◆原発に関わる最近の出来事(6月中旬)

【2018年6月22日,京都キンカンで配付。】

人類の手に負えない原発の即時全廃を!

東電、福島第2原発廃炉検討を表明

◆6月14日、東京電力ホールディングスの小早川智明社長は、福島第2原発の全4基の廃炉を検討すると表明しました。正式決定すれば、福島県内の全原発10基が廃炉になります。福島第2原発には、1982年、1984年、1985年、1987年に運転開始した定格出力110万kwの原発(沸騰水型軽水炉)4基があります。2011年3月11日の東日本大震災では、3本の送電系統のうち2本を失い、その後の津波で残留熱除去系(緊急炉心冷却装置ECCSの一つ)を含む原子炉冷却機能を喪失して、原子炉緊急事態宣言が発令されましたが、炉心溶融は免れました。

◆廃炉には、約30年と約2800憶円を要するとされていますが、国内で実際に商業原発の廃炉を完了した経験はなく、廃炉で生ずる多量の放射性廃棄物の処分や作業員の確保など難題が山積で、期間、費用ともに膨れ上がる可能性があります。なお、今回の表明では、廃炉の具体的な道筋は示さず、実現の目途はたっていません。

汚染水の海洋放出、高放射線地域への避難者の帰還、柏崎刈羽原発再稼働を推進したい東電の思惑を許してはなりません

◆福島県の内堀知事は、2014年10月の知事選で福島の全原発廃炉を公約に掲げ、当選後は、第2原発の早期廃炉を求めていました。しかし、東電は、「国のエネルギー政策などを勘案して、総合的に判断する」、「福島第1原発廃炉の後方支援に必要」などと主張して、廃炉表明を先延ばしにし、事故後7年を過ぎた今、やっと廃炉を表明したのです。

◆この廃炉表明は、地元の要請に応えたかのように見せかけてはいますが、実は、原発事故の当事者・東電の都合で決めているのです。

◆都合の1つは、トリチウムを含む福島第1原発の汚染水の海洋放出です。海洋放出に反対する漁民などの説得に、知事や関係者の協力を得たいためです。今の時期に原発全基廃炉を決定して、今秋の県知事選で再選を目指す内堀知事の成果にして、東電の意向に対する知事の理解を得たいためです。この時期の廃炉表明の裏には、きわめて利己的な思惑があります。

◆都合の第2は、「第2原発が再稼働して、再び事故が起こるかも知れない」とする不安を払拭(ふっしょく)して、高放射線地域への避難者の帰還を迫るためです。

◆都合の第3は、「新規制基準」をクリヤーして再稼働させるには膨大な時間と経費がかかる福島第2原発を廃炉にして、東電が経営再建の柱と主張する柏崎刈羽原発の再稼働に力を集中するためです。今月10日の新潟県知事選の結果も、東電は、柏崎刈羽原発再稼働への追い風と考えているのです。

東海村再処理工場、廃止へ

◆6月13日、原子力規制委員会(規制委)は定例会合で、使用済み核燃料からプルトニウムなどを取り出す国内初の再処理工場・日本原子力研究開発機構(原子力機構)「東海再処理施設」の廃止措置計画を認可しました。計画では、最もリスクが懸念される高レベル放射性廃液について、2028年度末までにガラス固化処理を終えるとしています。廃止作業には約70年を要し、国費約1兆円が投入されます。

◆東海再処理施設は1977年に、原発の使用済み核燃料からウランやプルトニウムを取り出す再処理を開始して、これまでに1140トンの使用済み核燃料を処理し、原子力機構は4643キログラム[金属プルトニウム換算(実際の形態は、硝酸プルトニウムや酸化プルトニウム)]のプルトニウムを保有しています(4114キログラムを東海の再処理施設、燃料加工施設で保管、529キログラムを「常陽」、「もんじゅ」、「臨界実験装置」などで保管)。

◆東海再処理施設は老朽化し、また、福島原発事故を踏まえた「新規制基準」に適合するためには、安全対策工事に多額の費用を要することなどから、2014年に廃止が決まり、原子力機構は昨年6月、規制委に廃止措置計画の認可を申請していました。

◆計画では、廃止対象は約30施設です。ガラス固化処理に優先して取り組む一方、分離精製工場など主要4施設の除染などに先行着手し、低レベル放射性廃棄物は2023年度半ば以降に処理を開始するとしています。

◆同機構は、当面10年間で約2170億円をかけて安全対策やガラス固化処理を行い、その後、計約7700億円をかけて施設の解体、放射性廃棄物の処理などを行うとしています。これらの費用の大半は、国費で賄われます。

