地の人が参加して欲しいという気持ちはもちろんあります。しかし、それはなかなかできないことだというのも分かっています。しかし、私達が現地で声を上げ、行動することで「声をあげていいんだ」、「反対って言っていいんだ」と思う人が増えていっているのは確かだと思います。なにかあったときに、この人たちはきっと立ち上がってくれると信じ期待しています。

◆一昨年の12月18日高浜原発の地元中の地元・音海地区が「40年超え原発運転延長反対」の決議を上げました。地域には「高浜原発運転延長反対」の立て看板がたち、今やのぼりまで立っています。これにあわてふためいたのは関電でした。関電はこの音海対策のために対策本部を設け、人員を配置し懐柔策に乗り出しました。地区の新年会に出席したいと言いだし、一升瓶をぶら下げて来たそうです。この事実から分かることは、やはり、地元から反対の声が上がるということが一番怖いのです。

◆昨年12月3日おおい町で反原発集会とデモをしたとき、「こうして外から来て原発反対運動をしてくれるのはありがたい。こういう運動がなかったら若狭で原発重大事故が起こっていたかもしれない」という住民の方がおられました。私はハッとしました。

◆3.11福島原発事故という大きな犠牲の下、全国で起こった「反原発」の大衆運動や裁判闘争が、電力会社に安全対策を迫ることとなり、事故を防ぐことに繋がっているのです。反対行動が無ければ、多額のお金を要する安全対策などせず、老朽原発を含む原発を次々に動かし、重大事故の確率は格段に高くなっていたでしょう。社会の不条理に無関心であること、声を上げず、行動に表さないことは、無自覚のうちの国策、体制擁護であり、自分を含む多くの人も危険に追い込むことになるのだと改めて考えさせられました。

私にとって昨年は激動の一年でした:少し変わりました

◆昨年、私は、国策に抗(あらが)ういろんな現地に行き、深く考えさせられる経験をしました。

◆私は子供の頃、農業を手伝わされました。そのころは遊びたいし、「土まみれになるしいやだなぁ」と思ったこともありますが、今は農業を経験したことが自分の生き方に大きく影響を与えていると思うようになりました。

◆成田空港建設ではすさまじい農地収奪が行われたということですが、三里塚でお目にかかった、農地を売らずに守り続けている農民が畑で働く姿はなんとも懐かしく、気高くさえ思えて、とても感動しました。「何億とお金を積まれても、土地は売らん。俺たちは1本100円の大根を作り消費者に喜んでもらう方が幸せだ」、そう言って今も続く空港会社や国からの不当な弾圧や嫌がらせに抗って、闘っておられます。

◆岩国の米軍基地も訪れました。今住んでいる京都の北部・京丹後に米軍Xバンドレーダー基地ができ、そこにも基地反対行動に行くようになり、そのつながりで「岩国に行ってみたい」と思ったのです。

◆愛宕山という山が削られて平らになり、そこに作られた米軍高級将校用住宅が建ち並んでいました。1軒が7、8千万円するそうです。建設費、家賃も光熱費も思いやり予算=私達の税金です。米軍用の大きな野球スタジアムもありました。このスタジアムは、私達の税金で立てられたものですが、米軍は「市民も使用してもいいよ」と言っているそうです。現物を見るとほんとに腹が立ちます。この怒りが行動の原動力になります。

◆上関原発建設に反対し続けている祝島(いわいしま)には、岩国の帰りに寄りました。上関原発建設予定地の真向かいにある島です。島民の9割が原発建設に反対しています。「あんな巨大な建物を見て暮らすのはいやだ」、「主要産業である漁業にとって、海が汚されたら生きていけない」、「もし事故が起こったら、こんな離島からどうして逃げるのか」、そんな思いで反対し続けています。非暴力で座り込んで住民は拒否してきたそうです。1割の人が金に目がくらみ、住民を裏切りましたが、未だ闘いは続いています。

