◆原発立地を歩いて

【2018年6月15日,京都キンカンで配付。】

寄稿

原発立地を歩いて

若狭の原発を考える会・橋田 秀美

◆約4年弱の若狭で行った原発反対行動において、私が見たこと、聞いたこと、そして感じたことなどを中心に披露させていただきたいと思います。1955年、兵庫県の但馬地方に農家の娘として生まれ、高校卒業後、京都の郵便局に就職、定年の2年前に退職、退職後、市民運動に関わるようになった私の経験です。

「おもしろそうだな」から入ったこの運動

◆現地に活動拠点を置き、現地にこだわった反原発活動をする「若狭の原発を考える会」に共感し、「原発立地の住民は原発とどう向き合っていらっしゃるか」、「原発立地で原発との関わりの深い皆さんに原発を拒否していただくにはどうすればよいか」、「原発立地・若狭の住民と原発重大事故では被害地にもなる原発電力消費地・関西の住民との連帯した反原発運動をどう構築したらよいか」などを考えることは「おもしろそうだな」と思い、脱原発、反原発を現地で訴える行動に参加しました。

アメーバデモで原発立地の声を感じる

◆まず、「若狭の原発を考える会」の代表的な行動・アメーバデモで聞いた住民の方たちの声を紹介します。

◆(アメーバデモとは; 関西や福井から原発立地の若狭や周辺の舞鶴、高島に集まり、3~4人が一組になり、徒歩で、鳴り物を鳴らしながら、また、「反原発」の旗を掲げ、肩にかけたスピーカーで呼びかけながら、チラシを若狭の全ての集落の、隅から隅まで配り歩く行動です。通常は2~3グループですが、時には全国からの応援も得て数十グループにもなります。お会いする住民からはできるだけお話をうかがうようにしています。)

◆美浜の畑で仕事の手を止めて、「原発は怖い。よう知ってるんや」と、悲しそうな顔でおっしゃる女性がいました。もう原発はここにある、どうしようもないというあきらめか、はたまた、原発を許してしまった後悔や怒りか・・・、そんな風に思えて胸が詰まりました。

◆スピーカーで「原発反対」を訴えたところ、高浜の畑の老人たちから「おまえら、原発の電気を使ってるやろ!」と罵声(ばせい)を浴びました、こんなことはめったににないので、少しへこみました。

◆おおい町大島の男性に「わしらを責めに来たのか」と言われ、複雑な心境になりました。

◆高浜商店街で店先を掃いている女性にチラシを渡して「原発に反対しています」というと、「若い人は都会の大学に行って、そこで就職するから誰も帰って来ない。私らもう死ぬだけだからいいんや」と、そこに別の女性が話しに加わってこられ「いいや、私は福島の事故を見て考え方が変わった。やっぱり原発はあかん」と3人で原発論議になった。帰り際「あんた、よう声かけてくれたなぁ。しゃべれてよかったわ。」とおっしゃった。

◆「反原発」の旗や、スピーカーを鳴らしながら歩いていると会釈する中、高校生や、手を振る小学生がいます。あまり都会ではない光景に心が安らぎます。

◆かつて原発労働者だったという老人は、「わしら放射能の怖さなんか何にも教えられなかった。胸につけた線量計がピーピーなり出すけど、そこら中で鳴っているから誰のが鳴っているかもわからず、仕事をしていた」とリアルな話に驚いた。仲間は70代で多くが亡くなったとおっしゃった。

◆名田庄での長い立ち話。「住民はみんな反対なのに町長や議員は何で賛成するのか分からない」とのこと。

◆この他にも、アメーバデモの参加者は、計1,000人以上の方々と直接お話を聞きましたが、80~90%が原発反対あるいは原発に疑問を持っておられることが分かりました。原発立地でも、脱原発・反原発の隠れた声が多数であることを実感しています。

◆以上のような、いろんな声に教えられ、また、励まされてきました。身体は疲れるけど、気持ちは何もしんどくない、楽しいと感じるようになりました。

◆都市部の人にこの話をすると「へえー。チラシ配って『ありがとう』って言われるの、いいなー」と興味を示されます。このことは、2月25.26日の若狭湾岸一斉チラシ配布(拡大アメーバデモ)に参加された皆さんも実感されました。この行動には、全国から延べ220人の方が参加されましたが、1日目の夜の交流会でも「若狭の人は温かい。ほとんどの人から『ありがとう』、『ごくろうさん』と言われた。都会でチラシ配っても『ありがとう』なんて言われたことがない。来て良かった」との感激の言葉が多数聞かれました。現地の人たちに、反原発をアピールするだけでなく、運動する側の人たちに、現地で行動する意義、喜びを感じてもらえたという意味では本当によい企画だったと思いました。

原発立地に近い立地外住民の思い

◆2018年5月8日の中日新聞朝刊に、小浜湾を挟んで5 km離れた対岸の集落・小浜市内外海(うちとみ)地区での大飯原発再稼働についての世論調査の結果が掲載されました。ほぼ半数が再稼働に反対し、8割以上が廃炉を求めていることが分かりました。私達はその地域にも行ってみました。大飯原発は陸地からは見えないと思っていましたが、泊という地区からは見えました。最初にお話しした人からは、いきなり「原発を動かす政府が悪い」と怒りの言葉でした。出会う人がほとんど「原発反対」とおっしゃいます。原発が目と鼻の先にあり、もし事故がおきたら真っ先に被害を被る。小浜市は原発を拒否したのに、そんな理不尽さも感じ取れました。

(注:小浜市内外海地区の一部は、大飯原発から5 km圏すなわち事故時にすぐ避難が必要な「予防防護措置区域(PAZ)」にありながら、小浜市は原発の立地自治体ではないため、地元同意の手続きから外れています。)

原発立地も変わりつつあります

◆私たちは、高浜で、美浜で、おおいで集会や講演会、デモをしてきました。その集会やデモに現地の人が参加して欲しいという気持ちはもちろんあります。しかし、それはなかなかできないことだというのも分かっています。しかし、私達が現地で声を上げ、行動することで「声をあげていいんだ」、「反対って言っていいんだ」と思う人が増えていっているのは確かだと思います。なにかあったときに、この人たちはきっと立ち上がってくれると信じ期待しています。

◆一昨年の12月18日高浜原発の地元中の地元・音海地区が「40年超え原発運転延長反対」の決議を上げました。地域には「高浜原発運転延長反対」の立て看板がたち、今やのぼりまで立っています。これにあわてふためいたのは関電でした。関電はこの音海対策のために対策本部を設け、人員を配置し懐柔策に乗り出しました。地区の新年会に出席したいと言いだし、一升瓶をぶら下げて来たそうです。この事実から分かることは、やはり、地元から反対の声が上がるということが一番怖いのです。

◆昨年12月3日おおい町で反原発集会とデモをしたとき、「こうして外から来て原発反対運動をしてくれるのはありがたい。こういう運動がなかったら若狭で原発重大事故が起こっていたかもしれない」という住民の方がおられました。私はハッとしました。

◆3.11福島原発事故という大きな犠牲の下、全国で起こった「反原発」の大衆運動や裁判闘争が、電力会社に安全対策を迫ることとなり、事故を防ぐことに繋がっているのです。反対行動が無ければ、多額のお金を要する安全対策などせず、老朽原発を含む原発を次々に動かし、重大事故の確率は格段に高くなっていたでしょう。社会の不条理に無関心であること、声を上げず、行動に表さないことは、無自覚のうちの国策、体制擁護であり、自分を含む多くの人も危険に追い込むことになるのだと改めて考えさせられました。

私にとって昨年は激動の一年でした:少し変わりました

◆昨年、私は、国策に抗(あらが)ういろんな現地に行き、深く考えさせられる経験をしました。

◆私は子供の頃、農業を手伝わされました。そのころは遊びたいし、「土まみれになるしいやだなぁ」と思ったこともありますが、今は農業を経験したことが自分の生き方に大きく影響を与えていると思うようになりました。

