◆原発の危険度は、運転期間とともに高くなる

【2018年10月~,若狭で配付】

原発の危険度は、運転期間とともに高くなる

老朽高浜原発1、2号機、美浜3号機を今すぐ廃炉に

◆原発は事故の確率が高い装置ですが、老朽化すると、重大事故の確率が急増します。例えば、次のような理由によります。

  • 高温、高圧、高放射線(とくに中性子の照射)に長年さらされた圧力容器、配管等では、脆化(ぜいか;下記【1】を参照)、金属疲労(下記【2】を参照)、腐食(下記【3】を参照)が進んでいます。中でも、交換することが出来ない圧力容器の老朽化は深刻です。電気配線の老朽化も問題です。老朽原発には、難燃性でない電気配線も使われています。
  • 建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当と考えられる部分は多数ありますが、全てが見直され、改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物、配管の中で交換不可能なもの(圧力容器など)があります。最近、安全系と一般系の電気配線の分離敷設の不徹底なども指摘されています。
  • 建設当時の記録(図面など)が散逸している可能性があり、原発の安全管理の支障となります。
  • 建設当時を知っている技術者は殆どいないので、非常時、事故時の対応に困難を生じます。
  • 高浜3、4号機(運転開始後33年越え)のようなウラン燃料対応の老朽原発でMOX燃料を使用することは、炉の構造上、問題山積です。

以下に、脆化、金属疲労、腐食について簡単に説明します。

【1】老朽原発圧力容器の脆化

◆原子炉本体である圧力容器は鋼鉄で出来ていて、運転中は、約320℃、約150気圧の環境(加圧水型PWRの場合)で中性子などの放射線に曝(さら)されています。この鋼鉄は、高温ではある程度の軟らかさを持っていますが、温度が下がると、ガラスのように硬く、脆(もろ)くなります。

◆圧力容器は原子炉運転期間が長くなると、硬化温度(脆性遷移温度)が上昇します。例えば、初期にはマイナス16℃で硬くなった鋼鉄も、1、18、34年炉内に置くとそれぞれ35、56、98℃で、40年を超えると100℃以上で硬化するようになり、脆くなります。原子炉が、緊急事態に陥ったとき、冷却水で急冷すると、圧力容器が脆化していれば、ガラスを急冷したときのように、破損する(割れる)危険性があります。初期(使用前)の鋼鉄は、脆性遷移温度が零度以下ですから、水冷では破壊されません。とくに、不純物である銅、リン、炭素などの含有量が多い鋼鉄で出来た老朽圧力容器の脆化は深刻です。

◆なお、脆化の機構は解明途中であり、脆性遷移温度の評価法にも問題が多いことも指摘されています。

◆ちなみに、老朽原発の脆性遷移温度は、次のように推定されています(原子力資料室発行「別冊TWO SCENE」17、2018年夏号より)。

  • 高浜原発1号機(運転開始1974年):99℃
  • 玄海原発1号機(運転開始1975年;廃炉):98℃
  • 美浜原発2号機(運転開始1972年;廃炉):86℃
  • 美浜原発1号機(運転開始1970年;廃炉):74℃
  • 大飯原発2号機(運転開始1979年;廃炉):70℃

【2】老朽原発の金属疲労

◆金属疲労とは、金属材料に繰り返して(振動的に)「力」を加えたとき、はじめ小さな傷が生じ、やがて大きな破壊に至る現象です。「力」は機械的に加わるだけでなく、温度変化の繰り返しによって加わることもあります。金属が高温で膨張し、低温で収縮するためです。

◆1985年8月の日航ジャンボ機墜落(御巣鷹尾根)事故は、後部圧力隔壁の金属疲労が原因とされました。

◆1991年2月に、美浜原発2号機で蒸気発生器伝熱細管がギロチン破断(刃物で断ち切ったように真っ二つになる事)して一次冷却水が2次側に漏洩した事故の原因は、高サイクル振動による金属疲労と判定されました。この事故は、メルトダウンにつながりかねない深刻なもので、国内の原発で緊急炉心冷却装置(ECCS)が動作する最初の事例となりました。金属疲労による損傷は、ポンプやタービンによる機械的振動や配管を水や水蒸気が流れるときに生じる振動が長期にわたって加わったときにも生じます。

【3】老朽原発の金属腐食

◆金属の腐食とは、金属が接触している他種の金属、液体あるいは気体と化学反応して溶けたり、腐食生成物(いわゆる「さび」)を生成することです。表面が一様にさびる「全面腐食」、弱い部分から腐食が進行し、孔が開いたりする「局所腐食」があります。

◆原子炉内ではいずれの腐食も生じますが、老朽原発でしばしば問題となるのは「局所腐食」の一つ「応力腐食割れ」です。代表的な発生部位は、圧力容器内で燃料集合体、制御棒の周囲に円筒状に配置されているシュラウドと呼ばれる部品、再循環系配管、炉内計装管台などです。

◆1960年代末から1980年代初頭にかけて、特に沸騰水型プラントでは共通する不具合として問題になりました。当時発生した応力腐食割れの大半は炭素含有率が比較的高いステンレス配管の溶接部近傍(数mm 以内)で発生しました。ステンレスは、鉄に10~20%のクロムを混ぜて、さび難くした合金ですが、溶接時に600℃~800℃に加熱された部分ではクロム炭化物が生成し、クロム濃度が周囲より低くなる欠乏層(結晶粒界)が生じます。この部分に溶存酸素を含んだ炉水が接触しつつ引張応力(材料が引っ張られたとき、材料内部に生じる抵抗力)が加わると、応力腐食割れが発生、進展します。

◆「エロージョン・コロージョン」と呼ばれる腐食も生じますが、メカニズムは確定されていません。「エロージョン」とは、局所的沸騰(キャビテーション)あるいは液滴や固体粒子の衝突によって材料表面が徐々に脱離する現象(腐食;コロージョン)とされています。

◆1986年12月、米国のサリー原発2号機(加圧水型軽水炉で1973年5月に運転開始)の二次冷却系配管でギロチン破断事故が発生しました。この事故は、給水ポンプ入口側の90°エルボ部(湾曲部)で生じました。破断した配管の材質は、板厚12.7 mmの炭素鋼(鉄と炭素の合金:加工が容易で廉価)です。破断の原因は、エロージョン・コロージョンによる配管の減肉です。この事故により破断部近傍で工事を行っていた4名が死亡し、2名が負傷しました。

◆2004年8月に、美浜原発3号機(1976年3月に運転開始)の二次冷却系の復水系配管が突然破裂し、高温高圧の二次系冷却水が大量に漏れ出して、高温の蒸気となって周囲に広がった事故の原因もエロージョン・コロージョンによる配管の減肉です。

◆この配管は、直径55 cm、肉厚10 mmの炭素鋼製で、破裂箇所の上流側には圧力差から流量を計測するためのオリフィスと呼ばれる狭窄(きょうさく)部(狭い箇所)が設けられています。オリフィスで生じた渦流によるキャビテーションは、徐々に配管内面を削り、運転開始から28年後の事故当時には、配管は肉厚1.4 mmにまで減肉していました。この状況で、配管は、150℃、10気圧という運転圧力と振動に耐えられず、大きく破裂したと考えられています。

◆本来は肉厚4.7 mmまで減肉する前に予防措置をとるという内部規則があり、1989年には配管を検査し1991年には取り替えることになっていたにもかかわらず、関西電力と検査会社の見落しで、点検台帳に登録されず、この個所は稼動以来28年間一度も点検されていませんでした。関電の危機管理能力が疑われます。この事故では5名が亡くなられ、6名が重軽傷を負われました。国内初の運転中の原発での死亡事故です。

【4】老朽原発の圧力容器や蒸気発生器に強度不足の鋼材が使用された可能性

◆上述のように、原子炉材料の品質不良は、重大事故の原因となりますが、最近でも、強度不足の鋼材が老朽原発で使用されていたと報じられています。

◆2015年4月、フランス原子力安全局 (ASN)は、建設中の加圧水型原発の原子炉容器上蓋などに使われている鋼材の組成に異常(ひび割れの発生など、機械的強度を低下させる炭素濃度の高い領域)が見つかったと発表しました。また、調査を続けたASNは、2016年6月に、「フランスで運転中の58基の加圧水型原子力プラントのうち、9原発18基の蒸気発生器で「水室」(蒸気発生器の一部)の機械的強度が想定より低い可能性がある」と発表しました。この「水室」の鋼材はフランスのクルゾ社と日本鋳鍛鋼(にほんちゅうたんこう:新日本製鐵グループ、三菱グループの共同出資)が鍛造(たんぞう:金属を加熱し、ハンマーなどでたたいて、金属内部の空隙をつぶし、結晶の方向を整えて強度を高めながら成形)したものです。