◆こうして考えると、お目にかかった農民や漁民の方々には、自然の中で土と共に生きる、海の幸をいただいて生きる、これが人間としての生き方であり、将来にわたっての幸せであるという堅い信念があるのだと思います。だから、農地を手放してはいけない、原発で土や海を汚されたら人間は生きてはいけないことをよく知っていらっしゃいます。祝島の人たちは顔がみんなとてつもなく明るかった。それに比べると、若狭の原発立地の人の顔はどこか暗いものを感じます。それはもう原発があるからという諦めからくるものかもしれないし、原発を許してしまった怒りや後悔なのかもしれません。

◆しかし、先日、湾を挟んで高浜原発の対岸にあり、原発から4~5km の鎌倉という地区を訪れたとき、ハッとさせられたことがありました。高台の小さな集落ですが、棚田と畑が見事な景観を作り出しています。少し腰の曲がった老年の女性がにこにこしながら歩いてこられたので、挨拶して「原発反対のチラシです。読んでいただけますか」と手渡しました。すると、「まあ、ごくろうさん。そこの小さな田んぼと畑を一人でままごとのようにやっているんよ。でもこれで十分生きていけるから満足」とおっしゃったのです。私は、本当の豊かさとはこういうことではないかと思いました。そして、なんと人間らしい生き方かと感服しました。

◆私は、三里塚の農地や働く農民の方たちを見て、命をかけて守ってこられたこの畑を原発事故などで汚してなるものかと思い、祝島で、活き活きと海と共に暮らすこの人たちの暮らしを原発などで失わせてはいけないと思い、高浜町鎌倉の「ままごとのような小さい田んぼと畑で生きていける」とおっしゃった人の暮らしを守りたいと強く思いました。

◆そして、地道に労働争議を闘っているユニオンの方達との出会いもありました。原発事故は職場を奪います。福島原発事故は、大きな犠牲を持って私達にそれを教えてくれました。働く場を失い、復興のめども立たず、事故後4年目くらいから自ら命を絶つ人が増えました。新たな職もなかなか見つからず、家族は疲弊して離散してしまう例もたくさんありました。この責任を誰もとっていないことにほんとうに怒りが込み上げます。

おわりに

◆私のつたない経験と深い思いを書いてみました。最後に、以下を訴えます。

◆困難をいとわず、おもしろい企画を打ち出し、楽しく参加できる反原発運動を展開しましょう。

◆市民運動をしている方はほとんどが退職世代です。若い人が運動に参加しないと嘆く人がいますが、時間だけはある私達・年金世代が活き活きと活動する姿を見せればそれでいいと思っています。

◆現地に行きましょう。自分の目で見て感じたら人は変わります。私は現地行動で育てられたと思います。現地に通いながらいろんなことを発見し、学びました。

◆経済至上主義で壊されてしまった現状から、人間らしい生き方、人間が大事にされる社会を取り返さなければならないと思います。どのような社会が人間らしく生きられる社会なのか、どうしたらそんな社会が創れるのか、一人一人が考え、行動しましょう。

お読みいただき、ありがとうございました。


新潟県知事選挙では、
惜しくも野党共闘候補が敗れましたが、
この悔しさをバネに
さらに大きな原発全廃運動を構築しましょう!

◆6月10日投開票された新潟県知事選挙は激戦でしたが、野党が一丸となって推薦した候補は僅差で、与党系候補に敗れました。しかし、原発に関しては、新潟県民のNO の声は大きく、この選挙では、与党系候補ですら、前知事が進めた安全性検証を継続するとして、再稼働に慎重な姿勢を示さざるを得なかったのです。また、選挙中だけでなく当選後も、柏崎刈羽原発の再稼働の是非について、出直し知事選で県民に判断を仰ぐ可能性を強調しています。(任期中は原発を動かさないことを宣言したことになります。)

◆さらに大きく、全国的な再稼働阻止の大衆行動や原発運転差し止めの裁判闘争を構築し、原発全廃を実現しましょう!


