◆原発の危険度は、運転期間とともに高くなる

【2018年10月~,若狭で配付】

原発の危険度は、運転期間とともに高くなる

老朽高浜原発1、2号機、美浜3号機を今すぐ廃炉に

◆原発は事故の確率が高い装置ですが、老朽化すると、重大事故の確率が急増します。例えば、次のような理由によります。

  • 高温、高圧、高放射線(とくに中性子の照射)に長年さらされた圧力容器、配管等では、脆化(ぜいか;下記【1】を参照)、金属疲労(下記【2】を参照)、腐食(下記【3】を参照)が進んでいます。中でも、交換することが出来ない圧力容器の老朽化は深刻です。電気配線の老朽化も問題です。老朽原発には、難燃性でない電気配線も使われています。
  • 建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当と考えられる部分は多数ありますが、全てが見直され、改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物、配管の中で交換不可能なもの(圧力容器など)があります。最近、安全系と一般系の電気配線の分離敷設の不徹底なども指摘されています。
  • 建設当時の記録(図面など)が散逸している可能性があり、原発の安全管理の支障となります。
  • 建設当時を知っている技術者は殆どいないので、非常時、事故時の対応に困難を生じます。
  • 高浜3、4号機(運転開始後33年越え)のようなウラン燃料対応の老朽原発でMOX燃料を使用することは、炉の構造上、問題山積です。

以下に、脆化、金属疲労、腐食について簡単に説明します。

【1】老朽原発圧力容器の脆化

◆原子炉本体である圧力容器は鋼鉄で出来ていて、運転中は、約320℃、約150気圧の環境(加圧水型PWRの場合)で中性子などの放射線に曝(さら)されています。この鋼鉄は、高温ではある程度の軟らかさを持っていますが、温度が下がると、ガラスのように硬く、脆(もろ)くなります。

◆圧力容器は原子炉運転期間が長くなると、硬化温度(脆性遷移温度)が上昇します。例えば、初期にはマイナス16℃で硬くなった鋼鉄も、1、18、34年炉内に置くとそれぞれ35、56、98℃で、40年を超えると100℃以上で硬化するようになり、脆くなります。原子炉が、緊急事態に陥ったとき、冷却水で急冷すると、圧力容器が脆化していれば、ガラスを急冷したときのように、破損する(割れる)危険性があります。初期(使用前)の鋼鉄は、脆性遷移温度が零度以下ですから、水冷では破壊されません。とくに、不純物である銅、リン、炭素などの含有量が多い鋼鉄で出来た老朽圧力容器の脆化は深刻です。

◆なお、脆化の機構は解明途中であり、脆性遷移温度の評価法にも問題が多いことも指摘されています。

◆ちなみに、老朽原発の脆性遷移温度は、次のように推定されています(原子力資料室発行「別冊TWO SCENE」17、2018年夏号より)。

  • 高浜原発1号機(運転開始1974年):99℃
  • 玄海原発1号機(運転開始1975年;廃炉):98℃
  • 美浜原発2号機(運転開始1972年;廃炉):86℃
  • 美浜原発1号機(運転開始1970年;廃炉):74℃
  • 大飯原発2号機(運転開始1979年;廃炉):70℃

【2】老朽原発の金属疲労

◆金属疲労とは、金属材料に繰り返して(振動的に)「力」を加えたとき、はじめ小さな傷が生じ、やがて大きな破壊に至る現象です。「力」は機械的に加わるだけでなく、温度変化の繰り返しによって加わることもあります。金属が高温で膨張し、低温で収縮するためです。

◆1985年8月の日航ジャンボ機墜落(御巣鷹尾根)事故は、後部圧力隔壁の金属疲労が原因とされました。

◆1991年2月に、美浜原発2号機で蒸気発生器伝熱細管がギロチン破断(刃物で断ち切ったように真っ二つになる事)して一次冷却水が2次側に漏洩した事故の原因は、高サイクル振動による金属疲労と判定されました。この事故は、メルトダウンにつながりかねない深刻なもので、国内の原発で緊急炉心冷却装置(ECCS)が動作する最初の事例となりました。金属疲労による損傷は、ポンプやタービンによる機械的振動や配管を水や水蒸気が流れるときに生じる振動が長期にわたって加わったときにも生じます。