◆規制委の会合では、更田(ふけた)委員長が「当面の関心は、ガラス固化処理がきちんと終了するかどうかだ。放射性廃棄物の貯蔵の実態についてもつまびらかにしてほしい」と要望しました。

◆後継施設となる日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)は、2009年の完成予定が24回延期され、費用も当初の7600億円から、2兆9500億円(2017年7月)に膨れ上がっています。現在の完成予定は2021年度上半期で、規制委の安全審査は大詰めを迎えていますが、危険極まりない再処理工場の運転は問題山積です。

◆なお、「東海再処理施設」は、1997年3月11日、再処理後に残る低レベル放射性廃液をアスファルトと一緒に固めて処理する施設で爆発事故を起こし、「もんじゅ」のナトリウム漏れ事故と併せて、当時の運営主体だった「動力炉・核燃料開発事業団」(動燃)の組織改編のきっかけになりました。

「核燃料サイクル」の失敗を反省もせずに、
70年という長期の廃止作業を行おうとする
政府、規制委、原子力機構

◆今までに、枚挙の暇がないほどの重大トラブルを起こした「原子力ムラ」の中枢・旧動燃と統合した原子力機構が、70年という長期にわたって安全に作業を進めることができるか否かは大きな課題です。

70年の長期の間には、想定外の天変地変の可能性があり、政治、経済、社会の変動も起こります。それに対応した対策を念頭に置いて、強い放射線を出す液体や固体などが大量にある再処理工場の廃止計画が立てられているとは、到底考えられません。

◆まず、施設に貯蔵されているおよそ360立方メートルの高レベルの放射性廃液についてです。安全上のリスクを下げるために廃液はガラスと一緒に固めて処理する作業(ガラス固化)が以前から進められていますが、過去に何度もトラブルを起こし運転を停止していて、およそ12年半かかるとする工程が順調に進むかどうかは課題です。また、ガラス固化した高レベル放射性物質の安全保管の困難さも指摘されています。なお、東海の施設には、現在でもガラス固化体約270本があります。

◆さらに、通常、施設の廃止作業は、運用が終わってから行われますが、東海村にある再処理施設は再処理の途中で廃止作業が進められることへの不安です。これについて、規制委の更田委員長は「異例といってもいいかもしれない」と述べていて、同じように核燃料が原子炉に入ったまま廃炉の作業が進められる「もんじゅ」と併せて規制庁に監視チームを設けて安全を徹底するとしていますが、規制委が「新規制基準」適合とした原発の多くが再稼働時にトラブルを起こした事実からしても、規制委の監視は無責任この上ないことは明らかです。

◆次に、使用済み核燃料を再処理する際、核燃料を細かく切った後に残る金属の廃材の保管です。この廃材は、強い放射線を出すため、放射性廃棄物として金属製の容器に入れて保管していますが、容器を後から取り出すことを考慮せずにプールに沈めていて、約800個の容器などがプールの中で山積みになっています。プールには、クレーンなど遠隔操作で容器を取り出す装置を新たに整備する必要があり、原子力機構は、およそ10年後から取り出し作業を始めるとしています。

◆さらに、これらの廃材や、廃液をガラスで固めた高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の処分場の建設は見通しが立っていません。また、再処理工場の廃止に伴って、約7万1千トンの低レベル放射性廃棄物の発生も推定されていますが、その処分先も未定です。
(ここまでは、6月13日のNHKニュースを参照しました。)

◆以上のように、廃止の困難さだけを見ても、再処理工場を動かしてはならないことは明らかです。

玄海原発4号機再稼働

◆6月13日、九州電力(九電)は、佐賀県の玄海原発4号機(1997年運転開始;加圧水型;118万kw)を6年半ぶりに再稼働させました。原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」とする「新規制基準」に適合したことを拠り所にして再稼働した原発は、これで5原発9基になりました。九電では、川内原発1,2号機と玄海原発3号機(1994年運転開始;加圧水型;118万kw;2009年よりプルサーマル運転;本年3月23日再稼働)に次いで4基となりました。

◆玄海4号機は、5月24日に再稼働するとされていましたが、1次冷却水を循環させるポンプでトラブル(循環ポンプの流量が2倍になった)が発生して、点検や部品交換のため延期されていました。一方、3月に再稼働された3号機は、再稼働1週間後に、2次系配管に空いた穴からの蒸気漏れがあり、発送電を一時中止しています。