2018年6月15日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆原発に関わる最近の出来事

【2018年10月9日,京都キンカンで配付。】

人類の手に負えない原発の即時全廃を!

「エネルギー基本計画(改定案)」公表

-脱原発の民意を蹂躙し、原発に固執する計画-

◆経済産業省は5月16日、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会で、国のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の改定案をとりまとめました。パブコメを求めた後、今夏に閣議決定するといわれています。

◆この計画では、再生可能エネルギーを「主力電源化」する方針を新たに打ち出す一方で、原発については、「依存度は可能な限り低減していく」としつつも、「重要なベースロード電源」とする従来の方針(2015年7月に策定)を維持して、2030年度時点の発電電力量に占める原発の比率を20~22%とする目標は据え置きました。

◆この目標の達成のためには、30基以上の原発が必要となり、運転開始後40年を越える老朽原発の稼働も必要になります。しかし、全老朽原発の稼働を延長したとしても、これらの原発の多くが2050年までに60年越えで廃炉になるため、2050年に稼働中なのは20基に満たないことになります。したがって、中長期で一定の原発活用を見込むのであれば、新増設や建て替えは避けて通れないことになりますが、この基本計画では世論の批判を恐れて、その議論は避けています。

◆なお、今回の計画では、2015年12月に採択された地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」を踏まえ、2050年を見据えた長期のエネルギー戦略を新たに盛り込んでいます。再生エネルギーや原発、火力に加え、水素や蓄電池など次世代技術も含めた「あらゆる選択肢の可能性を追求する」と強調しましたが、将来の技術進歩やエネルギー情勢を正確に予測するのは困難として、電源構成の具体的な目標設定は見送っています

◆今回の改定案では、2030年度の発電電力の電源別構成比の目標を次のように定めています。
(比較のために、2015年度および震災前の2010年度の電源構成も併せて示します。)

  • 2030年度(計画)…… LNG27%、石炭26%、再生可能エネルギー22~24%、原子力20~22%、石油3%
  • 2015年度(現状)…… LNG40%、石炭32%、再生可能エネルギー15%、原子力1%、石油12%
  • 2010年度(震災前)… LNG29%、石炭26%、再生可能エネルギー10%、原子力25%、石油10%

問題なのは、「原発依存度は可能な限り低減する」としながら、「原発ゼロ」を目指さないことです。

◆福島原発事故は、多くの人の命を奪い、故郷を奪い、職場を奪い、農地を奪い、海を奪い去りました。事故から7年たった今でも、5万人以上が避難生活を強いられ、事故炉廃炉の見通しも立たず、汚染水が垂れ流され続けています。そのような中でも、政府は、避難された人々に、除染が進んだとするには程遠く、高放射線でインフラも整備されていない故郷への帰還を強要しています。

◆原発は、事故の多さ、事故被害の深刻さだけでなく、使用済み燃料の処理や保管の困難さなど、あらゆる視点から、人類の手に負える装置ではありません。一方、福島事故以降の経験によって、原発は無くても何の支障もないことが実証されました。したがって、原発を運転する必要性は全く見出せません。不要な原発を稼働させて、事故のリスクに怯える必要は全くないのです。そのため、最近のほとんどの世論調査でも、原発反対は賛成の2倍以上となっています。脱原発、反原発が多数の願いであり、民意であることを示しています。

原発は不要なのですから、「原発ゼロ」は可能で、当然のことです。
なぜ、危険極まりない原発とCO2排出量の多い石炭を「ベースロード電源」にするのでしょう?