◆フランスでのこの事態を受け、日本の原子力規制委員会(規制委)は、2016年8月24日、各原発事業者に対し原子炉容器等における炭素偏析の可能性に係る調査を指示し、九州電力や東京電力、関西電力など電力6社は、同年9月2日に、「日本鋳鍛鋼」が国内8原発13基の原子炉圧力容器を製造していたと報告しました。しかし、電力6社の調査は、「メーカーに確認する」程度のもので、メーカーである日本鋳鍛鋼は、「強度不足につながる鋼材の不純物は顧客の指示通り切り捨てている」として強度基準を満たしているとの認識を示しています。

◆電力各社によると、日本鋳鍛鋼は、福島第二原発2、4号機、志賀1号機、高浜2号機、大飯1、2号機、敦賀2号機、伊方2号機、川内原発1、2号機、玄海2、3、4号機の圧力容器を製造していました。

◆フランスで2015年4月に強度不足問題が発覚し、ASNが調査を指示し、2016年6月に結果を発表しているにも拘らず、規制委は、問題発覚以降にも原子炉の致命的欠陥に関わるこの問題を無視して再稼働審査を続け、川内原発、高浜原発、伊方原発の新規制基準適合を発表し、老朽原発・高浜1,2号機、美浜3号機の運転延長も認めています。

原発再稼働時に、頻発するトラブル:
原発老朽化の深刻さ、
規制委審査の無責任さを露呈

◆2015年8月に再稼働した川内原発1号機は、再稼働10日後に、復水器冷却細管破損を起こし、高浜原発4号機は、2016年2月の再稼働準備中に、1次冷却系・脱塩塔周辺で水漏れを起こし、発電機と送電設備を接続した途端に警報が鳴り響き、原子炉が緊急停止しました。さらに、伊方原発3号機は、再稼働準備中の2016年7月、1次冷却水系ポンプで水漏れを起こしました。本年3月に再稼働した玄海原発3号機は、再稼働1週間後に、脱気装置からの蒸気漏れを起こしました。配管に直径1 cmの穴が開いていたそうです。本年8月末に再々稼働した高浜原発4号機は、8月19日に、事故時に原子炉に冷却水を補給するポンプの油漏れを起こし、20日には、温度計差込部から噴出した放射性物質を含む蒸気が原子炉上蓋から放出されるという、深刻なトラブルを起こしました。

◆このように、再稼働を進める全ての電力会社がトラブルを起こしています。トラブル率100%です。これは、原発の点検・保守や安全維持の困難さを示唆し、配管の腐食や減肉、部品の摩耗などが進んでいること示しています。また、傲慢で安全性を軽視することに慣れ切り、緊張感に欠けた電力会社が原発を運転する能力・資格を有していないことを実証しています。さらに、規制委員会が適合とした多くの原発が再稼働前後にトラブルを起こした事実は、原発の再稼働にお墨付きを与えた新規制基準が極めていい加減な基準であり、規制委の審査が無責任極まりないことを物語っています。

規制委の審査は無責任で、科学とは縁遠い:
老朽原発審査は、さらに手抜き

◆老朽高浜原発1,2号機運転延長認可の発表にあたって、当時の規制委員長・田中俊一氏は、「あくまで科学的に安全上問題ないかを判断するのが我々の使命だ」と述べています。

しかし、科学とは、実際に起こった事実を冷静に受け入れ、丁寧に調査し、検証・考察して、その上に多くの議論を重ねて、結論を導くものです。規制委の審査は、この過程を無視しており、科学とは縁遠いものです。

◆実際に起こった最も重大な事実は福島原発事故です。福島事故に関して、事故炉内部の詳細は今でも分からず、事故の原因究明が終わったとするには程遠い状態にあります。「科学」を標榜するのなら、福島事故の原因を徹底的に解明して、その結果を参照して、原発の安全性を議論・考察するのが当然です。

◆しかも、老朽高浜原発1,2号機、美浜原発3号機の再稼働審査は、とくに無責任かつ杜撰(ずさん)でした。杜撰さを、高浜1、2号機審査を例に紹介します。

・関電が、高浜1、2号機の新規制基準への適合審査を申請したのは2015年3月ですが、2016年4月に設置許可、6月10日に工事計画認可、6月20日に運転延長認可と、他の原発の審査に比べて、異例の短期で審査を終えています。
審査会合も27回と川内、高浜(3、4号機)、伊方原発審査時の約半分です。しかも、先に申請し、終盤を迎えていた他原発の審査を止めての拙速審査です。規制委からの認可取得期限が2016年7月7日に設定されていたために、規制委が審査を早めて、この期限に間に合わせたのです。規制委には、特に慎重であるべき老朽原発審査に対する誠意は感じられません。

・審査の手抜きも目立ちます。例えば、この審査では、ケーブール、コンクリート、目視可能な鉄筋など、簡単に点検や補修できる箇所については審査しても、点検が困難な冷却細管、点検・交換が不可能な圧力容器については、十分審査しているとは言えません。また、蒸気発生器の耐震性は美浜3号機の実証データで代用し、通常なら審査段階で行う耐震安全性の詳細評価を審査後で可とし、実証試験を使用前検査時に先延ばしにしました。さらに、20年延長評価は初めてにも拘らず、パブリックコメントなど、広く意見を求めることもしていません。このように、調査や改修の困難な部分については手抜きする審査は、「科学的」に安全を保証するためのものではありません。

相次ぐ老朽原発廃炉:
それでも高浜1,2号機、美浜3号機を
動かし、全国の老朽原発再稼働を
先導しようとする関電と政府

◆原発の安全対策費は、福島事故の大きな犠牲の上に、また、反原発の闘いの故に、高騰し続けています。そのため、傲慢な電力会社と言えども、安全対策費がとくにかさむ老朽原発の廃炉を決意せざるを得なくなり、福島事故以降9基の老朽原発の廃炉が決定しています (福島第1、2を含めれば、廃炉は19基)。また、去る9月27日には東北電が34年越え女川原発1号機の廃炉の検討を始めたと報道されました。

◆それでも、関電は、来年以降、老朽原発高浜1号機(来年で45年越え)、2号機(来年で44年越え)、美浜原発3号機(来年で43年越え)を再稼働させ、全国の老朽原発の再稼働を先導しようとしています。安倍政権のエネルギー政策に迎合するものです。

◆しかし、安全対策費が膨大で、経済的にも成り立たない、老朽原発の運転を関電に断念させることは、私たちの行動如何では、可能であろうと考えます。老朽原発運転を止めさせ、原発新設を止めさせれば、美浜町の原発は即時ゼロに、高浜町の原発は7年後にゼロになり、2033年には、若狭の全原発が廃炉に向かいます。もちろん、その前に重大事故が起こる可能性もありますから、断固として、原発の早期全廃を勝ち取らなければなりません。


脱原発・反原発の声を大きくし、
高浜、美浜の老朽原発を廃炉に追い込みましょう!
原発に頼らない新しい社会を展望しましょう!


2018年10月発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆再稼働で増やし続ける使用済み核燃料をどうするのか

【2018年11月9日,京都キンカンで配付。】

関電は、再稼働で増やし続ける使用済み核燃料を
どこで、どのように保管するのか?