◆成田空港建設ではすさまじい農地収奪が行われたということですが、三里塚でお目にかかった、農地を売らずに守り続けている農民が畑で働く姿はなんとも懐かしく、気高くさえ思えて、とても感動しました。「何億とお金を積まれても、土地は売らん。俺たちは1本100円の大根を作り消費者に喜んでもらう方が幸せだ」、そう言って今も続く空港会社や国からの不当な弾圧や嫌がらせに抗って、闘っておられます。

◆岩国の米軍基地も訪れました。今住んでいる京都の北部・京丹後に米軍Xバンドレーダー基地ができ、そこにも基地反対行動に行くようになり、そのつながりで「岩国に行ってみたい」と思ったのです。

◆愛宕山という山が削られて平らになり、そこに作られた米軍高級将校用住宅が建ち並んでいました。1軒が7、8千万円するそうです。建設費、家賃も光熱費も思いやり予算=私達の税金です。米軍用の大きな野球スタジアムもありました。このスタジアムは、私達の税金で立てられたものですが、米軍は「市民も使用してもいいよ」と言っているそうです。現物を見るとほんとに腹が立ちます。この怒りが行動の原動力になります。

◆上関原発建設に反対し続けている祝島(いわいしま)には、岩国の帰りに寄りました。上関原発建設予定地の真向かいにある島です。島民の9割が原発建設に反対しています。「あんな巨大な建物を見て暮らすのはいやだ」、「主要産業である漁業にとって、海が汚されたら生きていけない」、「もし事故が起こったら、こんな離島からどうして逃げるのか」、そんな思いで反対し続けています。非暴力で座り込んで住民は拒否してきたそうです。1割の人が金に目がくらみ、住民を裏切りましたが、未だ闘いは続いています。

◆こうして考えると、お目にかかった農民や漁民の方々には、自然の中で土と共に生きる、海の幸をいただいて生きる、これが人間としての生き方であり、将来にわたっての幸せであるという堅い信念があるのだと思います。だから、農地を手放してはいけない、原発で土や海を汚されたら人間は生きてはいけないことをよく知っていらっしゃいます。祝島の人たちは顔がみんなとてつもなく明るかった。それに比べると、若狭の原発立地の人の顔はどこか暗いものを感じます。それはもう原発があるからという諦めからくるものかもしれないし、原発を許してしまった怒りや後悔なのかもしれません。

◆しかし、先日、湾を挟んで高浜原発の対岸にあり、原発から4~5km の鎌倉という地区を訪れたとき、ハッとさせられたことがありました。高台の小さな集落ですが、棚田と畑が見事な景観を作り出しています。少し腰の曲がった老年の女性がにこにこしながら歩いてこられたので、挨拶して「原発反対のチラシです。読んでいただけますか」と手渡しました。すると、「まあ、ごくろうさん。そこの小さな田んぼと畑を一人でままごとのようにやっているんよ。でもこれで十分生きていけるから満足」とおっしゃったのです。私は、本当の豊かさとはこういうことではないかと思いました。そして、なんと人間らしい生き方かと感服しました。

◆私は、三里塚の農地や働く農民の方たちを見て、命をかけて守ってこられたこの畑を原発事故などで汚してなるものかと思い、祝島で、活き活きと海と共に暮らすこの人たちの暮らしを原発などで失わせてはいけないと思い、高浜町鎌倉の「ままごとのような小さい田んぼと畑で生きていける」とおっしゃった人の暮らしを守りたいと強く思いました。

◆そして、地道に労働争議を闘っているユニオンの方達との出会いもありました。原発事故は職場を奪います。福島原発事故は、大きな犠牲を持って私達にそれを教えてくれました。働く場を失い、復興のめども立たず、事故後4年目くらいから自ら命を絶つ人が増えました。新たな職もなかなか見つからず、家族は疲弊して離散してしまう例もたくさんありました。この責任を誰もとっていないことにほんとうに怒りが込み上げます。

おわりに

◆私のつたない経験と深い思いを書いてみました。最後に、以下を訴えます。

◆困難をいとわず、おもしろい企画を打ち出し、楽しく参加できる反原発運動を展開しましょう。

◆市民運動をしている方はほとんどが退職世代です。若い人が運動に参加しないと嘆く人がいますが、時間だけはある私達・年金世代が活き活きと活動する姿を見せればそれでいいと思っています。

◆現地に行きましょう。自分の目で見て感じたら人は変わります。私は現地行動で育てられたと思います。現地に通いながらいろんなことを発見し、学びました。

◆経済至上主義で壊されてしまった現状から、人間らしい生き方、人間が大事にされる社会を取り返さなければならないと思います。どのような社会が人間らしく生きられる社会なのか、どうしたらそんな社会が創れるのか、一人一人が考え、行動しましょう。

お読みいただき、ありがとうございました。


新潟県知事選挙では、
惜しくも野党共闘候補が敗れましたが、
この悔しさをバネに
さらに大きな原発全廃運動を構築しましょう!

◆6月10日投開票された新潟県知事選挙は激戦でしたが、野党が一丸となって推薦した候補は僅差で、与党系候補に敗れました。しかし、原発に関しては、新潟県民のNO の声は大きく、この選挙では、与党系候補ですら、前知事が進めた安全性検証を継続するとして、再稼働に慎重な姿勢を示さざるを得なかったのです。また、選挙中だけでなく当選後も、柏崎刈羽原発の再稼働の是非について、出直し知事選で県民に判断を仰ぐ可能性を強調しています。(任期中は原発を動かさないことを宣言したことになります。)

◆さらに大きく、全国的な再稼働阻止の大衆行動や原発運転差し止めの裁判闘争を構築し、原発全廃を実現しましょう!


2018年6月15日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

前のページに戻る

広告

◆原発に関わる最近の出来事

【2018年10月9日,京都キンカンで配付。】

人類の手に負えない原発の即時全廃を!

「エネルギー基本計画(改定案)」公表

-脱原発の民意を蹂躙し、原発に固執する計画-

◆経済産業省は5月16日、総合資源エネルギー調査会の基本政策分科会で、国のエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の改定案をとりまとめました。パブコメを求めた後、今夏に閣議決定するといわれています。

◆この計画では、再生可能エネルギーを「主力電源化」する方針を新たに打ち出す一方で、原発については、「依存度は可能な限り低減していく」としつつも、「重要なベースロード電源」とする従来の方針(2015年7月に策定)を維持して、2030年度時点の発電電力量に占める原発の比率を20~22%とする目標は据え置きました。

◆この目標の達成のためには、30基以上の原発が必要となり、運転開始後40年を越える老朽原発の稼働も必要になります。しかし、全老朽原発の稼働を延長したとしても、これらの原発の多くが2050年までに60年越えで廃炉になるため、2050年に稼働中なのは20基に満たないことになります。したがって、中長期で一定の原発活用を見込むのであれば、新増設や建て替えは避けて通れないことになりますが、この基本計画では世論の批判を恐れて、その議論は避けています。

◆なお、今回の計画では、2015年12月に採択された地球温暖化対策の国際的枠組み「パリ協定」を踏まえ、2050年を見据えた長期のエネルギー戦略を新たに盛り込んでいます。再生エネルギーや原発、火力に加え、水素や蓄電池など次世代技術も含めた「あらゆる選択肢の可能性を追求する」と強調しましたが、将来の技術進歩やエネルギー情勢を正確に予測するのは困難として、電源構成の具体的な目標設定は見送っています

◆今回の改定案では、2030年度の発電電力の電源別構成比の目標を次のように定めています。
(比較のために、2015年度および震災前の2010年度の電源構成も併せて示します。)

  • 2030年度(計画)…… LNG27%、石炭26%、再生可能エネルギー22~24%、原子力20~22%、石油3%
  • 2015年度(現状)…… LNG40%、石炭32%、再生可能エネルギー15%、原子力1%、石油12%
  • 2010年度(震災前)… LNG29%、石炭26%、再生可能エネルギー10%、原子力25%、石油10%

