◆高浜原発再稼働を許すな!

【2017年4月22日,京都キンカンで配布。】

高浜原発再稼働を許すな!

◆去る3月28日、大阪高裁は、高浜原発3.4号機の運転停止仮処分の抗告審で、関電の主張のみを追認し、高浜原発運転差止め決定をくつがえしました。圧倒的多数の脱原発、反原発の民意を踏み躙る決定です。関電の主張では、原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と言う“新規制基準”を「安全基準」とし、原発に「絶対的安全性を求めるべきではない」とし、また、「原発は安全であるから、“新規制基準”に避難計画は不要」としています。「新安全神話」を作ろうとするものです。関電や原発産業の利益のために、人の命と尊厳をないがしろにするものです。

◆今、ほとんどの世論調査で、脱原発、反原発の声は原発推進の声の2倍を超えています。国際的にも、イタリア、ドイツに続いて、リトアニア、ベトナム、台湾が脱原発を決意し、アメリカも原発縮小に向かっています。それは、スリーマイル島、チェルノブイリ、福島の大惨事を経験して、原発は、科学技術的に人類の手に負えるものでなく、経済的にも成り立たないことを悟ったからです。

原発は、現代科学技術で制御できない

◆高浜原発再稼働の風雲が急を告げる今、原発は現代科学技術で制御できず、人類の手に負える装置でないことを再確認するために、人類の手に負える装置でないと考える理由を再度整理してみました。

1. 核反応エネルギーは化学反応エネルギーの100万倍

◆人類の生存している環境は化学反応で維持され、化学反応はeV(エレクトロンボルト)という単位のエネルギーのやりとりによって生じる。例えば、石油を燃すと最高で数1000℃を得ることが出来るが、これがeVの世界である。生体内化学反応の多くは0.1 eV 以下の世界、すなわち100℃までの世界で、たとえば、たまごのタンパク質は70℃前後で固まる。

◆一方、核反応ではMeV(M(ミリオン)=100万)という単位のエネルギーがやりとりされる。例えば、プルトニウムは約4 MeVのエネルギーを持つアルファ線を出すが、原理的には、これによって100万℃に近い温度が得られる。これがMeVの世界である。

◆このことは、核反応1反応によって100万に近い化学反応が生じることを意味し、核反応は化学反応によって簡単に制御できないことを意味する。したがって、原子炉は大量な水で冷やし続けなければならず、水がなくなると、あっという間に核燃料や原子炉構成材料が溶融する。体内で放射線が出る内部被曝では、1000万に近い生体内結合が切断されることになる(実際には、核反応エネルギーの一部しか結合切断に使われないので、もっと少ない)。

◆核反応エネルギーを閉じ込めて置くことは極めて困難で、一つ間違えば、大惨事になる。重大事故時には、膨大なエネルギー(核反応熱 崩壊熱)によって核燃料や被覆材などの原子炉材料の熱溶融、水素ガスの発生・爆発あるいは水蒸気爆発を引き起こし、大惨事(メルトダウン、メルトスルー)に達しかねない。化学反応エネルギーでは、このような事態にはならない。

2. 原発事故の特徴;瞬時に進行し、時間的にも、空間的にも通常事故とは桁違いに深刻な被害

◆1で述べたように、核反応は膨大なエネルギーを出すので、原発で冷却水が途絶えると、瞬時に(火災などとは比較にならない速度で)重大事故に至る。そのように瞬時に進行する事故への対応は至難で、進み始めた事故を止めることは極めて困難。いわゆる「人為ミス」は避けえない。

◆放射性物質による被害は長期におよぶ。火事は長くても数日で消火できるが、放射性物質は、半減期に従って消滅する[放射線を出して他の物質(核種)に変わる]まで放射線とそれによる熱を発生し続ける。代表的な放射性物質の半減期は、プルトニウム239で2万4千年、ネプツニウム237で214万年、セシウム137で30.7年、ストロンチウム90で28.8年、ヨウ素131で 8.02 日。放射性物質は、1半減期で1/2に、半減期の10倍で約1/1000、13.3倍で約1/10000、20倍で約1/100万に減少する。例えば、プルトニウム239を1/10000に減少させるには約32万年かかる。半減期の短い物質は早く崩壊するから、物質の量が同じであれば、時間当たりにすれば多くの放射線を出す。

◆放射性物質による被害は長期におよぶから、原発事故では長期の避難を強いられ、住民は故郷を奪われ、家族のきずなを断たれ、発癌の不安にさいなまれる。通常の災害では、5年も経てば、復興の目途はある程度立つが、原発事故は、生活再建の希望も奪い去る。福島事故では、4年経った1昨年から、絶望のために自ら命を絶たれる避難者が急増していると報道されている。

◆放射性物質は長期にわたって放射線を出し続けるから、高放射線のために事故炉の廃炉は困難を極める。また、放射線による熱発生のため、冷却水が途絶えると、核燃料が再溶融し、再臨界に達する可能性もあり、長期間冷却水を供給し続けなければならない。

◆重大事故によって放出された放射性物質は、事故炉近辺を汚染させるだけでなく、風によって運ばれた後、雨によって降下するから、汚染地域は極めて広範囲に広がる。福島事故でも、約50 km 離れた飯舘村も全村避難になり、約200 km 離れた東京や千葉にも高濃度の放射性物質が降下した。チェルノブイリ事故では、日本でも放射性物質が検出されている。海に流出した放射性物質は海流に乗って広範囲の海域を汚染する。福島の放射性物質はアメリカ西海岸にも到達しようとしている。

3. 原発は、長期保管を要する使用済核燃料、放射性廃棄物を残す

◆原発を運転すると、核燃料の中に運転に不都合な各種の核分裂生成物が生成する。したがって、核燃料は永久に使用することは出来ず、一定期間燃焼させると新燃料と交換せざるを得なくなり、そのため、使用済み核燃料がたまる。現在、日本には使用済み核燃料が17,000 トン以上たまり、原発の燃料プールや六ケ所村の再処理工場の保管場所を合計した貯蔵容量の73%が埋まっている。原発が順次再稼働した場合、数年後には満杯になる。使用済み核燃料を消滅させる方法はない。

◆ところで、国の計画では、全国の使用済み核燃料は再処理して、ウラン、プルトニウムを取り出し、再利用することになっていた。しかし、再処理工場の建設はトラブル続きで、すでに2兆2千億円をつぎ込んだにもかかわらず、完成の目途(めど)は立っていない。危険極まりないこの工場の運転は不可能と言われている。

◆福井県にある原発13基が持つ使用済み核燃料貯蔵施設の容量は5,290トンであるが、その7割近くがすでに埋まっている。高浜、大飯、美浜の原発が再稼働されれば、7年程度で貯蔵限度を超え、原発の稼働は出来なくなる。なお、使用済み核燃料貯蔵プールは脆弱(ぜいじゃく)で、冷却水を喪失し、メルトダウンする危険性が高いことは、福島第1原発4号機の燃料プールから冷却水が漏れ、核燃料溶融の危機にあった事実からでも明らかである。

◆一方、日本には、低レベルおよび高レベル放射性廃棄物が200リットルドラム缶にしてそれぞれ約120万本および約1万本蓄積されているが、その処分は極めて困難で、永久貯蔵はおろか中間貯蔵を引き受ける所もない。

◆数万年を超える長期の保管を要する使用済み核燃料、放射性廃棄物の蓄積の面からも、原発は全廃しなければならない。

4. 原子燃料は無尽蔵で、燃料枯渇が原発廃止の理由にならないから厄介

◆地球表面の土壌・岩石中のウラン、トリウムの平均濃度は1 ppm ( 1 t に 1 g)であり、富鉱では、0.3~0.7% (1 t に 3~7 kg)である。このように、核燃料物質は大量に存在する。ただし、ウラン[238U(約99.3%)、 235U(約0.7%)]を使用するには、膨大な費用を要する同位体濃縮(235U濃度を高めること)が必要である。

◆一方、原発を運転すれば、プルトニウムが生成する。プルトニウムは、放射性物質として、化学物質として、極めて危険な元素であるが、被曝、被毒(避けられない)を覚悟すれば、使用済み核燃料から容易に分離抽出でき、核燃料を安上がりに製造できる。したがって、政府、財界、電力は、さらに運転が難しく厄介なプルサーマル炉を求め、プルトニウムを作り、取り出す高速増殖炉と再処理工場が必要と考えている(化学、化学工学は、高速増殖炉、再処理工場を操業できるほど発達していない!)。

◆このように、核燃料は無限と言って良いほど存在する。したがって、燃料枯渇が原発廃止の理由にならない。

◆エネルギーは麻薬のようなものであるから、それを欲する限り、麻薬の製造装置である原発から脱却できないだけでなく、上限なしに原発を増設することになるから、厄介である。

この意味で、
原発製造企業=麻薬生産者、
電力会社=麻薬の売人、
原発賛成の人=麻薬患者である。

書評

『なぜ、「原発で若狭の振興」は失敗したのか』
(著者:山崎 隆敏)を読んで

橋田 秀美(若狭の原発を考える会)

◆若狭を隈無く歩いてアメーバデモやチラシ配布をしながら、「原発のない若狭をめざしましょう」と訴えてきた私は、この本の題名に非常に惹かれて一気に読んだ。

◆「国策である原発を受け入れたのは苦渋の選択だった」と若狭の首長たちは口をそろえて言う。故に「原発マネーで生活が良くなるだろうし、そうであって当たり前。」そう期待していた。それがどうだろう、若者はいなくなり、箱物ばかりが建設されるが観光客はどんどん減っていき維持費に窮している。自立できる産業は衰退の一途。なぜこのような事になったのか、著者はいろんな観点から読み解いている。若狭の各自治体の財政を数字で表し、決して原発マネーで財政が潤うわけではないことを見える化して示しているのは説得力がある。

◆「15基もの原発を造らせた福井県は愚かなのか?そうではない」と、原発立地住民の抵抗の歴史も紹介しているが、高浜の漁村の区長さんの言葉が胸にしみる。「今のままで十分暮らしていける。平和な村を壊してくれたら困る。土地を売って金をもらっても一時的なもの・・・結局は生活基盤を失くすだけ。こういった投機的な火遊びを取り除くために、今こそ立ち上がって反対しよう。」この論理が明快ですごく倫理的であるとの指摘はまったく同感だ。経済や科学ばかりが主張されるが、そこに人の命や生活がある以上、倫理的な面からの考察が絶対必要だと思う。

◆そして、「私たちは、どんな社会、どんな国をめざすのか未来を語らなければならない。」と提言している。これは、反原発運動のみならず、私たちが生きていく社会生活において常に基本として問われる姿勢ではないだろうか。

◆原発全廃をめざす者にとって、これからの運動へのヒントが盛りだくさんに示されている。若狭を愛してやまない筆者の熱い思いも感じられる渾身の1冊である。

集会・デモの呼びかけ

◆大阪高裁の不当決定を受けて、高浜原発再稼働の風雲が急を告げています。その状況の中で、4月2日、緊急に「高浜原発再稼動阻止行動についての相談会」が原子力発電に反対する福井県民会議の呼びかけで開かれ(於;京都)、下記の緊急行動を、「高浜原発うごかすな!」実行委員会の主催で行うことが決定されました。