使用済み核燃料と使用済み燃料プール

◆原発を運転すると、核燃料の燃焼が進むにつれて、核分裂性のウランやプルトニウムが減少するので核分裂反応を起こす中性子の発生数と発熱量が低下し、また、核燃料中に運転に不都合な核分裂生成物(特に希ガスや希土類)が多量に蓄積し、核燃料の持続的な燃えやすさ(余剰反応度)が低下します。さらに、核燃料被覆材は、腐食や熱や振動によるストレス(応力)によって変形します。したがって、核燃料を永久に使用することは出来ず、一定期間燃焼させると、新燃料と交換せざるを得なくなります。そのため、使用済み核燃料がたまります。

◆交換直後の使用済み核燃料は、高放射線、高発熱量で移動させることが出来ませんから、原発内にある貯蔵プール(使用済み核燃料プール)で3年~5年ほど保管・冷却されます。このプールは深く、燃料の上部の水深は7~8 m程度あり、水によって冷却されるとともに放射線が遮蔽されています。プール内には、ラックと呼ばれる仕切りがあり、使用済み燃料集合体間の距離を一定以上離しています。燃料集合体が近づき過ぎると核分裂反応が起きる(臨界に達する)からです。(下図は使用済み燃料プールの概念図です。広瀬 隆著「白熱授業 日本列島の全原発が危ない!」を参照。)

◆燃料プールは、概念図のように、原子炉の上部横に設置されていて、水で満たされています。原子炉圧力容器中の使用済み核燃料を燃料プールに移送するにあたっては、原子炉上部の原子炉ウエルに水を満たした後、圧力容器の上蓋を空け、クレーンで圧力容器内の燃料棒を釣り上げます。沸騰水型では、プールゲートを開けて、燃料棒をプールに移動させ、プール内のラックの中に納めます。加圧水型では、燃料棒を原子炉ウエル中で横にして、トンネルを潜(くぐ)って燃料プールに移し、プールで直立させて、ラックに納めます。


▲沸騰水型原子炉の燃料プールの概念図


▲加圧水型原子炉の燃料プール(ピット)の概念図

燃料プールは「むき出しの原子炉」

◆使用済み燃料プールは、圧力容器から取り出した核燃料を何の防御もないプールで保管しているのですから、「むき出しの原子炉」とも考えられ、脆弱(ぜいじゃく)で、メルトダウンする危険性が高い施設です。例えば、地震によって配管が破断し、燃料プールの冷却水が喪失し、燃料が水から顔を出すと、ジルコニウム合金の燃料被覆菅が燃え上がり、発生した水素が爆発します。この状態になると、燃料は溶融し、核爆発に至ります。

◆原発重大事故に関して、原子炉本体の破滅的な事態の防止は重要な課題として検討されていますが、使用済み燃料プールに起因する重大事態の可能性についてはあまり関心が払われていません。例えば、原子炉は炉心溶融を避けるために、バックアップ・ポンプ、バックアップ電源供給システム、バックアップ冷却システムを有し、炉心溶融に備えて、放射性物質封じ込めシステムを持っていますが、使用済み燃料プールについては、それらに比較できるほどのシステムを持っていません。なお、原子炉圧力容器は、高温高圧にも耐える鋼鉄の閉じ込め容器ですが、使用済み燃料プールは、上部が解放されたプールで、閉じ込め効果はありませんし、プール倒壊の可能性も指摘されています。

リラッキングによって、
燃料プールはさらに危険になっている

◆先述のように、核燃料プール内では、ラックを用いて、燃料棒集合体の間隔を確保して、臨界を回避しています。ところが、使用済み核燃料の行き場に困窮した電力各社は、このラックを改造(リラッキング)して、燃料棒間の距離を近づけ、燃料棒をぎゅうぎゅう詰めにしてしまいました。例えば、高浜原発3、4号機では、2005年と2006年にリラッキングし、プールの貯蔵能力を2.67倍に増やしています。プールで核爆発が生じる危険性は大きくなったと言えます。

使用済み核燃料の中間貯蔵とは

◆水冷期間が過ぎて、放射線量、発熱量が低下した使用済み核燃料は、乾式貯蔵容器(キャスク;裏面の図参照)に保管することになっています。キャスクでは、水や電気を使わず、空気の自然対流(換気)によって燃料を冷却します。このキャスクの保管場所が中間保管地です。


▲使用済み核燃料乾式貯蔵キャスクの例
(周囲に空気を循環させて空冷。)
(日本原電→こちらより)

◆国の核燃料サイクル計画では、中間保管地の使用済み核燃料は再処理工場に移送して、ウラン、プルトニウムを取り出し、ウラン・プルトニウム混合酸化物(MOX) 燃料として再利用し、他の放射性物質はガラス状固化体の高レベル放射性廃棄物とした後、地層中に処分することになっていましたが、再処理工場の建設はトラブル続きで、すでに2兆2千億円をつぎ込んだにもかかわらず、完成の目途(めど)は立っていません。そのため、使用済み核燃料の多くは、各原発の使用済み核燃料プールに溜めおかれています。

使用済み核燃料の永久保管はもとより、
中間保管すら引き受ける場所はない:
それでも増やし続ける関電

◆経産省は昨年、「科学的特性マップ」を発表し、高レベル放射性廃棄物の保管場所は、日本中どこにでもあるように宣伝しています。それでも、高レベル放射性廃棄物の保管を引き受けるところはなく、使用済み核燃料についても、中間保管でさえ引き受ける場所はありません。

◆現在、日本には使用済み核燃料が17,000 トン以上たまり、原発の燃料プールと日本原燃の再処理工場(青森県六ケ所村)の保管スペースを合計した貯蔵容量の75%以上が埋まっています。原発が順次再稼働した場合、数年後には満杯になります。

◆日本原燃・再処理工場の一時保管スペース(容量3,000トン)の貯蔵量は、2012年9月で2,945トン(占有率は98%)に達しています。青森県は「現在一時預かりしている使用済み燃料は、再処理の前提が崩れれば、各原発に返すだけだ」と強調しています。

◆福井県にある原発13基が持つ使用済み核燃料貯蔵施設の容量は5,290トンですが、その7割近くが使用済み燃料で埋まっています。高浜、大飯の原発を運転し続ければ、6年程度で貯蔵限度を超え、原発の稼働は出来なくなります。

◆それでも、関電は、高浜原発3、4号機、大飯原発3、4号機を次々に再稼働させ、行き場のない使用済み核燃料を増やし続けています。しかも、高浜原発3、4号機では、MOXを燃料に用いる危険度の高いプルサーマル発電を行い、大飯原発のプルサーマル化も企てています。MOX燃料が使用済み燃料になったとき、ウラン燃料に比べて、放射線量や発熱量が下がり難いため、長期の保管を要します(4倍程度の長期の水冷保管とそれに引き続く乾式保管が必要)。

「今年中に、使用済み核燃料保管地を県外に探す」と、
口から出まかせで、
福井県知事に約束した関電

◆関電の岩根社長は、昨年11月、使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、「2018年内に、福井県外で具体的な計画地点を見出す」と西川福井県知事に、記者団の前で約束しました。しかし、年末が迫っている現在でも、候補地の名前すら示していません。この約束は、大飯原発3、4号機の再稼働への知事の同意を取り付けるための、何の成算もない「口から出まかせの約束」であったことは明らかです。

◆その関電が、高浜原発3、4号機、大飯原発3、4号機を次々に再稼働させ、行き場のない使用済み核燃料を増やし続けているのです。

◆なお、関電の使用済み核燃料の中間貯蔵に、青森県むつ市にある他社の中間貯蔵施設を利用する案も出ていますが、地元は強く反発しています。

口から出まかせを承知で
再稼働に同意した知事

◆昨年11月27日、西川福井県知事は、関電の岩根社長の中間貯蔵施設に関する発言を受けて、その発言の信憑性(しんぴょうせい)も検証せずに、大飯原発3、4号機の再稼働に同意しました。「口から出まかせの約束」を承知の上での出来レースとしか考えられません。県民の安心・安全など念頭にないのです。

関電と福井県知事は
約束が履行(りこう)されなければ、
責任を明らかにせよ!

◆県知事が公の場で約束したとき、その約束は、県民との約束です。したがって、「年内に中間貯蔵地を探す」という約束が守れなかった場合、関電は、全ての原発を即時停止し、県民に謝罪すべきです。また、県知事は再稼働への同意を取り消し、使用済み燃料を生み出す原発の全廃を求めるべきです。

約束が反故(ほご)にされたとき、関電と県知事の責任を断固として追及しましょう!