問題なのは、「原発依存度は可能な限り低減する」としながら、「原発ゼロ」を目指さないことです。

◆福島原発事故は、多くの人の命を奪い、故郷を奪い、職場を奪い、農地を奪い、海を奪い去りました。事故から7年たった今でも、5万人以上が避難生活を強いられ、事故炉廃炉の見通しも立たず、汚染水が垂れ流され続けています。そのような中でも、政府は、避難された人々に、除染が進んだとするには程遠く、高放射線でインフラも整備されていない故郷への帰還を強要しています。

◆原発は、事故の多さ、事故被害の深刻さだけでなく、使用済み燃料の処理や保管の困難さなど、あらゆる視点から、人類の手に負える装置ではありません。一方、福島事故以降の経験によって、原発は無くても何の支障もないことが実証されました。したがって、原発を運転する必要性は全く見出せません。不要な原発を稼働させて、事故のリスクに怯える必要は全くないのです。そのため、最近のほとんどの世論調査でも、原発反対は賛成の2倍以上となっています。脱原発、反原発が多数の願いであり、民意であることを示しています。

原発は不要なのですから、「原発ゼロ」は可能で、当然のことです。
なぜ、危険極まりない原発とCO2排出量の多い石炭を「ベースロード電源」にするのでしょう?

◆それは、
①使用済み核燃料や事故による損失を度外視すれば、安上がりな原発電力、熱量当たりの単価が化石燃料の中で最も低い石炭での発電によって、電力会社や大企業を儲けさせるためであり、
②原発輸出によって、原発産業に暴利を与えるためであり、
③戦争になり、石油や天然ガスの輸入が途絶えたときの基盤電源を、国内で調達できる原発電力、石炭火力電力で確保するためであり、また、
④核兵器の原料プルトニウムを生産するためです。

◆すなわち、この「エネルギー基本計画」は「巨大資本に奉仕する国造り、戦争出来る国造り」のための計画です。

原発推進の策動を許してはなりません。

◆今回の「エネルギー基本計画」の改定案の公表に関して、原発を推進してきた自治体の首長らは不信感を述べ、原発の建て替えや新設を促すかのような発言をしています。民意を蹂躙する原発推進の策動は、断固として拒否しましょう。

◆高浜原発立地の高浜町の野瀬豊町長は5月31日の会見で「(原発を)やめるなら、やめるで、はっきりしてほしい」と国に注文し、エネルギー基本計画の改定案には原発の建て替えなどが盛り込まれず、中長期的な原子力政策を明らかにしない国に不信感を示しています。改定案では、2030年度の目標とする原発の電源構成を従来通り20~22%に据え置いていますが、目標達成に必要とされる新増設などを先送りしており、野瀬町長は原発を軸とした町内産業の将来を念頭に「(現状のままでは)出口戦略を考えざるを得ない」と指摘しています。

◆総合資源エネルギー調査会の委員でもある西川一誠福井県知事は、「原子力も再生エネルギーもはっきりしない。国民に分かりづらく、各エネルギーへの信頼が低下しかねない」として16日の会議で計画案を批判しています。

◆上関原発(山口県上関町)建設計画への影響について、上関町内の推進派団体でつくる「上関町まちづくり連絡協議会」の古泉直紀事務局長は、改定案が原発の新増設に踏み込まなかったことに関して、「原子力の電源構成を維持していくならば、いずれ新増設が議論されていくのではないか」と分析し、「町は高齢化による人口減少で厳しい。原発建設は一つの選択肢だ」と語りました。一方、予定地対岸の祝島の「上関原発を建てさせない島民の会」の清水敏保代表は「(新増設の不明記は)予想通り。反対派、推進派とも原発は見通しが立たないということで一緒に町づくりに取り組んでいくところだ。計画が白紙撤回されるまで反対を訴える」と強調しています。なお、予定地の公有水面埋め立て免許は来年7月に期限を迎えます。基本計画が原案通りに閣議決定されれば、県は、原発の新増設についての国の方針が不透明なまま、免許延長の可否を判断することになりかねません。村岡嗣政山口県知事は、免許の延長については「中国電力の申請を踏まえて対処する」と述べるにとどめ、基本計画が許可に影響するかどうかについては明言を避けました。

***************************

政府が旗を振るも、
原発輸出計画からの撤退相次ぐ

トルコの原発新設計画から伊藤忠は離脱、三菱重工業は参画も実現は疑問

◆三菱重工、伊藤忠などと日本政府が、トルコ北部の黒海沿岸シノップで、2023年稼働を目指して進めていた原発4基の建設計画から伊藤忠が離脱することが、4月23日、明らかになりました。計画当初(2013年)4基で2.1兆円程度とされていた総事業費が、三菱重工が主体となって行った調査で、2倍以上に膨らむことが判明したためです。政府は、事業費の増加を受けて、トルコ政府に資金面での負担を求めていますが、交渉は平行線をたどっています。伊藤忠が離脱すれば、事業費を負担する企業が減り、事業の実現性はさらに厳しくなります。

東芝、米原発新設から撤退

◆東芝は5月31日、米テキサス州での原発新設計画の取り止めを発表しました。子会社であったウエスチングハウスが昨年3月に経営破綻したのを機に、海外での原発新設から撤退する方針に転じていました。東芝本社は、2009年にテキサス州で原発2基を受注していましたが、電力価格の下落や、福島原発事故後の安全基準の強化に伴う建設費の高騰で採算が取れなくなって撤退を余儀なくされたのです(投じた862憶円は損失として計上済み)。

◆東芝は、英国でも、子会社が原発3基の新設計画を進めていましたが、これも撤退に向け、すでに損失450億円を計上しています。子会社は、韓国電力公社に売却するといわれています。東芝は、今後、新設に比べてリスクの少ない、部品の輸出(ウクライナなどへ)に力を入れるといわれています。

日立製作所が英国で進める原発建設計画にも暗雲

◆日立は、英西部のアングルシー島に、2020年半ばの運転を目指して、原発2基を建設する計画を進めています。しかし、安全基準が厳しくなったことで、当初、1.5兆~2兆円とされていた総事業費は、3兆円程度に高騰しています。目算の狂った日立は、公的支援がなければ事業の継続は困難と判断して、5月3日、中西宏明会長(経団連会長)がメイ首相に、撤退もちらつかせながら直談判して、総額3兆円の中の2兆円を英政府と英金融機関から直接融資する案を引き出しています。残りの1兆円分は、日立、日本の政府系金融機関と電力会社、英政府と現地企業がそれぞれ3000憶円を出資する形で賄う計画ですが、工事遅延などで、巨額損失が発生すれば、深刻な影響が出かねないだけに、思惑通りに日本企業が参画するかどうかは見通せません。

◆また、英議会には過度な支援への反対意見も根強く、一度事故が起これば住民の多くが島に取り残され、美しい自然も失いかねないアングルシー島住民や英消費者の大きな反発もあります。(なお、アングルシー島住民は、5月下旬に福島県を視察し、事故も収束していないのに原発を輸出しようとする日本の姿勢を強く批判しています。)

◆さらに、日英両政府が、原発の新設に絡む債務を保証するために、税金が使われる可能性があることへの両国民の反発もあります。したがって、安倍首相と親しい中西会長を擁する日立は、英原発事業を成長戦略の柱であるインフラ輸出の目玉に据えたい安倍政権の強い期待を感じながらも、慎重な最終判断をせざるを得なくなっています。

***************************

フランスが高速炉計画の縮小を検討

◆日本がフランスとの共同研究を進める高速炉実証炉*「ASTRID(アストリッド)」(2023年に着工し、2030年代の運転開始を目論む)について、フランス政府が、計画の縮小を検討していることを日本側に伝えました(5月31日報道)。開発費の高騰が理由で、出力規模を当初予定の60万キロワットから10万~20万キロワットに縮小する案を検討しています。