◆それは、
①使用済み核燃料や事故による損失を度外視すれば、安上がりな原発電力、熱量当たりの単価が化石燃料の中で最も低い石炭での発電によって、電力会社や大企業を儲けさせるためであり、
②原発輸出によって、原発産業に暴利を与えるためであり、
③戦争になり、石油や天然ガスの輸入が途絶えたときの基盤電源を、国内で調達できる原発電力、石炭火力電力で確保するためであり、また、
④核兵器の原料プルトニウムを生産するためです。

◆すなわち、この「エネルギー基本計画」は「巨大資本に奉仕する国造り、戦争出来る国造り」のための計画です。

原発推進の策動を許してはなりません。

◆今回の「エネルギー基本計画」の改定案の公表に関して、原発を推進してきた自治体の首長らは不信感を述べ、原発の建て替えや新設を促すかのような発言をしています。民意を蹂躙する原発推進の策動は、断固として拒否しましょう。

◆高浜原発立地の高浜町の野瀬豊町長は5月31日の会見で「(原発を)やめるなら、やめるで、はっきりしてほしい」と国に注文し、エネルギー基本計画の改定案には原発の建て替えなどが盛り込まれず、中長期的な原子力政策を明らかにしない国に不信感を示しています。改定案では、2030年度の目標とする原発の電源構成を従来通り20~22%に据え置いていますが、目標達成に必要とされる新増設などを先送りしており、野瀬町長は原発を軸とした町内産業の将来を念頭に「(現状のままでは)出口戦略を考えざるを得ない」と指摘しています。

◆総合資源エネルギー調査会の委員でもある西川一誠福井県知事は、「原子力も再生エネルギーもはっきりしない。国民に分かりづらく、各エネルギーへの信頼が低下しかねない」として16日の会議で計画案を批判しています。

◆上関原発(山口県上関町)建設計画への影響について、上関町内の推進派団体でつくる「上関町まちづくり連絡協議会」の古泉直紀事務局長は、改定案が原発の新増設に踏み込まなかったことに関して、「原子力の電源構成を維持していくならば、いずれ新増設が議論されていくのではないか」と分析し、「町は高齢化による人口減少で厳しい。原発建設は一つの選択肢だ」と語りました。一方、予定地対岸の祝島の「上関原発を建てさせない島民の会」の清水敏保代表は「(新増設の不明記は)予想通り。反対派、推進派とも原発は見通しが立たないということで一緒に町づくりに取り組んでいくところだ。計画が白紙撤回されるまで反対を訴える」と強調しています。なお、予定地の公有水面埋め立て免許は来年7月に期限を迎えます。基本計画が原案通りに閣議決定されれば、県は、原発の新増設についての国の方針が不透明なまま、免許延長の可否を判断することになりかねません。村岡嗣政山口県知事は、免許の延長については「中国電力の申請を踏まえて対処する」と述べるにとどめ、基本計画が許可に影響するかどうかについては明言を避けました。

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政府が旗を振るも、
原発輸出計画からの撤退相次ぐ

トルコの原発新設計画から伊藤忠は離脱、三菱重工業は参画も実現は疑問

◆三菱重工、伊藤忠などと日本政府が、トルコ北部の黒海沿岸シノップで、2023年稼働を目指して進めていた原発4基の建設計画から伊藤忠が離脱することが、4月23日、明らかになりました。計画当初(2013年)4基で2.1兆円程度とされていた総事業費が、三菱重工が主体となって行った調査で、2倍以上に膨らむことが判明したためです。政府は、事業費の増加を受けて、トルコ政府に資金面での負担を求めていますが、交渉は平行線をたどっています。伊藤忠が離脱すれば、事業費を負担する企業が減り、事業の実現性はさらに厳しくなります。

東芝、米原発新設から撤退

◆東芝は5月31日、米テキサス州での原発新設計画の取り止めを発表しました。子会社であったウエスチングハウスが昨年3月に経営破綻したのを機に、海外での原発新設から撤退する方針に転じていました。東芝本社は、2009年にテキサス州で原発2基を受注していましたが、電力価格の下落や、福島原発事故後の安全基準の強化に伴う建設費の高騰で採算が取れなくなって撤退を余儀なくされたのです(投じた862憶円は損失として計上済み)。