11月7日、関電が高浜原発3号機の再々稼働を強行。
「原発うごかすな!@関西・福井」呼びかけの
原発ゲート前抗議行動に60名が参加。

ご参加の皆様、お疲れさまでした。有難うございました。


▲2018年11月8日新聞朝刊

2018年11月8日発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆韓国の文在寅大統領に要請文を提出

【2018年10月19日,京都キンカンで配付。】

「核と戦争のない世界のための韓日反核巡礼団」は、
韓国の文在寅大統領に要請文を提出しました

(韓国では、「反原発」を「反核」、「ツアー」を「巡礼団」と呼びます。
また、抗議集会などが禁止されているため、「記者会見」の名目で集会を行います。)

◆韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、2017年6月、韓国の最も古い原発・コリ原発1号機の閉鎖式典で、
①原発建設計画の撤回(6基)、
②老朽原発の寿命延長はしない、
③慶州ウオルソン1号機の早期閉鎖、
④新コリ原発5、6号機増設計画については市民が決める、
⑤脱原発ロードマップを策定する、
と宣言しました。しかし、同大統領は、その宣言を反故にし、2018年3月、韓国が外国で初めて請け負ったアラブ首長国連邦のバカラ原子力発電所の完工式に出席し、また、5基の新核発電所をコリとウルチンに建設を進めるとするなど、核マフィアとともに原発の稼働政策を進めています。

◆この状況の中、9月13日(木)~16日(日)、韓国の「核廃棄のための全国ネットワーク(準)」などが企画された「核と戦争のない世界のための日韓反核ツアー」に、「若狭の原発を考える会」などから13名が参加し、韓国の4か所(24基)で稼働する原発の内、2か所の原発の現地で反原発を闘う人達と交流するとともに、反基地を闘っている方たちとも交流を深めました。ツアーの中で、文在寅大統領に原発と基地に関する以下のような要請文を提出することが話し合われ、10月8日のソウルの青瓦台(大統領官邸)前広場で開かれた「記者会見」で伝達されました。


韓国 文在寅大統領殿

私たち「核と戦争のない世界のための韓日反核巡礼団」は、9月13日から16日まで、ソウル~大田(テジョン)~霊光(ヨングァン)~星州(ソンジュ)~慶州(キョンジュ)と延べ1000キロに及ぶ韓国の反核・反原発の現場、サード反対の現場をめぐって地域住民のお話を聞き、経験を分かち合い、討論をしました。

韓国政府と原発推進勢力は、3.11福島事故前の日本とまったく同じように、韓国の原発は世界一安全で、完全な安全対策が採られていると強弁しています。しかし私たちは訪問した韓国の各地域で、現実はまったく異なるという住民たちの具体的な声を聞きました。

原発立地である全羅南道の霊光では、韓国型原発である3、4号機建設時の手抜き工事や不良部品問題が明らかになり、住民はいつ重大事故が起こるか知れない不安の中で暮らしています。使用済み核燃料の中間貯蔵施設という、引き受け手のない政府の計画を原発立地の住民たちに引き受けさせるため途方もない金を使った分裂工作が行われています。

また慶尚北道慶州の月城原発に隣接するナア里の住民たちは、赤ん坊から高齢者まで体からトリチウムが検出され、移住の権利を求めて丸4年を超えるテントろう城闘争を続けています。テントの前に棺桶を用意して死ぬ覚悟で闘っています。地元住民の多くは、生活のために原発の定期点検時に派遣労働者として被爆労働につかざるを得ません。

韓国の原発推進勢力の拠点である原子力研究院がある大田では、原子力研究院が数々の汚職や不正の温床で、危険きわまりない使用済み核燃料再処理実験が行われている核施設であり、一日も早く解体すべきであることを地元住民や若者たちが告発しています。

韓国政府は、これら地元住民たちの訴えを黙殺し、原発を動かし続けています。原発を動かす限り増え続ける使用済み核燃料の貯蔵プールはすでに飽和状態になっているのに、貯蔵プールの危険な稠密化や使用済み核燃料再処理の嘘によって期限を引き伸ばしつつ2024年までに原発敷地内に中間貯蔵施設を作るとして世論を欺こうとしています。

さらに慶尚北道星州のソソン里では、朝鮮民主主義人民共和国の核ミサイルからの防御を口実に朴槿恵政権末期に2基、文在寅政権成立後に仮配備された4基、計6基のサードミサイルが未だに撤去されていません。朝鮮半島に吹いている平和の風はソソン里にはなぜ吹かないのか。警察権力の暴力と対峙して闘う地元住民の怒りと闘いに私たちは感動しました。

私たちは、4.27以降3回にわたる南北首脳会談によって朝鮮半島平和と非核化の道が切り開かれつつあることを心から歓迎しています。だからこそ朝鮮半島の真の平和のためには、サードミサイルシステムが星州ソソン里から撤去されねばならず、朝鮮半島の真の非核化のためには韓国から米軍の戦術核と原発がなくならねばならないと考えます。3.11原発事故の現場である福島、原発集中地域である若狭、また最大の原発電力消費地である首都圏と関西から参加した日本の参加者は、安倍政権の原発再稼働強行・原発新設・原発輸出策動、そして9条改憲や戦争政策を阻止するために努力するとともに、韓日民衆が共同して、核と戦争のない世界を実現するために、今後も全力を尽くします。

「核と戦争のない世界のための韓日反核巡礼団」の日本参加者と韓国各地からの参加者は、この旅で学んだことに基づき、文在寅大統領に以下のように要求します。

1. ロウソク市民の要求である脱核の公約を守り、原発全廃に向かえ!
1. 老朽原発の稼働、中間貯蔵施設の押し付け反対!原発新設・輸出を直ちに止めよ!
1. 核マフィアの総本山・原子力研究院を解体し、脱核時代のために再編せよ!
1. 日々被曝を強制される原発隣接地域住民の移住の権利を保障する法律を制定せよ!
1. 違法なサード配備を撤回し、住民への弾圧と監視を直ちに止めよ!
1. 文在寅大統領は、ナア里・霊光・大田・星州ソソン里の住民たちの声に耳を傾けよ!

核と戦争のない世界のための韓日反核巡礼団
参加者一同


2018年10月8日、韓国ソウルの青瓦台前広場で、核廃棄のための全国ネットワーク(準)などが取り組んだ「文在寅大統領に送る要請書」の伝達のための行動


▲(横断幕)文在寅大統領は脱核公約を履行し原発全面閉鎖に直ちにとりかかれ!


▲(丸いプラカード)電気は余ってる!核発電所、もうやめて!


相次ぐ老朽原発廃炉:
それでも高浜1,2号機、美浜3号機を動かし、
全国の老朽原発再稼働を先導しようとする関電と政府

◆原発の安全対策費は、福島事故の大きな犠牲の上に、また、反原発の闘いの故に、高騰し続けています。そのため、傲慢な電力会社と言えども、安全対策費がとくにかさむ老朽原発の廃炉を決意せざるを得なくなり、福島事故以降9基の老朽原発の廃炉が決定しています (福島第1、2を含めれば、廃炉は19基)。また、去る9月27日には東北電が34年越え女川原発1号機の廃炉の検討を始めたと報道されました。

◆それでも、関電は、来年以降、老朽原発高浜1号機(来年で45年越え)、2号機(来年で44年越え)、美浜原発3号機(来年で43年越え)を再稼働させ、全国の老朽原発の再稼働を先導しようとしています。安倍政権のエネルギー政策に迎合するものです。

◆しかし、安全対策費が膨大で、経済的にも成り立たない、老朽原発の運転を関電に断念させることは、私たちの行動如何では、可能であろうと考えます。老朽原発運転を止めさせ、原発新設を止めさせれば、美浜町の原発は即時ゼロに、高浜町の原発は7年後にゼロになり、2033年には、若狭の全原発が廃炉に向かいます。もちろん、その前に重大事故が起こる可能性もありますから、断固として、原発の早期全廃を勝ち取らなければなりません。

脱原発・反原発の声を大きくし、
高浜、美浜の老朽原発を廃炉に追い込みましょう!
原発のない新しい社会を創造しましょう!

2018年10月19日発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆老朽高浜原発1、2号機、美浜3号機を今すぐ廃炉に

【2018年10月5日,京都キンカンで配付。】

原発の危険度は、運転期間とともに高くなる

老朽高浜原発1、2号機、美浜3号機を今すぐ廃炉に

◆原発は事故の確率が高い装置ですが、老朽化すると、重大事故の確率が急増します。例えば、次のような理由によります。

・高温、高圧、高放射線(とくに中性子の照射)に長年さらされた圧力容器、配管等では、脆化(ぜいか;下記【1】を参照)、金属疲労(下記【2】を参照)、腐食(下記【3】を参照)が進んでいます。中でも、交換することが出来ない圧力容器の老朽化は深刻です。電気配線の老朽化も問題です。老朽原発には、難燃性でない電気配線も使われています。

・建設時には適当とされたが、現在の基準では不適当と考えられる部分は多数ありますが、全てが見直され、改善されているとは言えません。例えば、地震の大きさを過小評価していた時代に作られた構造物、配管の中で交換不可能なもの(圧力容器など)があります。最近は、安全系と一般系の電気配線の分離敷設の不徹底なども指摘されています。