これらのトラブルは、原発の部品や配管の摩耗、腐食、減肉が相当進んでいることを示し、また、電力会社の安全対策が極めていい加減で、原発の「新規制基準」適合性を審査しながら、トラブルの兆候を見抜けなかった規制委の審査が「手抜き」であることを物語っています。ここでのトラブルは軽微なものかもしれませんが、このトラブルの中には、腐食、減肉、脆化など、重大事故につながるものがあります。さらに、度重なるトラブルで危機感がマヒして、重大事故の兆候を見落とす可能性もあります。

◆玄海原発には、廃炉になった1号機(1975年運転開始;加圧水型;55.9万kw;2015年廃炉決定)、2021年に運転開始から40年を迎える2号機(1981年運転開始;加圧水型;55.9万kw;定期点検中)もあります。2号機は、2020年3月までに運転延長を申請しなければ、原発運転40年の制限により廃炉が決定されます。「新規制基準」に適合させるには多額の安全対策費を要する上に、出力が小さいため、この原発の廃炉が決定される可能性は大きいと言えます。老朽玄海2号機の廃炉を勝ち取りましょう。

新電力への切り替え家庭、10%超え

◆6月18日、経産省は、今年3月末までに新電力に切り替えた家庭が約622万件となり、10%を超えたと発表しました。

◆新電力は、大口電力消費者が電力購入先を選べるようにした規制緩和(大口向け電力小売り自由化:2000年)と家庭向け小売り電力の購入先も選べるようにした規制緩和(電力全面自由化:2016年4月)に伴って新規参入した電力会社です。通信やガスなどの異業種も多く、2018年3月末で約500社にのぼります。

◆新電力への切り替えは、都市部が中心ですが、地方にも広がっています。旧来の電力会社管内の切り替え率を多い順に示すと、次のようになります。

①東京電力(13.9%)、②関西電力(13.1%)、③北海道電力(10.0%)、④中部電力(7.5%)、⑤九州電力(6.5%)、⑥東北電力(4.4%)、⑦四国電力(4.3%)、⑧北陸電力(3.0%)、⑨中国電力(2.9%)、⑩沖縄電力(0.0%)

◆家庭向け電力販売が最多の新電力は東京ガスで、KDDI、大阪ガスが続きました。

原発電力から脱したいとする電力消費者の意向を反映して、新電力への切り替えが進んでいると考えられますが、肝心なことは「まずは節電」です。節電によって、電力は原発なしでも十分足りることを示しましょう!

また、原発がダメなら「再生可能エネルギー」という考えは止めましょう。例えば、メガソーラーは、自然破壊エネルギーで、決して「再生可能エネルギー」ではありません。山林や農地に建設されたメガソーラーは、植物が利用していた太陽光エネルギーを人間が奪って使う施設です。太陽光は降り注いでいますが、人が電気エネルギーに変換して使用したら、「再生」できず、植物の生育を妨げるのです。

原発は止められても、地震は止められません!
原発重大事故を繰り返さないために原発即時全廃を!

◆6月18日午前8時前、大阪府北部を震源とするM6.1、最大震度6弱の地震が発生し、4人が亡くなられ、300人以上が負傷されました。この地震は、1923年に観測を始めて以来、最大の地震です。被災された方には、心よりお見舞い申し上げます。

◆この地震の震源地のやや南と一昨年の熊本・大分大地震の震源地は中央構造線と呼ばれる日本最大級の断層で結ばれていて、途中には伊方原発があります。中央構造線を南西に延長すれば川内原発、北西に延長すれば玄海原発があります。今回の震源地・大阪府北部の北北東には若狭の原発群があります。この地震は、南海トラフ大地震の予兆であると多くが指摘しています。南海トラフ大地震が発生すれば、原発重大事故は避けられません。

今回の大地震、熊本・大分大地震(2016年)、東日本大地震(2011年)、阪神・淡路大地震(1995年)は、何れも予知できませんでした。日本のような地震大国では、どこでも、大地震が発生する可能性がありますが、現代科学では、それを止めることはもちろん、予知することすらできないのです。

一方、原発は人が動かしているのですから、明日にでも止めることができます。重大事故の前に、原発を全廃しましょう!

原発全廃こそが「原子力防災」です。


高浜原発4号機の再々稼働を許すな!

高浜原発4号機は5月18日、3号機は8月3日に定期検査に入り、4号機については8月下旬から9月初旬に再稼働されようとしています。定期点検入りの高浜原発をそのまま廃炉に追い込みましょう!

老朽高浜原発1,2号機、美浜原発3号機を廃炉に!

40年を超えた標記原発が危険極まりないことは言を待ちません。老朽原発の安全対策費は高騰を続けていますから、廃炉実現の可能性は大です。廃炉実現のために、断固とした大衆運動や裁判闘争を高揚させましょう!


2018年6月22日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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