◆東芝は、英国でも、子会社が原発3基の新設計画を進めていましたが、これも撤退に向け、すでに損失450億円を計上しています。子会社は、韓国電力公社に売却するといわれています。東芝は、今後、新設に比べてリスクの少ない、部品の輸出(ウクライナなどへ)に力を入れるといわれています。

日立製作所が英国で進める原発建設計画にも暗雲

◆日立は、英西部のアングルシー島に、2020年半ばの運転を目指して、原発2基を建設する計画を進めています。しかし、安全基準が厳しくなったことで、当初、1.5兆~2兆円とされていた総事業費は、3兆円程度に高騰しています。目算の狂った日立は、公的支援がなければ事業の継続は困難と判断して、5月3日、中西宏明会長(経団連会長)がメイ首相に、撤退もちらつかせながら直談判して、総額3兆円の中の2兆円を英政府と英金融機関から直接融資する案を引き出しています。残りの1兆円分は、日立、日本の政府系金融機関と電力会社、英政府と現地企業がそれぞれ3000憶円を出資する形で賄う計画ですが、工事遅延などで、巨額損失が発生すれば、深刻な影響が出かねないだけに、思惑通りに日本企業が参画するかどうかは見通せません。

◆また、英議会には過度な支援への反対意見も根強く、一度事故が起これば住民の多くが島に取り残され、美しい自然も失いかねないアングルシー島住民や英消費者の大きな反発もあります。(なお、アングルシー島住民は、5月下旬に福島県を視察し、事故も収束していないのに原発を輸出しようとする日本の姿勢を強く批判しています。)

◆さらに、日英両政府が、原発の新設に絡む債務を保証するために、税金が使われる可能性があることへの両国民の反発もあります。したがって、安倍首相と親しい中西会長を擁する日立は、英原発事業を成長戦略の柱であるインフラ輸出の目玉に据えたい安倍政権の強い期待を感じながらも、慎重な最終判断をせざるを得なくなっています。

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フランスが高速炉計画の縮小を検討

◆日本がフランスとの共同研究を進める高速炉実証炉*「ASTRID(アストリッド)」(2023年に着工し、2030年代の運転開始を目論む)について、フランス政府が、計画の縮小を検討していることを日本側に伝えました(5月31日報道)。開発費の高騰が理由で、出力規模を当初予定の60万キロワットから10万~20万キロワットに縮小する案を検討しています。

◆高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の廃炉を決めた日本は、アストリッド計画を当面の高速炉開発の柱にしたい考えでしたが、計画が縮小されれば、日本の高速炉開発計画も、抜本的見直しを迫られることになります。出力規模を大幅に縮小すれば、将来の商用化に必要な実証データが得られなくなる可能性もあります。
(*「実証炉」は「原型炉」より一つ進んだ原子炉で、実用化(商業炉)の一歩手前と位置付けられているもの。)

◆なお、以下は、日本政府が高速炉に固執する理由です。

①原発で出た使用済み燃料全量を再処理して、取り出したプルトニウムでMOX 燃料を再利用する核燃料サイクルを維持するためです。MOXを燃料とする「高速炉」は核燃料サイクル実現の要なのです。(しかし、液体ナトリウムを使う高速炉は技術的に不可能に近く、再処理工場運転も困難を極めることは、すでに実証されています。)

②制御しやすい原爆を作るためには、質量数239のプルトニウムの純度が高いプルトニウムが必要ですが、普通の原発(熱中性子炉)では高純度プルトニウムを得られず、高速炉が必要になります。すなわち、高性能原爆を得るために高速炉が必要なのです