◆高速増殖炉原型炉「もんじゅ」の廃炉を決めた日本は、アストリッド計画を当面の高速炉開発の柱にしたい考えでしたが、計画が縮小されれば、日本の高速炉開発計画も、抜本的見直しを迫られることになります。出力規模を大幅に縮小すれば、将来の商用化に必要な実証データが得られなくなる可能性もあります。
(*「実証炉」は「原型炉」より一つ進んだ原子炉で、実用化(商業炉)の一歩手前と位置付けられているもの。)

◆なお、以下は、日本政府が高速炉に固執する理由です。

①原発で出た使用済み燃料全量を再処理して、取り出したプルトニウムでMOX 燃料を再利用する核燃料サイクルを維持するためです。MOXを燃料とする「高速炉」は核燃料サイクル実現の要なのです。(しかし、液体ナトリウムを使う高速炉は技術的に不可能に近く、再処理工場運転も困難を極めることは、すでに実証されています。)

②制御しやすい原爆を作るためには、質量数239のプルトニウムの純度が高いプルトニウムが必要ですが、普通の原発(熱中性子炉)では高純度プルトニウムを得られず、高速炉が必要になります。すなわち、高性能原爆を得るために高速炉が必要なのです

稼働わずか250日の「もんじゅ」に
経費1兆1313億円

◆会計検査院は、5月11日、廃炉が決定している「もんじゅ」に関する検査結果を公表しました。概略は次のようなものですが、現代科学・技術では手に負えず、原発の中でも最も危険な高速増殖炉を、多くの反対意見を踏みにじって運転した政府や科学者(原子力ムラ)の責任については言及していません。

①「保守管理の不備が廃炉につながった」と総括。
②約半世紀にわたり、研究開発に少なくとも1兆1313憶円を投入。
③稼働日数は250日。研究の達成度は16%。
④廃炉費用は国が試算した3750億円を超える可能性。

安倍政権は、それでも高速炉開発を継続しようとしています。「もんじゅ」廃炉で手綱をゆるめることなく、「核燃料サイクル」からの完全撤退を求めましょう!

[注]以前、2011年にも会計検査院はもんじゅにメスを入れていますが、そのときはもんじゅ関連施設として「RETF(リサイクル機器試験施設)」の費用835億円をれて計算していました。今回、なぜかこの費用が入っていません。また、固定資産税は96年度~98年度のものは含まれていません。96年度は70億円を敦賀市が課税したと報道されています。3年分で200億円近くになるとみられています。そうすると、実態は1兆2300億円を超えるものとみられます。

***************************

7原発12基中央制御室ダクト腐食、穴も

◆原子力規制委員会は、島根原発2号機の中央制御室ダクトに腐食による穴(最大で横約100 cm、縦約30 cm)が複数見つかった(2016年12月)ことを受けて行った全国の原発の空調排気系ダクトに関する調査結果を発表しました(5月23日)。ダクトに穴が開いていると、原発事故時に放射性物質が中央制御室に流入し、運転員が被曝する可能性があります。ダクトは鉄や亜鉛メッキ鋼でできています。腐食の原因は、結露、雨水の侵入、塩分の付着です。

◆腐食や穴が確認された原発は、女川原発3号機、東海第2原発、福島第1原発6号機、柏崎刈羽原発3、4、5、7号機、浜岡原発3~5号機、志賀原発1号機、島根原発1号機です。柏崎刈羽原発3号機の穴は横約5 cm、縦約13 cmで、3、7号機では穴や亀裂が計9ヵ所みつかっています。

このように多数の腐食や穴が一挙に見つかった事実は、原発施設の老朽化が深刻であり、原発稼働にお墨付きを与える規制委の調査・検査が、これまで、極めていい加減であったことを物語っています。

新設島根原発3号機の稼働を許すな!

◆日本で唯一の都道府県庁所在地に立地する原発。1号機は2015年に廃炉が決定したものの、建設中の3号機(沸騰水型:福島事故以前に建屋、設備はほぼ完成)の稼働審査が原子力規制委員会に申請されようとしています。この原発が稼働すれば、原発新増設に道を開くことになります。

原発が新増設されなければ、最悪でも、2049年には原発ゼロになります。原発新増設を許してはなりません!

高浜原発4号機の再々稼働を許すな!

◆高浜原発4号機は5月18日、3号機は8月3日に定期検査に入り、4号機については8月下旬から9月初旬に再稼働されようとしています。定期点検入りの高浜原発をそのまま廃炉に追い込みましょう!

老朽高浜原発1,2号機、美浜原発3号機を廃炉に!

◆40年を超えた標記原発が危険極まりないことは、言を待ちません。老朽原発の安全対策費は高騰を続けていますから、廃炉実現の可能性は大です。廃炉実現のために、断固とした大衆運動や裁判闘争を高揚させましょう!

新潟県知事選挙、池田候補に勝利を!

◆6月10日投開票の新潟県知事選挙が戦われています。人類の手に負えない原発の再稼働を許さず、嘘と欺瞞の上に大企業のみに奉仕し、戦争できる国づくりを進める安倍政権を打倒するために、池田千賀子候補を勝利させなければなりません。全国から熱いエールを送りましょう!

2018年6月8日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

前のページに戻る

◆5月中旬以降に若狭で配布するチラシ

【2018年5月中旬以降に若狭でのアメーバデモで配付。】

大飯原発3、4号機の再稼働は許してしまいましたが、

反原発運動はますます重要になっています

◆福島原発事故から7年になりますが、この事故は、原発が重大事故を起こせば、人の命と尊厳を奪い、職場を奪い、農地を奪い、海を奪い、生活基盤を奪い去ることを、大きな犠牲の上に教えました。原発重大事故は、人が人間らしく生きる権利を根底から奪い去るのです。

◆一方、福島事故以降の経験によって、原発は無くても何の支障もないことが実証されました。原発は動いていなくても、電気は十分足りていました。そのため、脱原発、反原発は圧倒的な民意となっています。それでも、関西電力(関電)は、3月14日、5月9日に大飯原発3、4号機を再稼働させました。脱原発、反原発の民意を蹂躙し、脱原発に向かう世界の潮流に逆らうものです。

私たちは、全力で大飯原発再稼働に抗議しました

◆私たちは、この原発再稼働の暴挙を座視してはいませんでした。オール福井反原発連絡会、ふるさとを守る高浜・おおいの会、若狭の原発を考える会の呼びかけで昨年8月に結成された「大飯原発うごかすな!実行委員会」は、10月15日、4月22日に、それぞれ600名、700名の参加を得て、「関電包囲全国集会」と御堂筋デモを貫徹し、関電に原発再稼働阻止の決意を示し、市民や内外からの観光客に原発全廃を訴えました。

◆また、12月3日には500人の参加を得て、「おおい町現地全国集会」と町内デモを行い、おおい町の方々に原発再稼働反対行動への決起を訴えました。2月25、26日には、延べ220名の参加を得て、若狭湾岸一斉チラシ配布(通称拡大アメーバデモ)を実施し、5万枚以上のチラシを配布しました。

◆さらに、大飯原発3、4号機が再稼働されようとした3月13日(100名参加)、14日(70名参加)、5月9日(100名参加)には、おおい町現地でのデモと原発ゲート前での集会を行い、断固として再稼働に抗議しました。

大飯原発再稼働でもトラブルが発生しました

◆5月9日に再稼働した大飯原発4号機では、10日早速、蒸気発生器の水位計が異常を検知したことを示す警報が鳴り、出力上昇が中断されたと報道されています。関電は、蒸気発生器(2次系)の水位は規定値内であり、水位計に問題はなかったとして、出力上昇を再開しました。

◆しかし、関電の説明では、問題がなく正常な水位計が、水位に異常がないのに、警報を発したことになります。警報が鳴った理由は不明で、何かが隠されているとしか考えられません。
これで、福島事故以来再稼動した5原発(川内、高浜、伊方、玄海、大飯)の全てが再稼動前後にトラブルを起こしたことになります。トラブル率100%です。