・建設当時の記録(図面など)が散逸している可能性があり、原発の安全管理の支障となります。

・建設当時を知っている技術者は殆どいないので、非常時、事故時の対応に困難を生じます。

・高浜3、4号機(運転開始後33年越え)のようなウラン燃料対応の老朽原発でMOX燃料を使用することは、炉の構造上、問題山積です。

以下に、脆化、金属疲労、腐食について簡単に説明します。

【1】老朽原発圧力容器の脆化

◆原子炉本体である圧力容器は鋼鉄で出来ていて、運転中は、約320℃、約150気圧の環境(加圧水型PWRの場合)で中性子などの放射線に曝(さら)されています。この鋼鉄は、高温ではある程度の軟らかさを持っていますが、温度が下がると、ガラスのように硬く、脆(もろ)くなります。圧力容器は原子炉運転期間が長くなると、硬化温度(脆性遷移温度)が上昇します。

◆例えば、初期にはマイナス16℃で硬くなった鋼鉄も、1、18、34年炉内に置くとそれぞれ35、56、98℃で、40年を超えると100℃以上で硬化するようになり、脆くなります。原子炉が、緊急事態に陥ったとき、冷却水で急冷すると、圧力容器が脆化していれば、ガラスを急冷したときのように、破損する(割れる)危険性があります。初期(使用前)の鋼鉄は、脆性遷移温度が零度以下ですから、水冷では破壊されません。とくに、不純物である銅、リン、炭素などの含有量が多い鋼鉄で出来た老朽圧力容器の脆化は深刻です。

◆なお、脆化の機構は解明途中であり、脆性遷移温度の評価法にも問題が多いことも指摘されています。

◆ちなみに、老朽原発の脆性遷移温度は、次のように推定されています(原子力資料室発行「別冊TWO SCENE」17、2018年夏号より)。
・高浜原発1号機(運転開始1974年):99℃
・玄海原発1号機(運転開始1975年;廃炉):98℃
・美浜原発2号機(運転開始1972年;廃炉):86℃
・美浜原発1号機(運転開始1970年;廃炉):74℃
・大飯原発2号機(運転開始1979年;廃炉):70℃

【2】老朽原発の金属疲労

◆金属疲労とは、金属材料に繰り返して(振動的に)「力」を加えたとき、はじめ小さな傷が生じ、やがて大きな破壊に至る現象です。「力」は機械的に加わるだけでなく、温度変化の繰り返しによって加わることもあります。金属が高温で膨張し、低温で収縮するためです。

◆1985年8月の日航ジャンボ機墜落(御巣鷹尾根)事故は、後部圧力隔壁の金属疲労が原因とされました。

◆1991年2月に、美浜原発2号機で蒸気発生器伝熱細管がギロチン破断(刃物で断ち切ったように真っ二つになる事)して一次冷却水が2次側に漏洩した事故の原因は、高サイクル振動による金属疲労と判定されました。この事故は、メルトダウンにつながりかねない深刻なもので、国内の原発で緊急炉心冷却装置(ECCS)が動作する最初の事例となりました。金属疲労による損傷は、ポンプやタービンによる機械的振動や配管を水や水蒸気が流れるときに生じる振動が長期にわたって加わったときにも生じます。

【3】老朽原発の金属腐食

◆金属の腐食とは、金属が接触している他種の金属、液体、気体と化学反応して溶けたり、腐食生成物(いわゆるさび)を生成することです。表面が一様にさびる「全面腐食」、弱い部分から腐食が進行し、孔が開いたりする「局所腐食」があります。原子炉内ではいずれの腐食も生じますが、老朽原発でしばしば問題となるのは「局所腐食」の一つ「応力腐食割れ」です。代表的な発生部位は、圧力容器内で燃料集合体、制御棒の周囲に円筒状に配されているシュラウドと呼ばれる部品、再循環系配管、炉内計装管台などです。1960年代末から1980年代初頭にかけて、特に沸騰水型プラントでは共通する不具合として問題になりました。

◆当時発生した応力腐食割れの大半は炭素含有率が比較的高いステンレス配管の溶接部近傍(数㎜以内)で発生しました。ステンレスは、鉄に10~20%のクロムを混ぜて、さびにくくした合金ですが、溶接時に600℃~800℃に加熱された部分ではクロム炭化物が生成し、クロム濃度が周囲より低くなる欠乏層(結晶粒界)が生じます。この部分に溶存酸素を含んだ炉水が接触しつつ引張応力(材料が引っ張られたとき、材料内部に生じる抵抗力)が加わると、応力腐食割れが発生、進展します。

◆「エロージョン・コロージョン」と呼ばれる腐食も生じますが、メカニズムは確定されていません。「エロージョン」とは、局所的沸騰(キャビテーション)あるいは液滴や固体粒子の衝突によって材料表面が徐々に脱離する現象(腐食;コロージョン)とされています。

◆1986年12月、米国のサリー原発2号機(加圧水型軽水炉で1973年5月に運転開始)の二次冷却系配管でギロチン破断事故が発生しました。この事故は、給水ポンプ入口側の90°エルボ部で生じました。破断した配管の材質は、板厚12.7 mmの炭素鋼です。破断の原因は、エロージョン・コロージョンによる配管の減肉です。この事故により破断部近傍で工事を行っていた4名が死亡し、2名が負傷しました。

◆2004年8月に、美浜原発3号機(1976年3月に運転開始)の二次冷却系の復水系配管が突然破裂し、高温高圧の二次系冷却水が大量に漏れ出して、高温の蒸気となって周囲に広がった事故の原因もエロージョン・コロージョンによる配管の減肉です。

◆この配管は、直径55 cm、肉厚10 mmの炭素鋼(鉄と炭素の合金:加工が容易で廉価)製で、破裂箇所の上流側には圧力差から流量を計測するためのオリフィスと呼ばれる狭窄部が設けられています。オリフィスで生じた渦流によるキャビテーションは、徐々に配管内面を削り、運転開始から28年後の事故当時には、配管は肉厚1.4 mmにまで減肉していました。この状況で、配管は、150℃、10気圧という運転圧力と振動に耐えられず、大きく破裂したと考えられています。

◆本来は肉厚4.7 mmまで減肉する前に予防措置をとるという内部規則があり、1989年には配管を検査し1991年には取り替えることになっていたにもかかわらず、関西電力と検査会社の見落しで、点検台帳に登録されず、この個所は稼動以来28年間一度も点検されていませんでした。関電の危機管理能力が疑われます。この事故では5名が亡くなられ、6名が重軽傷を負われました。国内初の運転中の原発での死亡事故です。

【4】老朽原発の圧力容器や蒸気発生器に強度不足の鋼材が使用された可能性

◆上述のように、原子炉材料の品質不良は、重大事故の原因となりますが、最近でも、強度不足の鋼材が老朽原発で使用されていたと報じられています。

◆2015年4月、フランス原子力安全局 (ASN)は、建設中の加圧水型原発の原子炉容器上蓋などに使われている鋼材の組成に異常(ひび割れの発生など、機械的強度を低下させる炭素濃度の高い領域)が見つかったと発表しました。また、調査を続けたASNは、2016年6月に、「フランスで運転中の58基の加圧水型原子力プラントのうち、9原発18基の蒸気発生器で「水室」(蒸気発生器の一部)の機械的強度が想定より低い可能性がある」と発表しました。この「水質」の鋼材はフランスのクルゾ社と日本鋳鍛鋼(にほんちゅうたんこう:新日本製鐵グループ、三菱グループの共同出資)が鍛造(たんぞう:金属を加熱し、ハンマーなどでたたいて、金属内部の空隙をつぶし、結晶の方向を整えて強度を高めながら成形)したものです。

◆フランスでのこの事態を受け、日本の原子力規制委員会(規制委)は、2016年8月24日、各原発事業者に対し原子炉容器等における炭素偏析の可能性に係る調査を指示し、九州電力や東京電力、関西電力など電力6社は、同年9月2日に、「日本鋳鍛鋼」が国内8原発13基の原子炉圧力容器を製造していたと報告しました。しかし、電力6社の調査は、「メーカーに確認する」程度のもので、メーカーである日本鋳鍛鋼は、「強度不足につながる鋼材の不純物は顧客の指示通り切り捨てている」として強度基準を満たしているとの認識を示しています。

◆電力各社によると、日本鋳鍛鋼は、福島第二原発2、4号機、志賀1号機、高浜2号機、大飯1、2号機、敦賀2号機、伊方2号機、川内原発1、2号機、玄海2、3、4号機の圧力容器を製造していました。

◆フランスで2015年4月に強度不足問題が発覚し、ASNが調査を指示し、2016年6月に結果を発表しているにも拘らず、規制委は、問題発覚以降にも原子炉の致命的欠陥に関わるこの問題を無視して再稼働審査を続け、川内原発、高浜原発、伊方原発の新規制基準適合を発表し、老朽原発・高浜1,2号機、美浜3号機の運転延長も認めています。