稼働わずか250日の「もんじゅ」に
経費1兆1313億円

◆会計検査院は、5月11日、廃炉が決定している「もんじゅ」に関する検査結果を公表しました。概略は次のようなものですが、現代科学・技術では手に負えず、原発の中でも最も危険な高速増殖炉を、多くの反対意見を踏みにじって運転した政府や科学者(原子力ムラ)の責任については言及していません。

①「保守管理の不備が廃炉につながった」と総括。
②約半世紀にわたり、研究開発に少なくとも1兆1313憶円を投入。
③稼働日数は250日。研究の達成度は16%。
④廃炉費用は国が試算した3750億円を超える可能性。

安倍政権は、それでも高速炉開発を継続しようとしています。「もんじゅ」廃炉で手綱をゆるめることなく、「核燃料サイクル」からの完全撤退を求めましょう!

[注]以前、2011年にも会計検査院はもんじゅにメスを入れていますが、そのときはもんじゅ関連施設として「RETF(リサイクル機器試験施設)」の費用835億円をれて計算していました。今回、なぜかこの費用が入っていません。また、固定資産税は96年度~98年度のものは含まれていません。96年度は70億円を敦賀市が課税したと報道されています。3年分で200億円近くになるとみられています。そうすると、実態は1兆2300億円を超えるものとみられます。

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7原発12基中央制御室ダクト腐食、穴も

◆原子力規制委員会は、島根原発2号機の中央制御室ダクトに腐食による穴(最大で横約100 cm、縦約30 cm)が複数見つかった(2016年12月)ことを受けて行った全国の原発の空調排気系ダクトに関する調査結果を発表しました(5月23日)。ダクトに穴が開いていると、原発事故時に放射性物質が中央制御室に流入し、運転員が被曝する可能性があります。ダクトは鉄や亜鉛メッキ鋼でできています。腐食の原因は、結露、雨水の侵入、塩分の付着です。

◆腐食や穴が確認された原発は、女川原発3号機、東海第2原発、福島第1原発6号機、柏崎刈羽原発3、4、5、7号機、浜岡原発3~5号機、志賀原発1号機、島根原発1号機です。柏崎刈羽原発3号機の穴は横約5 cm、縦約13 cmで、3、7号機では穴や亀裂が計9ヵ所みつかっています。

このように多数の腐食や穴が一挙に見つかった事実は、原発施設の老朽化が深刻であり、原発稼働にお墨付きを与える規制委の調査・検査が、これまで、極めていい加減であったことを物語っています。

新設島根原発3号機の稼働を許すな!

◆日本で唯一の都道府県庁所在地に立地する原発。1号機は2015年に廃炉が決定したものの、建設中の3号機(沸騰水型:福島事故以前に建屋、設備はほぼ完成)の稼働審査が原子力規制委員会に申請されようとしています。この原発が稼働すれば、原発新増設に道を開くことになります。

原発が新増設されなければ、最悪でも、2049年には原発ゼロになります。原発新増設を許してはなりません!

高浜原発4号機の再々稼働を許すな!

◆高浜原発4号機は5月18日、3号機は8月3日に定期検査に入り、4号機については8月下旬から9月初旬に再稼働されようとしています。定期点検入りの高浜原発をそのまま廃炉に追い込みましょう!

老朽高浜原発1,2号機、美浜原発3号機を廃炉に!

◆40年を超えた標記原発が危険極まりないことは、言を待ちません。老朽原発の安全対策費は高騰を続けていますから、廃炉実現の可能性は大です。廃炉実現のために、断固とした大衆運動や裁判闘争を高揚させましょう!

新潟県知事選挙、池田候補に勝利を!

◆6月10日投開票の新潟県知事選挙が戦われています。人類の手に負えない原発の再稼働を許さず、嘘と欺瞞の上に大企業のみに奉仕し、戦争できる国づくりを進める安倍政権を打倒するために、池田千賀子候補を勝利させなければなりません。全国から熱いエールを送りましょう!

2018年6月8日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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