◆2015年8月に再稼働した川内原発1号機は、再稼働10日後に復水器冷却細管破損を起こし、高浜原発4号機は、再稼働準備中の1昨年2月20日,1次冷却系・脱塩塔周辺で水漏れを起こし、2月29日には、発電機と送電設備を接続した途端(とたん)に警報が鳴り響き、原子炉が緊急停止しました。

◆さらに、伊方原発3号機は、再稼働準備中の1昨年7月17日、1次冷却水系ポンプで水漏れを起こしました。去る3月23日に再稼働した玄海原発3号機は、再稼働1週間後の3月30日に、脱気装置からの蒸気漏れを起こしました。配管に直径1.3 cmの穴が開いていたそうです。

◆何れも、重大事故に繋がりかねない深刻なトラブルです。なお、関電の関連企業は、1昨年3月以降、運搬中の鉄塔工事用の資材1トン近くをヘリコプターから落下させる事故を3度も起こしています。また、昨年1月20日には、長さ112メートルのクレーンを2号機の使用済み燃料プール建屋の上に倒壊させました。予測できる程度の強風で倒れたのです。信じられない幼稚な事故です。

◆このように、再稼働を進める全ての電力会社がトラブルを起こしているという事実は、
①原発の点検・保守や安全維持の困難さを示唆し、
②配管の腐食や減肉(げんにく:厚みの減少)、部品の摩耗などが進んでいることを示しています。また、
③傲慢で安全性を軽視することに慣れ切り、緊張感に欠けた電力会社が原発を運転する能力・資格を有していないことを実証しています。さらに、
④規制委員会が適合とした全ての原発が再稼働前後にトラブルを起こした事実は、原発の再稼働にお墨付きを与えた新規制基準が極めていい加減な基準であり、規制委員会の審査が無責任極まりないことを物語っています。

大飯原発の再稼働は許したものの、反原発運動の意義は大きいと考えます

◆大飯原発の再稼働を許したことは本当に残念なことですが、私たちの運動に限らず、各地で毎年行われている福島事故を忘れない3.11集会、全国で毎週行われている脱原発金曜行動などの反原発運動には、次のような意義があると考えられます。

◆第1に、現地での行動は、原発再稼働に抗議するだけでなく、表にはでていないものの、若狭などの原発立地に広範に存在する「原発は嫌だ」の声に呼応し、連帯するものです。

◆第2に、反原発の闘いが、老朽原発を廃炉に追い込んでいます。脱原発、反原発の圧倒的な民意に後押しされた大衆運動のために、傲慢な電力会社と言えども、原発を動かそうとするとき、多額の費用を要する安全対策を施さざるを得なくなり、安全対策費のかさむ老朽原発の廃炉を決意せざるを得なくなっています。昨年末からでも老朽大飯原発1、2号機、伊方原発2号機の廃炉が決定しました。これで、福島事故以降に廃炉が決定した商業原発は9機になりました。

◆第3に、脱原発、反原発の大衆運動は、原発重大事故を防いでいるとも言えます。大衆運動がなければ、電力会社は多額の費用を要する安全対策もせずに、老朽原発を含む原発を次々に動かし、重大事故の確率は格段に高くなっていたでしょう。

◆第4に、脱原発、反原発の大衆運動は、国内だけでなく世界にも拡がり、世界的に安全対策費を高騰させ、原発産業を成り立たなくさせています。東芝が破綻し、伊藤忠商事がトルコの原発建設計画から撤退すると報道されています(4月25日)。

◆第5に、反原発の大きな声が、裁判闘争を後押しし、司法を動かしています。福井地裁、大津地裁、広島高裁での原発運転差し止め決定など司法での勝利も、福島原発事故後、格段に多くなっています。

◆以上のように、反原発の大衆運動は、老朽原発廃炉、原発からの企業の撤退、裁判闘争の勝利に貢献していると言えます。

大飯原発3、4号機即時廃止、高浜原発3、4号機の再々稼働反対、
老朽高浜原発1、2号機、老朽美浜原発3号機の再稼働阻止の行動を
さらに大きくしましょう!

◆前述のように、反原発の大衆運動は、原発重大事故の確率を下げることには貢献していますが、完全に原発事故を避けるには、原発全廃しかありません。さらに大きな原発全廃運動を構築しましょう!

①大飯原発3,4号機は再稼働されたとは言え、大衆運動が高揚し、裁判闘争にも勝利すれば止めることができます。粘り強い原発全廃運動が肝要です。

②昨年再稼働された高浜原発4号機、3号機は、5月、8月に定期点検に入り、その2~3か月後に再々稼働されると報道されています。いい加減な定期点検で安全が保たれるものではありません。再々稼働阻止の行動に立ちましょう!
なお、高浜原発3、4号機は、とくに危険なMOX燃料プルサーマル炉です(裏面【1】をご参照ください)。

③高浜原発1、2号機(1974年11月、1975年11月営業運転開始)、美浜原発3号機(1976年3月営業運転開始)は、運転開始後40年を大幅に超えた老朽原発ですが、関電は、高浜原発1、2号機を2019年10月以降に、美浜原発3号機を2020年3月以降に再稼働させようとしています。全国の老朽原発の再稼働への道を開こうとするものです。

◆原発は、老朽になるほどトラブル率が急増します。圧力容器の脆化(ぜいか:金属などが軟らかさを失い、硬く、もろくなること:)、配管の腐食、配線被覆の老化、資料の散逸など、問題点は山積です(下記【2】をご参照ください)。

◆福島原発事故後、老朽大飯原発1、2号機、伊方原発2号機を含め、福島原発を除いても、9機の廃炉がすでに決定しています。膨大な安全対策費を要する老朽原発再稼働は阻止できる可能性があります。原発の40年越え運転を阻止し、原発新設を阻止すれば、最悪でも2049年には国内の原発はゼロになります。老朽原発再稼働阻止の闘いに今すぐ起ちましょう!

【1】MOX燃料の危険性は、ウラン燃料より格段に高い

◆通常の原発では、燃料としてウラン酸化物を用いています。この燃料のウランは、天然にあるウラン(ウラン235約0.7%、ウラン238約99.3%を含む)とは異なり、核分裂し易いウラン235を2~5%(通常約4%)になるように濃縮したものです。

◆一方、MOX 燃料は、ウラン238とプルトニウム(239が主体)の混合酸化物 (Mixed Oxide;MOX) であり、プルトニウムの含有量は4~9%です。MOX燃料は、原子炉で使い終えた核燃料を溶解して、燃え残ったウランや新たにできたプルトニウムなどを分離抽出して(再処理して)つくります。すなわち、MOX燃料の製造には、危険極まりない再処理が不可欠です。

◆プルサーマル発電とは、プルトニウムを一般的な原子炉で燃す発電方法のことであり、MOXを燃料としています。プルサーマル発電において、原子炉内の燃料の1/3程度をMOX燃料、残りをウラン燃料とした場合、発電量全体に占めるプルトニウムによる発電量は平均50%強となります。高浜3、4号機に装荷されたMOX燃料は、各々24体(全157体中)、4体(全157体中)です。

◆高浜3、4号機のような既存原発のプルサーマル化では、元々ウラン燃料を前提とした軽水炉のウラン燃料の一部をMOX燃料で置き換えて運転するので、技術的な課題が多くなります。なお、原子力規制委員会の新規制基準適合審査における重大事故対策の有効性評価の解析対象は、ウラン炉心のみであり、MOX炉心については何ら評価されていません。

重大事故の確率が高い理由の例

◆プルトニウムの核分裂では、酸素と結合し難い白金族元素が生成し易いので、プルトニウム酸化物中でプルトニウムと結合していた酸素が遊離しますが、遊離した酸素が被覆管を腐食します。また、プルトニウムはα粒子を放出し易い元素ですが、α粒子はヘリウムガスになりますので、燃料棒内の圧力が高くなり、被覆管を破損させる可能性が高くなります。