なお、5月のリレーデモ、福井集会の詳細は変更されることがあります。今後の情報にご注意ください。

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4月27日(木)大阪行動

[1]「4.27高浜原発うごかすな!関電包囲全国集会」

◆日時;4月27日(木)16時30分より18時まで
◆場所;大阪関電本店前(大阪市北区中之島)
◆関電への申入れも行います。

[2] 御堂筋デモ

◆集会終了後、「うつぼ公園(大阪市西区)」に徒歩で移動し、18時30分にデモに出発、20時前に終了予定。
当日は週日ですから、集会に間に合わない方も多数あると考えられます。デモへの途中参加、大歓迎です。

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5月7日(日)高浜行動

[1] 高浜原発ゲート前抗議行動

◆日時;5月7日(日)12時、高浜原発先の展望台に集合。
◆高浜原発ゲート前にデモで移動の後、12時30分より抗議行動(関電への申入れ)。
◆後、高浜町文化会館へ移動。
当日9時頃、京都駅、大津駅、神戸駅、福井駅などからバス配車の予定。乗車ご希望の方は早めにお申し込みください(4月25日一次締め切り、4月末日締切)。東京からも別途バスが出ます(6日発)。

[2]「5.7高浜原発うごかすな!現地集会」

◆日時;5月7日(日)14時より15時30分まで
◆場所;高浜町文化会館

[3] 高浜町内デモ

◆集会終了後、15時50分に高浜町文化会館より高浜町内デモに出発、16時50分頃、JR若狭高浜駅前で終了予定。
◆その後、高浜駅2階で意見交換会(お時間のある方は、ご出席ください)。
7日は、65人分の宿泊を予約しています。
翌日(8日)のリレーデモへの参加などのために、宿泊ご希望の方は早めにお申し込みください(4月25日一次締め切り、4月末日締切)。

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5月8日(月)~12日(金)
高浜~おおい~小浜~若狭~美浜~敦賀~越前~福井
リレーデモ

◆5月 8日(月)9時高浜町申し入れ 9時20分デモ出発 13時おおい町申し入れ 16時小浜市申し入れ 17時終了
◆5月 9日(火)9時小浜市役所からデモ出発 11時若狭町申し入れ 14時美浜町申し入れ 16時原子力規制委員会(敦賀)申入れ 17時終了
◆5月10日(水)9時敦賀市申し入れ 9時20分デモ出発 11時南越前町申し入れ 16時越前市申し入れ 17時終了
◆5月11日(木)9時越前市役所からデモ出発 11時池田町申し入れ 16時鯖江市申し入れ 17時終了
◆5月12日(金)9時鯖江市役所からデモ出発 11時越前町申し入れ 15時福井市入れ 16時福井県申し入れ
下記「5.12高浜原発うごかすな!福井集会」に合流

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5月12日(金)福井行動

[1]「5.12高浜原発うごかすな!福井集会」

◆日時;5月12日(金)18時より19時まで
◆場所;福井市中央公園

[2] 福井市内デモ

◆集会終了後、7時に福井市中央公園より県庁包囲デモに出発、20時前に西武デパート前で終了予定。

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◆バス乗車や宿泊の申込みは「高浜原発うごかすな!」実行委員会・橋田(090-5676-7068)まで

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大阪高裁で逆転されたからと言って、
大津地裁の大英断を無駄にしてはなりません。
重大事故が起こってからでは遅すぎます。
原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!

2017年4月22日発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆避難解除で帰還強要するな!◆高浜原発を再稼働するな!

【2017年4月14日,京都キンカンで配布。】

政府、3月31日、4月1日に福島4町村の避難解除
“日程ありき”で、避難者の高放射線地域への帰還を強いる政府
避難者の尊厳をないがしろにするものです

◆政府は、避難に関して、1年間の空間放射線量が20ミリシーベルト(mSv/y)以下になった地域の避難指示を解除し、避難者に帰還を強要しています。この線量は、一般市民の線量限度1 mSv/yの20倍であり、チェルノブイリの移住義務基準5 mSv/yに比べても極めて高いと言えます。

◆政府は、3月31日に福島県飯舘村、川俣町、浪江町に出していた避難指示の一部を解除、4月1日には富岡町でも解除しました(「居住制限区域」あるいは「避難指示解除準備区域」であった。右図参照)。これは、政府が掲げた「2017年3月末までに」という目標に沿うもので、“日程ありき”、“まず解除ありき”の決定です。避難指示が解除された地域では生活基盤の整備や、医療、介護などの生活関連サービスも復旧したとするには程遠い状態にあります。生活用水への不安もあります。したがって、帰還の意志のある住民は少数にとどまり、ほとんどが高齢者です。例えば、昨年の住民意向調査では、浪江、富岡両町で5割以上が「戻らないと決めている」と答え、30代以下で7割近くが帰還を断念しています。実際、全町避難の自治体として、2015年9月に初めて避難指示が解除された楢葉町では、今年3月時点の帰還率が11%(約740人)で、その中50歳以上は8割超を占めています。

2017-0401kaizyo

帰還困難区域…放射線量が非常に高いレベルにあることから、バリケードなど物理的な防護措置を実施し、避難を求めている区域。
居住制限区域…将来的に住民が帰還し、コミュニティを再建することを目指して、除染を計画的に実施するとともに、早期の復旧が不可欠な基盤施設の復旧を目指す区域。
避難指示解除準備区域…復旧・復興のための支援策を迅速に実施し、住民が帰還できるための環境整備を目指す区域。

◆このような状況でも、強引に帰還を進める政府は、帰還に応じない人への支援の打ち切りの恫喝も行っています。「居住制限区域」、「避難指示解除準備区域」での東電の慰謝料支払いは、避難指示解除後1年までとなっていましたが、解除の時期にかかわらず、一律2018年3月に打ち切ることに変更されました。政府は「帰還は強制でなく、帰りたい人に帰るという選択肢を用意するだけ」といいますが、金銭面から帰還を強要しているのです。

◆一方、福島県を始め多くの自治体が、政府の意を受けて、自主避難者支援の打ち切りを決定しています。政府と福島県は、原発事故によって福島から逃れた自主避難者への住宅の無償提供を、3月末で打ち切りました。自主避難者は、現在の住宅から立ち退きを求められたり、新たに多額の家賃の発生に見舞われるなど、言い知れぬ不安にさいなまれ、悲鳴を上げています。避難者は、原発事故が無ければ普通に生活していた人達であることを忘れてはなりません。

◆自主避難者は、避難指示区域でない区域から子供の被爆を避けるためなどの理由で避難した人々で、福島県内外の自主避難者は約1万500世帯、約2万7000人に上ります自主避難者の多くの今後の住居が未定のままです。東電からの定期的な賠償を受けられない自主避難者にとって、住宅の無償提供は唯一の支援策・命綱であり、とくに母子避難者にとって、打切りは経済的な困窮に繋がり、子供の未来を断ち切る事態にもつながります。

◆なお、避難継続を希望する世帯を対象に、9道府県が財政負担などを伴う独自策で支援することを表明しています。しかし、他の多くの自治体は、公営住宅を希望する自主避難者の入居要件緩和を求めた国の通知にならった支援内容にとどまっています。自主避難者の住宅支援は避難先の選択で格差が生まれることになります。

◆以上の避難指示解除、自主避難者支援打ち切りの何れも、東電や政府の賠償負担や生活支援支出の軽減のためであり、責任回避のためです。人々の安全や生活の安寧を優先する考えはいささかもありません。

原発事故での被曝を避けるための避難生活は、断じて「自己責任」ではありません。避難者の生活を保障する責任があるのは原発を推進してきた政府であり、東電です。避難者の切り捨てを許してはなりません。

◆4月4日、原発事故被害者の救済を先導すべき立場にある、今村復興相が記者会見で、自主避難者の帰還について、「どうするかは本人の責任」とし、国の責任にを問う質問に「裁判でも何でもやればいい」と激高しました。避難者への配慮や現状(とくに、除染が一部地域の表層土壌のみにとどまり、高線量であるという現状)への理解に欠け、一方的に帰還に追い立てる政府の方針を露呈した発言です。立場の弱い避難者を切り捨て、賠償や支援の打切りを企む政府の姿勢が表れています。福島事故は終息したとして、オリンピックなどを利用して、経済的利益だけを得ようとする安倍政権の本音が漏れたのです。今村復興相は「故郷を捨てるのは簡単だが、戻って頑張っていくんだとういう気持ちを持っていただきたい」とも発言しており、避難者の苦悩に寄り添う気持ちは全くありません。

◆避難した人たちが前橋地裁に訴えた損害賠償請求訴訟では、先月、国と東電の過失を鋭く指摘した判決が出ています。最低でも、政府と東電には、住民が安心できる生活を取り戻すまで寄り添う責任があります。

関電は、5月中の高浜原発再稼働を企んでいます
断固阻止の大行動に起ちましょう!

◆去る3月28日、大阪高裁は、高浜原発3.4号機の運転停止仮処分の抗告審で、政府と関電の主張のみを追認し、圧倒的多数の脱原発、反原発の民意を踏み躙る決定を出しました。原子力規制委員長までもが「安全を保証するものではない」と言う“新規制基準”を「安全基準」とし、この「安全基準」に適合しているとして、高浜原発3.4号機の運転差止め仮処分を取り消したのです。また、原発に「絶対的安全性」を求めるべきではないとしています。人の命と尊厳をないがしろにするものです。さらに、住民が“新規制基準”に不備があるとするのであれば、それを住民側が立証すべきだとして、「立証能力が無ければ泣き寝入りしろ」と言わんばかりの、裁判制度を根底から揺るがす要求をしています。

◆一方、原発重大事故時の住民避難について、「“新規制基準”では、多重防護の考え方に基づいて第1層から4層までの安全確保対策が講じられていて、炉心の著しい損傷を防止できる確実性は高度になっている」とし、「第5層(避難計画など)は、重大事故は起こりえない原発で、放射性物質が周辺環境へ異常放出される事態をあえて想定して、講じられる対策である」としています。その上で、第5層の対策は、電力会社だけでなく、国、地方公共団体が主体となって適切に実施されるべきものであるから、“新規制基準”が避難計画などの原子力災害対策を規制対象にしていないのは妥当であるとしました。大阪高裁は、新規制基準の下では、原発は事故を起こすはずがないという視点(すなわち、「新安全神話」)に立ち、不可能に近い被曝なしでの避難、長期の避難生活の悲惨さについて議論することを避けました。避難の問題を議論したら、原発の運転をできないことは、福島やチェルノブイリの大惨事によって実証されているからです。福島事故から6年、チェルノブイリ事故から31年経った今でも避難者の大半が故郷を失い、家族のきずなを引き裂かれ、心労と悲観、病苦から多数の方が自殺され、癌に侵され、発癌の不安にさいなまれていることを、大阪高裁は全く無視しています。このような決定に、断固とした抗議と反撃をしなければなりません。