原発再稼働時に、頻発するトラブル:原発
老朽化の深刻さ、規制委審査の無責任さを露呈

◆2015年8月に再稼働した川内原発1号機は、再稼働10日後に早速、復水器冷却細管破損を起こし、高浜原発4号機は、2016年2月の再稼働準備中に、1次冷却系・脱塩塔周辺で水漏れを起こし、発電機と送電設備を接続した途端に警報が鳴り響き、原子炉が緊急停止しました。

◆さらに、伊方原発3号機は、再稼働準備中の2016年7月、1次冷却水系ポンプで水漏れを起こしました。本年3月に再稼働した玄海原発3号機は、再稼働1週間後に、脱気装置からの蒸気漏れを起こしました。配管に直径1 cmの穴が開いていたそうです。本年8月末に再々稼働した高浜原発4号機は、8月19日に、事故時に原子炉に冷却水を補給するポンプの油漏れを起こし、20日には、温度計差込部から噴出した放射性物質を含む蒸気が原子炉上蓋から放出されるという、深刻なトラブルを起こしました。

◆このように、再稼働を進める全ての電力会社がトラブルを起こしています。トラブル率100%です。これは、原発の点検・保守や安全維持の困難さを示唆し、配管の腐食や減肉、部品の摩耗などが進んでいること示しています。また、傲慢で安全性を軽視することに慣れ切り、緊張感に欠けた電力会社が原発を運転する能力・資格を有していないことを実証しています。さらに、規制委員会が適合とした多くの原発が再稼働前後にトラブルを起こした事実は、原発の再稼働にお墨付きを与えた新規制基準が極めていい加減な基準であり、規制委員会の審査が無責任極まりないことを物語っています。

規制委の審査は無責任で、科学とは縁遠い:
老朽原発審査は、さらに手抜き

◆老朽高浜原発1,2号機運転延長認可の発表にあたって、当時の規制委員長・田中俊一氏は、「あくまで科学的に安全上問題ないかを判断するのが我々の使命だ」と述べています。

しかし、科学とは、実際に起こった事実を冷静に受け入れ、丁寧に調査し、検証・考察して、その上に多くの議論を重ねて、結論を導くものです。規制委の審査は、この過程を無視しており、科学とは縁遠いものです。

◆実際に起こった最も重大な事実は福島原発事故です。福島事故に関して、事故炉内部の詳細は今でも分からず、事故の原因究明が終わったとするには程遠い状態にあります。「科学」を標榜するのなら、福島事故の原因を徹底的に解明して、その結果を参照して、原発の安全性を議論・考察するのが当然です。

◆しかも、老朽高浜原発1,2号機、美浜原発3号機の再稼働審査は、とくに無責任かつ杜撰(ずさん)でした。杜撰さを、高浜1、2号機審査を例に紹介します。

●関電が、高浜1、2号機の新規制基準への適合審査を申請したのは2015年3月ですが、2016年4月に設置許可、6月10日に工事計画認可、6月20日に運転延長認可と、他の原発の審査に比べて、異例の短期間で審査を終えています。
審査会合も27回と川内、高浜(3、4号機)、伊方原発審 査時の約半分です。しかも、先に申請し、終盤を迎えていた他原発の審査を止めての拙速審査です。規制委からの認可取得期限が2016年7月7日に設定されていたために、規制委が審査を早めて、この期限に間に合わせたのです。規制委には、特に慎重であるべき老朽原発審査に対する誠意は感じられません。

●審査の手抜きも目立ちます。例えば、この審査では、ケーブル、コンクリート、目視可能な鉄筋など、簡単に点検や補修できる箇所については審査しても、点検が困難な冷却細管、点検・交換が不可能な圧力容器については、十分審査しているとは言えません。また、蒸気発生器の耐震性は美浜3号機の実証データで代用し、通常なら審査段階で行う耐震安全性の詳細評価を審査後で可とし、実証試験を使用前検査時に先延ばしにしました。さらに、20年延長評価は初めてにも拘らず、パブリックコメントなど、広く意見を求めることもしていません。このように、調査や改修の困難な部分については手抜きする審査は、「科学的」に安全を保証するためのものではありません。

相次ぐ老朽原発廃炉:
それでも高浜1,2号 機、美浜3号機を動かし、
全国の老朽原発再稼働を先導しようとする関電と政府

◆原発の安全対策費は、福島事故の大きな犠牲の上に、また、反原発の闘いの故に高騰し続けています。そのため、傲慢な電力会社と言えども、安全対策費がとくにかさむ老朽原発の廃炉を決意せざるを得なくなり、福島事故以降9基の老朽原発の廃炉が決定しています (福島第1、2を含めれば、廃炉は19基)。また、去る9月27日には東北電が34年越え女川原発1号機の廃炉の検討を始めたと報道されました。

◆それでも、関電は、来年以降、老朽原発高浜1号機(来年で45年越え)、2号機(来年で44年越え)、美浜原発3号機(来年で43年越え)を再稼働させ、全国の老朽原発の再稼働を先導しようとしています。安倍政権のエネルギー政策に迎合するものです。

◆しかし、安全対策費が膨大で、経済的にも成り立たない、老朽原発の運転を関電に断念させることは、私たちの闘い如何では、可能であろうと考えます。老朽原発運転を阻止し、原発新設を阻止すれば、最悪でも、2033年には、若狭の原発はゼロになります。もちろん、その前に重大事故が起ころ可能性もありますから、断固として、原発の早期全廃を勝ち取らなければなりません。

関西、福井の総力を結集して、高浜、美浜の老朽原発をを廃炉に追い込みましょう!
そのための行動を討議するために、下記の拡大実行委員会を開催します。
老朽原発の再稼働を何としても阻止したいとお考えの方なら、
どなたでも、ご参加いただけます。
叡智を集めて大闘争を準備し、老朽原発を廃炉に追い込みましょう!


老朽原発再稼働を阻止するために! 行動を討議する
「拡大実行委員会」

◆とき:10月8日(月 休)14:00~17:00
◆ところ:京都テルサ(京都駅から南へ 徒歩 15 分、市バス九条車庫南)
★ア クセス→こちら
◆主催:「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」
◆連絡先:木原(090-1965-7102;kiharas-chemアットzeus.eonet.ne.jp)


2018年10月5日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆「韓日反核(原発)ツアー」に参加して

【2018年9月28日,京都キンカンで配付。】

韓国・日本の脱原発・反原発運動の強固な連帯で、
互いの政府や電力会社を追い詰め、
手を携えて世界の原発の全廃を勝ち取ろう!

「韓日反核(原発)ツアー」に参加して

若狭の原発を考える会・橋田 秀美

◆昨年、日本側で韓国青年の若狭高浜訪問を契機として、韓国との交流気運が高まり、また、韓国でも日本の脱核(反原発)運動の現状を知りたいという要請から、今回の韓日連帯のツアーが企画された。

◆関西空港の水没により航空機が欠航となり、9月12日大阪南港から釜山まで19時間の旅。13日の昼前、下船後、すぐに高速バスでソウルへ5時間。到着後、夕食をかき込み、すぐに木原さんの講演が始まった。14日には大田(テジョン)でも行われた「日本の原発問題の現状と反原発運動」と題した2回の講演では、韓国の若い活動家から多くの質問が投げかけられ、その知識の豊富さと熱心さに驚いた。
(詳しくは木戸さんの報告を→こちら

14日は大田にある韓国原子力研究院前で行われた集会に参加し、今回のツアー団と「核再処理実験阻止30 km連帯」の連名で声明を出した。
・韓国原子力研究院は「先端科学技術と最高の安全を誇る施設」とは名ばかりで、核廃棄場や老朽原子炉がある施設だが、核廃棄物不法埋立てと無断焼却、放流などをしてきたそうだ。核再処理実験を進めており、高速炉研究も行なおうとしている。この研究院は巨大な核マフィアの象徴なのだ。

・「核再処理実験阻止30 km連帯」で活動をしているという15歳の少女は、3.11のとき、8歳だったというが、福島原発事故が本当に怖くて、安全に暮らしたいという思いから脱核(反原発)運動に入ったという。「研究員の人たちは頭がいいかもしれないけど、良い人ではない」、「政権が変わったけど、それで社会が変わるわけではないとわかった」と凛として語る姿に、本年6月23日沖縄慰霊の日に自作の詞を朗読した少女の姿が重なった。真実の平和を求める感性が輝いているようで、会場は感動に包まれた。

