◆控訴審第1回口頭弁論の報告~支援する会から

みなさま

原発賠償訴訟・京都原告団を支援する会事務局の上野です。

12月14日、大阪高裁で控訴審第1回期日が開かれ、たくさんの方が傍聴に駆け付けてくださり、裁判所に対してこの裁判は社会的に注目されているぞということを強く印象づけることができました。参加いただいた皆様、ありがとうございました。以下、報告です。

今回は、西日本では初めての控訴審ということで、記者会見も行ない、僕はそちらに同行したので、報告集会には終わりの方しか参加できませんでした。

◆抽選までの状況

傍聴券を求めて抽選番号リストバンドを受け取った方は125名。京都地裁でも見慣れた方もたくさん来ておられ、大変勇気づけられました。遠くかながわ訴訟の村田原告団長、愛知岐阜訴訟の伊藤原告団共同代表夫妻、関西訴訟からは森松代表ほか多くの原告さん、ひょうご訴訟からも原告さんが駆け付けてくれました。今回は記者席が多く用意されたために一般傍聴席は75席と少なめで、約50名が外れるという厳しい抽選となりました。

大阪高裁では手荷物検査が始まっており、混雑が予想されるため、当たった方には手荷物検査に入ってもらい、原告の入廷行進は抽選に外れた方が玄関前で待機し、拍手で迎えました。そのあと、抽選に外れた方たちは道案内のスタッフの誘導のもと、模擬法廷の会場(弁護士会館が取れず、少し離れた貸会議室)へ移動しました。

◆口頭弁論

今回は初回ということで、原告を代表して共同代表の福島さんの意見陳述が行われました。福島さんは、5分という時間制限の中で原告一人ひとりの思いを込めたという原稿を読み上げました。原発事故を無かったものにしたいがために、避難者を住宅から追い出し、小児甲状腺がんが多発しても放射能との因果関係を否定する政府の姿勢を批判し、避難の正当性を訴えました。そして、最後に立ちあがり、裁判官に向かって「私たちの避難の権利を認めて下さい! 最後に、私たち原告一人ひとりの命と裁判官のみなさまの命と向き合って判断してほしいと強く望みます」と訴えました。

次に原告側代理人(高木弁護士と鈴木弁護士)による「因果関係に関する控訴理由書」の告知(要旨)が行なわれました。高木弁護士の部分の要点は、◇原判決は公衆被ばく限度(年1mSv)を規定した国内法を無視しており誤りである、◇ICRPは、低線量被ばくの影響について諸説あることを前提としてLNTモデルを採用し、公衆被ばく限度を年1mSVと勧告している、◇生活圏内に年1mSvを超える線量が測定された地域から避難することは最も重要な社会規範である国内法に照らしても相当な行為である、◇原判決は全文480頁のうち、土壌汚染についてわずか半頁(13行)しか触れておらず、土壌汚染を軽視している。土壌汚染の軽視は内部被ばくを無視することになる、◇内部被ばくの身体への影響は外部被
ばくよりも大きい、◇チェルノブイリで法では、内部被ばく量と外部被ばく量を合算して住民の総被ばく量を算出しており、その推計に土壌汚染度が用いられている、というものでした。

鈴木弁護士の部分の要点は、◇原判決は4万Bq/ ㎡(放射線管理区域)という土壌汚染の意味を理解していない、◇管理区域内に人は長時間居てはならないというのが社会通念であり、管理区域以上の汚染地域から避難するのは社会通念上相当である、◇モニタリングポストと周辺汚染状況にはかい離があり、子どもが地面に転がったり座ったりすることを考えれば、地上100cmの空間線量を基準とすることは不合理である、◇原判決は、避難の時期を2012年4月1日までとした理由の1つにその時期には子どもの避難者数は減少傾向にあったとするが、京都府においては4月1日以降も福島県内からの類兼受入避難者数は確実に増加しており、理由にならない、というものでした。

次に井関弁護士による損害額認定に関する控訴理由の告知(要旨)が行なわれました。その要点は、◇避難指示を受けた者の慰謝料は月額10万円に対し、区域外避難者の慰謝料は月額に直すと12,500円で低額にすぎる、◇自身の担当原告は6世帯だが、そのうち4人が心身に深刻な不調を来している(具体的な状況の紹介がありました)。それほど原発事故による被害は過酷なものである、◇交通事故で通院8ヶ月の慰謝料が100万円「を超えるのと比較しても30万円の慰謝料は余りに低額である、◇原判決は、避難から2年も経てば避難先での生活も安定するとしたが、避難は「一般的な移転」(転勤に伴う引っ越しなど)とは違う、◇被告東電でさえ、避難先の家賃を2018年3月まで補償してお
り、2年間に限定する原判決は変更を免れない、◇原判決はコミュニティ侵害を固有の損害とは認めず、慰謝料算定で考慮すれば足りるとしたが、低額の慰謝料で考慮されたとは思えない、◇自然、人間関係、文化など有形無形の権利利益を包含するコミュニティが不可逆的に変容させられ、元には戻らなくなった。コミュニティは平穏生活権の基盤であり、何物にも代えがたい価値を持つ。コミュニティ侵害について正面から認める判決を求める、というものでした。