◆当初はMOX燃料中のウラン、プルトニウムを均質に混合していても、核分裂によって高温になった燃料中では、不均質化(プルトニウムスポットの生成)が起こりやすいため、燃料の健全性が失われます。

◆ウラン燃料と比べて、MOX燃料では燃焼中に核燃料の高次化(ウランより重い元素が生成すること)がより速く進みます。とくに、中性子を吸収しやすいアメリシウム等が生成され易いため、高次化が進んだ燃料を含む原子炉では、運転や停止を行う制御棒やホウ酸の効きが低下します。

使用済みMOX燃料の発熱量は、ウラン燃料に比べて下がり難い。核分裂によってMOX燃料から生じる元素(死の灰)の種類は、ウラン燃料から生じるものとは異なりますから、使用済み核燃料の放射線量や発熱量の減衰速度も異なります。
使用済みMOX燃料の発熱量は下がり難いため、長期にわたって(使用済みウラン燃料の4倍以上)プール内で水冷保管しなければ、空冷保管が可能な状態にはなりません。取り出し後50年~300年の使用済みMOX燃料の発熱量は、使用済みウラン燃料の発熱量の3~5倍です。MOX燃料は、その意味でも、極めて厄介な核燃料です。

【2】原発の危険度は、老朽化に伴い急激に増加(理由の例)

◆原発は事故の確率が高い装置ですが、老朽化すると、さらに重大事故の確率が急増します。例えば、原発の圧力容器、配管等は長期に亘って高温、高圧、高放射線にさらされているため、脆化(下記注をご参照下さい)、腐食が進んでいます。中でも、交換することが出来ない圧力容器の脆化は深刻です。配管の減肉や腐食、電気配線の老朽化も問題です。

【注】老朽原発圧力容器の脆性破壊 鉄のような金属は、ある程度の軟らかさを持っていますが、高温で中性子などの放射線にさらされると、温度を下げたとき硬化しやすくなり、脆(もろ)くなります(脆化といいます)。脆くなると、ガラスのように、高温から急冷したとき破壊されやすくなります。原子炉本体である圧力容器は鋼鉄で出来ていて、運転中は、約320℃、約150気圧の環境で放射線にさらされていて、運転時間と共に脆くなる温度(脆性遷移温度)が上昇します。例えば、初期には‐18℃で脆化していた鋼鉄も、34年間炉内に置くと98℃で、40年を超えると100℃以上で脆化するようになり、脆くなります。したがって、老朽原子炉が、緊急事態に陥ったとき、冷却水で急冷すると、圧力容器が破裂する危険があります。とくに、不純物である銅やリンの含有量が多い鋼鉄で出来た老朽圧力容器の脆化は著しいと言われています。

【参考】若狭にも原発反対の声は多い

◆中日新聞2018年5月8日朝刊に、小浜湾を挟んで5 km 離れた対岸の集落・小浜市内外海(うちとみ)地区での世論調査の結果が掲載されていました。

小浜の5キロ圏住民、反対が多数 大飯4号機再稼働

◆新聞記事→こちらで読むことができます。

2018年5月発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

前のページに戻る

◆反原発運動はますます重要

【2018年5月11日,京都キンカンで配付。】

大飯原発3、4号機の再稼働は許してしまいましたが、

反原発運動はますます重要になっています

5月9日、おおい町内デモと原発前集会に100人
ご参加、ご支援ありがとうございました。

◆関西電力(関電)は、3月14日、5月9日に大飯原発3、4号機を再稼働させました。脱原発、反原発の民意を蹂躙し、脱原発に向かう世界の潮流に逆らうものです。

◆私たちは、この暴挙を座視してはいませんでした。オール福井反原発連絡会、ふるさとを守る高浜・おおいの会、若狭の原発を考える会の呼びかけで昨年結成された「大飯原発うごかすな!実行委員会」は、10月15日、4月22日に、それぞれ600名、700名の参加を得て、「関電包囲全国集会」と御堂筋デモを貫徹し、関電に原発再稼働阻止の決意を叩きつけ、市民や内外からの観光客に原発全廃を訴えました。

◆また、12月3日には、おおい町現地全国集会と町内デモを500人の参加を得て闘い、2月25、26日には、延べ220名の参加を得て、若狭湾岸一斉チラシ配布(拡大アメーバデモ)を貫徹し、5万枚以上のチラシを配布しました。

◆さらに、大飯原発3、4号機再稼働阻止のために、3月13日(100名参加)、14日(70名参加)、5月9日(100名参加)に、おおい町現地でのデモと原発ゲート前抗議闘争を果敢に闘いました。

毎日新聞(2018-05-19)

京都新聞(2018-05-19)

大飯原発3、4号機の再稼働は許したものの、
反原発運動の意義は大きい!

大飯原発の再稼働を許したことは本当に悔しいことですが、上記ような運動に限らず、各地での福島事故忘れない3.11集会、毎週行われている脱原発金曜行動などの大衆行動には、次のような意義があると考えられます。

◆第1に、現地での行動は、原発再稼働に抗議するだけでなく、表にはでていないものの、若狭に広範に存在する「原発は嫌だ」の声に呼応し、連帯するものです。

◆第2に、反原発の闘いが、老朽原発を廃炉に追い込んでいます。脱原発、反原発の圧倒的な民意に後押しされた大衆行動のために、傲慢な電力会社と言えども、原発を動かそうとするとき、多額の費用を要する安全対策を施さざるを得なくなり、安全対策費のかさむ老朽原発の廃炉を決意せざるを得なくなっています。昨年末からでも老朽大飯原発1、2号機、伊方原発2号機の廃炉が決定しました。これで、福島事故以降に廃炉が決定した商業原発は9機になりました。

◆第3に、脱原発、反原発の大衆運動は、原発重大事故を防いでいるとも言えます。大衆運動がなければ、電力会社は多額の費用を要する安全対策もせずに、老朽原発を含む原発を次々に動かし、重大事故の確率は格段に高くなっていたでしょう。

◆第4に、脱原発、反原発の大衆運動は、国内だけでなく世界にも拡がり、世界的に安全対策費を高騰させ、原発産業を成り立たなくさせています。東芝が破綻し、伊藤忠商事がトルコの原発建設計画から撤退すると報道されています(4月25日)。

◆第5に、反原発の大きな声が、裁判闘争を後押しし、司法を動かしています。福井地裁、大津地裁、広島高裁での原発運転差止め決定など司法での勝利も、福島原発事故後、格段に多くなっています。

◆以上のように、反原発の大衆運動は、老朽原発廃炉、原発からの企業の撤退、裁判闘争の勝利に貢献していると言えます。

大飯原発3、4号機の再稼働は許してしまいましたが、
脱原発、反原発の闘いの手綱を緩めてはなりません!

大飯原発3、4号機即時廃止、
高浜原発4、3号機の再々稼働反対、
老朽高浜原発1.2号機、
老朽美浜原発3号機の
再稼働阻止の行動を強化しよう!

◆前述のように、反原発の大衆運動は、原発重大事故の確率を下げることには貢献していますが、完全に原発事故を避けるには、原発全廃しかありません。さらに大きな原発全廃運動を構築しましょう!

◆①大飯原発3,4号機は再稼働されたとは言え、大衆運動が高揚し、裁判闘争にも勝利すれば止めることができます。粘り強い原発全廃運動が肝要です。

◆②昨年再稼働された高浜原発4号機、3号機は、来る5月、8月に定期点検入りし、その2~3か月後に再々稼働されると報道されています。いい加減な定期点検で安全が保たれるものではありません。断固とした再々稼働阻止の行動に立ちましょう!