【3】老朽原発の金属腐食

◆金属の腐食とは、金属が接触している他種の金属、液体あるいは気体と化学反応して溶けたり、腐食生成物(いわゆる「さび」)を生成することです。表面が一様にさびる「全面腐食」、弱い部分から腐食が進行し、孔が開いたりする「局所腐食」があります。

◆原子炉内ではいずれの腐食も生じますが、老朽原発でしばしば問題となるのは「局所腐食」の一つ「応力腐食割れ」です。代表的な発生部位は、圧力容器内で燃料集合体、制御棒の周囲に円筒状に配置されているシュラウドと呼ばれる部品、再循環系配管、炉内計装管台などです。

◆1960年代末から1980年代初頭にかけて、特に沸騰水型プラントでは共通する不具合として問題になりました。当時発生した応力腐食割れの大半は炭素含有率が比較的高いステンレス配管の溶接部近傍(数mm 以内)で発生しました。ステンレスは、鉄に10~20%のクロムを混ぜて、さび難くした合金ですが、溶接時に600℃~800℃に加熱された部分ではクロム炭化物が生成し、クロム濃度が周囲より低くなる欠乏層(結晶粒界)が生じます。この部分に溶存酸素を含んだ炉水が接触しつつ引張応力(材料が引っ張られたとき、材料内部に生じる抵抗力)が加わると、応力腐食割れが発生、進展します。

◆「エロージョン・コロージョン」と呼ばれる腐食も生じますが、メカニズムは確定されていません。「エロージョン」とは、局所的沸騰(キャビテーション)あるいは液滴や固体粒子の衝突によって材料表面が徐々に脱離する現象(腐食;コロージョン)とされています。

◆1986年12月、米国のサリー原発2号機(加圧水型軽水炉で1973年5月に運転開始)の二次冷却系配管でギロチン破断事故が発生しました。この事故は、給水ポンプ入口側の90°エルボ部(湾曲部)で生じました。破断した配管の材質は、板厚12.7 mmの炭素鋼(鉄と炭素の合金:加工が容易で廉価)です。破断の原因は、エロージョン・コロージョンによる配管の減肉です。この事故により破断部近傍で工事を行っていた4名が死亡し、2名が負傷しました。

◆2004年8月に、美浜原発3号機(1976年3月に運転開始)の二次冷却系の復水系配管が突然破裂し、高温高圧の二次系冷却水が大量に漏れ出して、高温の蒸気となって周囲に広がった事故の原因もエロージョン・コロージョンによる配管の減肉です。

◆この配管は、直径55 cm、肉厚10 mmの炭素鋼製で、破裂箇所の上流側には圧力差から流量を計測するためのオリフィスと呼ばれる狭窄(きょうさく)部(狭い箇所)が設けられています。オリフィスで生じた渦流によるキャビテーションは、徐々に配管内面を削り、運転開始から28年後の事故当時には、配管は肉厚1.4 mmにまで減肉していました。この状況で、配管は、150℃、10気圧という運転圧力と振動に耐えられず、大きく破裂したと考えられています。

◆本来は肉厚4.7 mmまで減肉する前に予防措置をとるという内部規則があり、1989年には配管を検査し1991年には取り替えることになっていたにもかかわらず、関西電力と検査会社の見落しで、点検台帳に登録されず、この個所は稼動以来28年間一度も点検されていませんでした。関電の危機管理能力が疑われます。この事故では5名が亡くなられ、6名が重軽傷を負われました。国内初の運転中の原発での死亡事故です。

【4】老朽原発の圧力容器や蒸気発生器に強度不足の鋼材が使用された可能性

◆上述のように、原子炉材料の品質不良は、重大事故の原因となりますが、最近でも、強度不足の鋼材が老朽原発で使用されていたと報じられています。

◆2015年4月、フランス原子力安全局 (ASN)は、建設中の加圧水型原発の原子炉容器上蓋などに使われている鋼材の組成に異常(ひび割れの発生など、機械的強度を低下させる炭素濃度の高い領域)が見つかったと発表しました。また、調査を続けたASNは、2016年6月に、「フランスで運転中の58基の加圧水型原子力プラントのうち、9原発18基の蒸気発生器で「水室」(蒸気発生器の一部)の機械的強度が想定より低い可能性がある」と発表しました。この「水室」の鋼材はフランスのクルゾ社と日本鋳鍛鋼(にほんちゅうたんこう:新日本製鐵グループ、三菱グループの共同出資)が鍛造(たんぞう:金属を加熱し、ハンマーなどでたたいて、金属内部の空隙をつぶし、結晶の方向を整えて強度を高めながら成形)したものです。

