◆原発稼働をめぐるおもな司法判断

…住民側勝訴の判決,決定】


【福島第一原発事故の前】
「原発訴訟」をほとんど全て敗訴にした最高裁事務総局は[原子力ムラ]の守護神!→こちらにくわしい。

住民側勝訴は2例のみで,2勝32敗。
参考図書→『原発訴訟』(海渡雄一著,岩波新書)

(1)もんじゅ訴訟
2003-01-27,名古屋高裁金沢支部(川崎和夫裁判長)
設置許可は無効…一審の判決を取り消し。
その後,2005-05-30に最高裁が控訴審判決を破棄。

(2)志賀原発2号機訴訟
2006-03-24,金沢地裁(井戸謙一裁判長)
日本ではじめて原発運転差し止めを認める判決…耐震指針や活断層の評価に問題。原発は地震によってメルトダウンする可能性。
ただし2009-03-18名古屋高裁金沢支部で取り消し判決,2010-10-28最高裁で確定。


【2011-03-11 福島第一原発事故の後】

(1)大飯原発3・4号機
2014-05-21
福井地裁(樋口英明裁判長)
本訴,差し止め…福島事故のような事態を招く可能性。原発は人格権よりも劣位。

名古屋高裁金沢支部(内藤正之裁判長)
2017-11-20結審,判決日未定

(2)高浜原発3・4号機
2015-04-14
福井地裁(樋口英明裁判長)
仮処分,差し止め…新基準は合理性を欠く。地震への備えは不十分。

2015-12-24
福井地裁 異議審(林潤裁判長)
▲差し止め,取り消し…新基準は合理的。

(3)川内原発1・2号機
2015-04-22
鹿児島地裁(前田郁勝裁判長)
▲仮処分,申し立てを却下。火山噴火の危険性は高くない。

2016-04-06
福岡高裁宮崎支部 即時抗告審(西川知一郎裁判長)
▲抗告を棄却…火山噴火は頻度が低く、原発運転中には噴火しない。

(4)高浜原発3・4号機
2016-03-09
大津地裁(山本善彦裁判長)
仮処分,差し止め…福島事故の原因は未解明。規制委の姿勢は不安。

2017-03-28
大阪高裁 保全抗告審(山下郁夫裁判長)
▲差し止め,取り消し…新基準は合理的。安全性は明らか。

(5)伊方原発3号機
2017-03-30
広島地裁(吉岡茂之裁判長)
▲仮処分,申し立てを却下…火山噴火の可能性はない。

2017-12-13
広島高裁 即時抗告審(野々上友之裁判長)
差し止め…阿蘇山噴火の火砕流の到達の可能性あり。

◆伊方原発をめぐる仮処分–2017年12月

(1)【伊方原発をめぐる仮処分は4裁判所で係争】

・広島高裁…[決定前の前評判]12月上旬の広島高裁に注目を。広島高裁では,運転容認の広島地裁の決定(3月)を不服とする即時抗告が争われています。10月4日に双方が書面を出し終え審理が終結し,12月上旬の裁判所の決定を待つばかりです。この裁判は被爆地広島の裁判として注目されていますが,愛媛からは小倉正さん(松山市)が抗告人として参加しています。この間の審理では,裁判官が四電側書面について細部にわたり的確な質問をしていることなどから,裁判所の判断が待たれています。
[2017/12/13の決定主文 → 次項に ]

・大分地裁…10月11日に審尋があり,次回の審尋は12月20日。

・山口地裁岩国支部…本格的な審理はこれからという段階で,立証計画として愛媛大学元学長の小松正幸さんによる第三者審尋の実施などの予定。

・高松高裁抗告審…11月16日に第1回の審尋。7月21日の松山地裁の運転容認の不当な決定を不服として即時抗告をしたもの。裁判長は「拙速な審理はしない」と明言し,2月13日に第2回審尋,5月16日に第3回の予定。

(2)【広島高裁。2017年12月13日の決定主文】

主文

1 原決定を次のとおり変更する。
(1) 相手方は,平成30年9月30日まで,愛媛県西宇和郡伊方町九町字コチワキ3番耕地40番地の3において,伊方発電所3号機の原子炉を運転してはならない。
(2) 抗告人らのその余の申立てをいずれも却下する。

(以下,中略)