◆この全く不当な大阪高裁の決定を受けて、関電は、多くの手続きを端折って高浜原発4号機再稼働の準備を進め、5月中の再稼動を企んでいると報道されています。許してはなりません。4号機が3号機に先行して再稼働されると考える理由は、3号機は、昨年12月から4月中旬までの予定で定期検査に入っており、定期検査終了まで燃料装填作業に入れないためです。4号機は、次の定期点検時期を迎えておらず、燃料装填ができる手前の段階にあります。

◆なお、私たちの再稼働反対の声が反映されなかったとき、高浜原発4号機は次のような流れで再稼働されると考えられます。この流れの中では、福井県や高浜町にはお伺いを立てても、滋賀県、京都府、高浜原発周辺の市町村の要望は全く無視されます。

関電が大型クレーン倒壊事故(1月20日)を受けた安全点検結果を高浜町および福井県に報告。
すでに、4月7日に報告している。藤田福井県知事は「改善が実施されたと受け止めたい」として、この報告を評価した。

関電が再稼働について福井県に説明。
西川福井県知事は、改めて県議会などでの地元同意手続きを取る必要はないとの考えを示している。

原子炉へ核燃料を装填。157体の装填に5日程度を要する。

原子炉格納容器の気密性、冷却水配管や弁からの漏洩などの検査。冷却水の温度と圧力を通常運転に近い状態まで上昇させ、問題が無ければ再稼働。極めて重要であっても点検が困難な圧力容器の脆化(ぜいか)、冷却細管の減肉などの詳細な検査は実施しない。

◆上記の状況の中で、4月2日、緊急に「高浜原発再稼動阻止行動についての相談会」が原子力発電に反対する福井県民会議の呼びかけで開かれ(於;京都)、下記の緊急行動を、「高浜原発うごかすな!」実行委員会の主催で行うことが決定されました。

◆なお、5月のリレーデモ、福井集会の詳細は変更されることがあります。今後の情報にご注意ください。

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4月27日(木)大阪行動

[1]「4.27高浜原発うごかすな!関電包囲全国集会」

◆日時;4月27日(木)16時30分より18時まで
◆場所;大阪関電本店前(大阪市北区中之島)
◆関電への申入れも行います。

[2] 御堂筋デモ

◆集会終了後、「うつぼ公園(大阪市西区)」に徒歩で移動し、18時30分にデモに出発、20時前に終了予定。
当日は週日ですから、集会に間に合わない方も多数あると考えられます。デモへの途中参加、大歓迎です。

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5月7日(日)高浜行動

[1] 高浜原発ゲート前抗議行動

◆日時;5月7日(日)12時、高浜原発先の展望台に集合。
◆高浜原発ゲート前にデモで移動の後、12時30分より抗議行動(関電への申入れ)。
◆後、高浜町文化会館へ移動。
当日9時頃、京都、滋賀などからバス配車の予定。乗車ご希望の方は早めにお申し込みください(4月25日一次締め切り、4月末日締切)。東京からも別途バスが出ます(6日発)。

[2]「5.7高浜原発うごかすな!現地集会」

◆日時;5月7日(日)14時より15時30分まで
◆場所;高浜町文化会館

[3] 高浜町内デモ

◆集会終了後、16時に高浜町文化会館より高浜町内デモに出発、16時40分頃、JR若狭高浜駅前で終了予定。
◆その後、高浜駅2階で交流会(お時間のある方は、ご出席ください)。
7日は、65人分の宿泊を予約しています。
翌日(8日)のリレーデモへの参加などのために、宿泊ご希望の方は早めにお申し込みください(4月25日一次締め切り、4月末日締切)。

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5月8日(月)~12日(金)
高浜~おおい~小浜~若狭~美浜~敦賀~越前~福井
リレーデモ

◆5月 8日(月)09:00高浜町申し入れ 09:30デモ出発 11:30おおい町申し入れ 13:00おおい町出発 16:00小浜市申し入れ 17:00終了 小浜市宿泊
◆5月 9日(火)09:00小浜市役所出発 13:00若狭町申し入れ 16:00美浜町申し入れ 16:30終了 美浜町宿泊
◆5月10日(水)09:00美浜町出発 13:00敦賀市 申し入れ 13:30敦賀市内街宣とチラシ配布 16:30終了 敦賀市宿泊
◆5月11日(木)09:00敦賀市役所出発 11:00南越前町申し入れ 16:00越前市申し入れ 16:30終了 越前市宿泊
◆5月12日(金)09:00越前市出発 11:00越前町申し入れ 13:00鯖江市申し入れ 16:00福井市申し入れ 16:30福井県申し入れ。
下記「5.12高浜原発うごかすな!福井集会」に合流

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5月12日(金)福井行動

[1]「5.12高浜原発うごかすな!福井集会」

◆日時;5月12日(金)17時より18時30分まで
◆場所;福井市中央公園

[2] 福井市内デモ

◆集会終了後、16時30分に福井市中央公園より県庁包囲デモに出発、20時前に福井市中央公園で終了予定。

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◆バス乗車や宿泊の申込みは「高浜原発うごかすな!」実行委員会・橋田(090-5676-7068)まで

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大阪高裁で逆転されたからと言って、
大津地裁の大英断を無駄にしてはなりません。
重大事故が起こってからでは遅すぎます。
原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!

2017年4月14日発行

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆高浜原発を廃炉に追い込みましょう

【2017年3月31日,2017年4月上旬に若狭、舞鶴で配布。】

原発は安全上も、経済的にも成り立たない装置です
動いていなくても電気は足りています
高浜原発の再稼働を許さず、
廃炉に追い込みましょう

 大阪高裁(山下郁夫裁判長)は、3 月 28 日、高浜原発 3、4 号機の運転差止めを命じた大津地裁の昨年3月9日の仮処分決定、および、関電の異議申し立てを退けた同裁判所の7月12日の決定を取り消しました。これを受けて、関電は、高浜原発3、4号機の再稼働を急いでいます。許してはなりません。
 大阪高裁の決定は、関西電力、政府、原子力規制委員会の主張のみを取り入れ、圧倒的多数の脱原発・反原発の民意を踏みにじり、人の生命と尊厳をないがしろにしたものです。

以下に、大津地裁の決定と大阪高裁の決定を比較し、大阪高裁決定の問題点を述べます。【大津地裁】【大阪高裁】は、それぞれ、大津地裁、大阪高裁の見解、【コメント】は、チラシ作成者のコメントを示します。

原子力規制委員長までもが、「安全を保証するものではない」と繰り返す「新規制基準」に適合さえすれば、原発は安全とする大阪高裁

【大津地裁】:「福島原発事故の原因を徹底的に究明できていないので、新規制基準はただちに安全性の根拠とはならない」とし、福島事故後に作られた新規制基準でも「公共の安全・安心の基礎にはならない」と断じました。すなわち、福島の事故を踏まえた規制基準や安全性を求めています。また、災害が起こるたびに「想定を超える」災害と繰り返されてきた過(あやま)ちに真摯(しんし)に向き合うならば、「常に危険性を見落としている」という立場に立つべきだとしました。
【大阪高裁】:新規制基準は最新の科学的・技術的知見に基づいて策定されており、福島事故の原因究明や教訓を踏まえていないものとは言えない。また、原発に「絶対的安全性」を期待することは適当でないとして、これまでの原発訴訟(例えば、昨年4月の福岡高裁宮崎支部の決定)と同様に、原発が新規制基準に適合しているかどうかを争点としました。
【コメント】:福島で溶け落ちた原子炉は、高放射線で、内部の様子は事故から6年経った今でも分かっていません。したがって、福島事故が大惨事に至った真の原因が究明されたとは言えないのです。現在「想定」されている事故原因(津波による電源喪失)が真の事故原因とは異なるという指摘は多数あります。また、次の事故が福島の事故と同じ原因で起こるとは限りません。事故原因が異なれば、重大事故を避けるための基準も異なります。一方、汚染水はたれ流され続け、汚染土壌をはぎ取ることはできても除染する有効な方法はなく、使用済み核燃料の処理処分法もなく、地震の発生時期や規模を予測することも不可能な状況が科学技術の現状であり、最新の科学的・技術的知見でも原発の安全運転を保証するものではありません。すなわち、新規制基準は万全とは程遠いと言えます。したがって、田中規制委員長までもが、ことあるごとに「“新規制基準”は安全を保証するものではない」と言わざるを得ないのです。それでも、大阪高裁は“新規制基準”を「安全基準」とみなし、この「安全基準」に適合しているとして、高浜原発3.4号機の運転差止め仮処分を取り消したのです。大阪高裁は、新規制基準に適合とされた原発は事故を起こさないとする「新安全神話」を作ろうとしています。

原発に「絶対的安全性」を期待しなくても良いとする大阪高裁

◆この大阪高裁の姿勢は、「危険性はあっても、経済のためには原発を運転しても良い」とする、人の命と尊厳をないがしろにした考え方です。原発で重大事故が起これば、被害が続く年月、被害の範囲の何れをとっても、他の事故とは比較にならない惨事となるので、原発は万一にも重大事故を起こしてはなりません。したがって、絶対安全性(あるいはそれに近い安全性)が求められますが、現代科学技術の水準、人がミスをおかす可能性、人の事故対応能力の限界などを考え合わせると、そのような安全性を確保することは不可能ですから、原発を運転してはならないのです。
福島事故以降の経験は、原発は無くても、人々の生活に何の支障もないことを実証し、原発は経済的にも成り立たないことを明らかにしています。したがって、ドイツ、イタリアをはじめ、リトアニア、ベトナム、台湾が原発を断念し、アメリカまで脱原発に向かっています。国内でも、ほとんどの世論調査で脱原発を求める声が原発推進の声の2倍を超え、東芝をはじめ、多くの企業が原発製造から撤退しつつあります(福島事故以降、世界中の原発に対する規制が強化され、原発建設費が高騰したたこと、シェールガスなどの燃料が安価になったことが原因。ずさんな経営も一因)。必要でもない原発を、安全性をないがしろにして運転する理由は見当たりません(国民からすれば)。

地震の過小評価を認める大阪高裁

【大津地裁】:関電は裁判で、基準地震動(下記のコメントをご参照下さい)について、高浜原発周辺には、平均像を上回る地震が発生する地域はないので、平均像で良いと主張しましたが、住民側は、実際の観測記録は大きくばらついているので、少なくとも最大値をとるべきと主張しました。大津地裁は、平均性を裏付けるに足りる資料は見当たらず、関電の主張は採用できないとしました。
【大阪高裁】:関電の主張する基準地震動が、規制委員会によって、新規制基準適合とされているから、また、基準地震動の策定には合理性が検証されている関係式などが用いられているので、過小であるとは言えないとしました。
【コメント】:基準地震動とは、原発の設計において基準とする地震動(地震で発生する揺れ)で、原発周辺の活断層などによって大地震が起きたとして、原発直下の最大の揺れを、地盤の状況を考慮して見積もったものです。地震は地下深くで起こる現象ですから、地震の原因となる断層面を観察することは困難であり、地震現象の形態は様々ですから、地震の規模を理論的に推定することは困難です。そこで、基準地震動は、過去の(極めて限られた)観測地震データを基に作られた経験式によって計算されます。この計算式は、地震動の平均像(複数の要因を組み合わせて求めているので、平均値と呼ばず、平均像と呼ぶ)を表現したものですから、起こりうる地震動の最大値を示しているものではありません。例えば、500ガルの地震が4回、1500ガルの地震が1回起これば、平均値は700ガルです。平均からずれた地震はいくらでもあります。なお、阪神・淡路、東日本の大震災は地下16 km、24 kmの断層に起因して発生していますが、このような深層活断層は地震が起こって初めてわかるもので「未知の深層活断層」と呼ばれ、その様子は全く分かっていないので、深層活断層を考慮した計算は不可能です。