▲韓国原子力研究院前の集会
▲アピールする少女

15日は霊光(ヨングァン)原発を訪ね、原発前で地域住民とミニ集会を行い、交流をした。
・5.6号機では5000個を超える偽造部品、4号機では手抜き工事が発覚したそうだ。回りは広い農業地帯だが、農作物の風評被害が起こっているという。使用済み核燃料プールが2024年には満杯になるので、敷地内に乾式保管を考えているというが、住民は激しく反対している。しかし、政府による補償金をちらつかせての懐柔策は、住民間分裂を生んでる。全く日本と同じ構図だと思った。日本の電力会社も使用済み核燃料の中間貯蔵場所を探して、あらゆる自治体を金で買収してくるに違いないし、すでに裏では進められていることだろう。

・15日の夜は星州(ソンジュ)のソソン里でサードミサイルに反対している住民と交流し、ろうそく集会に参加した。この地はまくわうりの大生産地だ。「サードが何なのか、平和についてなど何にも考えなかった私達だが、今はわかる。未来の子供達のために、世界の平和のために闘うことを決意した」と、政府の弾圧に身体を張って闘う農民や宗教者の姿に、真正面から闘うことの大切さを教えられた気がした。

16日は慶州月城(ウォルソン)のナア里にある月城原発で闘っている住民と交流した。
・この地域の約30世帯の住民は、月城原発PR館前にテントを張り、反原発運動をしてもう4年になるというが、原発から914メートルのところで居住し畑を耕し生きている人もいる。体内からトリチウムが検出された人や、放射線被爆した赤ちゃんが生まれたりしていると聞き、驚いた。甲状腺ガンの発生率も異様に高く、住民は不安に駆られ、移住の自由と支援を求めて闘っている。危険な汚染地域の不動産は売れず、移住したくともできない現実があるのだ。

・目を引いたのはテントの前に並ぶ白い柩(ひつぎ)であった。私は、これはきっと原発を推し進める人を葬るという意味だろうと勝手に思ったのだが、実は違った。月城原発隣接地域移住対策委員会の会長や副会長、事務局長、会員の人達の柩だった。「私達は柩に入るまで闘う」という決意を表しているという。おもしろい闘い方だなと感心した。韓国の人たちは目に見える闘いがとても上手い。その柩の意味を知った木原さんは、「僕も死ぬまで闘う」と言って並ぶ柩の傍らに身体を横たえた。そのお茶目さに皆笑ったが、私はなぜか目頭が熱くなった。

・テントに招かれての交流は、双方から時間を忘れるほどの質問と回答の応酬であった。韓国側からは
「私達は福島を見て真実を知った、目が覚めた」、
「なんで福島を経験しながら再稼働するの?」、
「トリチウム水を薄めて海に流す計画?!あり得ない!」、
等々。原発事故を起こした国の住民としての責任と闘いを厳しく問われているように感じた。テントの中に、このテントを訪れた文在寅大統領の写真があったので、「大統領はここを訪ねたのですね?」と聞くと、「あれは大統領になる前に訪ねてきたときの写真。大統領になってからは一切来てくれない。」と憤りの顔を見せられた。先ずは、お互い情報の交換から始めようと連絡先などを交換しあった。

▲月城原発PR館前の抗議テント
▲柩の傍らに横たわる木原さん
▲テントの前で連帯の意をこめて旗を贈呈

この旅で韓国側からおもしろい指摘があった。
「なぜ、こんな年寄りの方達(私達のこと)が先頭切って運動しているの? 韓国では年寄りは運動から引いてしまうのに。」との質問。逆に、私達は、「韓国はなぜ、若い人たちがこんなに運動しているの? 日本では、ほとんど老齢者しか運動しない。」と返した。韓国は年金制度が確立しておらず、老齢の方も働かなくてはいけない事情があるという。また、「若者に運動を譲る。託していく。」という文化があるのだとわかった。

最後に。なぜ、韓国の運動と連帯するのか?

◆福島原発事故は、甚大な犠牲をもって、反原発・脱原発の大きな運動のうねりを起こした。この反原発大衆運動の高揚により、電力会社は多額な費用を要する安全対策を施さざるを得なくなり、それが原発重大事故を防いできたといえる。また、安全対策費の高騰から、廃炉を決定せざるを得なくなっている。さらに、反原発運動が、世界的にも安全対策費の高騰を招き、原発輸出企業の原発からの撤退を促している。このように、反原発の大衆運動が世界的に高揚し、繋がることは、暴利をむさぼるために人の命や健康をむしばみながら各国で暗躍している「原子力マフィア」達を追い込むことになる。

◆韓国で起こった朴槿恵大統領退陣を求めるろうそくデモは、日本で「戦争法反対」を掲げて国会議事堂前に何万と集まった民衆を見て「政治的にはあまり動かないと思っていた日本の民衆が、こんなにも集まっている!」と驚き、それに感化され起こったという韓国からの声もあった。隣接国、世界の大衆運動は連鎖するのだとあらためて思った。

◆私の生涯で初めての海外旅行が、反原発連帯の旅であった事は感慨深い。韓国や世界の反原発運動と連帯して、世界から原発を全廃しなくては!と強く決意する旅となった。

木戸恵子さんの報告に移る
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◆世代と海を越えて連帯する ―核と戦争のない世界のための日韓反核旅行―

【2018年9月28日,京都キンカンで配付。】

韓国・日本の脱原発・反原発運動の強固な連帯で、
互いの政府や電力会社を追い詰め、
手を携えて世界の原発の全廃を勝ち取ろう!

世代と海を越えて連帯する

―核と戦争のない世界のための日韓反核旅行―

若狭の原発を考える会・木戸 恵子

◆韓国のムン・ジェイン大統領は、2017年6月、韓国の最も古い原発・コリ原発1号機の閉鎖式典で、
①原発建設計画の撤回(6基)、
②老朽原発の寿命延長はしない、
③慶州ウオルソン1号機の早期閉鎖、
④新コリ原発5、6号機増設計画については市民が決める、
⑤脱原発ロードマップを策定する、
と宣言した。

しかし、同大統領は、その宣言を反故にし、2018年3月、韓国が外国で初めて請け負ったアラブ首長国連邦のバカラ原子力発電所の完工式に出席し、また、5基の新核発電所をコリとウルチンに建設を進めるとするなど、核マフィアとともに原発の稼働政策を進めている。

◆この状況の中、9月13日(木)~16日(日)、韓国の「核廃棄のための全国ネットワーク(準)」などが企画された「核と戦争のない世界のための日韓反核ツアー」に、日本から13名が参加し、韓国の4か所(24基)で稼働する原発の内、2か所の原発の現地で反原発を闘う人達と交流するとともに、反基地を闘っている方たちとも交流を深めた。

●13日(木)午後7時、ソウル円仏教教堂において、「日本の原発問題と反原発運動」と題して、若狭の原発を考える会の木原壯林さんが質疑応答を含め2時間の講演をおこなった。

・講演の概要は、
日本政府の原子力政策(エネルギー基本計画、危険かつ実現不可能に近い核燃料サイクルへの固執、日本政府は原発輸出を経済政策の目玉の一つに、日本の原子力政策の要点と政府のたくらみの暴露など)、
「新規制基準」と規制委員会審査の問題点(新規制基準は3つの用件で構成されるが、これらは計画に有無を審査するのであって、実行されたことを確認するものではないこと、防災計画と住民避難計画は規制委員会の審査対象外であること、それでもこの審査結果が原発稼働を左右すること、など)、
日本の原発が持つ問題点(原発集中;若狭には13基の商用原発と高速増殖炉「もんじゅ」、ウラン、プルトニウム混合酸化物燃料を使ったプルサーマル運転、40年越え老朽原発の運転、行き場のない使用済み核燃料など)、
日本の反原発運動
日本の脱原発訴訟
「若狭の原発を考える会」の目指すところ・過去1年間の主な活動・これらの行動で私たちが獲得した成果
などで、通訳を交えた講演であった。

▲ソウル講演会

 

 

 

 

▲テジョン 30 km連帯懇談会

・会場からの質疑応答には、
①日本政府が公表した「科学的特性マップ」の日本人の反応はどうだったか、
②プルサーマルは日本の全ての原発でできるか、
③日本の再処理は乾式か湿式か、
④世界的な気候変動の中、脱核のスピードを落とさなければいけないと聞いたが本当か、
⑤日本では使用済核燃料の処理に困っているのに、インドへの原発輸出の条件に、インドで出た使用済み核燃料を日本で引き受けるのは、矛盾しているのではないか、
など韓国と日本の状況の違いや、日本政府の矛盾点が指摘された。