5 結論(決定398頁~399頁)
(1) 以上によれば,火山事象の影響による危険性について,伊方原発が新規制基準に適合するとした原子力規制委員会の判断は不合理であり,抗告人らの生命身体に対する具体的危険の存在が事実上推定されるから,抗告人らの申立ては,被保全権利の立証(疎明)がなされたといえる。
(2) 伊方原発は,現在稼働中であるから,差止めの必要性(保全の必要性)も認められる。
もっとも,本件は,証調べの手続に制約のある仮処分であり,火山事象の影響による危険性の評価について,現在係属中の本案訴訟(広島地方裁判所平成28年(ワ)第289号,第902号)において,証拠調べの結果,本案裁判所が当裁判所と異なる判断をする可能性もあること等の事情を考慮し,四国電力に運転停止を命じる期間は,平成30年9月30日までと定めることとする。
(3) 担保金の額については,事案の性質に鑑み,担保を付さないこととする。
(4) よって,以上と異なる原決定を変更し,主文のとおり決定する。

裁判長裁判官 野々上 友之
裁判官 太田 雅也
裁判官 山本 正道

(3)【今後の展開】

(浅野則明弁護士のFacebookより)

この即時抗告審(高裁)に対する異議申立は、地裁段階と同様に「保全異議」という手続です。これは債務者からの申立として同一審級の不服申立です(この点、債権者からの不服申立が審級を異にする即時抗告であることと違っています)。これは、大津地裁の高浜原発の差し止め仮処分決定の異議審が同地裁の審理になったのと同じです。ただ、実際に保全異議を担当する裁判官は誰かという点については、広島高裁の場合は違う部に係属する可能性が高いかも知れません。同時に、保全執行の停止の裁判も審理されることが可能となっています。

異議審(高裁)において、異議を認めない却下決定が出された場合の債務者側の不服申立としては、最高裁への「特別抗告」と「許可抗告」しかない。特別抗告には、特別上告の規定が準用されるので、抗告理由は憲法違反しかない。これに対し、許可抗告は、判例違反等法令解釈の違反を理由とするものであるところ、この許可の判断をするのは高裁自身である。高裁、つまり抗告審決定を行った裁判体が最高裁への抗告を許可するかどうかを判断することになる。許可されれば、最高裁に移審するが、原裁判に影響を及ぼすことが明らかな法令違反がある場合に限って、原裁判を破棄することができるとされている。

◆11/1,高浜原発運転差止仮処分第3回審尋の報告

原発賠償関西訴訟の支援MLに
高橋武三 さんが投稿 [kansai-supporters:3995]

大阪地裁>11/1 高浜原発運転差止仮処分第3回審尋 報告

11月1日、11時から大阪地裁で水戸喜世子さんの高浜原発運転差止仮処分第3
回審尋が開かれました。
審尋なので一般傍聴はできませんが、大阪地裁記者クラブでの記者会見は傍
聴できるので参加しました。
11時から始まり、約30分程で終わると思って記者室で待っていましたが、1
時間かかりました。
関電が膨大な反証を書面でしてきたからだそうです。

▲大阪地裁 記者室 審尋後の記者会見 2017.11.1 右端・原告の水戸さん

ミサイルの破壊措置命令が出ているのだから、対策がとられていない高浜原発はまず運転を止める必要があるとの原告主張に対して、関電の反論は次のようだったとのこと。

・ミサイルの標的はアメリカであって、日本ではない。(撃ってこない)
・武力攻撃事態対処法があり、それで対処するから、その時に原発はとめれ
ばよい。(それまでは動かしていてもよい)
・今のミサイルでは、命中精度の指数であるCEP(半数必中界)は2000~3000
mで正確ではない。(当たらない)
・あの配管、このバルブ、新基準で安全対策している。(当たっても大丈夫)

関電はイージス艦のSM3とPAC3の二段階防衛で大丈夫、
原発を正確に狙うほどの命中精度はない、
万一落ちてきて、配管などが破壊されても対処できるので大丈夫、
ということです。

これに対して、河合弁護士らは口頭で反論されたそうです。

高浜原発には事前にPAC3は配置されていないのだから、7分で飛んでくるミ
サイルをPAC3で迎撃するのは難しい。
(関電はPAC3の配置を防衛省に問い合わせたが「軍事秘密」ということで教
えてもらえなかったと釈明したそうです)
CEPに関しての米国の論文は昨年のもので、この1年で飛躍的に精度が上がり、
今は命中精度の誤差は7mと言われている。
ミサイルの弾頭には爆弾が搭載されている。
あの配管が、このバルブが、という話ではなく広範囲に機器・設備は破壊さ
れる。

裁判官は、自分たちが分からない点は熱心に質問(求釈明)されて、フラン
クに審尋は進められたそうです。

次回審尋は12月6日、1月23日に行われます。
これに対して関電は、引き延ばして時間稼ぎをしたいのですが、裁判官は1
月23日をもって終結すると明言されたそうです。

◆審尋予定
12月 6日 水曜日 午後 4時30分~,
1月23日 火曜日 午前10時~