◆フランスでのこの事態を受け、日本の原子力規制委員会(規制委)は、2016年8月24日、各原発事業者に対し原子炉容器等における炭素偏析の可能性に係る調査を指示し、九州電力や東京電力、関西電力など電力6社は、同年9月2日に、「日本鋳鍛鋼」が国内8原発13基の原子炉圧力容器を製造していたと報告しました。しかし、電力6社の調査は、「メーカーに確認する」程度のもので、メーカーである日本鋳鍛鋼は、「強度不足につながる鋼材の不純物は顧客の指示通り切り捨てている」として強度基準を満たしているとの認識を示しています。

◆電力各社によると、日本鋳鍛鋼は、福島第二原発2、4号機、志賀1号機、高浜2号機、大飯1、2号機、敦賀2号機、伊方2号機、川内原発1、2号機、玄海2、3、4号機の圧力容器を製造していました。

◆フランスで2015年4月に強度不足問題が発覚し、ASNが調査を指示し、2016年6月に結果を発表しているにも拘らず、規制委は、問題発覚以降にも原子炉の致命的欠陥に関わるこの問題を無視して再稼働審査を続け、川内原発、高浜原発、伊方原発の新規制基準適合を発表し、老朽原発・高浜1,2号機、美浜3号機の運転延長も認めています。

原発再稼働時に、頻発するトラブル:
原発老朽化の深刻さ、
規制委審査の無責任さを露呈

◆2015年8月に再稼働した川内原発1号機は、再稼働10日後に、復水器冷却細管破損を起こし、高浜原発4号機は、2016年2月の再稼働準備中に、1次冷却系・脱塩塔周辺で水漏れを起こし、発電機と送電設備を接続した途端に警報が鳴り響き、原子炉が緊急停止しました。さらに、伊方原発3号機は、再稼働準備中の2016年7月、1次冷却水系ポンプで水漏れを起こしました。本年3月に再稼働した玄海原発3号機は、再稼働1週間後に、脱気装置からの蒸気漏れを起こしました。配管に直径1 cmの穴が開いていたそうです。本年8月末に再々稼働した高浜原発4号機は、8月19日に、事故時に原子炉に冷却水を補給するポンプの油漏れを起こし、20日には、温度計差込部から噴出した放射性物質を含む蒸気が原子炉上蓋から放出されるという、深刻なトラブルを起こしました。

◆このように、再稼働を進める全ての電力会社がトラブルを起こしています。トラブル率100%です。これは、原発の点検・保守や安全維持の困難さを示唆し、配管の腐食や減肉、部品の摩耗などが進んでいること示しています。また、傲慢で安全性を軽視することに慣れ切り、緊張感に欠けた電力会社が原発を運転する能力・資格を有していないことを実証しています。さらに、規制委員会が適合とした多くの原発が再稼働前後にトラブルを起こした事実は、原発の再稼働にお墨付きを与えた新規制基準が極めていい加減な基準であり、規制委の審査が無責任極まりないことを物語っています。

規制委の審査は無責任で、科学とは縁遠い:
老朽原発審査は、さらに手抜き

◆老朽高浜原発1,2号機運転延長認可の発表にあたって、当時の規制委員長・田中俊一氏は、「あくまで科学的に安全上問題ないかを判断するのが我々の使命だ」と述べています。

しかし、科学とは、実際に起こった事実を冷静に受け入れ、丁寧に調査し、検証・考察して、その上に多くの議論を重ねて、結論を導くものです。規制委の審査は、この過程を無視しており、科学とは縁遠いものです。