住民避難を伴う原子力災害は念頭に置いていない大阪高裁

【大津地裁】:福島事故の影響が広域におよんでいることを考えれば、自治体任せでなく、国主導で早急に避難計画を策定し、訓練を実施することが必要であるとし、また、そのような基準を策定すべき義務が国家には発生しているとしました。さらに、関電は、避難計画を含んだ安全対策を講じるべきであるとしました。
【大阪高裁】:新規制基準では、多重防護の考え方に基づいて第1層から4層までの安全確保対策が講じられているから、炉心の著しい損傷を防止する確実性は高度なものになっているとし、第5層(避難計画など)は、重大事故は起こりえない原発で、放射性物質が周辺環境へ異常放出される事態をあえて想定して、講じられる対策であるとしている。その上で、第5層の対策は、電力会社だけでなく、国、地方公共団体が主体となって適切に実施されるべきものであるから、新規制基準が避難計画などの原子力災害対策を規制対象にしていないのは妥当であるとしました。
【コメント】:大阪高裁は、新規制基準の下では、原発は事故を起こすはずがないという視点(すなわち、「新安全神話」)に立ち、不可能に近い被曝なしでの避難、長期の避難生活の悲惨さについて議論することを避けました。避難の問題を議論したら、原発の運転をできないことは、福島やチェルノブイリの大惨事によって実証されているからです。福島事故から6年、チェルノブイリ事故から31年経った今でも避難者の大半が故郷を失い、家族のきずなを引き裂かれ、心労と悲観、病苦から多数の方が自殺され、癌に侵され、発癌の不安にさいなまれていることを、大阪高裁はどう考えているのでしょうか。
大阪高裁は決定の中で、避難計画などの原子力災害対策については未だ改善の余地はあるが、取り組み姿勢や避難計画等の具体的内容は適切であり、不合理な点があるとは認められないとしました。しかし、昨年8月27日に高浜原発から30 km圏の住民179,400人を対象にして行われた避難訓練は、最大規模と言われながら、参加者数は屋内退避を含めて7,100人余りで、車両などでの避難に参加したのはわずか約1,250人でした。それも県外への避難は約240人に留まりました。この規模は、重大事故時の避難の規模とはかけ離れた小ささです。車道などが使用不能になったことを想定して、陸上自衛隊の大型ヘリによる輸送訓練も予定されていましたが、強風のために中止されました。また、悪天候のため、船による訓練は全て中止されました。老人ホームなどへの事故に関する電話連絡は行われましたが、実際行動の必要はないとされました。
なお、高浜原発から50 km圏内には、京都市、福知山市、高島市の多くの部分が含まれ、100 km圏内には、京都府(人口約250万人)、滋賀県(人口約140万人)のほぼ全域、大阪駅、神戸駅を含む大阪府、兵庫県のかなりの部分が含まれます。このことと福島原発から約50 km離れた飯舘村が全村避難であったことを考え合わせれば、高浜原発で重大事故が起こったとき、数100万人が避難対象となる可能性が大であり、避難は不可能であることは明らかですが、避難訓練では、そのことが全く考えていません。この圏内には琵琶湖があり、1,450万人の飲用水の汚染も深刻な問題です。さらに、避難訓練には、原発事故での避難は極めて長期に及ぶ(あるいは永遠に帰還できない)という視点がありません。福島およびチェルノブイリの事故では、今でも避難された10数万人の大半が故郷を失ったままです。高浜原発で重大事故が起これば、若狭には永遠に帰れなくなる可能性があります。

避難者は、高放射線地域への帰還を強要される可能性もあります

◆政府は、福島からの避難に関して、1年間の空間放射線量が20ミリシーベルト(mSv/y)以下になった地域の避難指示を解除し、避難者に帰還を強要しています。この線量は、国際放射線防護委員会が勧告する平常時の管理基準1 mSv/yの20倍であり、チェルノブイリの移住義務基準5 mSv/yに比べても極めて高いと言えます。また、避難指示が解除された地域の電気、ガス、水道、交通網などの生活基盤の整備や、医療、介護などの生活関連サービスも復旧したとするには程遠い状態にあります。したがって、帰還の意志のある住民は少数にとどまり、ほとんどが高齢者です。それでも、強引に帰還を進めようとする政府は、帰還に応じない人への支援の打ち切りの恫喝も行っています。東電や政府の賠償負担や生活支援支出の軽減のためであり、責任回避のためです。人々の安全や生活を優先する考えはいささかもありません
このように、原発重大事故は、筆舌に尽くしがたい悲惨を産むことが福島やチェルノブイリの事故によって実証されていて、その対策は必要不可欠であるにもかかわらず、大阪高裁は、新規制基準が避難計画などの原子力災害対策を規制対象にしていないのは妥当であるとしているのです。

大阪高裁で逆転されたからと言って、
大津地裁の大英断を無駄にしてはなりません。
目先の経済的利益や便利さを、人が人間らしく生きる権利や
事故の不安なく生きる権利と引き換えにしてはなりません。
重大事故が起こってからでは遅すぎます。
原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!

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高浜原発の再稼働を阻止するために以下の行動が提起されています。是非ご参加下さい。

「5.7 高浜原発うごかすな!現地集会」

日時;5月7日(日)14時、場所;高浜町文化会館
11時に高浜町音海地区に集合して高浜原発へ。ゲート前で抗議行動も行います。また集会後、高浜町内デモも行います。

「5.8 – 5.13 高浜‐福井リレーデモ」

日程; 5月8日(月)9時高浜町役場に申入れ後出発、おおい町、小浜市、若狭町、美浜町、敦賀市、越前市を経て5月13日(土)に福井市到着。途中の各自治体に申入れを行います。

「5.13 高浜原発うごかすな!福井集会」

日時;5月13日(土)14時、場所;福井市中央公園
13時福井市フェニックスプラザ前広場集合。デモ行進で福井市中央公園へ。
以上の集会、デモは、「高浜原発うごかすな!」実行委員会が主催します。
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若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆3/28の大阪高裁決定-国と電力会社に屈した判断

【2017年3月31日,京都キンカンで配付。】

大阪高裁抗告審で
民意を踏みにじり、裁判制度の根幹を揺るがす決定
脱原発・反原発が民意
国と電力会社の圧力に屈した判断を乗り越えて、
原発全廃に向けて前進しよう!

◆大阪高裁第11民事部(山下郁夫裁判長、杉江佳治裁判官、吉川慎一裁判官)は、3 月 28 日、高浜原発 3、4 号機の運転差止めを命じた大津地裁2016年3月9日仮処分決定、および、これに対する関電の異議を退けた同裁判所同年7月12日決定を取り消しました。

関電、政府、原子力規制委の主張のみを追認し、
圧倒的多数の脱原発・反原発の民意を踏みにじり、
人の生命と尊厳をないがしろにする大阪高裁

大津地裁とは正反対の決定

以下に、大津地裁の決定と大阪高裁の決定を比較します。【大津地裁【大阪高裁】は、それぞれ、大津地裁、大阪高裁の見解、【コメント】は、チラシ作成者(木原)のコメントを示します。

・福島事故への反省と新規制基準

【大津地裁】
◆「福島原発事故の原因を徹底的に究明できたとは言えないので、新規制基準はただちに安全性の根拠とはならない」とし、福島事故後に作られた新規制基準でも「公共の安寧の基礎にはならない」と断じた。すなわち、福島の事故を踏まえた規制基準や安全性を求めている。また、災害が起こるたびに「想定を超える」災害と繰り返されてきた過ちに真摯(しんし)に向き合うならば、「常に危険性を見落としている」という立場に立つべきだとした。
【大阪高裁】
◆新規制基準は最新の科学的・技術的知見に基づいて策定されており、福島事故の原因究明や教訓を踏まえていない不合理なものとは言えない。また、原発に「絶対的安全性」を期待するのは相当でないとして、これまでの原発訴訟(例えば、昨年4月の福岡高裁宮崎支部の決定)と同様に、新規制基準に適合しているかどうかを争点とした。
【コメント】
◆福島で溶け落ちた原子炉は、高放射線で、内部の様子は事故から6年経った今でも分かっていない。したがって、福島事故が大惨事に至った真の原因が究明されたとは言えない。現在「想定」されている事故原因(津波による電源喪失)が真の直接事故原因とは異なるという指摘は多い。また、次の事故が福島の事故と同じ原因で起こるとは限らない。事故原因が異なれば、重大事故を避けるための基準も異なる。一方、汚染水はたれ流され続け、汚染土壌をはぎ取ることはできても除染する有効な方法はなく、使用済み核燃料の処理処分法もなく、地震の発生時期や規模を予測することも不可能な状況が科学技術の現状であり、最新の科学的・技術的知見でも原発の安全運転を保証するものではない。すなわち、新規制基準は万全とは程遠いと言える。したがって、田中規制委員長までもが、ことあるごとに「“新規制基準”は安全を保証するものではない」と言わざるを得ないのである。それでも、大阪高裁は“新規制基準”を「安全基準」とみなし、この「安全基準」に適合しているとして、高浜原発3.4号機の運転差止め仮処分を取り消したのである。新規制基準に適合とされた原発は事故を起こさないとする「新安全神話」を作ろうとしている。

◆大阪高裁は、原発に「絶対的安全性」を期待しなくても良いとした。リスクはあっても、経済のためには原発を運転しても良いとする、人の命と尊厳をないがしろにする考え方である。原発で重大事故が起これば、時間的・空間的に、他の事故とは比較にならない惨事となるので、原発は万一にも重大事故を起こしてはならない。したがって、絶対安全性(あるいはそれに近い安全性)が求められるが、現代科学技術の水準、人為ミスの可能性、人の事故対応能力の限界などを考え合わせると、そのような安全性を確保することは不可能であるから、原発を運転してはならないのである。

◆福島事故以降の経験は、原発は無くても、人々の生活に何の支障もないことを実証し、原発は経済的にも成り立たないことを明らかにしている。したがって、ドイツ、イタリアをはじめリトアニア、ベトナム、台湾が原発を断念し、アメリカまで脱原発に向かっている。国内でも、ほとんどの世論調査で脱原発を求める声が原発推進の声の2倍を超え、東芝をはじめ、多くの企業が原発製造から撤退しつつある(福島事故以降、世界中の原発に対する規制が強化され、原発建設費が高騰したたこと、シェールガスなどの代替燃料が安価になったことが原因。杜撰経営も一因)。必要でない原発を安全性をないがしろにして運転する理由は見当たらない(国民からすれば)。