◆③高浜原発1、2号機(1974年11月、1975年11月営業運転開始)、美浜原発3号機(1976年3月営業運転開始)は、運転開始後40年を大幅に超えた老原発ですが、関電は、高浜原発1、2号機を2019年10月以降に、美浜原発3号機を2020年3月以降に再稼働させようとしています。全国の老朽原発の再稼働への道を開こうとするものです。

◆原発は、老朽になるほどトラブル率が急増します。圧力容器の脆化(ぜいか;もろくなること)、配管の腐食、配線被覆の老化、資料の散逸など、問題点は山積です。

◆すでに、老朽大飯原発1,2号機、伊方原発2号機を含め、福島原発事故後、福島原発を除いて9機の廃炉が決定しています。膨大な安全対策費を要する老朽原発再稼働は、阻止できる可能性があります。老朽原発の40年越え運転を阻止し、原発新設を阻止すれば、最悪でも2049年には国内の原発はゼロになります。

◆老朽原発再稼働阻止の闘いに今すぐ起ちましょう!

【参考】

中日新聞2018年5月8日朝刊に、小浜湾を挟んで5 km 離れた対岸の集落・小浜市内外海地区での世論調査結果が掲載されていました。ここに転載して、紹介します。→記事のリンク,こちら

2018年5月11日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

前のページに戻る

◆山は動き、風は変わりつつあります

◆ロウソク革命から、民主政権を誕生させ、平昌(ピョンチャン)オリンピックを経て、南北朝鮮関係は融和から停戦、統一に向かって、大車輪で動き始めました。この変化は、共和国(北朝鮮)の非核化、米朝会談へと発展する方向にあり、東アジアの緊張は雪解けを迎えつつあります。ほとんどの人々が、夢想だにしなかった変化です。韓国民衆の蜂起を契機に、世界の平和を妨げていた山は動き、風は変わりつつあります。唯一、この流れが読めず、逆らっているのが安倍政権です。

◆その安倍政権は、国会での多数を頼んで傲慢となり、国を私物化し、人々を愚弄する政治に突っ走り、憲法改悪、戦争政策、労働制度の改悪に猛進しようとしました。しかし、今、森友学園や加計学園、陸上自衛隊イラク派遣部隊日報などをめぐって、文書改ざん、事実隠し、国民無視(とくに自衛隊の文民統制の破壊は深刻)が次々暴露され、国民の追及に会い、腐敗しきった安倍政権は窮地に立たされ、崩壊寸前です。

◆これらの動きは、「きっかけ」があれば、世界は変わること、「きっかけ」は必ず訪れることを教え、粘り強く主張し、運動を続けていれば、「きっかけ」を掴むことができることを示しています。

◆原発をめぐる動きも、福島原発事故の大きな犠牲の上に、変わりました。いま、脱原発、反原発は民意となっています。この民意のゆえに、原発の安全対策費は高騰し、電力会社は老朽原発の廃炉を決意せざるを得なくなっています。また、福井地裁、大津地裁、広島高裁での原発運転差し止め決定など司法での勝利(電力会社にとっては「司法リスク」)も格段に多くなっています。さらに、民意の完全実行=原発全廃を迫る大きな運動を構築しましょう!

原発世論も、脱原発、反原発に向かっている

◆福島原発事故以前の世論調査では、脱原発、反原発の声は少数でした。しかし、福島事故は、原発が重大事故を起こせば、人の命と尊厳を踏みにじり、生活基盤を奪い、職場を奪い、農地を奪い、漁場を奪い去ることを実証しました。また、事故被害の悲惨さ・深刻さ、使用済み燃料の処理や保管の困難さなど、原発は、あらゆる視点から、人類の手に負える装置ではないことを明らかにしました。

◆一方、福島事故以降の経験によって、原発は無くても電気は足り、何の不都合もないことが分かりました。さらに、近年、LEDや新型家電など、電力消費の少ない器具が発展し、発電法、蓄電法も高効率になっています。天然ガスやメタンハイドレートなどの新燃料は次々に発見され、再生可能エネルギーが急速に普及しています。また、50年後には、世界の人口が減少に転じ(日本では、現在、年間0.8%の割合で人口が減少)、エネルギー需要も減少すると予測されます。したがって、原発は今や厄介もの以外の何物でもなく、原発を運転する必要性は見出だせません。そのため、日本でも、脱原発、反原発は社会通念=民意 となっています。

◆この民意を反映して、2015年、伊方町で行われた住民アンケートでは、原発再稼働反対が賛成の2倍でした。1昨年の鹿児島県、新潟県の知事選では、脱原発を掲げる候補が圧勝しました。1昨年末には、高浜原発の「地元中の地元」音海地区の自治会が、老朽原発運転反対を決議されました。また、昨年1月の高浜原発クレーン倒壊事故以降には、高浜原発全ての原発再稼働にも反対されています。さらに、昨年2月の朝日新聞、3月の毎日新聞の全国世論調査でも、原発再稼働反対がそれぞれ57%、55%で、賛成のほぼ2倍でした。

若狭でも脱原発、反原発の声は多い

◆「若狭の原発を考える会」は、若狭でアメーバデモと称する行動を、毎月2回・計4日間かけて行っています。このアメーバデモは、原発立地の若狭で、3~4人が一組になり、徒歩で、鳴り物を鳴らし、また、「反原発」の旗を掲げ、スピーカーで呼びかけながら、チラシを若狭の全ての集落の隅から隅まで配り歩く行動です。

◆このアメーバデモは3年以上継続され、お会いした住民1000人以上から直接お話をうかがいましたが、その中でも、「原発はいやだ」の声が圧倒的に多数であり、原発推進の声はほとんど聞かれていません。原発立地でも、脱原発、反原発が多数の願いなのです。

◆このことは、去る2月25、26日に23グループに分かれ、延べ220人が参加して実施され、5万枚以上のチラシを配布した「若狭湾岸一斉チラシ配布(拡大アメーバデモ)」(「大飯原発うごかすな!実行委員会」主催)でも、参加者の多くが実感されました。参加者は、若狭の多くの住民が、原発反対を訴えるチラシを暖かく受取って下さったことに感謝し、感激しました。

脱原発、反原発は国際的な流れ

◆国際的にも、脱原発の流れが加速されています。ドイツ、イタリアに続いて、リトアニアが脱原発に向かい、1昨年11月にはベトナムが原発建設計画を白紙撤回し、昨年1月11日には台湾が脱原発法を成立させました。また、5月21日にはスイスが原発の新設を禁止する法案を国民投票で決定しました。韓国の文在寅(ムンジェイン)政権も脱原発を目指し、アメリカでさえ、シェールガス発電などに比べて、経済的にも成り立たない原発を縮小する動きが広がっています。

相次ぐ老朽原発廃炉

◆四国電力(四電)は3月27日、老朽伊方原発2号機[出力57万kW:1982年3月営業運転開始]の廃炉を決めました。運転開始後36年越えで設計基準が古い2号機を、2011年3月の東日本大震災後にできた新規制基準の下で再稼働させるには、タービン建屋の耐震補強、非常用海水取水設備の造り替えなどの大規模工事が必要で、これらの工事に「伊方3号機の場合の1900億円に近い負担が想定された」(四電佐伯社長談)ためです。なお、伊方原発1号機(出力57万kW:1973年6月営業運転開始)は、2016年5月10日に廃炉か決定されています。

◆一方、昨年12月22日には、関西電力(関電)が、運転年数が38年を超えた老朽原発大飯1、2号機の廃炉を決定しています。これも、再稼働に2,000憶円以上の安全対策費がかかり、経済的にも成り立たたず、また、老朽原発である2号機を運転したとしても、稼働できるのはたかだか20年で、採算が合わないと判断したためです。

◆これらの原発の廃炉決定によって、福島の事故以降に廃炉が決まった原発は、福島第一以外でも、商用原発9基(美浜原発1号機、2号機・敦賀原発1号機・玄海原発1号機・島根原発1号機・伊方原発1号機、2号機・大飯原発1号機、2号機)と「もんじゅ」になりました。