◆実際に起こった最も重大な事実は福島原発事故です。福島事故に関して、事故炉内部の詳細は今でも分からず、事故の原因究明が終わったとするには程遠い状態にあります。「科学」を標榜するのなら、福島事故の原因を徹底的に解明して、その結果を参照して、原発の安全性を議論・考察するのが当然です。

◆しかも、老朽高浜原発1,2号機、美浜原発3号機の再稼働審査は、とくに無責任かつ杜撰(ずさん)でした。杜撰さを、高浜1、2号機審査を例に紹介します。

・関電が、高浜1、2号機の新規制基準への適合審査を申請したのは2015年3月ですが、2016年4月に設置許可、6月10日に工事計画認可、6月20日に運転延長認可と、他の原発の審査に比べて、異例の短期で審査を終えています。
審査会合も27回と川内、高浜(3、4号機)、伊方原発審査時の約半分です。しかも、先に申請し、終盤を迎えていた他原発の審査を止めての拙速審査です。規制委からの認可取得期限が2016年7月7日に設定されていたために、規制委が審査を早めて、この期限に間に合わせたのです。規制委には、特に慎重であるべき老朽原発審査に対する誠意は感じられません。

・審査の手抜きも目立ちます。例えば、この審査では、ケーブール、コンクリート、目視可能な鉄筋など、簡単に点検や補修できる箇所については審査しても、点検が困難な冷却細管、点検・交換が不可能な圧力容器については、十分審査しているとは言えません。また、蒸気発生器の耐震性は美浜3号機の実証データで代用し、通常なら審査段階で行う耐震安全性の詳細評価を審査後で可とし、実証試験を使用前検査時に先延ばしにしました。さらに、20年延長評価は初めてにも拘らず、パブリックコメントなど、広く意見を求めることもしていません。このように、調査や改修の困難な部分については手抜きする審査は、「科学的」に安全を保証するためのものではありません。

相次ぐ老朽原発廃炉:
それでも高浜1,2号機、美浜3号機を
動かし、全国の老朽原発再稼働を
先導しようとする関電と政府

◆原発の安全対策費は、福島事故の大きな犠牲の上に、また、反原発の闘いの故に、高騰し続けています。そのため、傲慢な電力会社と言えども、安全対策費がとくにかさむ老朽原発の廃炉を決意せざるを得なくなり、福島事故以降9基の老朽原発の廃炉が決定しています (福島第1、2を含めれば、廃炉は19基)。また、去る9月27日には東北電が34年越え女川原発1号機の廃炉の検討を始めたと報道されました。

◆それでも、関電は、来年以降、老朽原発高浜1号機(来年で45年越え)、2号機(来年で44年越え)、美浜原発3号機(来年で43年越え)を再稼働させ、全国の老朽原発の再稼働を先導しようとしています。安倍政権のエネルギー政策に迎合するものです。

◆しかし、安全対策費が膨大で、経済的にも成り立たない、老朽原発の運転を関電に断念させることは、私たちの行動如何では、可能であろうと考えます。老朽原発運転を止めさせ、原発新設を止めさせれば、美浜町の原発は即時ゼロに、高浜町の原発は7年後にゼロになり、2033年には、若狭の全原発が廃炉に向かいます。もちろん、その前に重大事故が起こる可能性もありますから、断固として、原発の早期全廃を勝ち取らなければなりません。


脱原発・反原発の声を大きくし、
高浜、美浜の老朽原発を廃炉に追い込みましょう!
原発に頼らない新しい社会を展望しましょう!


2018年10月発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

前のページに戻る

広告

◆再稼働で増やし続ける使用済み核燃料をどうするのか

【2018年11月9日,京都キンカンで配付。】

関電は、再稼働で増やし続ける使用済み核燃料を
どこで、どのように保管するのか?