・基準地震動について

【大津地裁】
◆関電は基準地震動(下記コメント参照)について、高浜原発周辺には、平均像を上回る地震の発生する地域性はないので、平均像で良いと主張したが、住民側は、実際の観測記録は大きくばらついているので、少なくとも最大値をとるべきと主張した。大津地裁は、平均性を裏付けるに足りる資料は見当たらず、関電の主張は採用できないとした。
【大阪高裁】
◆関電の主張する基準地震動が、規制委員会によって、新規制基準適合とされているから、また、基準地震動の策定には合理性が検証されている関係式などが用いられているので、過小であるとは言えないとした。
【コメント】
◆基準地震動とは、原発の設計において基準とする地震動(地震で発生する揺れ)で、原発周辺の活断層などによって大地震が起きたとして、原発直下の最大の揺れを、地盤の状況を加味して見積もったものである。地震は地下深くで起こる現象であるから、地震の原因となる断層面を観察することは困難であり、地震現象の形態は多様であるから、地震の規模を理論的に推定することは難しい。そこで、基準地震動は、過去の(極めて限られた)観測地震データを基に作られた経験式によって計算される。この計算式は、地震動の平均像(複数の要因を組み合わせて求めているので、平均値と呼ばず、平均像とする)を表現したものであるから、起こりうる地震動の最大値を示しているものではない、例えば、500ガルの地震が4回、1500ガルの地震が1回起これば、平均値は700ガルである。平均からずれた地震はいくらでもある。なお、阪神・淡路、東日本の大震災は地下16 km、24 kmの断層に起因して発生しているが、このような深層断層は地震が起こって初めてわかるもので「未知の深層活断層」と呼ばれ、その様子は全く分かっていないので、深層活断層を考慮した計算は不可能である。

・電力会社の立証責任について

【大津地裁】
◆「新規制基準に合格したから安全」という関西電力(関電)に対して、「福島事故後に、どう安全を強化したのか」を立証するように厳しく求めた。しかし、関電は、外部電源の詳細、基準地震動設定の根拠などを納得できるほど十分に証明せず、使用済み燃料ピットが安全であることを証明する十分な資料の提出もしなかった。過酷事故時の安全対策が十分である証明もいい加減であった。したがって、関電による立証は不十分であるとした。
【大阪高裁】
◆関電は、新規制基準に適合とされたのであるから、原発の安全性を立証しているとした。ここで、もし住民側が、新規制基準(大阪高裁は安全性の基準と呼んでいる)自体が、現在の科学的・技術的知見に照らして合理性を欠く、または、規制委の審査および判断が合理性を欠くと考えるのなら、住民側でそのことを立証する必要があるとしている。
【コメント】
◆大阪高裁は、住民が“新規制基準”に不備があるとするのであれば、それを住民側が立証すべきだとして、「立証能力が無ければ泣き寝入りしろ」と言わんばかりの、裁判制度を根底から揺るがしかねない要求をしている。

◆ところで、原発裁判のような高度の専門的知識を要する裁判では、一般人が、議論のすべてに関する資料や根拠を調べて、裁判所に提出することは困難である。したがって、1992年の伊方原発裁判で最高裁は、被告である政府や電力会社の側が、原発稼働を進めるにあたって、依拠した具体的審査基準、調査審議および判断の過程等の全てを示し、政府や電力会社の判断に不合理な点のないことを相当の根拠、資料に基づいて主張、立証する必要があるとしている。また、政府や電力会社が主張、立証を尽くさない場合には、彼らの判断に不合理な点があることが事実上認められたとすべきであると述べている。

◆しかし、先にも述べたように、新規制基準は、福島事故の原因も確定せず、事故炉の内部も分からず、汚染水や汚染土壌対策も十分とするには程遠く、使用済み核燃料の処理処分法もなく、地震の発生時期や規模を予測することも不可能な状況下で作成されたものであり、どの角度から見ても原発の安全運転にとって不十分であり、規制委員長も言うように、科学技術的に安全を保証したものではない。それゆえに、安全安心に不安を持つ住民が、原発の運転差止めを求めているのである。それ故、新規制基準に適合した原発を安全というのなら、関電や政府は、伊方原発訴訟最高裁判決の要求に従って、新規制基準が安全を保証するということを立証する責任を果たさなければならない。

・原子力災害時の避難について

【大津地裁】
◆福島事故の影響が広域におよんでいることを考えれば、自治体任せでなく、国主導で早急に避難計画を策定し、訓練を実施することが必要であるとし、また、そのような基準を策定すべき信義則上の義務が国家には発生しているとした。さらに、関電は、避難計画を含んだ安全対策を講じるべきであるとした。
【大阪高裁】
◆新規制基準では、多重防護の考え方に基づいて第1層から4層までの安全確保対策が講じられているから、炉心の著しい損傷を防止する確実性は高度なものになっているとし、第5層(避難計画など)は、重大事故は起こりえない原発で、放射性物質が周辺環境へ異常放出される事態をあえて想定して、講じられる対策であるとしている。その上で、第5層の対策は、電力会社だけでなく、国、地方公共団体が主体となって適切に実施されるべきものであるから、新規制基準が避難計画などの原子力災害対策を規制対象にしていないのは妥当であるとした。
【コメント】
◆大阪高裁は、新規制基準の下では、原発は事故を起こすはずがないという視点(すなわち、「新安全神話」)に立ち、不可能に近い被曝なしでの避難、長期の避難生活の悲惨さについて議論することを避けた。避難の問題を議論したら、原発の運転をできないことは、福島やチェルノブイリの大惨事によって実証されているからである。福島で6年、チェルノブイリで31年経った今でも避難者の大半が故郷を失い、家族の絆を引き裂かれ、心労と悲観、病苦から多数の方が自ら命を絶たれ、癌に侵され、発癌の不安にさいなまれていることを、大阪高裁はどう考えているのであろうか。

◆大阪高裁は決定の中で、避難計画などの原子力災害対策については未だ改善の余地はあるが、取り組み姿勢や避難計画等の具体的内容は適切であり、不合理な点があるとは認められないとした。しかし、昨年8月27日に高浜原発から30 km圏の住民179,400人を対象にして行われた避難訓練は、最大規模と言われながら、参加者数は屋内退避を含めて7,100人余りで、車両などでの避難に参加したのはわずか約1,250人であった。それも県外への避難は約240人に留まった。この規模は、重大事故時の避難の規模とはかけ離れた小ささである。車道などが使用不能になったことを想定して、陸上自衛隊の大型ヘリによる輸送訓練も予定されていたが、強風のため中止された。また、悪天候のため、船による訓練は全て中止された。老人ホームなどへの事故に関する電話連絡は行われたが、実際行動の必要はないとされた。

◆なお、高浜原発から50 km圏には、京都市、福知山市、高島市の多くの部分が含まれ、100 km圏には、京都府(人口約250万人)、滋賀県(人口約140万人)のほぼ全域、大阪駅、神戸駅を含む大阪府、兵庫県のかなりの部分が含まれる。このことと福島原発から約50 km離れた飯舘村が全村避難であったことを考え合わせれば、高浜原発で重大事故が起こったとき、数100万人が避難対象となる可能性が大であり、避難は不可能であることは自明であるが、避難訓練では、そのことが全く考えられていない。なお、この圏内には琵琶湖があり、1,450万人の飲用水の汚染も深刻な問題である。さらに、避難訓練には、原発事故での避難は極めて長期に及ぶ(あるいは永遠に帰還できない)という視点がない。福島およびチェルノブイリの事故では、今でも避難された10数万人の大半が故郷を失ったままである。

◆それでも、大阪高裁は、避難計画等の取り組み姿勢や具体的内容は適切であるとしている。

大阪高裁で逆転されたからと言って、
大津地裁の大英断を無駄にしてはなりません。
重大事故が起こってからでは遅すぎます。
原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!
さらに大きな反原発のうねりを創出しましょう!
目先の経済的利益や便利さを、人が人間らしく生きる権利や
事故の不安なく生きる権利と引き換えにしてはなりません。

[追記]3月30日、広島地裁は、伊方原発運転差止め仮処分の申し立てを退けた。昨年4月6日の福岡高裁宮崎支部、去る28日の大阪高裁の場合と同様の理由によって、電力会社、政府の主張をそのまま追認したもので、民意を踏み躙るものです。

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆前橋地裁判決◆まもなく大阪高裁決定

【2017年3月24日,京都キンカンで配付。】

福島原発事故を発生させた責任は、
国と東電にある。

前橋地裁判決

福島原発事故で福島県から群馬県に避難し、生活の基盤を失い、精神的苦痛を受けた住民ら137人が国と東電に計約15億円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、前橋地裁は17日、巨大津波を予見し得た東電と安全規制を怠った国の賠償責任を認め、62人に3855万円の支払いを命じた。

東電は、安全性より経済的合理性を優先するなど、
非難に値する。

◆判決で、前橋地裁(原道子裁判長)は、「政府は2002年に福島沖を含む日本海溝沿いでマグニチュード8級の津波を伴う地震が30年以内に発生する確率は20%程度」との長期評価を発表しているので、国と東電は巨大津波の発生を予測できたはず」と述べ、また、「東電は2008年には、長期評価に基づき、津波の高さを試算し、実際に予測していた」と指摘した。その上で、東電は、「この予測にもかかわらず、容易で、実行していれば事故は発生しなかった措置(配電盤を高所に設置するなど)をとらなかった」、「原発の津波対策は常に安全側に立って行わなければならないにもかかわらず、東電は、安全性より経済的合理性を優先させたことなど、とくに非難に値する事実がある」と述べている。

この裁判および他の同様な訴訟において、核心的な争点は「津波の予見可能性」である。

前橋地裁の判決は、「可能か否か」を飛び越えて、「実際に予見していた」と断言した点で画期的である。

国は、東電に対する規制権限を行使せず違法。

◆判決で、前橋地裁は国の責任について、「国には、東電に津波対策を講じるよう命令する権限があり、事故を防ぐことは可能であった。2007年8月に、東電が自発的な津波対策をとることを期待することは難しいことも分かっていたと言え、国の対応は著しく合理性を欠く」として、「国と東電には何れも責任があった」と認めた。国の責任を司法が初めて認めたのである。現在約30の集団訴訟が行われているが、その最初の判決で、国の責任を認めたことは、他の裁判へ与える影響は大きいと考えられる。

この裁判および他の同様な訴訟において、もう一つの核心的な争点は「電力会社と一体で原発事業を推進してきた国の責任」である。国策である原子力事業の関連法制は複雑で、原発事故の責任の所在は分かり難い。原子力賠償法でも、原子力事故の賠償は電力会社が行い、国が必要費用を援助するという規定はあるが、今回の訴訟では、国は規制権限(津波対策を命ずる権限)の存在すら否定していた。

前橋地裁の判決は、「国は、2007年8月には、東電が自発的あるいは口頭による指示に従って適切な津波対策を行うとは期待できないことを認識していた」と指摘し、「この時点で対策を命じていれば事故は防げた」と断言した。その上で、「国と東電には同等な責任がある」とした。一度事故が起これば、甚大な被害が出る点を重視した画期的な判決である。

福島原発事故は「人災」であることを強調

◆判決では、国と東電が対策を怠ったために事故が起こったとする「人災」の側面を強調し、事故は防げなかったとする国や東電の主張をことごとく退けた。[国や東電には、原発事故は、一旦対応を間違え、炉心損傷が進行し始めたら、現代科学技術で制御することが出来ず、取り返しがつかない大惨事に発展するという認識が薄かったし、現在も薄い。これが、原子力ムラの傲慢でたるみ切った体質である(筆者の意見)]。

◆一方、「事故により、平穏な生活が奪われた」という原告の主張を認め、国が定めた指針とは異なる独自の枠組み(右の表を参照)を採用して。賠償を命令した。これに関して、原告は、「生活基盤が一瞬で奪われ、長期間不便を強いられ被害は例がない。慰謝料は不十分。放射性物質への不安のために、自主避難するのは合理的」と主張し、被告(国と東電)は、「過去の裁判例も参考にした国の指針は妥当。避難区域外に滞在することに支障はなく、自主避難者への賠償は事故後の一時期を除いては理由がなく不要」と主張していた。

賠償が認められたのは一部だけ。
それも低額。

◆前橋地裁の判決は。上記のように、今までの司法判断を乗り越えて、国と東電の責任を問い、賠償についても、一定程度、避難者の側に立つもので、原発事故で避難者がこうむった苦しみやストレスに目を向けている。

しかし、賠償が認められたのは、一部だけであり、故郷と生活基盤を奪われ、平穏な日々が戻らない人々にとって、納得できるものではない。

2017年3月18日京都新聞朝刊
▲2017年3月18日京都新聞朝刊

高浜原発3、4号機運転差止め仮処分決定
大阪高裁での保全抗告審:28日に判断
当日、大阪高裁に結集しよう!