・講演の最後に、「今、脱原発・反原発は世界の趨勢になりつつあります。韓国、日本の脱原発運動が強く連帯して、大きなうねりを創り、原発が技術的には人類の手に負えるものではなく、経済的にも成り立たないことを政府や電力会社に思い知らせ、手を携えて世界の原発の全廃を勝ち取りましょう!」と訴え、会場から惜しみない拍手がおくられた。

●14日(金)同じ内容で2回目の講演会が、テジョン市老隠図書館において行われた。

・講演終了後の質疑応答の中では、
①若狭の原発を考える会の4年間続けている、「地道に」、「骨身を惜しまず」の行動に拍手と連帯を送りたいと前置きして、韓国では湿式だから核拡散にならないと政府は言っているが本当か、
②高速炉とプルサーマルの違い、
③テジョンにある韓国原子力研究院の半径1.5 kmに25000人が住んでいるが、日本にも同じようなところがあるか、
④韓国では反対しているが、日本では40年間再処理をしているが、どういう状況か、
⑤木原さんのような専門家が反原発の運動をされていることに驚きと感銘を受けたが、今の日本では専門家による反対運動が出来る状況にあるのか、
など熱心討論が交わされた。

・その後、テジョン市の巨大な核マフィアの中心・韓国原子力研究院の前に反核団体が集まり、抗議行動の「記者会見」が展開された。私たちも、旗を立てて「共同声明」に参加した。韓国では集会が禁止されているため、記者会見という名目で抗議行動を続けている。困難な中、工夫して闘うことを教えられた集会だった。

▲「30km連帯」へ旗の贈呈
▲原子力研究院前の「記者会見」

・印象的だったのは、テジョンの教会で開かれた「30 km連帯、住民との懇談会」においての、15歳の少女のスピーチであった。

・「私は現在を生きていきたい」と訴え、
「福島の原発事故が起きた時は8歳だった。福島原発事故から7年目の時、原発に関心をもってほしいと張り子で作った黄色の核廃棄物のドラム缶に座りながら街中でチェロを演奏した。原子力研究院の人達が様々な事故を起こしたのをみて、彼らは賢くないことを学んだ」、
「皆で努力をして政権を変えることができたが、世界はそう簡単には変わるものではないことも学んだ」、
「自分が生きていく世界を自分で直接作るべきで、学校に行かなかったことで国会にも行けたし、皆さんに訴えることができた」
と彼女自身の生き方や感性に、聞いていた韓国と日本の皆さんから盛大な拍手が起こった。

・終了後、スピーチをした少女を若狭の原発を考える会の反原発の旗で囲んで、木原さんと橋田さんより「30 km連帯の方へ、世代や海を越えて、原発をなくしていくために、連帯の意味を込めて」というメッセージとともに「反原発」の旗が贈呈された。

●15日(土)午前中、韓国の東の端に立地するヨングァン原発に対して闘う現地の方々と、原発ゲート前で短時間の集会をおこなった後、生命平和村に移動し懇談した。

・参加者の、
「原発が近いので、農作物が安く買いたたかれる」、
「ムン・ジェインになって、反核運動が衰退した」、
「使用済核燃料を乾式で保管しようとする政府が、お金をちらつかせながら村人を分断しようとしている」
などの発言を聞き、日本の政府や電力会社と同じような姑息な手段で住民を分断している状況がよく分かった。

・午後7時、星州(ソンジュ)郡ソソン里のサードミサイルに反対するロウソク集会に参加。闘いの中で歯を折られ、痛々しいマスク姿の婦女会会長が
「サードが来ると聞いた時引っ越しをすればいいと思っていたが、今は未来の子どもたちのために、世界平和のために闘っている」
と村での命を懸けた反基地の闘いを報告された。全員で黙祷の後、韓国語で「ニム(あなた)のための行進曲」を歌う。最後の部分「私が先頭に立つから、生きている者は後からついてこい」と繰り返し歌った。

●16日(土)、韓国の西の端に立地するウオルソン原発の慶州(キョンジュ)市ナア里の移住対策委員会の方と懇談した。

・住民の住むところから1 km 以内に、カナダ式重水炉が4基と韓国製原発が2基あり、30世帯が闘っている。ナア里に向かうバスの中で、飲み水やお風呂の水も他から調達していると聞いた。ウオルソン原発展示館前に2015年から合法的にテントを建てて、移住を要求している。政府からは安全だと聞いてきたが、福島原発事故を見て、原発は事故を起こすと知り、この闘いは自分達の生存権の問題だと知ったと話された。毎週月曜日に、テント前に並べられた自分たちが入ると決意した「柩」を抱えて、ナア里の町中を歩く闘いを続けている。

▲サードに反対するロウソク集会
▲ナア里移住対策委員会テント前

◆今回の日韓交流は、韓国の反原発や反基地の行動的な闘い方に刺激を受けながら、世代と海を越えて原発の全廃を勝ち取るために、地道に、骨身を惜しまず訴えていきたいと、改めて思った旅であった。

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◆老朽高浜原発1、2号機、美浜原発3号機の再稼働を阻止しよう!

【2018年9月21日,京都キンカンで配付。】

決意を新たにして、
老朽高浜原発1、2号機、美浜原発3号機の
再稼働を阻止しよう!

関電は、トラブル続きでも原発を稼働させています

◆関電は、定期検査中の高浜原発4号機を8月31日に起動(いわゆる再々稼働)させました。4号機では、去る6月22日に、蒸気発生器伝熱管に傷が見つかり、8月19日には、事故時に原子炉に冷却水を補給するポンプが油漏れを起こし、20日には、温度計差込部から噴出した微量放射性物質を含む蒸気が原子炉建屋から漏れ出るトラブルを起こしています。

◆このことは、運転開始後33年を超えた高浜原発4号機のような原発では、色々な部分の老朽化が進んでいることを示し、その原発を運転しようとする関電に、原発は万が一にも事故を起こしてはならないとする緊張感も体制もないことを示しています。また、原子力規制委員会が「新規性基準」に適合とした原発が、再稼動時に次々にトラブルを起こしている事実は、「新規性基準」は安全を保障するものとは程遠く、規制委員会の審査は、いい加減極まりないことを示しています。

◆それでも、関電は、トラブル後10日目の8月31日に高浜4号機の再々稼働を強行し、8月3日から定期検査入りした高浜3号機を11月に起動させるといわれています。許してはなりません。

関電は40年越え老朽高浜1、2号機、美浜原発3号機を再稼働させ、
全国の老朽原発再稼働を先導しようとしています

◆関電は、来年以降、老朽原発高浜1号機(来年で45年越え)、2号機(同44年越え)、美浜原発3号機(同43年越え)を再稼働させ、全国の老朽原発の再稼働を先導しようとしています。安倍政権のエネルギー政策に迎合するものです。

◆老朽原発には、取り換えることのできない圧力容器や配管の脆化(ぜいか)や腐食など、危険極まりない状況が多数あることを多くが指摘していす。それでも、政府や関電は、再稼働を企んでいるのです。

◆ところで、老朽原発の安全対策費は、福島事故の大きな犠牲の上に、また、反原発の闘いの故に、高騰し続け、福島事故以降9基の老朽原発の廃炉が決定しています (福島第1、第2を含めれば、廃炉は19基)。

◆このことを考えれば、安全対策費が膨大で、経済的にも成り立たない、老朽原発の運転を関電に断念させることは、私たちの闘い如何では、可能であろうと考えます。老朽原発運転を阻止し、原発新設を阻止すれば、最悪でも、2033年には、若狭の原発はゼロになります。もちろん、その前に重大事故が起ころ可能性もありますから、断固として、原発の早期全廃を勝ち取らなければなりません。

関西、福井の総力を結集して、
高浜、美浜の老朽原発を廃炉に追い込みましょう!

◆そのための行動を討議するために、下記の拡大実行委員会を開催します。

老朽原発の再稼働を何としても阻止したいとお考えの方なら、どなたでも、ご参加いただけます。
叡智を集めて大闘争を準備し、老朽原発を廃炉に追い込みましょう!


老朽原発再稼働を阻止するために!
行動を討議する「拡大実行委員会」

◆と き:10月8日(月・休)14:00~17:00
◆ところ:京都テ ルサ(京都駅から 南へ 徒歩 15分、市バス九条車庫南)
★アクセス→こちら
◆主 催:「原発うごかすな!実行委員会@関西・福井」
◆連絡先:木原(090-1965-7102;kiharas-chemアットzeus.eonet.ne.jp)


2018年9月19日

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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