今回は国側代理人もパワーポイントまで使ってプレゼンを行ないました。しかし、パワポは小さい字で何が書いてあるかまったく読めず、小さい声で早口でしゃべったので、細かい点はほとんど聞き取れませんでした。要約すると、安全性には「相対的安全性」と「絶対的安全性」があり、原発の規制基準に求められていたのは「相対的安全性」だった。地震本部の長期評価は「決定論」に取り入れるほど根拠のあるものではなかったので、「確率論」で扱うことにしていた、というようなことを長々と述べていました。現実によって破綻した「理論」を正しかったと言い張っている印象で、そんな態度で再稼働を進めているのならまたぞろ事故を引き起こすぞ、怒鳴りつけたい衝動にかられましたが、実際にどなり
つけた人がいたのでした。

国側代理人の発言が終わったとたん、原告席の一人が立ち上がり、被告側に向かって「責任逃れの言い訳じゃないか」、「また事故が起きるじゃないか」

(正確な言葉は覚えていないのですが)という趣旨の発言を始めたのです。しばらくして裁判長が「ここはそういう場ではありません」と言い、田辺弁護士が「後日反論します」とまとめ、閉廷となりましたが、この原告さんの発言はみんな抱いていた憤りを代弁したものだったと思います。

◆記者会見

閉廷したあと、記者会見と報告集会が平行して開催されました。記者会見には原告の福島さん、堀江さん(以上、共同代表)、川崎さん、鈴木さん、高木さんの5名、弁護団の川中団長、田辺事務局長の7名が参加し、僕は写真撮影のために同行しました。

記者会見では、各原告から第1回期日を終わっての感想や思いが語られました。その要点は次のとおりでした。

●福島さん…今日は傍聴席が満杯になり感無量です。京都地裁では自分のことを中心に陳述したが、今日は原告一人ひとりの思いが詰まった内容になっている。避難者が置かれている現状と事故後何も変わっていないことを裁判官にわかってもらいたいという思いで書いた。すべての原告が笑顔になれる日まで闘いたい。負けられない。

●堀江さん…たくさんの方が傍聴に来てくれて、ありがたかった。子ども3人が原告になっているが、そのうち1人がすべて棄却された。娘も、そして棄却された他の原告も控訴審で認められるように闘っていきたい。

●川崎さん…控訴したのは世の中が何も変わらないからだ。事故後、行政にも学校にも訴えたが、「ここは茨城県だから」という回答しかなかった。混乱期を過ぎても「安全、安心」の押しつけは変わっていない。チェルノブイリ法のように、安全でないことを前提とした教育や行政のあり方に変えていくためには国を動かすしかない。何としても国を変えたい。

●高木さん…避難を決断するまでに子どもの健康をはじめ、どれだけつらい思いをしたことか。京都へ来て、外から福島を見た時に、「もう戻るのは難しいな」と思った。どうしたら国を変えられるんだろうと考えた。私たちが国のあり方を変えなければいけないと思っている。そのために司法に訴えて、勝利をかちとりたい。

●鈴木さん…障がい者の自立生活支援をして介護事業所の理事長をしていたため、自分が避難するまでに2年半かかった。避難にあたっては福祉、医療態勢、交通アクセス、住宅などいろいろ不安があった。京都地裁判決は避難の期限を2012年4月1日で切っているが、各人の事情を考慮していない。その後、私は甲状腺がんを発症した。そういう被害を国は調べもしないことに憤っている。裁判で決着をつけたいと思っている。

そのあと川中弁護団長が次のように決意を語りました。

原告側の陳述はわかりやすく、争点が明確になったのではないですか?それに対して国側は何を言っているのかわからなかったが、今後きっちり論破していきたい。この裁判は、原告はふるさとに帰りたいが帰れないという実態を裁判官にわかってもらわないと勝てない。オリンピックの競技が福島でも行なわれるということで、すべて解決したかのようなキャンペーンが強まることが予想されるので、それが裁判に影響しないようわれわれも頑張っていきたい。

記者会見が終わったあと、両弁護士は進行協議へ向かわれ、原告5名と僕は報告集会会場へ向かいました。会場に着くと105席は最前列の一部を除いてほぼ満杯で、ちょうど関西訴訟原告の人たちが連帯のあいさつをされるところでした。そのあと記者会見から帰った原告5名がそれぞれあいさつをし、最後に先に報告集会に参加していた原告も含め原告全員が前に勢ぞろいして、集会を終えました。

第2回期日は来年3月13日(水)11:00開廷です。また、第3回期日は6月13日(木)14:30開廷と午後からに時間は変わります。引き続き、ご支援のほどよろしくお願いします。

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