(時間は、前日27日に連絡されるとのこと)

大津地裁仮処分決定→大阪高裁抗告審の経緯

◆大津地裁(山本善彦裁判長)は、昨年 3 月 9 日、高浜原発 3、4 号機の運転を差止める決定をしました。若狭の原発が重大事故を起こせば、深刻な被害を受ける可能性が高い滋賀県に住む人々の申し立てを全面的に認めたものです。なお、滋賀県は全県、高浜原発から100 km 圏内にあります。

◆稼働中の原発の停止を司法が求めたのは世界初です。また、立地県外の裁判所での原発運転差し止め判断は日本では例のないことです。福島原発事故の被害が広範囲に及び、今も解決していない現実を踏まえた、勇気ある画期的な決定でした。

◆仮処分決定は、速やかに行動しなければ取り返しがつかない事態が生じかねない案件のみに出されるもので、決定されれば即座に効力を発するものです。したがって、関電は、稼働中の 3 号機を 決定翌日の10 日夕刻に停止しました。関電は、大津地裁に決定の執行停止および異議を申し立てましたが、各々、6月17日、7月12日に退けられ、現在も高浜3,4号機は停止したままです。関電はそれでも懲りずに、大阪高裁に抗告しました。抗告審の審尋は10月13日に1回だけ行われ、それぞれ相手の主張に対する反論、再反論をする機会が与えられ、12月26日に終結し、今日の決定に至りました。

大津地裁仮処分決定の骨子

以下に、大津地裁仮処分決定の骨子と背景を簡単に解説します。

1.新規制基準に適合したからと言って、原発が安全だとは言えない。

◆政府は、福島原発事故後にできた新規制基準は「世界一厳しい」と言っています。一方、原発がこの新基準に適合するか否かを審査した原子力規制委員会(規制委)の田中委員長は、「新基準に適合しただけで、原発の安全を保証したものではない」とコメントしています。これらの発言からは、政府と国の規制委が異なる見解を持っているようにも受け取れますが、冷静に考えれば、これは、「世界一厳しい」基準で審査しても、原発は安全でないと国が言っていることになります。それでも、関電、政府、規制委は一丸となって高浜原発再稼働に突っ走ろうとしました。

◆これに対して、大津地裁は「福島原発事故の原因を徹底的に究明できたとは言えないので、新規制基準はただちに安全性の根拠とはならない」とし、福島事故後に作られた新規制基準でも「公共の安寧の基礎にはならない」と断じました。これまでの原発訴訟では、新規制基準に適合しているかどうかが争点でしたが、大津地裁の決定は、新規制基準自体の合理性にも疑問を投げかけ、新たな判断枠組みを示したものともいえます。この判断は、全国で行われている多くの裁判にも影響を与えるものと考えられます。例えば、去る3月17日の前橋地裁決定にも何らかの後押しをしているのでしょう。

2.原発の安全性の立証責任は関電側にある:
十分説明できない場合は再稼働に不合理な点があると考えざるを得ない。

「新規制基準に合格したから安全」という関電に対して、大津地裁は「福島事故後に、どう安全を強化したのか」を立証するように厳しく求めました。しかし、関電は外部電源の詳細、基準地震動の設定の根拠などを、納得できるほど十分に証明しませんでした。使用済み燃料ピットが安全であることを証明する十分な資料の提出もしませんでした。過酷事故時の安全対策が十分である証明もいい加減でした。すなわち、関電は、彼らの主張を立証する責任を果たしていません。

◆なお、伊方原発訴訟(地元住民が原子炉設置許可をした内閣総理大臣に対して、設置許可の取り消しを求めて提訴したもの)での最高裁判決(1992年10月)は、原発の賛否に係わらず、原発の安全性確保に関して留意すべき、行政と司法のあり方を次のように示しています。(大津地裁の裁判は、内閣総理大臣が被告でなく、関電が被告ですから、行政庁を関電と読み替えてみて下さい。)

◆原子炉施設の安全性に関する裁判では、専門技術的な調査審議を基にしてなされた行政庁の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきである。このとき、原子炉施設の安全審査に関する資料をすべて行政庁の側が保持していることなどの点を考慮すると、行政庁の側において、まず、その依拠した具体的審査基準ならびに調査審議および判断の過程等、行政庁の判断に不合理な点のないことを相当の根拠、資料に基づき主張、立証する必要があり、行政庁が主張、立証を尽くさない場合には、行政庁がした判断に不合理な点があることが事実上認められたとすべきである。

3.避難計画が新規制基準での審査に含まれていないことが問題。

◆政府は、1昨年12月、高浜原発から半径 30 km 圏の福井、京都、滋賀の広域避難計画を了承しましたが、大津地裁の決定時までには、関係自治体による一斉訓練は一度も行われていません。この点について、大津地裁は、自治体任せでなく、国主導で早急に避難計画を策定し、訓練を実施することを求めています。福島の過酷事故を経験した国には、避難計画をも視野に入れた幅広い規制基準を作成することが望まれ、作成が義務であろうとし、また、関電は、万一の重大事故発生時の責任を誰が負うのかを明確にするとともに、新規制基準を満たせば十分とするだけでなく、避難計画を含んだ安全対策を講じるべきであるとしています。

◆なお、政府や自治体による避難計画たるや、数週間ピクニックに出かけるようなものです。一旦、若狭で福島級の事故が起これば、若狭や京都北部、滋賀北部の地形や交通事情からして、避難は著しく困難であることは無視しています。また、例え避難しえたとしても、故郷には二度と帰れないという危機感はありません。福島原発事故から6 年、チェルノブイリ原発事故から 31 年経った今でも、両事故で避難した10 数万人の多くが故郷を奪われたままで、長期の避難生活が健康をむしばみ、家族の絆を奪い、大きな精神的負担となっていること、多くの方が避難生活の苦痛で病死され、自ら命を絶たれたこと、癌の苦しみ、発癌の不安にさいなまれていることは忘れたかのような計画です。

◆福島では事故炉から約 50 km 離れた飯舘村も全村避難を強いられました。このことは、高浜原発で重大事故が起これば、若狭や近畿北部だけでなく、60 km 程度しか離れていない京都市全域を始め、関西の大都市も永遠に住めない放射性物質汚染地域になりかねないことを示しています。避難計画では、その地域の住民数百万人の避難は不可能であること、琵琶湖が汚染されれば、関西の住民 1,450 万人や避難者の飲料水がなくなることも考えていません。

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆世界は脱原発に向かっている

【2017年3月17日,京都キンカンで配付。】

原発が、人類の手に負える装置でないこと、
経済的にも成り立たないことを
福島原発の大惨事が教えました。
したがって、世界的にも脱原発・反原発の動きが加速しています。

以下に、福島原発事故後の、国際的な脱原発の動きの概要を整理してみました。ご参考になれば幸いです。

ドイツ

◆ドイツの原発依存度(電力消費量のうち原発で発電した電力の割合)は、2009年(原発17基を保有)には23%であった。しかし、2011年に発生した、福島第一原発の炉心溶融事故をきっかけに、エネルギー政策を根本的に変えた。世界中で、ドイツほど福島事故の教訓を真剣に自国にあてはめ、政策を大幅に転換させた国は他にない。もともと原子力擁護派だったメルケル首相(元物理学者)が、福島事故の映像を見て原子力批判派に「転向」し、「原子力についての考え方が楽観的に過ぎた」と反省の告白を行い、福島事故からわずか4か月後には、原発を2022年末までに全廃することを法制化したのである。老朽原発8基を即時停止し(このため、2012年の原発依存度は16%に減少)、残り9基を2022年までに停止するというもの。代替エネルギーの主役は再生可能エネルギーで、2014年の9月ですでに電力消費量の28%をカバーしているが、2035年までにこの比率を55~60%とすることを目指している。現在のドイツでは、原子力発電の復活を要求する政党や報道機関は1つもないと言われる。また、ドイツ鉱業・化学・エネルギー産業労働組合(IG BCE)のエネルギー政策提言者・バーテルス氏は「議会制民主主義に基づくこの国で、過半数を超える市民が原発全廃を支持しているのだから、そうした世論に逆行する政党は敗北するだけだ」と指摘している(日本の連合とは大違い)。

◆なお、ドイツでは、2011年3月26日にベルリンやミュンヘンで25万人が参加した反原発デモが行われている。また、リベラルな週刊新聞「ディ・ツァイト」は、2014年10月5日の電子版で、「多くの市民が再稼動について抗議しているのに、日本では原発が再び動き始める。日本は、原爆による被害を受けた世界で唯一の国だ。さらに、福島で深刻な炉心溶融事故を経験した。よりによってそうした国が、市民の反対にもかかわらず原発に固執するのはなぜなのか?」という問いを発している。これは、多くのドイツ人が抱いている疑問である。

イタリア

◆イタリア国内に稼働している原発はない。イタリアは国内のエネルギー資源が乏しいので、1950年代から原発に取り組み、ラティナ、ガリリアーノ、トリノ・ベルチェレッセの3基(16~27万kW)の発電炉が発注され、1965年までに営業運転を開始した。2度の石油危機を契機に1985年までに原発を10地点で合計2000万kW建設するなど、原子力開発に重点を置いた政策が打ち出された。1981年には、4基目のカオルソ(87万kW)が営業運転を開始した。しかし、原子力反対運動やチェルノブイリ事故の影響を受け、1987年11月に原発の建設・運転に関する法律の廃止を求めた国民投票が行われ、70%以上の反対により同法の廃止が決定した。その結果、1990年までに核燃料サイクル関連施設を含む全ての原子力施設が閉鎖された。