◆一方、4月12日の朝日新聞は、日本原電の東海第2原発(本年11月で運転開始から40年)の審査が打ち切られる可能性があると報道しています。この原発を再稼働させるためには、11月までに設置変更、設備の工事計画および20年間の運転延長の許認可を得なければなりませんが、原子力規制委員会(規制委)の更田委員長は、「夏以降にも議論が残っているなら、時間的に許認可審査の終了は不可能」と述べています。ところが、工事計画の審査に必要な書類の4割は、今でも未提出で、設備の性能試験も遅れています。許認可が11月に出ず、この原発が廃炉となる可能性は大です。

◆なお、日本原電は、3月29日、東海第2原発の再稼働に際して、立地自治体の東海村だけでなく、周辺の5市(水戸、日立、ひたちなか、那珂、常陸太田の各市)にも「事前了解権」を認めるとする安全協定を結んでいます。「事前了解権」を周辺自治体まで拡大した安全協定は全国初です。

裁判でも脱原発、反原発側がたびたび勝訴

◆脱原発、反原発の民意を反映して、昨年12月13日、広島高裁は、伊方原発3号機運転差止めの決定を出しました。9万年前の阿蘇山の噴火では、火砕流が伊方原発まで届いており、今後もこのような噴火で、原発に大きな損傷を与える可能性があると判断したためです。なお、9万年前の阿蘇の爆発では、北海道に15 cm、関東に20 cm、関西に1 mの火山灰が積もり、日本中が火山灰に覆われたそうです。

◆脱原発、反原発の民意を反映して、福島事故以降に出された原発再稼働を認めない司法判断は4件【福井地裁(樋口英明裁判長)での「大飯原発3、4号機運転差し止め判決(本訴)」および「高浜原発3、4号機運転差し止め決定(仮処分)」、大津地裁(山本義彦裁判長)での「高浜原発3、4号機運転差し止め決定(仮処分)」、広島高裁(野々上友之裁判長)での「伊方原発3号機運転差し止め決定(仮処分)」】となり、事故前の2件【名古屋高裁金沢支部(川崎和夫裁判長)での「もんじゅ設置許可無効判決(本訴)」、金沢地裁(井戸謙一裁判長)での「志賀原発2号機運転差し止め判決(本訴)」】に比べて、急増しています。

安全対策費の高騰は、反原発運動、裁判闘争の成果

◆老朽原発廃炉の決定の大きな要因である安全対策費の高騰は、福島原発事故の尊い犠牲を踏まえて形成された脱原発、反原発の圧倒的民意を反映したものであり、粘り強い脱原発、反原発運動と裁判闘争の成果であるともいえます。もし、脱原発、反原発運動と裁判闘争による歯止めがなかったら、電力会社は、手抜きの安全対策で原発を運転し続けていたでしょう。その意味で、脱原発、反原発の運動や裁判は、原発重大事故を防いでいると考えることもできます。

事故だらけ、トラブル続きの原発の全廃を!

◆2015年8月に再稼働した川内原発1号機は、再稼働10日後に早速、復水器冷却細管破損を起こし、高浜原発4号機は、再稼働準備中の1昨年2月20日,1次冷却系・脱塩塔周辺で水漏れを起こし、2月29日には、発電機と送電設備を接続した途端(とたん)に警報が鳴り響き、原子炉が緊急停止しました。さらに、伊方原発3号機は、再稼働準備中の 1昨年7月17日、1次冷却水系ポンプで水漏れを起こしました。本年3月23日に再稼働した玄海原発3号機は、再稼働1週間後の3月30日に、脱気装置からの蒸気漏れを起こしました。配管が雨水によって腐食し、直径1.3 cmの穴が開いていたそうです【老朽配管の減肉(げんにく:厚みの減少)の可能性もあります】。

◆また、4月3日には、停止中の伊方原発3号機の補助建屋(放射線管理区域)内で、電動フォークリフトから出火しています。何れも、重大事故に繋がりかねない深刻なトラブルです。

◆なお、関電の関連企業は、1昨年3月以降、運搬中の鉄塔工事用の資材1トン近くをヘリコプターから落下させる事故を3度も起こしています。また、昨年1月20日には、長さ112メートルのクレーンを高浜原発2号機の使用済み燃料プール建屋の上に倒壊させました。予測できる程度の強風で倒れたのです。信じられない幼稚な事故です。

◆上記のように、福島事故以来再稼動した5原発(川内、伊方、高浜、大飯、玄海)の内、大飯を除く4原発が再稼動時にトラブルを起こしています。再稼働を進める全ての電力会社(九電、四電、関電)がトラブルを起こしたことになります。トラブル率100%です。

◆本来、原発再稼動は、電力会社にとって命運をかけた、もっとも緊張する行事であるはずです。それでも、再稼動を進めた全ての電力会社(九電、四電、関電)が、再稼動時にトラブルを起こしたという事実は、

①原発がきわめてトラブルを起こしやすく、点検・保守や安全維持が困難な装置であることを示唆し、
②配管の腐食や減肉、部品の摩耗などが進んでいること示しています。また、
③傲慢で安全性を軽視することに慣れ切り、緊張感に欠けた電力会社が原発を運転する能力・資格を有していないことを実証しています。さらに、
④規制委が適合とした原発のほとんどが再稼働前後にトラブルを起こした事実は、原発の再稼働にお墨付きを与えた新規制基準が極めていい加減な基準であり、原子力規制委員会(規制委)の審査が無責任極まりないことを物語っています。

◆規制委や電力会社の無責任振りは、今回の玄海原発3号機のトラブルでも露呈しました。九電は、「問題の配管を最後に点検したのは、2006年だった」と説明し、「保温材を外して配管を外して確認する必要はなく、外部からの目視で十分だと認識していた」と釈明しています。規制委は、12年も経た老朽配管の腐食を目視のみで判断するという杜撰(ずさん)審査を行っているのです。また、一方。九電の瓜生社長は、「7年間停止しており、再稼働で何が起こるかわからないということが現実になってしまい、残念」と、全く他人事のような、責任感のかけらも感じられないコメントを(薄笑いを浮かべながら)発しています。

◆電力会社の相次ぐトラブルは、東芝の放漫経営、神戸製鋼や三菱マテリアルズのデータ改ざん、日産やスバルの不正検査、在日米軍機や自衛隊機の相次ぐ墜落・部品落下、JR新幹線台車の亀裂などと通じるものがあります。

◆金儲けにのみに突っ走り、傲慢になりきった日本資本主義の倫理や技術は崩壊し、地に落ちていることを物語っています。自民党政権が、半世紀以上にわたって続けた人間性無視の政策、すなわち、極端な合理化、派遣労働、非正規雇用の助長、過剰な科学技術依存、後先考えぬ教育破壊、労働組合破壊、農業破壊、社会構造破壊の付けが回ってきたのだと考えられます。こんな社会は、一日も早く変革しなければなりません。原発全廃を変革の突破口にしましょう!

原発重大事故は明日にも起きかねません。
原発全廃運動の大きなうねりを!


「大飯原発うごかすな!」
4月22日(日)、関電包囲全国集会と御堂筋デモに大結集を!


主  催:大飯原発うごかすな!実行委員会
呼びかけ:
(1)オール福井反原発連絡会(原子力発電に反対する福井県民会議、サヨナラ原発福井ネットワーク、福井から原発を止める裁判の会、原発住民運動福井・嶺南センター、原発問題住民運動福井県連絡会)、
(2)ふるさとを守る高浜・おおいの会、
(3)若狭の原発を考える会


関電は、大飯原発3号機を3月14日に再稼働させ、
報道では、5月9日に4号機を再稼働させようとしています。
断固抗議、阻止する行動にたちましょう!

お問い合わせは右記まで;090-1965-7102(木原)、090-2741-7128(宮下)
ご参加、ご支援、カンパをお願いします。
(カンパ郵便振込先;加入者名:若狭の原発を考える会;口座記号・番号:00930‐9‐313644:
お振込みにあたっては、通信欄に「大飯原発うごかすな!実行委員会へのカンパ」とお書きください。


2018年4月13日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

前のページに戻る