使用済み核燃料と使用済み燃料プール

◆原発を運転すると、核燃料の燃焼が進むにつれて、核分裂性のウランやプルトニウムが減少するので核分裂反応を起こす中性子の発生数と発熱量が低下し、また、核燃料中に運転に不都合な核分裂生成物(特に希ガスや希土類)が多量に蓄積し、核燃料の持続的な燃えやすさ(余剰反応度)が低下します。さらに、核燃料被覆材は、腐食や熱や振動によるストレス(応力)によって変形します。したがって、核燃料を永久に使用することは出来ず、一定期間燃焼させると、新燃料と交換せざるを得なくなります。そのため、使用済み核燃料がたまります。

◆交換直後の使用済み核燃料は、高放射線、高発熱量で移動させることが出来ませんから、原発内にある貯蔵プール(使用済み核燃料プール)で3年~5年ほど保管・冷却されます。このプールは深く、燃料の上部の水深は7~8 m程度あり、水によって冷却されるとともに放射線が遮蔽されています。プール内には、ラックと呼ばれる仕切りがあり、使用済み燃料集合体間の距離を一定以上離しています。燃料集合体が近づき過ぎると核分裂反応が起きる(臨界に達する)からです。(下図は使用済み燃料プールの概念図です。広瀬 隆著「白熱授業 日本列島の全原発が危ない!」を参照。)

◆燃料プールは、概念図のように、原子炉の上部横に設置されていて、水で満たされています。原子炉圧力容器中の使用済み核燃料を燃料プールに移送するにあたっては、原子炉上部の原子炉ウエルに水を満たした後、圧力容器の上蓋を空け、クレーンで圧力容器内の燃料棒を釣り上げます。沸騰水型では、プールゲートを開けて、燃料棒をプールに移動させ、プール内のラックの中に納めます。加圧水型では、燃料棒を原子炉ウエル中で横にして、トンネルを潜(くぐ)って燃料プールに移し、プールで直立させて、ラックに納めます。


▲沸騰水型原子炉の燃料プールの概念図


▲加圧水型原子炉の燃料プール(ピット)の概念図

燃料プールは「むき出しの原子炉」

◆使用済み燃料プールは、圧力容器から取り出した核燃料を何の防御もないプールで保管しているのですから、「むき出しの原子炉」とも考えられ、脆弱(ぜいじゃく)で、メルトダウンする危険性が高い施設です。例えば、地震によって配管が破断し、燃料プールの冷却水が喪失し、燃料が水から顔を出すと、ジルコニウム合金の燃料被覆菅が燃え上がり、発生した水素が爆発します。この状態になると、燃料は溶融し、核爆発に至ります。

◆原発重大事故に関して、原子炉本体の破滅的な事態の防止は重要な課題として検討されていますが、使用済み燃料プールに起因する重大事態の可能性についてはあまり関心が払われていません。例えば、原子炉は炉心溶融を避けるために、バックアップ・ポンプ、バックアップ電源供給システム、バックアップ冷却システムを有し、炉心溶融に備えて、放射性物質封じ込めシステムを持っていますが、使用済み燃料プールについては、それらに比較できるほどのシステムを持っていません。なお、原子炉圧力容器は、高温高圧にも耐える鋼鉄の閉じ込め容器ですが、使用済み燃料プールは、上部が解放されたプールで、閉じ込め効果はありませんし、プール倒壊の可能性も指摘されています。

リラッキングによって、
燃料プールはさらに危険になっている

◆先述のように、核燃料プール内では、ラックを用いて、燃料棒集合体の間隔を確保して、臨界を回避しています。ところが、使用済み核燃料の行き場に困窮した電力各社は、このラックを改造(リラッキング)して、燃料棒間の距離を近づけ、燃料棒をぎゅうぎゅう詰めにしてしまいました。例えば、高浜原発3、4号機では、2005年と2006年にリラッキングし、プールの貯蔵能力を2.67倍に増やしています。プールで核爆発が生じる危険性は大きくなったと言えます。

使用済み核燃料の中間貯蔵とは

◆水冷期間が過ぎて、放射線量、発熱量が低下した使用済み核燃料は、乾式貯蔵容器(キャスク;裏面の図参照)に保管することになっています。キャスクでは、水や電気を使わず、空気の自然対流(換気)によって燃料を冷却します。このキャスクの保管場所が中間保管地です。


▲使用済み核燃料乾式貯蔵キャスクの例
(周囲に空気を循環させて空冷。)
(日本原電→こちらより)