◆一方、閉鎖時に計画していた火力発電所の建設は進まず、フランスとスイスの安価な電力の輸入が増大した。また、総発電電力量の75%を石油と天然ガス火力に依存しているため、イタリアの電気料金はEU内でも高い水準で推移している。2003年には電力の供給不足で輪番停電が発生し、2003年9月28日、国外との高圧送電線が全て遮断される大停電となり、電力供給体制の脆弱性が露呈された。これに対して、原発開発の再開を掲げて首相に返り咲いたベルルスコーニ政権は、原子力開発を含めた早急な電源開発促進政策を進めたが、2011年3月の福島第原発事故を機に、原子力反対運動が顕著となり、2011年6月に行われた国民投票の結果、投票率54.79%のうち、94.15%の得票率で、再度国内原子力開発を断念することになった。

◆他方で、2003年に大規模停電に見舞われたイタリアは、2004年7月、「エネルギー政策再編成法(マルツァーノ法)」を成立させ、輸入電力供給の安定確保を目指している。イタリア電力公社(ENEL)はスロバキア、ルーマニア、フランスなど、諸外国の原子力発電所建設計画に積極的に参加している。

スイス

◆スイス国内には5基の原発があり、原発依存度は35~40%と言われる。福島第一原発の事故を受け、スイス政府は2050年までに脱原発を進め、再生可能エネルギーによる発電へシフトすると表明し、また、2034年までに稼働中の原発の運転を停止することを閣議決定していた。しかし、既存原発の運転年数の制限は具体的には決められておらず、それぞれの原発がいつまで稼働するかも不透明な状態で、運転開始からすでに47年(2016年時点)経過している原発もある、

◆そのため、野党「緑の党」などは、既存原発の運転期間を最長45年に制限し、1972年までに運転を開始した3基を2017年に停止させるとともに、他の2基も運転開始から45年で停止させること、それによって、2029年までに全原発を停止することを提案した。この提案に対し、経済界やスイス政府は、電力不足や化石燃料への依存が高まることを理由に、「時期尚早」と反対していた。脱原発を加速することで、原発プラント企業にペナルティを支払う必要があるとの指摘もあった。

◆直接民主制をとるスイスでは、国の重要案件は国民投票で決めることになっている。そこで、国内にある全原発の運転停止時期を早め、2029年までに全原発を停止することを争点とした国民投票が、2016年11月27日に行われた。投票の結果は、賛成が45.8%、反対が54.2%で、提案は反対多数で否決された。

◆なお、この国民投票の結果の解析を政府から依頼された調査機関・VOTOは、投票した人の中から1578人を選んで調査を行ったが、「反対票を投じた人の82%は、2029年に脱原発というのはあまりに早急で、非現実的だと考えたから反対した」との分析結果を出した。すなわち、投票結果は、「2029年に脱原発する」という「期限」に反対したのであって、脱原発そのものに反対したのではなかったという。また、反対票を投じた人の63%が「原発のないスイス」に賛成していることが分かり、これと今回の投票で原発早期全廃に賛成した人の数を加えると、「76%の人が脱原発に賛成」という調査結果になったと発表した。

リトアニア

◆かつてリトアニアの総発電電力量の約8割を占めたイグナリナ原発はチェルノブイリ原発と同型の軽水冷却黒鉛減速炉(ソ連製の古い原発)であったため、2009年までに廃炉とし、その敷地に隣接して新たなヴィサギナス原発建設(日立製作所が受注:改良型沸騰水型軽水炉)が計画されていた。2012年6月に議会が承認、正式契約は周辺国の合意を得てからではあるが、政府による契約がほぼ固まっていた。事業規模は約4千億円、合計出力は最大340万キロワット、建設は2基が予定されていた。ところが、福島原発事故を受けて原発建設への反対が強まる中、野党が原発計画の是非を問う国民投票議案を提出、国民投票が2012年10月に実施された。結果は建設反対が6割を超えたが、この国民投票は法的拘束力を持たず、政府は計画を中止しなかった。

◆しかし、同時に行われた議会選挙で社会民主党が勝利し、次期首相候補は建設計画の見直しを明言し(2016年11月発表のリトアニア国家エネルギー戦略)、正式に計画が凍結されることとなった。「市場環境が変化して費用対効果が高くなるか、エネルギー安全保障上、必要な状況となるまで、計画を凍結する」とされた。市場競争力は望めず、事実上の計画撤回と見てよい。

ベトナム

◆昨年11月22日、ベトナム国会が原発立地計画を中止する政府提案を可決した。ベトナム政府は電力需要に応える切り札として、2009年に4基の原発を建設する計画を承認し、2014年に着工する予定であった。しかし、当初案は資金難や人材不足で延期が繰り返されていた。また、2011年の福島原発事故の教訓を生かし、津波対策として予定地をやや内陸へ移動する計画変更も行っていた。予定地は、風光明媚で漁業や果樹生産の盛んな南部ニントゥアン省ニンハイ県タイアン村であった。直前の計画では、第1原発2基は2028年に、第2原発2基は2029年に稼働、第1原発はロシア、第2原発は日本が受注し、各100万キロワットで、計400万キワットの設備となる予定で、実現すれば同国初の原発となるはずであった。

◆中止の理由は、福島原発事故を受けて建設コストが2倍に高騰したことに加えて、同国の財政悪化が重なったため。また、住民の反対の強まりや、コストをさらに大きく引き上げる要因にもなる原発の使用済燃料の処理・処分の未解決問題も指摘された。再生可能エネルギーやLNGが競争力をもったことも一因である。今後は再生可能エネルギーやガス、火力などを導入するという。レ・ホン・ティン科学技術環境委員会副主任は「勇気ある撤退」と評価している。

台 湾

◆台湾では、第一~第三原発が稼働し、全電力の約14%をまかなっている。第一、第二原発は人口密集地の台湾北部、台北中心部から20 kmほどの距離にある。第一原発1号機が2018年12月に40年の稼働期限を迎えるのをはじめ、稼働中の全原発が2025年5月までに期限を迎える。

◆第一、第二原発の近くに第四原発の建設も進んでいたが、福島原発事故で安全性への不安が高まり、反対運動が激化。第四原発の稼働を目指していた馬英九(マーインチウ)・前政権は2014年に凍結決定に追い込まれた。なお、第一、二、三原発は米国製、第四原発は日本製。

◆馬政権は第四原発を直接廃炉にはせず、将来的に稼働させる選択肢を残していた。これに対し、昨年5月に就任した蔡英文(ツァイインウェン)総統は総統選で原発ゼロを公約し、本年1月11日、台湾の国会に当たる立法院で、2025年までの脱原発を定めた電気事業法改正案を可決、成立させ、稼働延長の道を閉ざした。これで、第四原発の稼働の可能性もほぼなくなった。

◆今後、太陽光や風力などの再生エネルギーへの切り替えが進むかどうかが実現のかぎという。再生エネルギー分野での電力自由化を進めて民間参入を促し、再生エネルギーの比率を現在の4%から2025年には20%に高めることを目指すとされている。将来的には公営企業の台湾電力の発電事業と送売電事業を分社化する計画である。

◆立法院の審議では、離島に保管されている放射性廃棄物の撤去問題などが焦点となったが、2025年までの脱原発については大きな異論は出なかった。ただ、産業界を中心に電力供給の不安定化や電気代の高騰を懸念する声も出ている。

韓 国

◆韓国では商用原発25基(2016年)が運転されていて、原発依存度は26.8%(2015年11月発表)。とくに韓国最古の古里原発は8基を有する「原発銀座」であり(政府はさらに2機の追加建設を承認)、原発密集度は世界第1位(月城、蔚珍ハンウル、霊光ハンビツ原発も10位以内)、周辺人口は福島の22倍といわれる(30 km 圏内に380万人が居住)。19基が集中する東南部一帯には60以上の活断層が分布している。今後も原発の拡大が計画されている。原子力技術を輸出する取り組みもあり、2030年までに80基の原子炉を輸出する目標を掲げている。

◆使用済み核燃料の蓄積が深刻な問題であり、とくに、古里原発3号機の貯蔵プールには1,2機の使用済み核燃料も移送されているため、韓国で最も多い818トン(2015年末)が貯蔵されている。これに関して、この燃料プールの水位が低下し、火災となり、水素爆発も起きた場合、西風の季節(冬季)であったら、韓国で最大2430万人が避難を余儀なくされるだけでなく、日本でも最大2830万人が避難を迫られるというシミュレーション結果がある、

◆脱原発の動きもある。本年2月7日、韓国ソウル行政裁判所は、設計寿命(30年)を終えた月城原発1号機の運転延長許可を取り消すよう命じる判決を出した。同1号機は、2012年11月に30年間を経過していたが、事業主の韓国水力原子力発電は10年間の運転延長を申請し、首相直属の原子力委員会が2015年2月に許可していた。これに対して、2000人以上の周辺住民が処分の取り消しを求めて提訴していた。判決では、①必要な書類がそろっていない、②安全性に関する最新の技術水準を適用していない、③原子力安全委員のうち2人が決定前3年以内に原発関連事業に関与していた、などと指摘し、原子力安全法と原子力安全委員会設置法に違反するとした。国民の安全を優先した「歴史的判決」である。

▲月城(ウォルソン)原発、蔚珍(ウルチン)原発(ハヌル原発と改名)、古里(コリ)原発、霊光(ヨングァン)原発(ハンビツ原発と改名)。

オーストリア

◆オーストリアは、原発を持っていない国。1978年の国民投票の結果、原発建設を禁じる原子力禁止法が僅差で可決された。ツベンテンドルフにある同国初の原発は当時完成したばかりだったが、一度も稼動されることなく閉鎖された。また、同年、原発建設の前には国民投票を実施することが法制化された。さらに1999年には 非核条項が憲法に組み込まれた。現在、オーストリア政府は、EUに反原子力エネルギーの方針を進言する意向である。

アメリカ

◆米国には99基の原発があり(2015年1月)、原発依存度は18%程度である。米国では、2013年春、約15年ぶりにキウォーニー原発(ウイスコンシン州)が廃炉になって以来、4発電所5基が運転を終了した。2019年にもさらに1基が停止する。このように、米国では、原発の停止→廃炉が相次いでいる。主な理由は、①原発に比べてコストが安いシェールガス発電が進んだ、②福島原発事故以降、安全対策の強化が課せられ、原発での発電コストが高くなった、などである。

日本でも反原発・脱原発が民意です。
それでも安倍政権は原発と核燃料サイクルの推進に躍起です。
許してはなりません。

原発は人類の手に負える装置ではありません。一方、福島事故以降の経験によって、原発は無くても不都合がないことが分かった今、原発を運転する必要性は見出だせません。そのため、日本でも、脱原発、反原発は社会通念=民意 となっています。本年2月の朝日新聞、3月の毎日新聞の世論調査でも、原発再稼働反対がそれぞれ57%、55%で、賛成のほぼ2倍でした。

重大事故が起こってからでは遅すぎます。原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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◆福島原発の大惨事から6年

【2017年3月10日,京都キンカンで配付。】

福島原発の大惨事から6年
安倍政権の非人道政策ますます露骨に

原発事故避難者は未だ8万人に近く、自ら命を絶たれる方は4年後から急増している

◆福島原発事故から6年が経った現在でも、避難者の大半が故郷を失ったままであり、暮らしを破壊され、家族の絆を奪われ、癌と闘い、発癌の不安にさいなまれている。

◆東日本大震災後、体調悪化や過労などで死亡する「震災関連死」の数が、岩手、宮城、福島など10都県で少なくとも3032人に上ると、震災後3年の2014年2月末に報道された。福島第1原発事故などで避難している福島県では、半数超の1664人に上り、津波や地震に起因する「直接死」の数1607人を上回った。2013年9月末時点での復興庁のまとめでは、10都県2916人であったが、その後の5カ月間で116人増加したことになる。このうちの約8割に当たる92人は福島県の被災者で、被害が長期化する原子力災害の深刻さが浮き彫りとなった。

◆一方、福島県内での震災関連自殺者は、2012年10人、2013年13人、2014年23人と増加し続けたが、本年1月9日のNHKスペッシャルでは、福島で避難された方の自殺が、事故4年後から急増していると放映された。年齢構成などをならし、他県と比較した福島県の自殺率が震災4年後から上昇しているというもの(昨年、世界的な医学誌に、福島県立医大前田教授が発表)。現場からもそれを裏付ける現象が報告されている。福島で心の問題を受けつける電話相談には1日平均150本の相談が寄せられ、その数を全国と比較すると3倍以上である。相談内容は年を追うごとに緊急性の高いものが増え、一件当たりの相談時間も長くなっているという。なお、2012年~2014年の自殺者の内訳は、年代別では、一家を支える50代が最多で13人、80歳以上が10人と続く。原因・動機別は健康問題が22人と最多で、経済・生活問題が13人となっている。

◆4年以上経って増加の傾向を見せる福島の自殺の背景の一つとされるのが、時間を経るごとに複雑化する原発事故被災者を取り巻く環境である。また、個々の境遇にも違いが現れ、かつて親しかった親族や知人との間に分断が生まれ、孤立感が深まっているという。さらに、放射能被曝による免疫力や身体機能の低下による影響が大きいのではないか?との見方もある。チェルノブイリ原発事故で多くの被曝患者を治療したバンダジェフスキー博士は「セシウム137からの慢性的体内被曝により、細胞の発育と活力プロセスがゆがめられ、体内器官(心臓、肝臓、腎臓)の不調の原因になる」と指摘し、東大の児玉教授らも「放射能は少ない量でも内部被曝で癌などを誘発する」と述べている。脳に取り込まれたストロンチウム90がうつや自殺を引き起こすとする報告もある。

◆なお、NHKスペッシャルの冒頭に紹介された若い農家夫婦の自死の真相は定かでない。しかし、米の値下がりで赤字になり、かつて支援してくれたボランティア等に声をかけ、直接販売を試みたが反響がなかったとの事実が告げられる。原発事故からもうすぐ6年、確実に「風化」していく中で、「希望」が「絶望」に変っていく。番組では「あいまいな喪失」と「コミュニティの分断」という「要因」を指摘したが、責任をとらない政府と東電が元凶であり、それを許している私たち、原発推進を擁護してきた労働組合の責任も大きい。

原発事故でなければ、時間が経てば、復興の希望も生まれてくる。原発事故は、全てを奪い去る。

避難者の高放射線地域への帰還を強いる政府

◆政府は、避難に関して、1年間の空間放射線量が20ミリシーベルト(mSv/y)以下になった地域の避難指示を解除し、避難者に帰還を強要している。この線量は、日本の一般市民の線量限度1 mSv/yの20倍であり、チェルノブイリの移住義務基準5 mSv/yに比べても極めて高いと言える。また、避難指示が解除された地域の電気、ガス、水道、交通網などの生活基盤の整備や、医療、介護などの生活関連サービスも復旧したとするには程遠い状態にある。したがって、帰還の意志のある住民は少数にとどまり(下表を参照)、ほとんどが高齢者である。今後、各世帯で分担してきた道路脇の草刈り、消防団活動、共同墓地の手入れなどの共同作業の担い手が不足し、後継者不足で地域が成り立たなくなることは明らか。このような状況でも、強引に帰還を進めようとする政府は、帰還に応じない人への支援の打ち切りの恫喝も行っている。一方、福島県を始め多くの自治体が、政府の意を受けて、自主避難者支援の打ち切りを決定している。何れも、東電や政府の賠償負担や生活支援支出の軽減のためであり、責任回避のためである。人々の安全や生活の安寧を優先する考えはいささかもない。


(2017年1月4日 河北新報より)
******************
帰還困難区域:放射線量が非常に高いレベルにあることから、バリケードなど物理的な防護措置を実施し、避難を求めている区域。
居住制限区域:将来的に住民が帰還し、コミュニティを再建することを目指して、除染を計画的に実施するとともに、早期の復旧が不可欠な基盤施設の復旧を目指す区域。
避難指示解除準備区域:復旧・復興のための支援策を迅速に実施し、住民が帰還できるための環境整備を目指す区域。
******************

避難指示が解除された自治体の住民の帰還情況

帰還者
数(人)
帰還率
(%)
避難指示
解除の時期
田村市都路地区東部 231 72.4 2014年4月
川内村東部 62 19.9 2014年10月
2016年6月
楢葉町 737 10.0 2015年9月
葛尾村 102 7.6 2016年6月
南相馬市小高区など 1231 11.8 2016年7月

(葛尾村と南相馬市小高区は帰還困難区域を除く)
(2017年1月4日 河北新報より)

◆なお、20 mSv/y以下とされた地域でも、それ以上の箇所が存在する可能性は高い。とくに、汚染土壌、埃などの吸入による内部被曝の影響が危惧される。

(政府機関である放射線医学研究所などの調べであるから、放射線許容の立場であることに注意)

◆政府の避難解除にあたっての姿勢は、自然災害の場合と変わらず、住民は原発事故という電力会社、財界、政府が一体となって引き起こした人災によって避難を強いられているという視点はない。本来、原発を推進した政府や原子力ムラに、避難解除をうんぬんする資格はない。彼らは、事故の責任の重さを噛みしめ、誠意ある償いに専念すべきである。避難解除を決定するのは、あくまでも住民でなければならない。しかし、政府・与党は、住民の声を聴く前に、彼ら自身が出した避難区域解除案(本年3月末解除)を既定路線として新聞発表するなど、住民切り捨ての態度に終始している。

原発事故は、このような悲惨を産む。再び事故が起こる前に全廃しなければならない。

「自主」避難者への住宅無償提供の打切り=政府による「自主」避難者の切捨て

◆政府と福島県は、原発事故によって福島から逃れた「自主」避難者への住宅の無償提供を、3月末で打ち切る方針を決めている。4月以降、現在の住宅から立ち退きを求められたり、新たに多額の家賃の発生に見舞われるなど、言い知れぬ不安にさいなまれ、悲鳴を上げている。

◆いわゆる「自主」避難者は、避難指示区域でない区域から子供の被爆を避けるためなどの理由で避難した人々で、福島県内外の「自主」避難者は約1万2000世帯、約3万2000人に上る。「自主」避難者の大半の4月以降の住居が未定のままである。東電からの定期的な賠償を受けられない「自主」避難者にとって、住宅の無償提供は唯一の支援策・命綱であり、とくに母子避難者にとって、打切りは経済的な困窮に繋がり、子供の未来を断ち切る事態にもつながる。

原発事故での被曝を避けるための避難生活は、断じて「自己責任」ではない。避難者の生活を保障する責任があるのは原発を推進してきた政府であり、東電である。避難者の切り捨てを許してはならない。

◆なお、避難継続を希望する世帯を対象に、9道府県が財政負担などを伴う独自策で支援することを表明している。他の多くの自治体は、公営住宅を希望する自主避難者の入居要件緩和を求めた国の通知にならった支援内容にとどまっている。自主避難者の住宅支援は避難先の選択で格差が生まれることになる。

作って儲け、売って儲け、事故って儲け、お片付けで儲ける原子力関連産業・それを支える政府

除染、汚染水対策、廃炉作業でさえ食い物にする政府、原子力企業、ゼネコン

◆原発事故の終息に適用される技術は、特別の場合を除いて、検証されたものでなければならない。例えば、汚染水の漏洩防止には、コンクリートや鉄板などの壁の建設が最も確実と考えられる。しかし、政府(規制委を含む)や電力会社は、長大な「凍土壁」という今までに検証されたことのない技術を選んだ。これは、ゼネコンの将来技術開発費を助成するためであり、結果の成否は問わず、ゼネコンに暴利を与えるためである。この姿勢は、汚染水の除染や廃炉にあたって「研究開発的要素」を含む技術を優先的に採用するという政府の政策に貫かれている。すなわち、政府は、原発事故を利用して、企業に技術開発費を投下し、原発産業の基盤を支えるとともに、研究成果を宣伝することによって原発輸出に競争力を付けさせようとしているのである。政府は、早期の事故終息より企業の利益を優先させているといっても過言ではない。なお、凍土壁は期待された効果を上げていない。

◆ところで、福島第1原発の廃炉、賠償などの事故対策費用が、従来想定の11兆円から21兆5千億円に倍増することを経産省が公表した(昨年12月)。この膨大な費用は、原発が一度重大事故を起こせば、現代だけでなく、遠く未来にも大きな負担を残し、原発は経済的にも成り立たない装置であることを示している。ここで、原発の廃炉費は、原発を持つ電力会社がまかなうのが原則で、福島原発も例外ではないが、ここに示された金額はその域を大きく超え、東電や政府は新たな国民負担(電力料金への添加、税金の投入)を求めている。電力自由化で参入した「新電力」にも負担を求めている。一方、東電が避難区域になった福島県の市町村に支払った損害賠償額は、請求額のわずか6%であり(新聞挿絵図、参照)、復興の遅れにつながりかねないとの住民の不安の声が出ている。


(2017年3月9日京都新聞朝刊)

◆ちなみに、東電の昨年度の純利益は、電気料金の値上げなどによって事故前の2,009年や2,010年度より増加し、5千億円を超えている。東電は、多大な利益を上げながら、国(経産省)を通してさらに国民負担を求めている。

◆福島事故は、東電や政府を含む原子力ムラの、経済のためには人の安全・安心は犠牲にしてもかまわないとする考え方によって引き起こされた人災である。したがって、その代償は、原子力ムラとりわけ東電が支払うべきであり、国民の税金や電気料金値上げによって支払うものではない。国民に負担を求めるとするなら、東電があらゆる努力を行い、全てを擲(なげう)った後に、それでも犠牲者の救済ができない時だけである。しかし、東電は、同社自身は平然と存続し続けながら、さらなる政府支援を要請している。これも、人の尊厳を傷つける傲慢かつ破廉恥な電力会社の体質の現れである。

目先の経済的利益や便利さを、
人が人間らしく生きる権利や

事故の不安なく生きる権利と
引き換えにしてはなりません。

重大事故が起こってからでは遅すぎます。
原発全廃の行動に今すぐ起ちましょう!

若狭の原発を考える会(連絡先・木原壯林 090-1965-7102)

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