◆国の核燃料サイクル計画では、中間保管地の使用済み核燃料は再処理工場に移送して、ウラン、プルトニウムを取り出し、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX) 燃料として再利用し、他の放射性物質はガラス状固化体の高レベル放射性廃棄物とした後、地層中に処分することになっていましたが、再処理工場の建設はトラブル続きで、すでに2兆2千億円をつぎ込んだにもかかわらず、完成の目途(めど)は立っていません。そのため、使用済み核燃料の多くは、各原発の使用済み核燃料プールに溜めおかれています。

使用済み核燃料の永久保管はもとより、
中間保管すら引き受ける場所はない:
それでも増やし続ける関電

◆経産省は昨年、「科学的特性マップ」を発表し、高レベル放射性廃棄物の保管場所は、日本中どこにでもあるように宣伝しています。それでも、高レベル放射性廃棄物の保管を引き受けるところはなく、使用済み核燃料についても、中間保管でさえ引き受ける場所はありません。

◆現在、日本には使用済み核燃料が17,000 トン以上たまり、原発の燃料プールと日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)の保管スペースを合計した貯蔵容量の75%以上が埋まっています。原発が順次再稼働した場合、数年後には満杯になります。

◆日本原燃・再処理工場の一時保管スペース(容量3,000トン)の貯蔵量は、2012年9月で2,945トン(占有率は98%)に達しています。青森県は「現在一時預かりしている使用済み燃料は、再処理の前提が崩れれば、各原発に返すだけだ」と強調しています。

◆福井県にある原発13基が持つ使用済み核燃料貯蔵施設の容量は5,290トンですが、その7割近くが使用済み燃料で埋まっています。高浜、大飯の原発を運転し続ければ、6年程度で貯蔵限度を超え、原発の稼働は出来なくなります。

◆それでも、関電は、高浜原発3、4号機、大飯原発3、4号機を次々に再稼働させ、行き場のない使用済み核燃料を増やし続けています。しかも、高浜原発3、4号機では、MOXを燃料に用いる危険度の高いプルサーマル発電を行い、大飯原発のプルサーマル化も企てています。MOX燃料が使用済み燃料になったとき、ウラン燃料に比べて、放射線量や発熱量が下がり難いため、長期の保管を要します(4倍程度の長期の水冷保管とそれに引き続く乾式保管が必要)。

「今年中に、使用済み核燃料保管地を県外に探す」と、
口から出まかせで、
福井県知事に約束した関電

◆関電の岩根社長は、昨年11月、使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、「2018年内に、福井県外で具体的な計画地点を見出す」と西川福井県知事に、記者団の前で約束しました。しかし、年末が迫っている現在でも、候補地の名前すら示していません。この約束は、大飯原発3、4号機の再稼働への知事の同意を取り付けるための、何の成算もない「口から出まかせの約束」であったことは明らかです。

◆その関電が、高浜原発3、4号機、大飯原発3、4号機を次々に再稼働させ、行き場のない使用済み核燃料を増やし続けているのです。

◆なお、関電の使用済み核燃料の中間貯蔵に、青森県むつ市にある他社の中間貯蔵施設を利用する案も出ていますが、地元は強く反発しています。

口から出まかせを承知で
再稼働に同意した知事

◆昨年11月27日、西川福井県知事は、関電の岩根社長の中間貯蔵施設に関する発言を受けて、その発言の信憑性(しんぴょうせい)も検証せずに、大飯原発3、4号機の再稼働に同意しました。「口から出まかせの約束」を承知の上での出来レースとしか考えられません。県民の安心・安全など念頭にないのです。

関電と福井県知事は
約束が履行(りこう)されなければ、
責任を明らかにせよ!

◆県知事が公の場で約束したとき、その約束は、県民との約束です。したがって、「年内に中間貯蔵地を探す」という約束が守れなかった場合、関電は、全ての原発を即時停止し、県民に謝罪すべきです。また、県知事は再稼働への同意を取り消し、使用済み燃料を生み出す原発の全廃を求めるべきです。

約束が反故(ほご)にされたとき、関電と県知事の責任を断固として追及しましょう!


11月7日、関電が高浜原発3号機の再々稼働を強行。
「原発うごかすな!@関西・福井」呼びかけの
原発ゲート前抗議行動に60名が参加。

ご参加の皆様、お疲れさまでした。有難うございました。


▲2018年11月8日新聞朝刊

2018年11月8日発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

前のページに戻る